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2007年5月29日(火)

文教科学委員会
「学校のいじめ自殺」の被害者の「親の知る権利」について

  • いじめ自殺問題で、親も含む被害者の「知る権利」はもっとも基本的権利であり、再発防止のためにも学校と親の情報の共有は欠かせないことをあげ、伊吹文科大臣に被害者の願いにこたえるよう求める。また、今後の学校の評価でいじめの数値目標を競うことにならないよう求める。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、学校教育法改正案に盛り込まれた学校評価にかかわって、いじめ問題に対する学校や教育委員会の対応について質問をいたします。

 まず、親の知る権利についてお聞きします。

 先日、いじめによる自殺で我が子を亡くされた被害者の親の皆さんと、日本共産党として、親の知る権利について要望書をいただいて、懇談をする機会がございました。昨年の福岡や北海道滝川のいじめ自殺の遺族の方など要望に来られたわけですが、それ以外にも約八十人の遺族の方がこの要望書に賛同をされておられます。

 この要望書は当日文部科学省にも届けるというお話でございましたが、まず確認をしておきたいんですが、大臣のところには届いて、読まれたでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 五月の二十五日だったと思いますが、国会等の呼出しがありまして、私は直接お会いすることはできませんでした。

 民主党の千葉先生の御紹介で、小森さんという方の名刺が付いておりましたが、滝川と福岡の筑前町のいじめ自殺の御遺族など四名が文部科学省に来られて、池坊副大臣に要望書を手渡されて、池坊副大臣から私が受け取って、目は通しております。

井上哲士君

 あの遺族の方々は、いじめなどで子供が自殺をしても、学校や教育委員会から情報が来ない、そして、学校で何があったか分からないということを訴えられました。

 要望書の中では、親の知る権利についての遺族の思いを様々書かれております。耳を覆いたい事実があるかもしれませんので今後生きていく上では知らない方が楽かもしれません、しかし、遺族となった親にとりましては、せめて我が子の身に起きた真実を知りたいのですと。残念ながら、亡くなった我が子に一番近いところにいるはずの親が、個人情報の名の下で行われている偏った情報管理のために真実から一番遠く追いやられているのが現実ですと、こういうふうに書かれておりました。

 あわせて、様々そういう全国の実例についても一覧表をいただきましたけれども、例えば、これは東京町田市の例として書かれておりましたが、遺族が事故報告書ができているはずだと、その開示を学校に求めたわけですが、学校はそういうものを作っていないと、こういうふうに言われるんですね。その後、市教委と交渉すると、実は報告書が出ているということが分かりましたものですから、校長に再度見せてくれと言ったら、それは皆さんに見せるために作ったんじゃないということで見せていただけなかったと。ところが、その事故報告書のコピーは市教委によって、いじめた生徒の名前を塗っただけで、市議会の文教委員会、秘密会ではあったそうでありますけれども、配付をされたと。なぜ親には見せないんだと、こういうことなんですね。

 それから、同じように、これは鹿児島の例でありますけれども、校長は遺族には口頭でしか説明をしないと。ところが、市議会やマスコミには事件に関する膨大かつ詳細な資料がコピーで渡されている。かつ、学校は、全校生徒七百人にアンケートを取っているんですが、これは、親が見せてくれと言ったら、公表しないと生徒に約束したということで、わずかな概略を説明しただけで見せてもらえなかった。ところが、この鹿児島の例も、市議会の総務文教委員会に学校はアンケートを提出しておりまして、マスコミにもコピーが配付をされたと。ですから、遺族はマスコミを通じてその内容を確認をするけれども、中には明らかな誤解があったということで訂正を求めていると、こういうような例も書かれておりました。

 この我が子に一番近いところにいるはずの親が真実から一番遠く追いやられているという現実と、こう被害者の皆さんが訴えられているこの状況を、大臣、どう受け止めていらっしゃるでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 事実関係については、一部司法の手にゆだねられているような部分もございますし、一つ一つその確認をして、やっぱり慎重にお答えすべきことだと思います。

