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井上哲士ONLINE
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2006年11月30日(木)

教育基本法に関する特別委員会(午後)
「タウンミーティング・いじめ・未履修問題及び教育委員会制度についての集中審議」

  • やらせ質問の依頼や質問作成を、法案作成の部署である「教育改革官室」(のちに教育改革推進室)が行っていた事を認めさせる。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 午前中に続きましてタウンミーティングの問題で質問をいたします。

 まず、田中局長にお伺いをいたしますが、十一月十日の衆議院での特別委員会で、八戸のタウンミーティング問題が議論になりました。その際に、やらせ質問に関する質問についてこう答えておられます。「今回の八戸のタウンミーティングにおきます質問項目案の作成に関しましては、文部科学省の中におきましても調査をしたところでございまして、現実には大臣官房の総務課の広報室の方で担当をしておったところでございます」と、こう言われていますが、この答弁は覚えておられますか。

政府参考人(田中壮一郎君)

 お答えを申し上げます。

 そのようにお答え申し上げました。

井上哲士君

 午前中の答弁で伊吹大臣が、教育改革官室、それから教育改革推進室の責任者は生涯学習局長であり、そして広報室長も当時の事務次官の指示によって実質的にここに併任をされたと、そして広報室長という別の資格で何かをやったんではなくて、中に入っているわけですと、こういうふうに答弁をされました。

 今朝配った一覧、年表を見ていただきますと、八戸のときは既に教育改革法改正プロジェクトチームというのができておりますけれども、当時の広報室長もこのプロジェクトチームに入っていたと、こういうことで事実確認してよろしいですか。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 当時、広報室長、そちらの仕事も兼ねて行っておりました。

井上哲士君

 つまり、当時の広報室長というのは生涯学習政策局長を責任するチームの一員であったということでありますね。ということは、あなたの責任の下でこのやらせ質問の依頼や質問案の作成が行われたと、こういうことになるんじゃないでしょうか。田中局長、局長。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 教育改革タウンミーティングに関します一連の事実関係に関しまして、私、総括審議官を中心に鋭意調査を行っているところでございます。だれがどういう形でどのようにかかわっていたのか、すなわち、だれの責任で、だれが了解して、だれがだれに頼んだのか、こういったことについて現在鋭意調査を行っているところでございまして、まだその調査、鋭意続けているところでございます。したがいまして、現時点におきましては、個人名を特定してどうこうと言うことは差し控えさせていただきたいと存じます。

井上哲士君

 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。あの八戸のタウンミーティングが広報室長の承認で行われたとあなた答弁されているんですが、そのときのこのチームの責任者はあなただったと、この事実を私確認しているんですから、局長、答えてください。局長答えてください、事実なんだから。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 平成十八年九月、八戸市で行われました第八回の教育改革タウンミーティングは、大臣官房総務課の広報室が担当をいたしておりました。また、教育改革全体につきましては、生涯学習政策局長が全体を取りまとめるという立場にあったところでございます。

井上哲士君

 田中局長が責任者のときに広報室がそこにあり、やったということを今確認をいたしました。

 私はなぜこれをお聞きをするのかといいますと、衆議院での答弁のときに、内閣府に連絡したのはだれかということを私たちが質問をして、生涯学習局じゃないのかと、こういうふうに声を掛けますと、あなたは、いや、要するに、タウンミーティングを開きたいというのは生涯学習局で決めまして、文部科学省の中で総務課広報室にお願いをしたと、こういうふうに答えているんですね。ですから、意図的に生涯学習局長がここのチームの責任者だということを隠して、何か全然別の広報室にお願いをしたと、こういう責任逃れのような答弁をしているから私は今聞いているんです。

 その上で聞きますけれども、八戸以外のタウンミーティングのいわゆるやらせ質問についてはどの部署がかかわったのか。局長、いかがでしょうか。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 教育改革タウンミーティングの担当ということでお答えを申し上げます。どの部署が担当していたかということでございます。

 文部科学省では、タウンミーティングの窓口は、全体としては大臣官房政策課でございますが、それぞれのテーマに応じて担当課を決め、実施をいたしているところでございます。

 教育改革タウンミーティングについて申し上げますと、第一回平成十五年十二月の岐阜市、第二回平成十六年四月の米沢市、第三回平成十六年の松山市につきましては、大臣官房教育改革官室が担当いたしておりました。

 それから、第四回平成十六年十月の和歌山市、第五回の平成十六年十一月の別府市につきましては、ただいま申し上げました大臣官房教育改革官室を改組いたしました教育改革推進室が担当いたしておりました。

 それから、平成十七年三月松江市で行われました第六回、それから平成十七年六月に静岡市で行われました第七回、この二回につきましては、生涯学習政策局に置かれました広報・広聴プロジェクトチームが担当いたしておりました。

 第八回平成十八年九月の八戸市につきましては、大臣官房総務課広報室が担当していたという変遷を経てございます。

井上哲士君

 今、答弁で明らかになりましたように、八回目の八戸だけは広報室の担当でありましたけれども、一回目から五回目までは教育改革官室、そして教育改革推進室が窓口であったと、こういうことをお認めになりました。

