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2006年11月29日(水)

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
「政治資金規正法」について

  • 安倍内閣の閣僚らの資金管理団体が経費として不透明な「事務所費」を計上していたことが報じられたのを受け、政治資金規正法を改正し、透明性を高めるべきと強調。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 ただいま議題となっています地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律改正案については、一九七一年から行われている制度であり、統一地方選挙は一定程度国民の選挙に対する意識を高めることも期待できるものですから賛成であります。

 今日は、限られた時間ですので、総務省が管轄をする政治資金規正法についてお尋ねをいたします。

 戦後最大の疑獄事件と言われましたロッキード事件が起こってから今年で三十年目になります。この三十年間、様々な政治と金をめぐる事件が起きました。そして、何人もの政治家が逮捕をされたり辞職に追い込まれてきたりしたと。そのたびにこの政治資金規正法は改正をされてきました。

 そこで、安倍内閣、新内閣の一員として、そしてこの政治資金規正法を所管する大臣として、こうした政治と金の問題を根絶していく上でどういう施策をお考えか、その決意も含めてお伺いをしたいと思います。

国務大臣(菅義偉君)

 国民に信頼をされる政治を行っていくためには、政治家一人一人が襟を正すとともに、政治資金については政治資金規正法にのっとり適切に処理をされる、このことが大事なことであるというふうに思っています。

 また、今後とも、政治資金の適正な処理と透明性を確保し、政治に対する国民の信頼が得られるように今努めていく必要があるというふうに思っています。

井上哲士君

 透明性を確保し、国民の信頼を得られるようにと、こういうことでございました。

 九月に総務大臣届出の政治団体について二〇〇五年の政治資金収支報告書が公表されました。そのときの幾つかの新聞の社説を私持っておりますが、ある新聞は、透明度を上げなくちゃ、こういう見出しでありました。ある新聞は、ガラス張りにはほど遠いと、こういう社説の見出しでありました。

 実際、驚いたことの一つに、賃料が要らない衆議院の議員会館を主たる事務所にしていた政治資金の管理団体が三つあります。この三団体が事務所経費を三千万円から四千万円計上していると。これはマスコミでも報道をされました。その三団体は、一つは伊吹文明文部科学大臣の資金管理団体である明風会、これ四千百四十六万円計上しています。それから、松岡農水大臣の松岡利勝新世紀政経懇話会、三千三百五十九万円余りを計上しております。それから、中川昭一自民党政調会長の昭友会、三千九十六万円余りを事務所経費として計上をしております。

 そこで、大臣に見解をお伺いしたいんですが、この賃料が要らない議員会館を主たる事務所としているこの三つの政治団体が三千万から四千万円事務所経費を計上している、こういうことが国民の理解を得られるとお考えでしょうか。いかがでしょうか。

国務大臣(菅義偉君)

 政治団体が主たる事務所の所在地をどこに置くかと、こういうことについては、当該団体の政治活動の自由を尊重をする立場から特段の制限というのは設けられておりません。

 なお、衆議院、参議院とも、議員本人の資金管理団体に限り、議員会館の議員事務室を当該団体の事務所として使用できるということにもなっております。

 今御指摘をいただきました団体についてでありますけれども、総務省としては具体的な事実関係を承知する立場にありませんので、答弁については差し控えさせていただきたいと思います。

 また、政治資金の収支については、それぞれの政治団体の収支報告書の公開を通じて国民の監視の下に置かれており、その是非など収支報告書の内容に対する判断は、これは国民にゆだねられるべきものであると、このように考えています。

井上哲士君

 最初の答弁で、透明度の中で国民の信頼を得るというお話もありました。そして今、それぞれの判断は国民にゆだねられていると、こう言われたんですね。そのためには、正に透明でなくちゃいけないと思うんです。今紹介した賃料が要らない議員会館を主たる事務所として三千万から四千万円もの額を事務所費に計上しているというのは、これはやはり私は国民から見て大変疑問だと思うんですね。

 新聞報道の中でインタビューをされておりますが、この伊吹文部科学大臣の秘書はインタビューの中で、議員会館以外に東京、京都の事務所の家賃で千五百万円、それから交通・通信費、印刷費なども月二百万円掛かると、こういうふうに新聞で述べております。

