ありがとうございます。
まあ、非常に難しい戦争だったと思うんですね。結局、日本は憲法を尊重すると言う限りにおいて、国連決議というのはある程度は大義名分がしっかりないとなかなかやりにくいというのを、前から言っても、何度言っても駄目で、西ヨーロッパの方はもう、何といいますか、日和るというわけじゃないけれども、何か反対になってしまって、何となくもう国連自身も駄目になって、うまくいかなかったんですね。それだからといって、それじゃ今度、日米安全保障条約というのをダメージを与えるようなことに出るだけ勇気は政府にはなかったわけですから、ああいうことになったというのは、まあ分からぬでもないなという感じが非常にするんですね。それで、恐らく、まあ第二番目ぐらいにアベイラブルなオプションとしては良かったんじゃないかと私は思っているんですね。
それで、やっていること自身は、西ヨーロッパでもフランスとかドイツなんかは、もうちょっとこっちの方に来てちょうだいみたいなことをやっていることは確かで、どのくらい効果があったのかはよく分からぬですけれども、やっている。それから、イラク自身に対しては、それなりに誠意を持って、しかもできることを最大限にやろうとしていると。それがどこまで効果があるかというと分からない。
だから、非軍事的なというのは、軍事、戦争になったとき非常に難しいというところがあって、そういうのを大きくしたいんだけれども、結局、普通の、今まで考えたような戦争はどんどんどんどん減っているんですが、何だか分からないこういう面倒くさいことが起こって、それに対処できるのはほとんどアメリカしかいないんですよ。だから、アメリカが出番が多くなるのは、好きだから出るでしょうけれども、ほかのは特にあんな戦争なんて絶対できないです。そしたらやっぱりほっておけということになる。それで、困っているのは、お互いにつぶし合って、そのうち時間たつのを待とうという戦略になっていくわけです、ほかの国は。それは、何といいますか、そういうところに住んでいる方にとって正義かどうかというのについてもやはり疑問は残るんですね。
私の判断は、この場合は、あれだけ長い間抑圧と、何といいますか、十分なリソースがあんなたくさんあるのに、住んでいる方も非常に立派な方も多い、石油もあり余るほど、それなのにうまく経済も持っていけないと。それから、みんな抑圧が激しい。これはもうとにかく正義ではないというジャッジメントが勝ったというのは、それは悪くないと思うんですね。それで、武力行使すると。武力行使しなきゃ何も動かないというのがあったときは、国際信義をもう十年以上も守らないというのは、これはもうやっぱり向こうが駄目なの。こういうのがそこらじゅうにはびこるのは日本にとったって利益じゃないのです。どうしてかというと、武力は使えないんだから、ほとんど。そういうのが、どんどんどんどん好きなことをやる国があちこちあちこちに出るということは、何かしなきゃ駄目なんです。
それがいいと、非軍事的なやり方で収めようというのはある一定の限界を持つんです。もちろん軍事的な手段で何かやろうとしたって物すごく限界があって、めちゃくちゃに面倒くさい問題も起こる。だけれども、去年の三月の感じでは、支持ということは、一番いいんじゃないけれども、アベイラブルの中ではまあ良かったんじゃないか、特に何も出さなかったわけですし。それから後、戦争終結宣言、アメリカによる宣言の後、経済復興に関与するということで行ったという判断自身は良かったけれども、それはイラク自身、もうとんでもない、反対といいますか、もう考えただけで嫌だ、何も良くならないという感じの反応が出るのはこれまた自然で、このぐらいの法と秩序の達成度というのを非常にネガティブに見るかポジティブにある程度見るかというのは人の考え方だと思いますね。日本自身だってそれなりにもう反米、親米で十五年間わあわあわあわあやっていたんで、流血自体は余りなかったですけれども、それはこのぐらい続いても普通だと見るのが、僕だったらそうですから、そこら辺は、何といいますか、人間観にもよるんだろうと思うんですけれどもね。
もう自分が何とか主張したいんだったら、ぐんとある程度頑張って、できるところで、駄目元主義で頑張って、自分の自由にできるスペースを主張するというのが普通だと思うんで、まあしばらく続くと思う。だけれども、経済自体は少しずつ良くなってきているし、そのうちに何とかなるんじゃないかなと思いますよ。
ただ、国連とかのカムバックももうちょっと力強いとよければと思うんですけれども、ちょっと懲りているからなかなか出ないし、国連が出ないと日本も、大義名分が、寄りすがるところが余り強くないと困るんですね、それは武力使わないということで出ているわけですから。だから、一刻も早く国連はしっかりして、もうちょっと勇気付けて出てもらって、自分は国連とできるだけ共同歩調で、国連決議でどんどんどんどん新しいことを提案していくという形のやり方については私は誠に同感でありまして、ただどこまでできるかというのは、これは激しい、国連自身はとんでもないというか、すぐにはできそうもない形でしかなっていませんし、アメリカ自身は、何といいますか、みんなと協力しながらといっても、余りにもみんながふがいないので、アメリカの考えでは、現政権の考えでは、ふがいない、だらしがない、好きなことを言っているだけで何にもできない、嫌だと思っていますから、なかなか信用しないですからね。
そんなに非軍事的だけといったって、何かそうもうまくいかないというのがあって、アメリカ自身は自分の頭だけで考えていますから、非常に勝手というか、唯我独尊みたいなことをやっている面も非常にあるけれども、それはまたそれ、一つの現実だし、イラク自身にすれば、何でこんなの、人の土地にぼかぼか上がってきて好きなことを命令するのかというのがある。
それで、それをどういうふうにまとめるかというのは、やっぱりサマワで、日本のできるのは、いろんな外交努力に加えてサマワで実績を上げることだと思いますね。それはもう国際協力の面だし、対米説得、対ヨーロッパ説得、それからイラクに対する非常に、常にエンゲージして、こっち、別な悪意を持ってやるんじゃなくて助けに来ていると、一緒にやりたいというようなことのメッセージをどんどん発していくしかないんじゃないかなと思いますね。
アメリカはユニラテラリズムなんてよく言われますけれども、日本なんかよりもずっとマルチラテラルで、外交努力は頑張っていると思いますし、日本の場合は、やっぱり自分の考えで非軍事が好きだ、そういうふうなのがいいというふうに思っているんだけれども、説得努力といいますか、関与努力というのが余り伝わらない。ゼロラテラリズムと僕は言っているんですけれども、自分がよしと思ってやっているみたいなところがあって、アメリカはもう内外に宣言してユニラテラル、これはいいんだからとやっていますけれども、日本のはゼロラテラリズムなんですね。だからどうしようもない。だから広がらない、深まらない。
それは、何というか、日本人自体の、全体の問題だと思います。何とか説得するとか、何か一緒に喜ぶとか悲しむとかが少ないんですよね。だから、それは私たち全体の、何というか弱さだと思うんで、そこら辺もちょっと力強くならないとどうしようもないのかなと思います。
どうもありがとうございました。