 そうなりますと、基本法作成の中枢がかかわっていたと、こういうことになるんですね。教育基本法の担当部署につきましては、この一覧、今朝お配りしている年表にありますように、今あった教育改革官室と推進室、そしてプロジェクトチームということになっていますが、それぞれいつ発足をし、その時期やスタッフ、それからどういう仕事をしてきたのか、これを述べてください。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 まず、教育改革官室でございますが、これは平成十二年三月に大臣官房に教育改革官や主任教育改革官が設置されました際、これらの者の執務室として発足したものでございます。教育改革官等の任務といたしましては、文部科学省の組織訓令におきまして、教育改革官につきましては大臣官房の所掌事務に係る教育改革に関する重要事項についての企画及び立案に当たる、また、主任教育改革官につきましては教育改革官の職務の連絡調整に当たるとされているところでございます。具体的には、教育基本法の改正につきまして審議をいたしました中央教育審議会への対応や、国民的な議論を深めるための取組などの業務を行ってきたところでございます。

 それから、教育改革推進室でございますけれども、これにつきましては、教育改革の積極的かつ総合的な推進を図りますために平成十六年八月に設置をされたものでございまして、室長は大臣官房審議官が担っていたところでございます。この教育改革推進室におきましても、具体的な業務といたしましては、教育基本法の改正について審議をいたしました中央教育審議会等への対応や、国民的な議論を深めるための取組等の業務を行ってきたところでございます。

 それから、教育基本法改正等プロジェクトチームでございますけれども、これは教育基本法の改正業務に対応いたしますために平成十八年五月に、省内の関係局課の協力を得まして教育改革推進本部の下に設置されたものでございまして、総括責任者は生涯学習政策局長でございます。このプロジェクトチームにおきましては、具体的な業務といたしまして、教育基本法改正の法案作成や国会対応、広報対応等の業務を行っていたところでございます。

井上哲士君

 これらの部署が与党の教育基本法の改正に関する検討会の事務局的役割も担ってきたかと思うんですけれども、それ確認してもよろしいですか。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 教育基本法については、いろいろなところで御議論がございました。そういったところについての対応ということも含まれているものと考えております。

井上哲士君

 つまり、与党の検討会の事務局的な役割も担い、中教審も支え、そして法案作業もしてきた。この一連の教育基本法の担当部署がこのタウンミーティングの窓口になっていた。

 しかも、私、午前中も言いましたけれども、一回目の岐阜のタウンミーティングというのは、正に文部科学省が直接県の教育委員会にやらせ質問を依頼をしていたということが明らかになりました。そのときの担当窓口が教育改革官室であった。私は、正にこの法案を作成をしてきた中枢部隊がこのタウンミーティングのやらせにかかわってきたというのは本当に重大だと思いますよ。大臣、いかがですか。

国務大臣(伊吹文明君)

 適当じゃないようなタウンミーティングを行ったということは、私もそのとおりだと思います。しかし、本来、議院内閣制、政党政治において何が大きなウエートを占めるかといえば、それは当然、中教審の答申と与党の協議なんですよ。あとは担当者はそれを立法の形式に直すだけのことであって、その人が、そしてしかも立法の形式に直した人がタウンミーティングの問題に即かみ合って、タウンミーティングの問題を、不適切に運営していたかどうかを今調べさせているわけですが、私は、立法の基本というのは、やっぱり政党政治においては与党の協議会で行われたものをベースに立法が行われているわけであって、その下、まあ言葉はちょっと適切かどうか分かりませんが、下請をしている者がそんなに大きなウエートを持っていると私は考えておりません。

井上哲士君

 それはないですよ。中教審だって何だって、実際上は文部科学省はいろんな資料を出しているじゃないですか。討論の取りまとめを出して、実際上、議論をリードをしているじゃないですか、何の審議会だって。それは私は全く納得いきません。

 そして、今、そういうところにかかわってきた者がいわゆるタウンミーティングにどういうふうにかかわってきたのかよく分からないと、こういうことがございました。

 先日、内閣府から一連の資料が出てきましたけれども、その中に受信メールというのが入っているんですね。これ内閣府に残っているものが出てきているわけでありますが、二〇〇五年六月三日、そして六月六日というのがあります。これは静岡のタウンミーティングにかかわるメールでありますけれども、静岡のJCと動員の数がどうなっているかということを連絡し合ったメールがこれ二つあります。これいずれもメールを発信した元は文部科学省大臣官房教育改革推進室と、こういう発信元になっています。それから、二〇〇四年十一月の二十四日、これは大分のタウンミーティングのときのやり取りのメールでありますけれども、遅くなりましたが、タウンミーティング大分の質問案を作りました、よろしくお願いしますと、こうなっておりまして、これも発信元は文部科学省大臣官房教育改革推進室になっているんです。