 そこで、これは総務省にお聞きするんですが、事務所費というのは、この逐条解説などを読みますと、政治団体の事務所の借料損料、公租公課、火災保険料、電話使用料、切手購入費、修繕料等、事務所の維持に通常必要とされる経常な経費が該当すると、こうなっておりますから、交通費は含まれないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(久元喜造君)

 今委員が朗読されたところですが、政治資金規正法施行規則別記第七号様式、この記載要領では、この経常経費のうち事務所費について、事務所の借地損料、地代、家賃、公租公課、火災保険金等の各種保険金、電話使用料、切手購入費、修繕料その他これらに類する経費で事務所の維持に通常必要とされるものをいうというふうにしておりまして、交通費が明示的にこの範囲、対象から除外しているという趣旨ではないというふうに考えています。

井上哲士君

 しかし、事務所の維持に通常必要とされる経常費に交通費が入るのかと疑問なんですね。しかも、ほかの政治活動費というのがちゃんとありまして、その中に組織活動とかというのが計上されるようになっているんです。ですから、その事務所費の中にこういうことがあるというのは、やっぱりどうも私は国民の目から見て大変疑問だと思うんですね。

 逆に言えば、今明示もされていないわけですから、明確な支出根拠がないということだと思うんです。私は、こういう不明瞭な支出は疑念を深めるばかりでありますし、松岡大臣の事務所に至っては、内訳は報告の必要がないので控えさせていただくということでコメントを出していないわけですね。私は、こういうコメントを出させないためにも、そして国民の信頼を得るためにも、この法十二条の二号に規定する事務所費を含む経常経費も領収書の写しを添付をして透明性を高めるべきではないかと思いますが、その点、総務大臣のお考えはいかがでしょうか。

国務大臣(菅義偉君)

 経常経費は、人件費に光熱水費、さらに備品・消耗品費及び事務所費の四項目が実はありまして、その中で収支報告書においてはその項目別の金額を報告すればいいと、そういうことになっています。これらの件について、その明細を逐一報告させ、またその領収書の添付を義務付けるということは政治団体側に過大な事務負担となる、そういうことでこのような規定になったということであります。

 いずれにせよ、今委員から御指摘のありました点に関しましては政治活動の在り方とも関連をしてまいりますので、政治団体側の今申し上げましたように負担の問題、そういうことを考えて、やはり各党会派の御議論をいただいて結論を得る問題であるというふうに思っています。

井上哲士君

 最初にも答弁ありましたように、やはり政治資金をガラス張りにし、透明にするというのは、やっぱり国民の信頼を得るために本当に大事なことだと思うんですね。

 そもそも、政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、こう述べた上で、理念としても、この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにするというのが基本理念としても掲げられているわけです。

 ですから、今、政治団体の事務負担のことも言われました。金額をどうするかとか、それはいろんなやり方が私はあると思うんです。しかし、今こういう事態があり、そして先ほどもマスコミの社説なども紹介いたしましたけれども、これで本当にガラス張りなんだろうか、こういう声も出て、国民の厳しい目がある中、私はできる限りの透明度をもっと高めることは必要だと思うんですね。もちろん各党間のいろんな議論はありますけれども、しかし、やはり政治と金を担当する大臣としてもっと前向きの決意なりが必要かと思いますけれども、改めて答弁を求めたいと思います。

国務大臣(菅義偉君)

 冒頭、私申し上げましたけれども、やはりこの政治資金規正法にのっとり、やはりしっかりと行うべきであるということは当然のことだというふうに思っています。

井上哲士君

 であれば、本当にやはりこの基本理念を文字どおり遂行するというためにも、今、例えば地方議会などでもいろんな政務調査費の公開や領収書添付などいろんな改革が進められております。私は、国会も、国会議員も一層の透明度を高めるということは必要でありますし、是非この十二条一項二号の改正をするという点で、政治と金を所管する総務大臣としてのイニシアチブも発揮いただきたいし、各党間にもこういう問題を私たちとしても一層詰めていきたいと、こう考えております。やはり、国民の疑念を放置をしたままでは内閣の真価も問われるのではないかと、このことも申し上げまして、私の質問を終わります。


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