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井上哲士ONLINE
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2003 年 5 月 15 日 午前

法務委員会
刑務所問題 質疑

  • 過去10年間の受刑者死亡帳について、医療過誤などでも調査をすることを法務省に約束させる。
  • 中間報告で真相解明が行われていないことを指摘し、最終報告での真相解明を求める。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 先日の委員会でも参考人質疑をこの問題で行いまして、行刑改革をどう行っていくかという御意見を伺いました。ただ、この本当の改革をする前提としてはやはり事実の徹底した解明が必要でありますし、その上で刑事的な、行政的な責任をきちんと取らせるということが不可欠であります。

 とりわけ、名古屋刑務所の十二月事件、そして五月事件の真相解明は絶対不可欠な問題でありますが、その点、先月二十二日の委員会でも私、質問いたしましたが、三月三十一日に出されました行刑運営に関する調査検討委員会の中間報告が、真相解明という点でいいますと大変不十分であり問題が多いということを指摘をいたしました。

 特に、五月の革手錠死亡事件について、この革手錠をきつく締め直したという事件の核心的な事実が視察表や動静視察表などに記載がないということについても全く触れられていないということを指摘をいたしました。

 この視察表というのは、動静視察表というのは、こういう革手錠を使用したり保護房収容しているときの被収容者の動静を直接保護房に行った職員が少なくとも十五分に一回記録をしていると。それから、処遇表の場合は、テレビのモニター等で勤務する職員がやはり革手錠を使用中又は保護房収容中の被収容者の動静を、テレビで映し出された状況を見て、これも少なくとも十五分に一回記録をすると、こういうことだと局長の答弁も行われております。

 この五月事件の革手錠を締め直したという問題は、公判の冒頭陳述でも大変生々しく書かれております。被告人前田は、同日午前十一時四十五分ころ、被害者甲に革手錠を使用してからしばらく経過したことから、同人の様子を見に行くこととし、同人に反省の態度が見られなければ、同人に使用していた革手錠を更に強く締め直して、同人に苦痛を与え懲らしめようと考え行ったと。すると、被害者甲は、うつ伏せに横たわっていたが、うおお、こらなどと言ってなおも反抗的態度を示したことから、被告人前田は、更に懲らしめのため革手錠を強く締め付けることとしたと。そして、被告人前田の、まだまだ、もうちょいなどという指示に従い、二人掛かりでベルトを強く引き、被告人らは尾錠に最も近いベルトの穴、周囲約五十九・八センチメートルにつめを入れて革手錠を固定をしたと。大変生々しく当時の経過が書かれております。

 元々八十センチぐらいのウエストを六十センチまできつく締めたということが言わば致命傷にもなったということが言われているわけですが、このことが十五分に一回書かれるはずの処遇表にも動静視察表にも書かれていないと。この問題を前回、私は指摘をいたしました。

 当時、局長は、そういう事実が記載をされていないのは確かだが、それがなぜかは判明をしていないという答弁でありましたが、その後、調査をして、その理由は判明をしているんでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 委員御指摘の点も含めまして、この一連の名古屋刑務所事件につきまして、現在引き続き、当局及び名古屋矯正管区において調査を行っているところでございます。

井上哲士君

 この処遇表、動静視察表を書くべきであった当時の職員というのは特定をできているんでしょうか。特定をした上で更に調査で理由が判明をしないと、こういうことでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 お答えいたします。

 この今申し上げた調査につきましては、処分対象者を特定するという等の観点からも引き続き調査を行っているわけでございますが、御案内のように、これらの事件につきましては関係職員が多数ございますし、それから公判請求された被告人が否認をしているというような状況もございまして、その調査になお相当の期間を要しているというのが実情でございます。

井上哲士君

 処遇表も動静視察表も手書きで書いてあります。我々も資料をいただきました。筆跡を見れば一体だれだったのか、当時の出勤状況を見れば一体だれだかというのはすぐ特定できるはずなんですね。こういう人たちは、特に今の公判の対象になっていない人でもあるわけですから、行政の問題として、これ、しっかり調査をすることができるはずなんです。

