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2002 年 6 月 4 日

法務委員会
閣僚の非核三原則見直し発言に抗議

  • 閣僚の非核三原則見直し発言に抗議し、検察庁調査活動費の徹底究明を要求。テロ資金規制法質疑で、運用する上での構成要件の厳密化をもとめる。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 法案の審議に入る前に、何点か御質問をいたします。

 今も非核三原則の見直しの発言のことがありました。私は、広島に育って原爆の悲惨さを胸に刻んで育ってまいりましたので、とりわけあの発言には怒りを覚えました。日本共産党としても、これはあれこれの政策でない国是なんだということでその堅持を求めてきたことでありますが、改めてこの点を強く求めておきたいと思います。

 その上で二点ほどまず質問しますが、大阪高検の元幹部の問題での処分について今もありました。国民の信頼を著しく傷付けたその重大性からいいますと当然の処分だと思うんですが、一人の当事者の検察官の起訴と検察首脳の処分だけで幕引きにすべきじゃない、人事制度も含めた再発防止への抜本対策や国民への説明責任を果たすべきだということが一斉にマスコミの社説でも書かれました。

 同時に、調査活動費の私的流用についても、これはうやむやにするべきでないと、監察担当検事を配置をして今後の予算執行を監視させるということでありますが、過去の使い方がどうだったのかと、この間ただしてまいりましたけれども、この点での不信はただされていないわけであります。

 今朝のある全国紙の社説でもこう書いております。

 検察当局は適正に執行されていると強調するけれども、「しかし流用を内部告発する者が後を絶たない。公認会計士や弁護士などを加えた特別チームを作り、徹底調査と結果公表に踏み切るべきだ。過去にふたをするより、検証し公表することが、長い目ではプラスになるはずだ。」と、こういう指摘もしているわけであります。

 今後の問題だけではなくて、改めて過去の問題についても調査をするべきではないか、この間指摘をしてきましたが、改めてこの点、大臣の御所見をお願いします。

国務大臣(森山眞弓君)

 検察庁の調査活動費につきましては、昨年、刑事告発がなされましたが、捜査当局において所要の捜査を遂げました上で、不正流用の事実が認められなかったことから不起訴処分といたしまして、検察審査会においてもその結論が是認されているところでございます。

 検察庁の調査活動費は適正に執行されていると承知しておりますが、法務省として改めて調査を行うということはしたがって考えてはおりませんけれども、仮に今後、新たに具体的な私的流用の事実が指摘された場合には必要に応じて調査をするということになると思います。

 検察庁の調査活動費というのは、経費の性質上、その具体的な使途を明らかにできないことは御理解いただきたいと思いますが、これまでもその執行の適正を確保することに意を用いてきたところでございまして、更に国民の疑念を招かないように工夫するべく、最高検におきましても監察担当検事を新たに配置し、調査活動費を含む予算執行に関する監察体制を強化するということにしたという報告を受けているところでございます。

井上哲士君

 新たな問題が出れば調査をするという御答弁でありました。今後、こういう問題が出たときにそういう対応を必ず取っていただきたいということを求めておきます。

 それから、今も質問ございましたけれども、防衛庁が情報公開法に基づく情報開示請求した人たちの身元を調べてリストにしていたという問題であります。

 当初、個人的問題と言われておりましたのが組織ぐるみ、業務としてやっていたというようなことが昨日の会見でも明らかになったところで、今、個人情報保護法案や人権擁護法案、更には有事法制との関係でも、政府が自分たちに都合の悪い情報は抑えて、そうでない欲しいものは違法な形でも手にする、こういうことに対する国民の今やはり厳しい不信があるかと思います。先ほど、法務省でも調査をしているところということでありましたけれども、この点、当初は防衛庁も個人でというのが、発覚したわけですから、徹底した調査をしてしっかり公表をしていただきたいということを改めて求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(森山眞弓君)

 先ほども御説明いたしましたように、法務省の情報公開担当部局におきまして、情報公開法に基づく開示請求の事案について、その処理の状況等を迅速かつ適切に把握することを目的といたしまして、行政文書開示請求事案管理簿というのを作っております。