 一般論として言えば、自殺などの問題が起こったときに、学校や教育委員会は隠すことなく家庭や地域にそのことをお話ししなければならないということは、私は当然のことだと思います。問題の存在はなかなか認めないという教育委員会や学校の体質にむしろ問題があると思います。ですから、当然遺族の方と情報が共有されなければならないというのは先生の御指摘、一般論として言えばですよ、御指摘のとおりだと思います。

 それと同時に、これも一般論として言えば、亡くなられた児童と最も近いところの親にあるいは保護者に情報を遮断するという人たちも困る、誠にそれは困ることですが、一般論として言えば、亡くなられた子供さんに一番近いところにおられる親が子供さんと相談を受けておられたのかどうなのか、子供さんから得られた情報を学校にどう提供されているのかどうなのかということもやはりよく考えて、児童生徒が一番の被害者でありますから、お互いに相手を非難するんじゃなくて、情報を保護者も学校と共有しながら子供を守ってやれるような私は日本であってほしいと思います。

井上哲士君

 正に被害者の方が言われているのも今大臣が言われたことなんですね。

 二つ言われておりまして、一つは、再発防止策を立てるためにも事実の確認が非常に大事だということ、もう一つは、親にはやはり我が子について知る権利があると、この二つのこと言われております。

 国連の被害者の人権宣言というのが出されておりますが、そこではその家族を含んだ被害者の知る権利は最も基本的な権利として認められておりまして、学校や教育委員会が知り得た情報を個人情報保護の名の下にやっぱり親に知らせないということは被害者の知る権利や親の権利を侵しているんじゃないかと、こういうこと。もう一つは、正に親と学校が真実を共有してこそ再発が防止できるんだと、こういうことも被害者の方は言われている。ですから、学校で何が起きているのかということを知ることができるシステムをつくってほしいと、こういう要望なわけですね。

 ですから、事実調査の経過や結果をやっぱり第一に被害者や遺族、そして加害者として名前が挙がっている本人や保護者や当事者に報告してほしい。それから、事故報告書には必ず遺族を含めた当事者の意見を併記するように、そういう言わば事項のフォーマットも作成をしてほしい。こういうことも言われておりまして、ですから、自分たちに状況も聞いてほしいし、そして学校が持っている情報もちゃんと伝えてほしい。そうやって共有してこそ問題の解決にもなるし親の知る権利も守られるんだと、こういう立場での具体的な提案をされているわけで、私、やっぱり親の知る権利ということも踏まえ、そして再発防止のためにも、こうした遺族の皆さんの提案にこたえて具体化をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 ちょっと先生、意図的ではなかったと思いますが、私のもう一つお願いしていることを先生おっしゃらずに、正に言っているとおりだということをおっしゃいましたけれども、私が申し上げているのは、それは確かにその学校や教育委員会というのは、一番子供と身近なところに情報を遮断しているのは私はおかしいと思いますよ。しかし、親は一番身近なところにいるわけですから、子供から相談がなかったんでしょうか。あるいは、子供から相談がないような関係であったらやっぱり困るんですね。そして、親は、一般論としてですよ、これは、一般論として言えば、やはり相談を受ける、子供との間に相談を受けるだけの親子関係を確立して、そしてその子供のつらさを学校へやっぱり情報提供するという、双方のこれはこの流れの中で子供というものの命をやっぱり守っていかなければならないんですよ。

 ですから、今のは私はシステムの問題じゃなくて、事実を隠ぺいしたいという、今の例でいえば、あの問題が起こったときは私は即座にそれはけしからぬことだと申し上げたように、教育委員会、学校現場の問題もございます。しかし、一般論として言えば、保護者の方も常時、子供に一番身近なところだとおっしゃるわけだから、子供の苦しみをやっぱりよく理解できるような親子関係の中で、情報を学校にも提供するという、双方の気持ちの中に子供というのは守られていくんだということだけは、一方通行じゃなくて、私は理解しておくべきだと思いますから、これはシステムの問題じゃなくて、むしろそういう人間関係が不十分なところに起こっていることが起こらないようにするためには、行政サイドは隠ぺい体質をやめさせるという努力をいたします。同時に、親御さんもまた、家庭というもので教育が一番の原点だということであるわけですから、子供の苦しみを聞いてやれる親、そしてそれを学校へしっかりと届けて、それでもなお学校が不十分なときは学校に対して十分のやはり社会的制裁が下されるという関係でなければならないと思います。