 で、特定ができているんですか、できていないんですか。もう一回答弁をお願いします。

政府参考人(横田尤孝君)

 引き続き調査をするということで御理解賜りたいと存じます。

井上哲士君

 理解できません。これは、この問題だけでないんですね。

 これ、衆議院でも追及がありましたけれども、例えば十二月のホース事件でありますが、これも当時の所長は知らなかったということになっているわけですけれども、やはり当時の実態を見ますと、二時二十分ごろにホースで水を浴びせられて、午後三時二十八分に保護房収容が解除をされているということですから、少なくとも四回ぐらいは、この間に、巡視の記録、視察表というのが入らなくちゃならないと。これがきちっとやられていたら所長は知らないはずはないんですね。

 しかも、この十二月事件で受刑者にホースで水を掛けたということは、今の裁判でも、少なくとも掛けたこと自身については被告人も認めている事実でありますけれども、このことを当時の所長が知らなかったということにこの中間報告は何も踏み込んでいないということでありますから、大変極めて問題が多いということをこの中間報告については言わざるを得ません。

 これ、大臣、ちょっとお聞きしますけれども、これ、いずれの事件も既にもう捜査が行われて公判中であります。検察の捜査の邪魔になるというようなことを過去言ってきたわけでありますけれども、そういう言い訳はもうできない問題だと思うんですね。矯正行政としてしっかり事実を解明をして、そこにあった、例えば集団的に隠ぺいをしたんじゃないかと、こういう体質などをしっかり解明をし、改善をするということが問われている問題だと思います。

 この五月事件、そして十二月事件、当時見ていたはずの刑務官、報告を受けたはずの幹部職員、そして問題を見ていたはずの医師なども含めて、しっかり大臣の責任で真相解明をして、これは中間報告でありますから、最終報告等も当委員会等にも出していただくということが必要でありますけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(森山眞弓君)

 おっしゃるように、事件の解明につきましては事実の確認が何よりも大事だと思いますので、できる限り今調査を継続し、事実の把握に努めているところだと思います。そのような方向で、報告するべきものが出てまいりましたときは早速、委員会にも御報告申し上げて、御理解いただくようにしたいというふうに思います。

井上哲士君

 正に、真相の解明が前提であります。

 繰り返し言いますけれども、その点で必ず再度の報告を、正に大臣の責任で改めて求めておきます。

 で、その上で、今度、中間報告が出されました死亡帳調査班による調査結果についてお聞きをいたします。

 当委員会での求めにも応じまして、十年間のすべての死亡帳が出されました。この中身の調査というのは、改革の前提である全容解明にとっても非常に、基本的に非常に重要な課題だと思っております。その点で幾つか具体的にお聞きをいたしますが、まずこの中間報告の調査の概要の中で、関係書類の調査により行ったとありますが、この関係書類というのは具体的には何でしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 お答え申し上げます。

 調査資料としては、死亡帳、被収容者身分帳簿、いわゆる身分帳と呼ばれているものですが、診療録、死亡診断書、死体検案書、被収容者死亡報告、保護房収容書留簿、戒具使用書留簿等の行刑関係資料のほか、検視結果、死体解剖所見等を検察当局からも確認いたしておりまして、これらを調査資料といたしたものでございます。

井上哲士君

 書面のみでは判断が困難な事案については必要に応じて関係者間のヒアリングを行ったと、こういう記述もございますが、書面のみの調査、それから関係者から聞き取りを行った調査、それぞれ件数はどのようになっているでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 今まだ調査継続しているものもございます。それから、調査が一応済んだという形にはなっておりますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、今後、委員の方々の御指摘等により、更に調査を進めることも考えております。

