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2002 年 4 月 18 日

法務委員会
司法書士への研修の充実を

  • 司法書士への法廷代理権付与にともなう研修の充実、民事法律扶助の拡充をもとめる。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の審議ということでありますが、やはり朝からの質問を聞いておりましても、これはやっぱり二つの法律だなという感じがするんです。登記に関係するとか法人の問題があるということで一つの法律で提案をされたわけでありますが、大部分はかなり違う問題でありまして、これはやはり二つの、それぞれの法律としてしっかり審議をすることが必要ではなかったのかなという御意見だけ申し上げておきます。

 今回、司法書士の皆さんが簡裁での訴訟代理権も認められる、弁護士さんなどが余りいない地域でも非常に裁判が身近で便利になるという点では国民にとってプラスでありますから、賛成であります。

 簡裁での訴訟代理権を得て、裁判、司法の一翼を担うということになるわけでありますから、やはり重大な職責の変更だと思うんですね。

 裁判というのは、憲法の、憲法事項でありまして、憲法七十七条では最高裁の規則制定権を定めまして、弁護士に関する事項については規則を定める権限、それから、検察官も規則に従わなくてはならないと、こう記述をしているわけであります。弁護士法の第一条では、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」という、こういう使命規定も置いているわけであります。

 司法書士法の場合は二条に「職責」という規定がございますが、こういう使命規定はありませんし、今回の改正でも、第一条の目的条項に「適正」という文字が挿入をされ、「権利の保全」という言葉が「権利の保護」に替わったということであります。しかし、やはり新たに簡裁代理権を得るという新たな職責、大きな変更という中でいいますと、私は使命規定なりをこの法の中に置くべきではなかったのかなと思っておるんです。

 大臣は、新たにこういう簡裁代理権を得るという下での司法書士の皆さんの今日的使命についてどのようにお考えか。また、それを法に入れるべきではなかったのかと。この点について御所見をお願いいたします。

国務大臣(森山眞弓君)

 先ほど来の御質問にお答えしておりますとおり、司法書士の皆さんは全国にあまねく存在していていただきまして、その専門的な知識を生かして国民のために大変頼りになるサービスを今までもしていただいてまいりました。

 今、問題になっております司法制度改革の大きな眼目が、国民にとって身近で分かりやすくて頼りがいのある便利な司法制度ということでございますので、そのような目的に向かって大いに働いていただく立場にいらっしゃるというふうに思いまして、その御活躍を期待するわけでございますが、この司法書士、第二条の、「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」との職責規定がございますし、それとともに、第一条の目的規定から、登記、供託とともに、簡易裁判所の代理権行使を含めまして、訴訟に関する手続の適正かつ円滑な実施のために国民の権利の保護に寄与するという使命を持っていただくということでございます。

 ですから、今回の改正におきましても、あえてこれらの規定に加えたり、更に使命規定を設けるという必要はないのではないかというふうに思ったわけでございます。

井上哲士君

 新たなこの簡裁代理権を得るわけでありますが、その点での非常に研修が大事だと思っております。

 私、京都で司法書士の方の事務所にお伺いしていろんなお話も伺ったんですが、やはり弁護士事務所とかなり造り自身が違います。それぞれの方が向かい合って座って、真ん中に司法書士さんが座ってお話を伺う。正に、双方代理をするような相談の場所になっています。弁護士事務所に行きますと、大体、個室で一対一でやるということを比べましても、随分違うなということを改めて思いました。やはり、関係者双方から信頼を受けて、そしてそういう信頼を基礎にした業務をされてきたんだなということを非常に痛感をしたわけです。

 弁護士の場合、民事訴訟の代理業務の基本はこの双方代理を絶対してはならないということでありますから、これはどちらが上、下ということではなくて、要するに性格の違うことをやってこられたと思うんですね。ですから、双方代理行為にならないように事前にチェックをできるような能力をしっかり身に付けていくことなど、大変研修でも大事だと思っております。

 これまで司法書士会で随分、独自研修を熱心にやられてきたということも私、承知もしておりますし、今回の改正で試験に憲法が入るということも会からの要望であったということはあるわけですが、逆に言いますと、これまで現在の司法書士の皆さんはそういう憲法の試験を受けずに資格を取っていらっしゃるということもあるわけですが、そうした場合に、今後の研修でこうした基本的な人権の問題、職務倫理の問題、こういったものがどういうふうな位置付けで研修が行われることになるんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 御指摘のように、正に憲法、国の基本であると同時に、法律家として行動する場合にはやはり一番最後のよりどころは憲法でございますので、そういう憲法に定める基本的人権等についてもこの研修で触れていく必要があるだろうと思っております。