井上哲士君

 私が同じと申し上げたのは、この要望書の中でも、事実調査については学校の調査だけでなく被害者や遺族の意見を重視してくださいと。要するに、被害者や遺族によく聞いてくださいということも言われているということを指して申し上げました。

 今大臣答弁ありましたけれども、一般的なその隠ぺい体質ということとその親の知る権利ということは、共通ですが別の話なんですね。先ほど申し上げましたように、報告書があって、マスコミなどには一部出たり、議会には出されていても、親に知らされない。ですから、家族や地域や保護者といじめなくすために様々な協力をするということは当然なんですが、その中で、やはり親については特別に知る権利がある、そして、そこにはきちっとやっぱり情報を提供するということは特別の問題として重視をしてほしいと、こういうことなんです。一般的な隠ぺい体質じゃない。

 そこは、しかし、ですから、例えば調査報告書などは、ちゃんと教育委員会に出したものは例えば親にもお見せするとか、そういう形のシステムとして確立をしてほしいという願いなわけです。その点いかがでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 これは、いじめというのも千差万別ですし、子供の尊い命が失われるというのもいろんな状況によって違ってきますから、一概にシステムという問題で私はこれを処理すべきことではないと思うんですね。

 先生のおっしゃっていること、私は不同意じゃないんですよ。今回のことについて言えば、私は明らかに隠ぺい体質があったと、積極的に親御さんにお示しすべきことだったと思います。ですけれども、システムの問題じゃなくて、だから、一般論として言ってしまえば、やはりこれは人間の信頼関係、相互関係をいかに日常的に築けているかという問題になるんですよ。そのためには、親御さんも子供との間の信頼関係を築いて、一般論として言えば、そして、こういううちの子供は悩みを抱えているということを命を失われる前に学校にインプットしていただかないと困るんですね。そして、学校もまた、子供さんがこういう状況であるということを進んで御家庭にお知らせして、そして、むしろ未然に命を絶たれることを防いでいくと。

 不幸にも命を絶たれた場合には、そういうものを一方に、どこか、議会に出してマスコミに出して、御本人の親御さんに見せないなどということのような人間関係であっちゃ本来いけないんですね。だから、常日ごろの双方の情報交換と人間関係をやっぱり保護者と学校とが双方で努力をしてつくり上げていく、そういう学校現場の努力を促すということは私はやりたいと思います。

井上哲士君

 現在進行形のものについてそういう対応していく、それは必要であります。同時に、今私が問題にしているのは、不幸にもそういう事件が起きてしまったときに、やはり圧倒的に学校側の方に様々な情報量ありますし、アンケートなども学校取るわけですね。そして、人間関係と言われましたけれども、現に被害者の皆さんはこういう現実があるということを踏まえた上で、踏まえた上で、例えば事故報告書には遺族を含めた当事者の意見を併記するような欄を作るとか、やっぱり現実に親の知る権利が生かされてないという現実がある以上、システムとしても前進をさせてほしいと、こういう思いなわけですから、私はこれ是非、現実に十分に親の知る権利が保障されてないというものがある以上、システムとしてもやっぱり前進をさせていただきたいと、こういうことを、親の皆さんの気持ちを是非受け止めていただきたいと思うんです。

 その上で、今、現在進行形のいじめの問題も大臣からございましたけれども、このときにも当然親の知る権利は私は認められるべきだと思うんですね。民法上の養育義務を果たす上でも事実を知ることは必要でありますし、逆に子供が安全に生きる権利を保障するという点でも親が知ることは必要であります。

 去年、いじめが大問題になったときに、十月に文部科学省として通知を出しておりますが、その中に「いじめを把握した場合には、速やかに保護者及び教育委員会に報告し、適切な連携を図ること。」と、こういう文言があるわけですが、これはやはりこういう、当然保護者、親に知る権利があるということを踏まえたことだということでよろしいでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

 昨年の十月十九日に発しました局長通知を引いてお尋ねがございました。あの局長通知は、基本的には、いじめの問題に対して問題を隠さないで、学校、教育委員会、家庭、地域が連携して対処をしていくべきだという考え方から発したものでございます。