 そういうこともありまして、具体的な案件、この案件についてどういう調査をしたかという詳細についてお答えすることは差し控えたいというふうに考えておりますが、これまでの調査におきまして、医師につきましては、外部医師四名の方々にいろいろと御所見を聞いたりしておりますし、それから刑務官等の関係人の調査につきましては、はっきりした人数はちょっと申し上げられませんが、少なくとも十名以上については聞き取り調査を実施しております。

井上哲士君

 約千五百六十六件のうち、聞き取り調査をしたのが大半だったのか、それとも書面のみのものが大半だったのか、その辺の内訳はどうなんでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 今のような御質問からすれば、書面審理で病名等、あるいはその附属する関係書類で判断したものが大半であると、こういうふうに承知しております。

井上哲士君

 医学的知見が必要と判断された事案については法医学専門医から教授を受けることとしたと、こうありますけれども、こういう医学的知見が必要と判断をされた事案というのは何件ぐらいだったんでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 今の御指摘、医師からアドバイスを受けたもの等ございます。外傷の有無、内容や、診断病名、診療経過等からでは死因の特定や死因と被収容者の身体の外傷との因果関係を判断することが困難であるというふうに考えられた事案についてお医者さんから医学的知見の教授を受けております。

 件数について具体的に申し上げますと、合計二十六件でございます。

井上哲士君

 継続調査となっている十五件はすべてそれに含まれると考えてよろしいでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 今の二十六件の内訳を更に申し上げますと、十三件につきましてはお医者さんの医学的知見を参考にしまして継続の要なしといたしたものでございます。さらに、残り十三件はその御意見も参考にして更に調査継続する必要があると、こういうふうに判断したものでございます。

井上哲士君

 その医学的知見に基づいて調査の継続必要なしという判断をしたものはどれでしょうか、具体例を挙げていただけますか。

政府参考人(大林宏君)

 これはちょっと手元に資料ございませんけれども、なお、先ほども言いましたように、さらに、必要なしというものが調査することに移行することもございますし、その関係もございまして、現段階においてその詳細を明らかにするということはちょっと差し控えさせていただきたいと、こういうふうに考えております。

井上哲士君

 調査の中で、外傷の有無ということも判断をされておりますが、その外傷の有無の判断資料というのは何だったんでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 資料は、死亡帳それから被収容者身分帳簿、診療録、死体検案書、死亡診断書、被収容者死亡報告、保護房収容書留簿、戒具使用書留簿等の行刑関係資料の記載のほか、検察当局から確認した検視結果、死体解剖所見等を精査し、外傷の有無、内容等を判断したものでございます。

井上哲士君

 ただ、例えば名古屋の五月事件の革手錠死亡の問題ですが、これは死亡診断書を見ますと外傷の記述はないわけですね。死亡帳にも外傷ということは書いてありません。この名古屋の五月事件につきましては司法解剖まで行われたわけですけれども、死亡帳を見ますと検察官通報もされていない。死亡帳や死亡診断書に外傷の記述がないものというのは随分あるわけですね。

 ですから、これ、②に分類をされた、外傷がないから犯罪死の疑いがないと判断をされるというのは、言わば書面だけでは分からないこともあろうかと思うんですが、その点どうでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 具体的な案件につきまして、どれを根拠にしたということはちょっと私、今の手元の資料では分かりませんが、先ほどの資料等、それの中に添付されているあるいは写真等のあるものもございまして、いろいろな形で外傷の有無を判断したんだと、こういうふうに考えております。

井上哲士君

 それじゃ、個別事案について幾つかお聞きをいたします。

 松江の三百九という事案ですが、これは死亡帳には「熱射病の疑い」とのみ書いてあるものですが、これは過去にも取り上げましたけれども、国賠訴訟で国側が敗訴をし、それが確定をした事件でありますが、継続調査に入っておりません。これはなぜでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 お尋ねの整理番号三百九の事案は、松江刑務所浜田拘置支所における四十四歳の男性被収容者の死亡事案でございます。