 この管理簿の記載事項には、受付番号や開示請求に係る行政文書名のほかに、請求者の個人情報としては請求者の氏名と住所地の都道府県がございますが、それだけでございまして、あくまで事案の特定、管理のために必要最小限度で記載することにとどめておりまして、開示請求書に記載のない開示請求者の個人情報をリスト化したなどというものはございませんし、そのような個人情報を独自に収集するということもいたしておりません。

 なお、行政機関が所掌事務の遂行上必要のない個人情報を収集するということは極めてゆゆしき問題であるというふうに考えておりまして、今回の防衛庁のリスト問題に関する報道を受けまして、法務本省、公安調査庁、最高検察庁等について調査いたしました結果、先ほど申し上げたように、開示請求者の個人情報を独自に収集したリストはないということが判明いたしております。

 そのほか、既に、このような本省庁以外の機関につきましても引き続き同様の調査を行うところでございまして、先ほど申し上げましたように、今月一杯ぐらいには調査を完了したい、調査いたしました結果は公表したいというふうに思っております。

井上哲士君

 本来あってはならないことが起きているわけでありますから、ないはずだということではなくて、しっかりとした調査をし、公表をしていただきたいと思います。

 その上で、法案の問題でありますが、日本共産党は、このテロにつきましてはいかなる宗教的、政治的見解によっても許されるべきでないし、許し難い犯罪行為として、その根絶が二十一世紀の地球で安全に生きていくために不可欠の課題だと主張してまいりました。国連を中心にこのテロの資金源を絶ち、根絶をするという条約やこの法の基本的な方向についてはそういう点で賛成であります。

 しかし、少なくない市民団体の皆さんなどが懸念を表明されておりますように、あいまいな構成要件の下で捜査の濫用などがあって人権や結社の自由が侵されるようなことはあってはならないという立場で何点か質問をいたします。

 最初に、条約の問題ですが、批准国について衆議院の答弁では三十一ということでありましたが、締結国ですね、今朝ほどの答弁で三十四ということでありましたが、これはどこが増えたということなんでしょうか。

政府参考人(小野正昭君)

 お答えいたします。

 三か国増えたのは、ルワンダ、エストニア、カーボベルデでございます。

井上哲士君

 包括的テロ防止条約の審議でこのテロの定義をめぐって大変紛糾をしたわけでありますが、民族自決の闘争というのは定義から外すべきだという意見、それから正規軍によるいわゆる国家テロも入れるべきだ、こういう点での様々な意見の対立があったと承知をしております。

 その国家機関が関与をしたいわゆるテロ行為についてまずお聞きをするんですが、一九八八年のパンナム機の爆破事件、いわゆるロッカビー事件ですが、これはリビアの諜報機関の幹部がやったということで、昨年、終身刑の判決が言い渡されているわけですが、こういう行為については、これは国家機関の関与は明白なわけでありますが、これは本条約の対象となるということでよろしいんでしょうか。

政府参考人(林景一君)

 お答えいたします。

 今お尋ねの件は恐らくこのテロ資金の供与ということの前提犯罪についての部分のお尋ねだろうと思いますけれども、一般にテロの関係条約につきまして個別具体的状況を離れて一概に申し上げることはなかなか難しいところがございますけれども、このテロの行為と申しますのが既存のテロ防止関連条約上の犯罪行為にもし当たるということであれば、これが国家機関とおっしゃるのが何らかの国家意思というものが後ろに働いてということだろうと思いますけれども、抽象的な国家機関が何かするということではなくて、結局はその具体的な人、担当者というものが実行をするんだろうということでございますけれども、その行為自体が関連の条約上の犯罪類型に当たる行為ということである場合には個人として条約上、処罰の対象となるということであろうと、それが本来の考え方であろうと思われます。