 具体的には、いじめの問題については学校のみで解決することに固執してはならない、学校においては、いじめを把握した場合は速やかに保護者及び教育委員会に報告をし適切な連携を図ること、保護者等からの訴えを受けた場合には、まず謙虚に耳を傾け、その上で全員で取り組む姿勢が重要であること、こういったことを徹底をしていこうという趣旨でございます。

 先ほど来のお話にもございましたように、子供の教育について第一義的な責任を負って子供の安全、安心について大きな関心を持つ保護者の方が情報を知りたいと、また情報を学校が提供して、情報を共有をして連携を図るということは当然必要なことでございまして、そういう趣旨で指導を行っているものでございます。

井上哲士君

 情報の共有は当然必要なんだということなんですが、これと、通知と一緒にいじめ問題への取組についてのチェックポイントというものも配付をされているわけですが、これを見ますと、「児童生徒等の個人情報の取扱いについて、ガイドライン等に基づき適切に取り扱われているか。」、こういうポイントはあるんですが、いじめが起きた場合に保護者に速やかにやはり情報を提供するということが明記はされていないわけですね。

 私は、やっぱりこれでは親の知る権利が後景に追いやられ、しっかり情報を共有して取り組むということにならないと思うんですが、この点、チェックポイントの中にも明確にそういうことを明記すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

 昨年の十月十九日に示しましたチェックポイントは、通知の別添資料として、具体的に点検すべき項目の参考例として示したものでございます。

 今お尋ねの点でございますけれども、このチェックポイントにおきましては、学校向けのチェックポイントの中に、いじめについて訴えがあったときは、問題を軽視することなく、保護者や友人関係等からの情報収集等を通じて事実関係の把握を正確かつ迅速に行い、事実を隠ぺいすることなく的確に対応しているか、それからもう一点でございますが、いじめが起きた場合、学校として家庭との連携を密にし、一致協力してその解決に当たっているか、いじめの問題について学校のみで解決することに固執しているような状況はないかと、こういった書きぶりで保護者との連携協力について示しているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、通知本文におきまして、いじめを把握した場合、速やかに保護者及び教育委員会に報告をし、適切な連携を図ること、実際にいじめが生じた際には、正確な情報提供を行い、事実を隠ぺいしないということを通知本文においても記載をしているところでございます。

 私ども、このいじめの問題については、とにかく問題を隠すことなく、学校、保護者、そして地域、教育委員会、一致協力して問題に当たるということが最も大切なことだと思っております。

井上哲士君

 確かに一般論としては事実隠ぺいすることなくと、こうあるわけですが、私、先ほどから繰り返していますように、やはり被害者の親というのは特別の立場があり、特別の思いがあるわけですから、そこにきちっと報告し、情報を提供し、共有するということは、やはり特記されるべきだと思うんですね。この中にやっぱり一般的にうずもらしてはならないと思います。そこは是非お願いをしたい。

 さらに、このいじめ問題でのいわゆる学校の安全配慮義務についてお聞きをいたしますが、二〇〇二年一月の東京高裁の判決で、学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全確保に配慮すべき義務があり、特に生徒の生命、身体、精神、財産等に大きな悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときは、そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため、その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があるということで、この学校側の安全配慮義務について認める判決を下しておりますが、文部科学省としては、このいじめ問題での学校の安全配慮義務についてどういう認識で、どういうふうにして徹底をされているでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

 いわゆる学校の安全配慮義務につきましては、ただいまお話がございましたように、平成十四年の一月の東京高裁判決におきまして、学校に一般的な生徒の安全の確保に配慮すべき義務があるという判決が出ているわけでございます。

 文部科学省としては、こういう学校における教育活動及びこれに密接に関連をする生活環境における生徒の安全の確保に配慮すべきことは、これは大変重要なことでありますし、いじめ対策の前提となる重要な考え方だと思っております。

 昨年の十一月の二十一日に関係判例とともにこの考え方を教育委員会に周知をしているところでございます。また、本年に入りましてからも、都道府県教育委員会等の生徒指導主事を集めました会議など複数の会議におきまして、教育委員会にこの安全配慮義務という考え方について周知をしているところでございます。

