11月17日(水)
経済・産業・雇用に関する調査会
「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」
- 雇用対策基本計画について(厚生労働省)、及び若年者に対する就業支援について(文部科学省)
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
若者の雇用問題についてそれぞれに一点ずつお聞きするんですが、この問題では働く側の若者への援助とそれから雇う側の企業の対策というのが必要だと思うんですが、どうも雇う側の対策が弱いんじゃないかという問題意識を持っております。
といいますのは、例えば、日本青少年研究所というのが平成十五年に、日本、アメリカ、中国、韓国の高校生の生活と意識に関する調査というのをやっているんですが、これ見ますと、「将来自由気ままでいたいので、正常な就職をしたくない」というのは、アメリカ五七・九、中国六七・六、韓国二九・〇、日本一五・七ですので、日本の若者は四か国からいいますと、就職したくないという、正式な就職したくないというのは最も少ないわけですね。決して意欲がないということではないんだろうと思いますし、実際、この間のやはり若者の失業の急増というのは様々な雇用の側に大きな問題もあったと思います。
それで、内閣府が出しました国民生活白書などでも、例えば去年までの六年間でいいますと、中小企業は若者の正規雇用を三万人増やしたけれども、大企業は百万人も、百八万人減らしていることなども示しながら、若者の就職難やフリーター問題というのは企業側の要因が大きいというふうに国民生活白書も言っております。それから、先週、経済産業省から新産業創造戦略についてお話を聞きましたけれども、その際も、日本の物づくりの強みを生かそうと思ったら派遣というのはマイナスなんだと、むしろ物づくりにとっては終身雇用の方がいいんだというようなことも御発言がありました。
こういう内閣府の国民生活白書や経済産業省の新産業の創出でのこういう雇う側の認識、問題点の認識というのがこの厚生労働省の施策の中にはどのように位置付けられているのか。これをまず一点お聞きをしたいと思います。
それから、文科省につきましては、こういう言わば雇う側の問題というものが若者の、何といいましょうか、雇用に対する意識、状態にどういう影響を及ぼしていると分析をされているのか。
それぞれお聞きをしたいと思います。
- 政府参考人(青木功君)
若い人たち、それこそフリーターとかニートと言われる人たちじゃなくて、真剣にいい仕事をしていきたいと思っている方の方が圧倒的に多いのは、今のお説のとおりでございます。
そこで、確かに、どういう働き方になるかというのは、現実の統計資料等を見ましても、確かに派遣形式等の働き方もともあれありますが、もっと様々な働き方になってきて、全体のいわゆる正規雇用という比率が少なくなってきているのもおっしゃられるとおりだろうというふうに思います。これそのものは、ただいま前回の調査会のお話をいただきましたけれども、結局、一つは、経営者の方々の言わば選択の中でやっぱり一生懸命働くそのいわゆる正規の方々が必要なんだというふうなこともお話しになられたんだろうというふうに思います。
現実にそういうことで実はございますのが、先ほども触れましたけれども、トライアル雇用というのを今推奨しています。これは、学校卒業者じゃなくて、いわゆるフリーター的に働いていた方、これは経営者の方にも働く方の方にも問題がございまして、働く方は、自分はフリーター的に働いてきたのでなかなかずっといわゆるパーマネント雇用に移行する自信がない、あるいは心配だというのがあります。それから、お雇いになられる方の方も、今までフリーターだったような人を簡単にパーマネント雇用ということで採用しちゃっていいのかなと。両方で足踏みをしているようなことがございました。これも、先ほど申しましたが、これで、五万人を超える方々が実はこの対象になっていたんですけれども、とにかく三か月の間、働く方もそれから採用する方も我慢してください、お互いに相手のいいところを見てくださいということで、月々十万円程度の助成金ですが、助成措置を付けて若者トライアル雇用というものをやりました。そうすると、この大体常用移行率が八割ぐらいなんです。つまり、働く方もそれから採用する方も、やっぱり相手のことを十分理解できていないと。ですから、大きい数字で動くのはもちろんですが、最後には一人の働き手と一人の経営者の方の相互理解というのがかなり大切なんだなということで、そういったことも含めて経営者の意識というものが、若者をよく知ってほしいというのもこれから重要だし、やっていきたいと思っています。
- 政府参考人(玉井日出夫君)
今の就業をめぐる問題についての雇う側の意識、それが生徒へ、あるいは若者にどのように影響を与えているかということなんですけれども、この私どもお示しした資料の一ページでも、確かに、若者が抱える自らの問題とともに社会の変化というものがやはり影響を与えているだろうということもこの資料でお示しをしております。経済状況の悪化もありますけれども、併せて雇用環境、需要の変化というものがやはり影響を与えているんではなかろうかというふうに思っております。それがどのぐらいかという、なかなか量的な把握は難しいんですけれども、両面やはりあるんだろうと。若者の勤労観、職業観が未熟になってきているという問題と併せて、やはりそちらのこともあるだろうと。
そこで、先ほど厚労省の方からも御説明ございましたけれども、私どもとしても、いわゆるインターンシップ等々、実際に体験してみるということがやはり非常に重要になってきますし、それから、受け入れる企業の方々も今の若者をとにかく一回受け入れてみると、そして一緒になってある意味では育てていくという。
先ほど私は、地域ぐるみ、社会ぐるみでやはりこういう問題に取り組んでいただきたいというふうに申し上げましたけれども、そういうことがやはり非常に大切になってきているんだという認識を持っているわけでございまして、その様々な先ほど来御説明している仕組みも、正に地域ぐるみ、学校だけではなくて地域社会、これは経済界もあれば労働界もございましょう、そういったところが一緒になってこういう施策を講じていく。そして、企業の側の意識あるいは若者の方の意識もやはりそういう方向に向かっていくということが非常に重要だというふうに考えているわけであります。
- 政府参考人(青木功君)
時間がやってまいりましたが、一言だけ、ちょっと訂正項目がございますので。
先ほどのトライアル雇用で大体十万円程度の助成と申し上げましたが、正確には五万円ずつ三か月の十五万円程度でありますので、訂正をさせていただきます。
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