 それから、特にいわゆる法曹、訴訟代理人となった場合の倫理、これについては、御指摘のように、従来の登記申請が依頼者双方からの信頼を得て双方のために登記申請を行うというものであったのが、訴訟代理になりますと、一方の側に立ってその利益、適正な利益のために努力をするということでございますので、相当ある意味では大きな意識の転換も必要になろうかと思います。

 そういう点で、この訴訟代理人となった場合の心構えあるいは法曹倫理というようなものについても当然この研修の中で身に付けていただく必要があるという具合に考えております。

井上哲士君

 研修は百時間というふうに言われているわけですが、そういう中で、いわゆるそういう基本的な言わば総論的な問題、それからもう少し少人数でディスカッションなどもしながらやっていくこと、それから模擬裁判等などの実地のものもあるとお聞きをしているんですが、大体の柱と割合というのは現在はどういうような検討になっているんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 御指摘のように、正にそういう法曹倫理であるとか、具体的な証人尋問技術であるとか、事実認定の手法であるとかというようなものを取り上げるということが考えられております。また、その方法としても、セミナーもありましょうし、あるいは実際の法廷傍聴、場合によれば、そういう実務の方々の話を個別に聞くというようなことも含めていろいろな検討がされているところでございます。

 まだ具体的な時間割等まで煮詰まっているわけではございませんが、日司連においても、裁判官、弁護士、法律学者から構成されます司法書士特別研修制度検討会を設けて検討しておりますので、法務省としてもこれに協力して、できるだけ訴訟代理人としてふさわしい能力を身に付けるような研修の内容を固めていきたいと思っております。

井上哲士君

 今回の改正でやはり一番期待されていますのは、弁護士さんなどが余りいない地方で身近な相談相手として司法書士の皆さんが力を発揮されるということかと思うんですが、逆に、こうした地域の方こそそういう非常に研修が受けにくい条件があるかと思います。しかも、お仕事をされているわけでありますから、仕事と生活を維持をしながら研修を受けていく、大変困難があろうかと思うんですが、その辺はどのような工夫が今考えられているんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 御指摘のように、正に各地で実際に仕事をしている司法書士の方々に研修を受けていただかなければならないものですから、そういう地方の司法書士に受講の機会が均等に与えられるということを念頭に置いて、現在、中央発信型やあるいはそれぞれの地域ごとに集合する地域集合型というようなものも含めまして、様々な検討がされていると承知しております。

井上哲士君

 例えば、いわゆる土、日を活用するとか、そういうこともかなり考えられたんでしょうかね。

政府参考人(房村精一君)

 御指摘のとおり、平日にということになるとなかなか負担が重くなりますので休みの日を活用するとか、あるいは地方で集まっていただいて、例えばインターネットを使って講義ができないかとか、様々な今検討がされているようでございます。

 私どもも、できるだけ協力して充実した研修にしていきたいと思っています。

井上哲士君

 今、インターネットというお話もありました。新聞報道でもインターネットを活用した研修ということが出されておるようなんですが、どの程度こういうインターネットの活用をするのか。しっかり受講をされているというような確認も必要かと思うんですが、その辺はどのような検討がされているんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 正に、離れた場所でリアルタイムでやり取りをするという意味ではインターネット、非常に便利な道具でございますし、質問等もインターネットであれば同時にできるということがありますので、インターネットの活用の方法というのを現に検討しているわけでございますが、ただ同時に、おっしゃるように、それを受けている人が本当に本人かということも、そういう方は余りいらっしゃらないとは思いますが、その確認方法も含めて、インターネットを利用した場合の問題点といったことで現在検討しているところでございまして、まだ私も具体的にこうだと御説明できるほど煮詰まっているわけではございませんが、ただ、大学等においても通信講座で今インターネットを使ったりした例も多くありますので、そういったものも参考にして今後急いで中身を詰めていくことになるだろうと思っております。