 被収容者は、保護房収容中に意識消失状態に陥っているのを発見され、死亡するに至ったものであります。司法解剖の結果では、死因はアルコール後期離脱症候群による振戦譫妄状態に基づく自律神経症状による発汗作用促進等による脱水症状による高カリウム状態を原因とする急性循環器不全とされております。被収容者にアルコール依存症の既往症、既往歴がある、死因と整合性が認められる、それから致命傷となる外傷がなかったことなどから、被収容者の死亡は刑務官等の違法な暴行によるとの疑いがないものと判断したものと承知しております。

 ただ、本件につきましては、委員御指摘のとおり、国家賠償請求が提起されて、適切な医療を施さなかった点において過失が認められると、こういうふうな形で判決が出されております。私どもの死亡帳調査班によるこれまでの調査では、本件において医療行為や医療的対応の観点から刑法上の問題を生ずるようなものではなかったんではないかと、こういうふうな判断をしたものでございます。

 しかしながら、このような判決もございますので、矯正医療問題対策プロジェクトチーム等において今後の医療体制の在り方の検討をするための重要な資料だと、こういうふうに考えております。

井上哲士君

 刑法上の問題はなかったということでありますが、今ありましたように、矯正行政として、医療問題として適切な処遇だったかという問題は問い掛けている事案でありますから、引き続きこれはしっかりと見ていただきたいと思います。

 もう一件具体例で、月形の五百四十四番という、これも保護房事案でありますが、「急性心不全」という記述のものです。

 これは②という分類、病名自体からは外因によることがあり得るが、死体に特段の外傷がないことから犯罪死の疑いがないと判断されたという分類に入っておりますが、その判断の根拠はどうだったんでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 お尋ねの事案は、月形刑務所における四十四歳の男性の被収容者の死亡事案でございます。

 被収容者につきましては、司法検視が実施されておりまして、外因死を疑わせる外傷等の所見は認められなかったということになっていることに加えまして、被収容者には心肥大の既往症があり、急性心不全との死因と一定の整合性が認められることなどから、被収容者の死亡が刑務官等の違法な暴行によるとの疑いはないと、こういうふうに判断したものでございます。

井上哲士君

 法医学の専門家の意見を聞いたのが二十六件ということがありましたので、残りは、千五百四十件は特に聞いていないということになるわけですね。

 この残りの部分で医療過誤などが含まれている可能性というものはないんでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 医療過誤という概念、程度の差が非常にあるものだと考えます。

 今申し上げたとおり、私どもの方は刑法上の観点から主として調べております。ですから、今回、暴行があったとは認められないと分類した中に医療上の問題が絶対なかったかと、こういうふうな御質問であれば、それはそのようにまでは断定できないというのが現状でございます。

井上哲士君

 この間の当委員会での議論でもありましたように、医療の問題、十分かどうかということだけにとどまらない、過誤に近いものも指摘をされてきたわけであります。

 今の答弁にもありましたように、このチームは主として刑法上の問題での調査だったということになりますから、医療の問題というのは見落とされている可能性が大変高いと。医療上の問題でどうだったかというのは別途、調査、検証がされているんでしょうか。この点どうでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 今回の調査につきましては、先ほども申し上げましたように、基本的には刑務官等による暴行による死ではないかどうかということに重点は置いてございますけれども、しかしながらその調査の過程でやはり委員御指摘のように医療的な問題があるんではないかというふうな事案もありまして、これにつきましては今回の振り分けた十五件の中にも御報告しましたように含まれております。

 ですから、私どもとしては、基本的なスタンスは今申し上げたとおりでございますけれども、今後のやっぱり医療行政というのは非常に大事なことでございますので、今の、これからの調査、あるいは委員の先生方の御指摘等があったものにつきまして、必要なものにつきましては更に調査を深めまして、これは矯正局における医療行政の改革といいますか向上といいますか、そういうものに役立たせていただきたいなと、こういうふうに考えているところでございます。

