私は、日本共産党を代表して、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
まず、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。
裁判員制度は、司法への国民参加として画期的な意義を持つ制度です。
日本共産党は、この制度の意義を真に生かすために、国民参加を実のあるものとし、国民が参加しやすい制度、分かりやすい制度にすることが必要と考えます。このような観点から修正案を提起するものであります。
以下、修正の概要を申し述べます。
第一に、裁判員の参加する合議体について、その原則的な構成を裁判官の数を一人、裁判員の数を九人とするとともに、評決は、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む三分の二以上の多数によることとし、さらに死刑の判断は全員一致によるものとしています。
第二に、裁判員等の守秘義務について、違反に対する罰則から懲役刑を除き罰金刑に限定するとともに、裁判員等の任務終了後は守秘義務の範囲を、正当な理由がなく他人のプライバシーの漏えいや評議の秘密のうち他人の意見を明らかにする行為及び財産上の利益等を得る目的で正当な理由がなく評議の秘密を漏らす行為に限定することとしました。
第三に、審判に影響を及ぼす目的での情報提供等の罪の規定、裁判員候補者による虚偽記載罪等の規定を削除することとしています。
第四に、本法施行までの措置として、被疑者の取調べの状況等の録画又は録音及び検察官が保管するすべての証拠の開示を義務付ける制度の導入について検討を行い、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならないものとしています。
続いて、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。
政府提案の刑事訴訟法等改正案は、自白偏重、代用監獄等、刑事裁判の問題点について、改善を行わないまま、開示された証拠の目的外使用の禁止や裁判所の訴訟指揮権の強化など、被告人、弁護人の権利を侵害しかねない様々な問題点があります。また、新たに導入されることとなった証拠開示請求手続は十分なものとは言えません。
以下、修正案の概要を申し述べます。
第一に、訴訟指揮権の実質的強化として新たに付け加わった、出頭命令及びその違反に対する制裁、尋問又は陳述を制限する命令違反に対する処置請求、弁護人が在廷若しくは在席しなくなったとき又は出頭しないおそれがあるときの職権による国選弁護人の選任の規定は削除することとしました。
第二に、証拠の開示により知り得た事項を用いて、公の秩序若しくは善良の風俗を害し、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為はしてはならないものとし、被告人又は弁護人等が開示された証拠の複製等を人の名誉を害し又は財産上の利益その他の利益を得る目的で人に交付等を行った場合には一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとしています。
第三に、検察官請求証拠以外の証拠について、検察官は開示によって証人の威迫その他の重大な弊害が生ずると認められる場合を除き、原則として開示しなければならないものとしています。また、証拠開示の裁定のために裁判所が提出させた証拠の標目の一覧表について、被告人又は弁護人から請求があったときは、検察官が閲覧又は謄写によって証人の威迫その他の重大な弊害が生ずると認めるに足りる十分な理由があることを疎明しない限り、閲覧又は謄写を認めることとしています。
第四に、被告人又は弁護人の公判前整理手続における主張明示義務等について、できる限り明らかにしなければならないものとしています。
第五に、検察審査員等の守秘義務について、違反に対する罰則から懲役刑を除き罰金刑に限定するとともに、検察審査員等の任務終了後は守秘義務の範囲を、正当な理由がなく他人のプライバシーの漏えいや評議の秘密のうち他人の意見を明らかにする行為及び財産上の利益等を得る目的で正当な理由がなく評議の秘密を漏らす行為に限定することといたしました。
以上が両案に対する修正案提出の理由及びその内容の概要であります。
何とぞ議員各位の御賛同を心からお願いを申し上げます。