井上哲士君

 いわゆる衛星通信などで聞くというだけではなくて、双方向でやるということを想定をしていると考えたらいいんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 できればそういう方法でインターネットを活用したいと思っております。

井上哲士君

 そういう研修の上で考査があるわけですが、先ほどもありましたように、現在、仕事をされている司法書士の皆さんは憲法の試験を受けていないということは非常に考慮されるべきだと思うんですが、今考えられているその試験の柱がどういうふうになるのか。それから、論文試験をするのかという質問に筆記試験だという答弁が何度かされておるわけですが、これはいわゆる論文試験というふうに理解をしたらよろしいんですかね。

政府参考人(房村精一君)

 試験の内容としては、その研修で教えられた内容が十分身に付いているかどうかということを見るような試験ということで考えておりますので、研修科目等が固まってくればその試験についても明確にできると思っております。

 試験の方法としては、やはり何といっても書いていただくという意味で筆記と申し上げておりますが、論文かどうかという点につきますと、例えば私どもの関係で言いますと、裁判の一番の基本というのは要件事実ではないかと思いますが、その与えられた事実を要件事実に分解したときにどうなるかというのは必ずしも論文式になじまない面もありますので、論文式とあらかじめ決めておくのではなくて、やはりその試そうとする能力に最もふさわしい内容のもの、しかし多分それは筆記試験でいろいろな形で行うことになるだろうと、こういう趣旨で筆記試験と申し上げております。

井上哲士君

 いわゆる小論文的なものというふうに理解をしたらいいのかなと思いますが、いずれにしても能力や職務倫理というのをしっかり担保をしていくという点でのしっかりとした検討をお願いをしたいと思います。

 次に、懲戒処分の問題でありますが、今回、懲戒申出制度や処分の官報公告などが盛り込まれるわけでありますが、これまでは登記中心ということで法務局や地方法務局の監督ということになっておりましたが、この点については変わらないわけですね。ただ、やはり法廷の場に入っていかれるということになるわけで、最初に申しましたように、裁判というのは憲法事項でありまして、それぞれの弁護士さんにしても裁判官にしても、その処分というのは非常に独立性を持ってやっていくわけですね。同じ法廷に立って向かい合う者が違う機関に処分をされるということになるわけですし、行政機関である法務局などが処分をするというのがちょっと私はいかがかなというふうに思うんですが、この点は改善が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 御指摘のように、現在、司法書士に対する懲戒権は法務局あるいは地方法務局の局長が行っております。これは、業務の中心が登記であるというようなことと、それから司法書士の実情、これを最もよく知り得る立場にあるのが司法書士会と緊密な連携のある法務局であるというようなことを含めまして、その監督権を適切に行使し得るということを考えて法務局長にその懲戒権を与えているわけでございます。

 今回、簡易裁判所の代理権が与えられるわけでありますが、基本的には司法書士の業務形態が大幅に変わるということではありませんし、また司法書士に関するそういった様々な情報を知り得るという面でいきますと、やはり法務局、そこの長が最もふさわしいのではないかと思っております。

 行政機関が訴訟代理人となる人間について懲戒権を持つことについての御疑問も指摘されておりますが、基本的に簡易裁判所において行政訴訟は扱いませんし、また国を当事者とする訴訟というものも余り考えにくいところであります。そういう点で、法務局長が懲戒権を行使しているから司法書士が法廷で何らかの心理的圧迫を覚えるというようなことはないだろうと思っておりますので、現在の、今までの実績からしても、法務局、地方法務局長が公正に懲戒権を行使するということは十分可能だと思っております。

井上哲士君

 今後、訴訟代理権の拡大ということも将来の問題としては議論になろうかと思うんですが、やはりそのときにはこの問題が併せて議論をされるべきだということは申し添えておきたいと思います。

 司法書士の皆さんが弁護士さんと比べて地方に非常に分散をしているということが今回のこの法改正でも大変着目をされたわけですが、統計によりますと、最近はむしろ司法書士の皆さんも都市部では増加をして地方では減少をしておるということを聞いております。

 いただいた資料では、例えば九四年から九八年で、神奈川では六十五人増えたが、福島では三十三人減ったと。しかも、地方の方の方が高齢化をしておって、同じ神奈川でいいますと四十代、五十代が中心だが、福島などは六十代、七十代が圧倒的で、かつ、いわゆる大臣の認定組の方が多いというようなことも伺いました。

