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2004 年 5 月 25 日

法務委員会
総合法律支援法案
(参考人質疑)

  • 「日本司法支援センター」に民主的意思決定機関が必要なことを指摘し、弁護士を理事などに加えるべきだと主張。あわせて、弁護士活動の独立性の確保を求めました。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。

 まず、山本参考人にお聞きをいたします。

 被害者支援のことで、法案では情報提供などをこのセンターが行うことになっているわけですが、お話の中で、一つの機関がすべてやるのはなかなか無理があるというお話がありました。

 ただ、今度のセンターが情報提供程度にとどまったことについては不十分じゃないかという声もありますし、政府の方もまずは立ち上げて、業務は広げていくんだというような答弁もあるわけで、参考人としては、今後このセンターが被害者支援ということでどの程度の業務までを行うことが適切とお考えか、お願いいたします。

参考人(山本克己君)

 分かりました。

 まず、先ほどの意見陳述の際にも申し上げましたように、法律的な事柄と非法律的な事柄、やはりこれは二つきっちり分けなきゃいけないのではないのかというふうに考えております。

 つまり、いわゆるカウンセリングのような部分は、やはりもうセンターが取り扱うのは不適切な領域ではないのかというふうに考えております。やはりそういうものは心理学等の専門家にゆだねるべき事柄であって、そこまでセンターが抱え込んでいくということは、かえってセンターの業務を非効率化させて、独立行政法人的な組織にしたことの意味が失われていくという可能性をはらんでいるのではないかというふうに考えます。それに対して、法律的な事柄につきましては、どれだけのニーズがあるかということとも絡む問題でありまして、それだけのニーズがあればそれなりのことを引き受けていくということは今後あり得るところではないかなというふうな気がしております。

 ただ、ここも検察庁等がやっておられることとの分業関係をどういうふうにしていくのかというのはやはり適切に見極めていく必要があるわけでありまして、何でもかんでもセンターがというのもやはり効率性の観点から問題があるのではないかと。

 被害者の財産的な損害の回復につきましては、やはりそれなりにスタッフ弁護士を利用するということが場合によってはあり得るということもありましょうし、そういう業務に精通した弁護士を紹介するということを積極的に行っていくという辺りが私はどうも、でとどめるのが適切なのではないのか。つまり、被害者支援といいましても様々なニーズがあるわけでして、それを一律に型にはめてセンターが行うというのは、私はどうもまだ、実態を見てみないとまだ分からない部分はありますが、現状では慎重であるべきだというふうに考えております。

井上哲士君

 ありがとうございました。

 次に、小林参考人にお聞きをいたします。

 独立性の確保が大事だということが言われておりますし、その点で様々な会員の皆さんの御意見も私どもも伺っております。特に、法的には様々な担保がされているわけですが、運用にかかわることも随分多いと思うんです。

 そこで、特にいろんな御意見が出ている国選弁護について、やはり独立性の確保という上で、運用上、これが必要だと思われている点はどういうことでしょうか。

参考人(小林元治君)

 国選弁護をこのたび従前の被告人国選に加えまして、被疑者弁護が公的弁護の対象になりまして、当初は法定合議で平成二十一年ごろから必要的弁護ということで徐々に段階的に拡張するということになっております。その中でやはり大事なことは、これは具体的には国選弁護人選任に関する契約約款等で具体的に書き込まれて運用上確立していくルールになるだろうと思うんですけれども、やっぱり弁護士会が推薦をする弁護士を弁護人として選任をする、これは裁判所が選任、解任権というのは持つわけですけれども、そういったルールを一つ確立すること。

 それから、いわゆる通常案件につきましては、配てんのルール、事件の配てんのルールというものを弁護士会と協議をした上でセンターとの間で合意をしていただく。特別案件につきましても、やはりこれまでのようにオウムだとかカレーだとかにもありましたように、やはり弁護人を探すのが難しいということもございますので、そういったことにつきましても特別案件の配てんのルール、協議のシステムを作っていくと、こういったことが極めて重要でないかというふうに考えております。

井上哲士君

 次に、岡田参考人にお聞きをいたします。

 これまでの経験を通じてのお話を伺いました。センターができれば大いに活用したいというお話だったんですが、まあ皆さんは多分受けた相談を更に相談をする相手ということにセンターがなるんだと思うんですが、実際そういう点で利用者として活用しやすくするために何が必要なんだろうかと、場所とか時間とかいろんなこともあろうかと。そういう物理的なこと、制度的なことで是非こういう活用しやすい工夫をしてほしいという点がありましたらお願いをしたいと思います。

参考人(岡田ヒロミ君)

 今、法律相談とか、先ほど小林弁護士にもありました公設法律事務所とか、大変身近に相談する窓口ができたように思います。ですが、まずやはり消費者は最初に相談する相談料、五千円プラス消費税というのが大変抵抗があるんです。ですから、支援センターの場合、相談、入口の相談ではあるんですけれども、無料でやってくれると。その上でやっぱりこれは法律相談を受けなきゃいけないといったときにお金を払って相談に行くと。そういう過程というのは大変消費者にとっては分かりやすいし、利用しやすいんではないかと、そういうふうに思います。