 正にここの推進室がこのタウンミーティングのいわゆるやらせ質問の具体的な質問案まで作っていたとはっきりしているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 この今のタウンミーティングについてどの部局がどのように関与をしていたのか、文部科学省が主体的に行ったのか、内閣の方から頼んできたのか、そのようなことは今調べさせております。

 先ほど不規則発言があって、内閣の存在を否定するのかということは言われましたが、そんなことはありませんよ。(発言する者あり)いやいや、あなたがじゃない。政党政治というものは、国民から選ばれた与党が立法の責任を負うんですよ。そして、内閣、行政府との間のリエゾンをするために私始め副大臣が二人、政務官が二人行っているんですよ。

 だから、私が一番心配していることは、当時、先生がおっしゃったことと私はある程度似たことを考えているんですが、当時、このいわゆる不適切なタウンミーティングの運用について、与党から入っていた政治家が知っていたのか知っていないのか、局長はどこまでこのことを把握しているのか、審議官で止まっているのか、課長で止まっているのか、それを一番重点的に今調べさせているんですよ。

 だから、私は、局長にここでは答弁をさせないと、当事者だから。だから、調べさせている人間に答弁をさせているというのはそういう意味なんです。

井上哲士君

 私、先ほど言いましたけれども、あの衆議院での答弁で、あえて生涯学習局の名前を出さずに、何か特定の全く関係ない部署にやらせていたと。全く責任逃れですよね。こういうことがあるんです。

 そして、私は、それはなぜかといいますと、正に先ほど来言っておりますように、この教育基本法の作成の中心になってきた、何かその単なる事務の扱いじゃないんですね、生涯学習局長が責任者なんですから、普通の役人じゃないんです。正に生涯学習局長という一番の責任者がトップになっているそのところが、一方で与党協議会にも参加し、一方ではタウンミーティングのやらせをやっていたんです。ですから、それは大したことじゃないということは私は絶対言えないと思いますよ。いかがですか。

国務大臣(伊吹文明君)

 政党政治においては、議院内閣制においては立法の基本を担うのは与党であって、その与党と内閣との間にかなめにいるのは大臣、副大臣、政務官と、そういう形で運営をしておりますから、そこに不行き届きなことがあれば、先生の御指摘は全く当たっていると思います。

 しかし、実態はいろいろ、過去には役人が政治家を使っているというような事実が、私も認めますよ、それは。しかし、事私はそういうことはさせませんと申し上げているんです。

井上哲士君

 この法案が作られ、そしてタウンミーティングのやらせが行われてきたのは、大臣の御就任前のお話なんです。そのときに、現実に例えばいろんな審議会でも事務方がどういうまとめを出すのか、これで議論をリードをしていくということになっているというのは、もうだれでも知っていることですよ、国会では。それを担っていた人たちがこういうことをやっていると。ここに今国民の不信があるんです。

 そして、今日も朝からありましたけれども、地方の教育委員会では処分をされているのに、それをやらせた方は何にもなっていないまま、このままその教育基本法の審議がどんどんやられていると。これでいいのかという声があるわけですね。

 先ほど来、いろんな調査をしているということを言われました。しかし、それが一向に我々に見えてこないんです。とにかく、最終的には処分すると言われます。しかし、どうなるんだろうか、だれも分からないんですね。

 内閣府は中間まとめを出したわけですから、是非文部科学省も、今出せる中間的な報告を、どういう調査結果になっているのか、状況になっているのか、私出していただきたいと思いますが、いかがですか。

国務大臣(伊吹文明君)

 きちっと状況を、これは先生が処分、処分と今おっしゃるように、正にある程度の処分を伴わなければならないことでございますから、それだけに事実関係を誤認して人の運命、運命というか、人の処分を決めるわけにはいきません。

 ですから、きっちりと状況が出た段階で、ただしタウンミーティングというものを官房長官が一括的にその処理をすると、こう言っているわけですから、我々も内閣官房にその調査の結果を報告しなければなりません。それが出た後で私が判断するということは再三申し上げております。

井上哲士君

 内閣府は中間報告出したんですね。出したんですよ。なぜ文部科学省は出せないんですか。

国務大臣(伊吹文明君)

 中間報告と申しますか、調査の中間段階のものをやっぱり発表するのは適当じゃないと思いますし、私たちの中間的な段階のものは内閣府にお渡ししてありますから、その内閣府から皆さんの理事その他の御協議でお手元に渡っているから、八戸のことはどうだとか、どこのお金が幾ら単価が高いとかということをずっと御質問になっているんじゃないんですか。

  〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕

井上哲士君

 私、午前中にも、この問題というのは法案審議の前提だということを申し上げました。

 今の大臣の答弁からは、本当に事実と責任が解明されるんだろうかと私は非常に疑義に感じざるを得ません。

 基本法の作成作業の中核にかかわってきた部隊が、部署がやらせにかかわっていたということになれば、正に重大でありまして、こういうことでは教育を語る資格ないし、私はこういう事態がある以上もう法案は撤回するべきだと、こういうことを申し上げまして、質問を終わります。


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