 それに加えまして、いわゆる登記所の統廃合というものがあります。今、司法書士の方の皆さんの多くが法務局のそばに事務所を開いていらっしゃって、これが統廃合するのにつれて一緒に行くということで減っていきますが、いなくなる場所が出てくるというようなことがあるわけですね。

 今後、先ほどの年齢構成のこと等を見ますと、むしろ都市集中は司法書士の場合も加速度的に進むんではないかという指摘もあるわけですね。そうしますと、今回の法改正で着目をした本当に身近な司法の窓口としての機能というのが損なわれていくかと思うんです。これは会員の方でも独自のいろんな努力をされているとお聞きをしたんですが、法務省としてこういうことに着目をしてどう支援をしていくのか、この点どうでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 新規登録等を見ますと、確かに大都市に集中し、大都市の司法書士の方の割合が増えているということは事実だろうと思っております。

 ただ、私どもとしますと、やはり司法書士の方々が例えば登記所の近くに事務所を構えるというのは、申請事件について、補正その他、近くにいるとやはり圧倒的に便利だということがあってだろうと思っておりますが、そういう意味で、現在、作業を進めております登記申請のオンライン化、これが完成しますと、必ずしも登記所のそばでなくともオンラインで申請もできますし、また申請の補正等もオンラインで直ちにできるということになりますので、依頼者の近くに事務所を構えて依頼者と密接な連携を取りつつ、多少離れていても登記所とはオンラインでやり取りができるということになるのではないか、そうなれば必ずしも地方にいるから不利だということにはならないのではないかと思っております。

 また、そういう今、様々なところで IT 技術を使ったオンライン化の努力が進んでおりますので、今後、司法書士の方々が利用者である国民の身近にいながら、なおかつ仕事に関しては、そういう IT 技術を活用して、多少離れたところであっても仕事は的確に処理できると、こういう体制を私どもとしてもできるだけ努力をして整備したいと思いますし、多分、社会全体としてそういう方向に動いているのではないかと。

 そういう点で、現状としては都市集中ということもございますが、同時に、それをしなくても大丈夫のような仕組みも徐々に整いつつあるのではないかという具合には考えております。

井上哲士君

 次に、いわゆる弁護士会の照会制度との関係でお聞きをするんですが、簡易裁判所での訴訟代理権を認める以上、司法書士の皆さんもそれにふさわしい機能を持つことが要請をされると思います。弁護士の皆さんが持つ機能との違いの一つにこの弁護士会の照会制度があるわけですが、司法書士にはこれがないと。今後、法廷で、片や代理人は弁護士、片や司法書士というケースも出てくるわけですね。そうしますと、その条件に大変差ができてくるということになります。これは、利用者の側から見ますと大変不都合なことになろうかと思うんです。

 衆議院でも議論がされておるわけですが、当然そういう能力があるから代理権を認めたわけですから、これは私はやっぱり照会権についても認めるべきだと思うんです。その認めることによる何か不都合というものを法務省としてはお考えなんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 照会権のお話でございますが、まず第一に、実際に訴訟が裁判所に係属した後、言わば両当事者が法廷に臨むという段階になりますと、裁判所による調査嘱託という制度がございますので、これは代理人が弁護士の方であっても司法書士の方であっても同じように、訴え提起後はその裁判所の調査嘱託権を活用して必要な情報を入手することは可能となります。したがって、差が付くのは、裁判所へ訴え提起する前に弁護士の方はそういう弁護士会を通じた照会制度があるのに対して、司法書士にはそれがないということだろうと思います。

 私どもとして考えましたのは、まず第一に、簡易裁判所における民事訴訟事件、少額、軽易な訴訟が多いということで、実際に訴え提起前にその照会制度を利用しなければならないような事件というのがそうあるだろうかということがまず第一点でございます。

 それからもう一つは、この弁護士法の照会制度、弁護士法二十三条の二に規定しておりますが、これは照会を受けた者に一定の回答義務を負わせるということになっております。したがって、弁護士法も、この照会は必要な場合に限って認めるべきであるということから、必要性について個々の弁護士の判断にゆだねるのではなくて、弁護士会がその弁護士の申出を受けてその必要性を判断した上で、適当でないというときにはこれを拒絶する、適当と認めた場合に弁護士会から照会をするという仕組みにしております。