 その入口の相談であればなおのこと、今度は相談者の話をじっくり聞いていただかないと困るわけなんです。法律相談となると、かなり限られた時間で法律的なポイントだけをこう聞き出そうとするものですから、消費者というのは大変不完全燃焼みたいな感じで、自分が言いたかったことが言えなかったとか、聞いてもらえなかったということを不満として言ってきます。ですから、支援センターの場合は、私ども相談員が聞き取るような感じで、やはり消費者の立場で時間を余り気にしないでじっくり聞いていただきたいと。その上で消費者が自分で判断できるようなそういう持っていき方をしていただければ、随分私たちも自信を持って送り込むことができるんじゃないかというふうに思います。

井上哲士君

 次に、松本参考人にお聞きをいたします。

 先ほど公設、都市型の公設事務所にたくさんの若い人の応募があったとお聞きをしまして、大変結構な話だなと思いました。とかく最近は都市型の、都市の大きな法律事務所に新しい弁護士の方々の人気が集まるという話も聞いていたものですから、大変いい話だと思って聞いたんですが、多分若い方々が選ぶ上で、自分のキャリアアップをどうしていくのかということで、むしろ都会において難しい事件をどんどんやってキャリアを付けていきたいということからちゅうちょされる方もいらっしゃると思うんですね。やはり若い、いろんな人たちにやっていただく上で、そういう点での公設事務所での魅力というんでしょうか、というのを大いに広げることが大事だと思うんですが、その辺、やられた実感として、このキャリアとしてどうなっていくのかという辺り、いかがでしょうか。

参考人(松本三加君)

 やはり今までの弁護士と違う働き方で行ったことを、行って戻ってきて、そして例えばその後裁判官になるとか、それから行政の何か機関で求められているところへ行くとか、法律作りの実際こう現場に行くとか、いろんな形でその支援センターに行ったような人材を登用というか、それを評価、逆に魅力ある人が育つとともに、それを評価するような目で、言い方は悪いですけれどもちょっと扶助、扶助のなかなか経済的に大変な困難な事件やって御苦労さまでしたねと、それでああ大変だったねと、大変なことしてきたねというので終わるんではなくて、その中身を見て、その経験をいろんなところで評価していただくといいますか、評価される人も育てなきゃいけないんですけれども、そういうシステムが全体としてできていくことで、非常に行く側としてはいいなと、自分自身も地元の方の役に立ててキャリアアップになっていくというふうに考えられるんだというふうに思っています。それがどういうふうに機能していくのかというのは、やっぱりみんな、国民の皆さんとかそれから司法、それこそ行政が司法のそういった専門家の視点を要請するとか、非常に求めるとか、そういったいろんな機関の目も変えていくような土壌が作られることが大切だと思うんで、非常に問題は物すごく大きいと思うんですけれども、少しずついろんな、ただ開業してそこで一生を終えるという働き方でないいろんな働き方ができるんだというのを少しずつ積み重ねていくことで若い人はより希望する人が増えていくんじゃないかと、期待も込めてそういうふうに考えております。

井上哲士君

 最後に、小林参考人にもう一点お聞きします。

 これまで様々な独自事業を日弁連として展開をされていかれて、今のひまわり公設事務所も含めまして、司法センターができても独自に進められるものがあると思うんです。

 ただ、例えば当番弁護士なんかにつきましても、一定の国選の幅が広がりますと、これまで皆さんがかなりの拠出をされていた部分というのがある程度財政的には楽になるといいましょうか、という部分も出てこようかと思うんですね。特別会費取られていたんでそれをどうするかとか、いろんな検討はあろうかと思うんですけれども、そういう点でこの司法センターができることによってこれまで進めておられた独自事業をどれをどう強化をしていくのか、そしてまた少し身軽になる部分、例えばここ、これができてなかった部分にこういうふうに展開を強めていこうとか、そういうふうな計画がもしあれば御紹介いただきたいと思います。

参考人(小林元治君)

 手短に申し上げたいと思います。

 今のお話は、被疑者弁護で公的資金が投入される分浮くんではないかという、こういうお話でございます。浮いた資金を別の有効な自主事業に転用することの計画がおありかという御質問でございますが、この当番弁護士というのは、緊急財政基金というのは現在一人会員から四千二百円毎月徴収をしております。これは今年の二月の臨時総会で三年間、平成十六年の六月から十九年の五月までの時限立法ということで会員のやっと理解を得たというような状況もございまして、これを永続してこの基金というのを、緊急基金がずっと永続するものではないという性格のもので会員の理解を得ていることもございますので、今のところこれをどういうふうに、その三年間はまだ法定合議という部分でございまして、必要的弁護は平成二十一年でございますので、今後何か余剰資金が出てきてそれに何か転嫁できるというような状況ではないということはあります。そんなことで、取りあえず先の展望というのは今のところまだないというのが現状でございます。

井上哲士君

 ありがとうございました。


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