井上哲士君

 パレスチナなどで一般市民を無差別に殺傷しているようなイスラエルの行為もこれは国家テロじゃないかというのがパレスチナの皆さんから出ているわけですが、軍や国家機関がかかわったそういう行為の中で、この条約の前提になる行為に該当する、ないしはしない、そこの線引きというのは結局どういうことになるんでしょうか。

政府参考人(林景一君)

 済みません。幾つか論点があるかと思いますが、今おっしゃいました具体的なパレスチナ情勢に照らしてイスラエルの行為というものがどうかということにつきまして、これをテロと呼ぶのかどうかということについてはいろんな、国際社会におきましていろんな考え方があるようでございまして、これを私どもの立場で国家テロということについては明確に申し上げることはできない。

 他方、このことと、イスラエルが行っている武力侵攻などが止められるべきだというようなことは別の問題であるので、日本として、イスラエルの行為は不適当で紛争の解決に適さないと考えておって、即時撤退と停戦を求めているということを従来申し上げております。

 したがって、いわゆるテロ条約との関係において具体的にテロに当たるのかどうかということについては、ちょっとこれは個別の事案に即して見なければならないというところがあろうと思います。

 他方におきまして、別の論点といたしまして、軍隊の行為というものをどうとらえるのかというのは別の論点としてございまして、国家の正規軍による行為というものをどういうふうにとらえるかというのが一つの論点としてございます。

 これは、今お話しになったのは恐らく包括テロ条約の交渉における論点を御紹介なさったんだろうと思いますけれども、正に従来、テロの関連条約というのはテロリストたる個人ないしその集団というものを念頭に置いておりまして、国家の正規の軍隊については、通常、軍隊の本質というのは殺傷行為というものを行うということが本質なわけでございますけれども、そのための訓練でありますとか、あるいはその他の実力の行使というものがあるわけでございますけれども、それはそのテロの関連の条約ということではなくて、むしろ一般国際法に従って処理する。それから、もちろんいわゆる武力紛争という事態における国家の軍隊の行為というものは、これはいわゆる戦争法といいますか、国際人道法に従って評価されるというのが基本的な考え方でございます。

 そういう意味におきまして、正規軍の行動そのものが、これは一般論で申し上げるわけでございますけれども、テロ関連条約の対象になるのかどうかという切り口で申し上げれば、基本的にはそういうものについては条約の適用というものは想定されておらないということでございます。

井上哲士君

 そうしますと、いわゆる正規軍についてはそうですが、そうでない、先ほどのリビアの諜報機関など一定の国家機関によるものについてはケースによって当てはまることがあり得ると、こういうことでよろしいんですか。

政府参考人(林景一君)

 ただいま申し上げましたとおり、正におっしゃるとおりで、国家の軍隊というものについてはその本質上、特別のレジームといいますか処理の仕方がなされておるわけでございますけれども、国家の何らかの意思が働いておるということによって特定の個人の行為というものが正当化されて、そのテロの関連条約によって処理できないといった話ではございません。

井上哲士君

 その上で、定義の問題なんですが、テロリズムの定義として、衆議院の議論で大臣が、一般的に「特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされている」、こういう答弁でありました。

 この特定の主義主張に基づかない、先ほどもありましたが、いわゆる愉快犯などについてもこの法律では公衆等脅迫目的の犯罪行為に当てはまるということでいいんでしょうか。

国務大臣(森山眞弓君)

 衆議院の法務委員会におきまして、日本政府としては、質問主意書に対する答弁書の中でおっしゃるようなことを申しましたが、これは、本法における公衆等脅迫目的の犯罪行為の要件について答弁したものではなくて、公衆等脅迫目的の犯罪行為に該当するためには特定の主義主張に基づくことは必要ではないということでございます。

 これは、テロ資金供与防止条約においては、過去のテロ防止関連条約上の犯罪、又は住民を威嚇等する目的の殺傷行為に対する資金提供行為等を犯罪化することが求められているのでございまして、その資金提供・収集の対象となる行為が特定の主義主張に基づくことは要件とされていないわけでございますので、同条約の担保法である本法におきましても、特定の主義主張に基づくということは要件としなかったものでございます。