井上哲士君

 周知されているということだったんですが、やはり安全配慮義務というのは、いじめを継続させないと、そこまでがこの義務だという、その中身の核心を是非周知していただきたいわけですが、同時に、被害者の会の会長さんが奥さんと一緒に車で全国行脚をされて、四十七都道府県を全部回って講演されています。各県の教育委員会に行かれて、とにかくこれ以上いじめ被害者を増やしたくないという思いから懇談をされているんですが、どの教育委員会でも、この安全配慮義務について、少なくとも対応された方からは知らないということだったと、こういうお話なんですね。

 結局、あれこれのいろんな文書の中の一つになっているんじゃないかと。被害者の方々が最も願っていることがこういうことではこれはまずいわけでありまして、更に私はきちっと徹底をしていただきたいと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

 学校の安全配慮義務につきましては、これまでの判例等も私どもお示しをしながら周知を図っているところでございます。昨年十一月には文書によりまして周知も図っているところでございますが、引き続き、会議等の場を通じまして、機会をとらえて周知に努めてまいりたいと思っております。

井上哲士君

 いじめ問題については教育基本法の質疑のときも問題になりました。そして、私たちは、今後、国が教育振興基本計画の中にいじめをなくすための数値目標を定めるということは、逆にありのままを報告をして実態に即して対応することを妨げてしまうのではないかと、こういう指摘もしたわけでありますが、今、振興基本計画の議論がされていると思いますが、このいじめ問題というのはどういうふうに盛り込まれようとしているんでしょうか。

政府参考人(銭谷眞美君)

 昨年改正をされました教育基本法に基づきまして教育振興基本計画を策定すべく、現在、中央教育審議会におきまして教育振興基本計画特別部会を立ち上げて議論をしているところでございます。

 この教育振興基本計画に盛り込む内容は、改正教育基本法に規定をされました新たな教育の目的や理念を実現するための施策を総合的、体系的に実施するための事項を盛り込むということになろうと考えておりますが、具体的な内容については、今議論が始まったところでございまして、その議論等を踏まえつつ検討していくということになるかと思っております。

井上哲士君

 いじめ問題で五年で半減とか、こういう数値目標を持つというのは逆に解決の妨げになるというのは、実はこのいじめ自殺の被害者の皆さんの要望書にもある、言わば共通認識なんですね。この要望書の中では、正しい情報が収集されるように、目標数値の設定はやめてくださいと。現場の先生は目標数値内に収めなければ様々な評価に響くので本当の数字は書けず、今のシステムでは正しい調査結果は望めませんと、こういうふうに述べておられます。

 今後、これから学校評価が進められていくわけでありますが、こういう数値目標などが項目や指標になっていくということになりますと、やはり被害者の遺族の皆さんの懸念するような事態になると思うんですね。やっぱり問われるのは、いじめの多い少ないじゃなくて、どういうふうになくすかについて取り組んでいるかと、こういうことがしっかり徹底されなくちゃいけないと思いますが、それに反するような評価になっては私はならないと思うんですが、その点、大臣のお考えをいただきたいと思います。

国務大臣(伊吹文明君)

 先生が正におっしゃったように、いじめを減らすんじゃなくて、どういう努力をしていじめがなくなるかということが大切だとおっしゃるのはそのとおりだと思いますよ。

 ただ、目標をつくったから、その目標に合わすために隠すという人も困ったものだけれども、目標が全くないから、野方図に行政が現場で行われるというのも困りますので、要は教師、教育委員会を含めて、何度も私、申し上げておりますけれども、規範意識というのか、隠ぺい体質を払拭しない限りこの問題はいい方向へやっぱり先生、向かわないんですよ。

 ですから、システムとかどうだとかということではなくて、私どもも、御遺族が考えておられるような痛みをやっぱり共有できるような教師や教育委員会というものをつくっていくために最大限の努力をいたします。

委員長(狩野安君)

 時間ですから。

井上哲士君

 問題点を助長するようなシステムになってはならないと思います。是非、遺族の皆さんの願いに正面からこたえていただきたいと思います。

 終わります。


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