ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
この問題での偏見が最も鋭くあらわれますのは、セクシュアルハラスメントとか女性に対する暴力の問題だと思うんです。ことしの三月に、上司の教授に性的関係を強要されたとして私大の元女性職員が男性教授を訴えた裁判の控訴審判決が仙台高裁でありました。判決は、セクハラそのものは認めましたけれども、原告も必死で抵抗しなかった、暴力行為による強要はなかったとして、一審の賠償額七百万円を二百三十万円に減額をしたんですね。
これにつきまして、作家の落合恵子さんが「セクシャルハラスメントとどう向き合うか」というブックレットの中で厳しい批判をされております。「この裁判長は、自分の娘が被害者と同じような恐怖にさらされたときも、「衣服がずたずた」でない限り、被害を認めないのか。傷ついてうずくまる娘に、「どうしてもっと必死に抵抗しなかったのだ。おまえのその態度に落ち度があったのだ」と加害者を擁護するようなことを言い、娘をさらに傷つけ、追い詰めるのだろうか。彼はセクシャルハラスメントの基準について、まったく知らないか、あるいは確信的に逸脱を選んだか、あるいは、社会の流れも、差別の歴史も、ひとの痛みにも残念なことに鈍感なひとだと言わざるをえない。」と、こういう手厳しい批判がされております。
やはり、司法の場では、こういう女性の視点からの批判を重く受けとめて反映をさせていく必要があると思います。そのためにも、研修も重要でありますけれども、裁判所全体をジェンダーの視点から見直していく、この取り組みが必要だと思います。
アメリカではタスクフォース、特別の委員会等を組みまして裁判官みずからがジェンダーバイアスの調査に乗り出しているわけですが、日本でも、弁護士会やジェンダーに関する女性の専門家からの意見も聞いて、総合的な調査と、そして検討をする専門の機関を立ち上げるべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。