井上哲士君

 安保理決議の千三百七十三号が国内行為の犯罪化を求めたものも、テロ行為を実施するための資金提供についての罰則化なわけですね。

 そうしますと、特定の主義主張に基づかない、テロリズムの一般定義から外れる国内行為も対象とするとなると、この安保理決議の範囲を超えるんではないかと思うんですが、その点はどうでしょう。

政府参考人(古田佑紀君)

 テロリズムにつきましては、これは委員御案内のとおり、国際的にはいまだ定義は確立していない状態でございます。

 そこで、ただいま御指摘の千三百七十三号の安保理決議、ここで、確かにテロリストあるいはテロリズムアクティビティーというふうな言葉が使われてはおりますけれども、これは、基本的にはどういうものをそれに含ませるかということにつきましては、既存のテロ関係条約あるいは現在御審議を願っている法律案の前提となりますテロ資金の防止条約、こういうふうなものを十分念頭に置きながら、そこで取り上げられて犯罪化が求められているような行為、こういうふうなものをやはり国際的には前提として、それに対する資金の供与を、あるいは資金の収集を処罰することを求められているものと理解しているわけでございます。

 おっしゃるとおり、テロというのも様々な定義あるいは形態というのがあり得るわけで、特定の主義主張に基づくというのは確かにそれの一般的な場合であろうと思いますが、その一方で、例えば社会に対する不満からあちらこちらに爆弾を仕掛け回る、それで世の中を不安に陥れようと、こういうふうな行為もやはりこれは同様に防圧する必要があることは当然でございまして、そういう意味からも、既存のテロ防止関係の条約で犯罪化されているものにつきましてそれを取り込むという観点で、特定の主義主張に基づくというふうな要件はこれは設けないこととしたものでございます。

井上哲士君

 もちろん、愉快犯的な犯罪も許されるべきではないわけでありますが、テロ資金の規制というくくりの中で特定の主義主張に基づかないものなども広く対象とされていくとなりますと、やはりいろんな意味で濫用のおそれがあるんじゃないかという懸念を出されております。この点、運用でしっかりとしたものを求めておきたいと思うんです。

 市民団体の皆さんなどの懸念の中には、いろんな外国での独裁政治への抵抗運動とか民族独立の運動への支援、資金カンパが処罰の対象になるんじゃないかと。午前中の答弁で、「情を知って、」かつ「犯罪行為の実行を容易にする」という絞り込みがあるんだということでありましたが、この「情を知って、」の意味についてお聞きするんですが、その具体的なテロ計画を知っているということを言うのか、具体的計画までは知らないけれども、例えばその団体がテロも辞さずというようなスローガンを掲げている場合はどうなのか、ないしは、かつてそういう団体がテロ行為をやったことは知っている、今はそうは言っていないが、もしかしたらやるかもしれないという程度の懸念を持って資金を提供した場合、いろんな段階があるかと思うんですが、その線引きはどこになるんでしょうか。

政府参考人(古田佑紀君)

 「情を知って、」という言葉は、これはほかの罰則でも用いられているわけでございますが、要するに、どういう犯罪行為を実行しようとしているかというその具体的なコアとなる部分、これを知っているということが必要であろうと考えるわけです。

 もちろん、計画の非常に詳細までわたって知っているということまでは必要はないと思いますが、単に漫然とその犯罪行為を実行したいと考えているというような気持ちでいるということを知っているとかその程度では足りないわけで、実際にその犯罪行為を実行しようという意思、決意といいますか、そういうことを知っている、認識しているということが必要であると考えております。

 したがいまして、例えば過去何かそういうテロ行為をやったことがある団体であるという認識はあるにいたしましても、その程度では、具体的に例えばどういうことをしようとしているのか、そういうふうなことが分かっているという特別な事情がない限り、過去にそういうことをしたということがあるということを知っているだけでは、ここで言う「情を知って、」ということには当たらないと考えております。

