公安警察の国民監視活動に違法判決

 GXY-eZ0bAAAJBSe.jpg昨日の名古屋高裁判決は、公安警察の住民監視活動を違法とする画期的なものです。
 経済秘密保護法案の審議の際に、本会議と委員会で、この事件を取り上げて同法案の廃案を求めました。質問の時点では収集した情報を第三者に提供したことを違法とする地裁判決に基づいて行いましたが、高裁判決はさらに収集も保存も違法と踏み込んだものです。警察の活動が厳しく問われていますし、改めて経済秘密保護法の廃止の必要性を浮き彫りにしました。
 本会議での反対討論の関連部分を紹介します。
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 (適正評価の)調査では、評価対象者の知人や職場の上司にまで質問します。警察や公安調査庁を含む公務所に照会まで掛けますが、どこにどのような照会を掛けたかは本人には知らされません。
 本会議では、岐阜県の大垣警察署が中部電力の子会社に対し、同社の進める風力発電施設建設に反対する市民四人らの個人情報を提供した事件で、岐阜地裁が個人情報の第三者への提供は違法であるとして損害賠償を求める判決を下したことを紹介し、本法案で警察による国民監視と個人情報の収集が一層拡大することへの懸念をただしました。
 高市大臣は委員会で、適性評価のための照会は、警察が既に保有している情報の提供を求めるだけであり、警察に新たな調査を要求することはないと述べました。しかし、警察庁は質疑の中で、こうした個人情報の収集や第三者への提供は、公共の安全と秩序の維持のために日常業務として行っており、適性評価の調査のための照会のあった対象者への情報収集活動があることを認めました。しかも、収集した情報の保存期間は明言をせず、生涯保存されるおそれがあります。
 適性評価で得た個人情報の目的外利用は禁止とされていますが、罰則規定はありません。しかも、そうした個人情報は適性評価以外の目的に使用してはならないとするのが当然なのに、重要経済安保情報の保護以外の目的への利用を禁止しているにすぎません。これでは、重要経済安保情報の保護を口実に、情報漏えいの事実把握のためとして警察による日常的な監視が行われる懸念は拭えません。
 また、高市大臣は、適性評価の対象者であることが捜査の端緒になることは考えられないと答弁をしました。その一方で、クリアランスホルダーとなった人は外国政府などによる諜報活動の標的となるとも答弁をしました。そうであれば、諜報活動を受けている可能性があるとして、長期にわたり警察の監視の対象となるではありませんか。個人の思想、心情、良心の自由を踏みにじり、日本を監視社会にする憲法違反の本法案は断じて認められません。