 この照会が本当に必要かどうかということについては、やはり当然、訴訟実務が分かっておりませんとこの照会が必要かどうかという判断は的確に行えないわけでございます。

 それで、個々の司法書士の方については、もちろん研修を受けていただいて認定をしてやっていただくわけでありますから、訴訟代理人としてのそれなりの能力は身に付けていただいているわけでございますが、まだ現状では、司法書士会全体として見ますと圧倒的に訴訟実務に精通している方は少ないわけでございますので、弁護士会と同じような仕組みにしたときに、司法書士会として現段階でその照会の必要性について的確に判断できるかという点に疑問があるのではないか。

 そのような必要性と判断の的確性と、そういう点を考えまして、今回、私どもとしては、この制度については見送って、なお司法書士の方が訴訟代理人として活動していく中で、本当にやはりこういう照会制度がないと不都合であるというような事情があれば、それは私ども、それを踏まえて検討したいという具合に考えております。

井上哲士君

 司法書士会にそれだけの力がまだないんじゃないかというお話ですが、しかしその司法書士の皆さんに今回の代理権を与えたことによる研修を行うのは、それぞれの司法書士会なわけですよね。

 ですから、これ考えますと、やっぱりある程度のそういうものがあるということで今回、付与するわけですから、これは私、可能だと思うんですが、その点いかがでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 私どもとしても、できるだけ早くそういう訴訟実務に精通した司法書士の方々が増えていただきたいと思っております。また、そういう方々が研修での講師も務めるようになっていただきたいと思っておりますが、現段階で研修を例えばするときに、やはり訴訟実務について直接教えることのできる方というのは限られているのではないか。だからこそ、この研修については、訴訟実務に精通した人の多い弁護士会であるとか裁判所であるとか、あるいは法務省というようなところも協力を願って、充実した研修にしたいと考えているわけでございます。

井上哲士君

 次に、民事扶助の問題についてお聞きをいたします。

 どの地域に住んでいても気軽に司法を利用できるという今回の改正の一つの精神とともに、お金に左右されることなく裁判を受けれるという点でいいますと、国民の裁判を受ける権利を守るという点で共通の問題があろうかと思います。

 この間、民事扶助制度、非常に利用が急増をしていて、財政難から一部、利用制限をせざるを得ないというふうなことが報道もされておりました。この間、予算、補助金自身は増えまして、今年度で三十億ということでありますが、欧米の一千億以上と比べますとはるかにけたが違うという状況が今もあります。

 民事法律扶助法ができまして、いわゆる書類作成援助という新しいサービスも実施をされましたので、随分、司法書士会の皆さんも、独自にこの普及のための取組もされておりますし、寄附の予算化もするなどの努力もされているとお聞きをしています。

 ただ、今回、こういう簡裁での代理権を得るということになり、より司法が身近になっていくということでいいますと、一層この申請が伸びるんではないかと私は思うんですが、その辺の見通しと、そしてこういう財政難で、せっかく申請をしている人を制限をせざるを得ないということがあってはならないと思うんですが、この点での補助金の拡大など、法務省としてのお考えをお願いをします。

政府参考人(吉戒修一君)

 改正後には、司法書士の簡易裁判所の代理ということが可能になります。これにつきましても、当然、民事の法律扶助の対象になります。

 その利用件数でございますが、これを今の段階で具体的に想定するのは非常に難しゅうございますけれども、ただ、今、委員御指摘のとおり、法律扶助法が平成十二年の十月から施行されておりまして、書類作成援助というものが認められておりますけれども、これらのほとんどが司法書士さんが利用されております。これは相当伸びております。したがいまして、簡裁の訴訟代理に関しましても、相当数の件数が出てくるのではないかなというふうに考えております。

 それから、一般的に申し上げまして、民事法律扶助事業全体の予算規模といいましょうか、今後の推移でございますけれども、これは御案内のとおり、最近の経済不況の中で非常に自己破産事件が増えております。その中で、自己破産状態に陥った方々の最後のセーフティーネットとして非常に法律扶助事業が重要な役割を果たしております。

 したがいまして、非常に厳しい行財政事情の中ではございますけれども、今後ともこの事業の適正な在り方を見据えて、その充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

井上哲士君

 土地家屋調査士の法のこともあったんですが、時間ですので火曜日に回しまして、質問終わります。


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