井上哲士君

 これは矯正局でということのようですが、今度、医療問題のチームも立ち上げられたようですが、例えばこのチームでそういうような問題を検証するのか、それとも別途、矯正局として医療的な問題がなかったということを検証していくのか、この点どうなんでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 お答えいたします。

 この死亡帳調査班が対処した事案につきましては、ただいま官房長がるる答弁申し上げましたように、引き続き調査継続されるものもございますし、そういったものを踏まえて、矯正局としてもまたそれが今後の矯正医療の充実向上に役立つための資料としていきたいと、そういう考えでございます。

井上哲士君

 要するに、死亡帳調査班の調査に基づいてという趣旨ですか、矯正局としては別途、検証はしないという趣旨ですか。

政府参考人(横田尤孝君)

 失礼しました。

 誤解があったかもしれませんが、そういうことも踏まえてということでございますので、当然、矯正局としては、今後の矯正医療をどのようにすべきか、これはどこに問題があったかということからまずスタートするわけですから、そういった中で種々検討を加えていくということでございます。

井上哲士君

 今度立ち上がった医療チームでの検証はされるんでしょうか。その点はどうでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 失礼しました。

 このプロジェクトチームというものは、この矯正局の中でのまた一種の横断的な組織として立ち上げまして、今後の矯正医療をどのような方向にしていこうか、中期的、短期的な観点から改善すべきものは改善するといったことで検討していこうということですので、まだこれから何をするかということも含めてまだ現在、ある程度のことは指針といいますか方針はもちろんございますけれども、やっていく中でいろんな問題点があれば、それをまたプロジェクトチームの中で行っていくということになろうと思います。

井上哲士君

 全体の問題でも言いましたけれども、やはり現状の問題をえぐり出してこそ改革の方向が見えてくるわけでありますから、その中でもしっかりとやはり検証をするということを求めたいと思います。

 このチームには外部の医療関係者というのは参加をしているんでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 お答えいたします。

 外部、全く純粋の民間とかそういう意味、矯正以外という意味では外部の者は現在加えておりません。しかし、メンバーとしては、矯正局内ということではございませんで、医療刑務所の医師等の関係者をメンバーとして加えております。そしてまた、この検討する過程で外部の方の御意見をこれから聞いていくことになろうかというふうに考えております。

井上哲士君

 これはやはり外部の方の目をしっかり入れるということがこの間の教訓でもありますから、これは強く求めておきます。

 その中で、例えば明らかな医療過誤などが見付かったという場合は、これは行政的な対応はどういうことになっていくんでしょうか。

政府参考人(大林宏君)

 将来のことで断言はできませんけれども、今のおっしゃる、仮に明らかな医療過誤がある、あるいは刑法上取り上げられるべき問題があれば、当然それは事案に応じて必要な対応を考えなければならないと、こういうふうに考えております。

井上哲士君

 先ほども指摘がありましたけれども、この調査継続中の事案で東京拘置所の千五百九十というのがありますが、これは五月の七日に遺族、お母さんが国賠訴訟を提起をされております。当時四十五歳の一人息子が投薬を制限をされて死亡をしたと、こういう訴訟であります。去年の六月の三十日に拘置所の中でタオルをのどに詰めて自殺をしたとされているわけですが、精神障害を持って投薬を続けていた息子に適切な投薬がなされなかったと、その結果の自殺だと、こういう訴訟なわけですね。この投薬制限といいますのは、当然、外傷もありませんし、カルテも見ただけでは、相当の医学的知識があったり、それまでの診療経過がないとにわかには分からない大変難しい問題かと思います。

 こういった問題もあるわけでありますから、正に外部の目も入れて、本当に医療に問題がなかったのか、どこを改善をすべきなのか、この点でしっかりとした検証と改善を強く改めて求めまして、質問を終わります。


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