井上哲士君

 その上で、犯罪行為の実行を容易にするということで絞り込まれるわけですが、実行するとせずに実行を容易にするとなっているわけで、その範囲がどう違うかなんですね。

 答弁では何か言葉の言い換えに終わることが多いんですが、具体的に、例えばあの九・一一の事件でいいますと、長期間の潜伏期間もあったでしょうし、操縦を習う費用などもあったかと思うんですが、この容易にするというのはどういう範囲までを指しているんでしょうか。

政府参考人(古田佑紀君)

 この資金を、これを非常に狭く考えますと、犯罪行為そのもののために必要な資金というようなことになるわけでございますけれども、条約が求めておりますことはそういう非常に狭い範囲のことではなくて、犯罪の実行に必要な様々な準備というのもございますでしょうし、そういうふうな資金につきましては、これは犯罪の実行の資金と直ちに言えない場合も含まれる、そういうような問題もありますことから、特に組織的な計画的なテロ行為などの場合には、その準備あるいは円滑に行うための様々な措置が必要で、そういうふうなものに対する資金等も十分取り込めるということにしておくことが必要ということから、ここで「容易にする」という表現を用いたものでございます。

井上哲士君

 あの九・一一の事件などでいいますと、例えば、さっき聞いたのではどの辺までの範囲ということになるわけでしょうか。

政府参考人(古田佑紀君)

 九・一一の事件の当初の計画から実行に至るまで、詳細、必ずしも把握はしておりませんので、事細かに申し上げるということは甚だ難しいと思いますけれども、例えば突入するために飛行訓練を受けるというようなことが行われたとした場合、その飛行訓練を受けるために必要な資金とか、そういうものは当然含まれるということになると考えます。

井上哲士君

 あと、資金提供と収集の問題についてお聞きするんですが、先ほどは不動産のことが質問がありましたが、これは無償で提供した場合も、不動産を不動産として使っている場合は当たらないということでよろしいわけですね。

政府参考人(古田佑紀君)

 御指摘のとおりです。

井上哲士君

 そうしますと、無償提供された側が、それを例えば賃貸をして資金を得たと、これはどうなりますか。

政府参考人(古田佑紀君)

 これはいろんなケースがあり得ると思いますが、提供する場合に、それを賃貸させて、その賃貸収入をテロの資金に充てさせようと、そういうことで最初から考えている場合というのは、これはやはり資金を提供したことになると思います。

 一方、提供する側は、それは不動産を不動産として使うということで提供はしたんですが、受け取った側で、それを賃貸することによって賃料収入を得て、それをテロ資金に充てようと、こういうふうに考えた場合には、これは実行する側の資金収集罪の問題になって、提供の問題にはならないと考えております。

井上哲士君

 収集の問題で、午前中の答弁で、銀行からお金を借りることも当たるんだというのがありました。

 衆議院の答弁を見ておりますと、経済取引についてはいろんな場面があると。単に自分の財産を換価するというだけの意味の経済取引、これは特にそのことによって新しく何かプラスアルファの利益を生じさせているとか、そういうことではないので、それ自体が資金の収集ということには該当するのは困難であろうと、こういう答弁なんですね。

 そうしますと、例えば担保をしっかり持っていて資金を借りるということは、新たな利益を生じさせているわけではないので、どうもこの答弁と食い違うと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。

政府参考人(古田佑紀君)

 ただいま御指摘のありました点につきましては、要するに換価すると、それだけでは言わば財産の状態が変わるというだけですから、それが新たに資金の収集ということに当たるとするのは、これは困難だと思われると。ただし、銀行からお金を借りるということは、それはそれで一つの独立した経済行為でございまして、その際に担保が必要だということで、たまたま不動産を担保に入れるという事態が起こるものであろうと思いますが、その場合には、銀行から貸付けを受けるという行為が、これが資金の収集に当たるということを申し上げているものでございます。

井上哲士君

 時間ですので終わりますが、再度、あいまいな構成要件の下で、政府や捜査当局の恣意的な運用で国民の人権や結社の自由が侵されることがあってはならないということを改めて強く述べまして、質問を終わります。


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