ありがとうございます。
まず最初に、今非常に私にとって大事な御質問をいただきました。読売新聞、それから地元では神戸新聞が大きく出していただきました。兵庫教育大学、運営交付金九割削減という、それを出していただきました。もう地元の市長さんからもすぐお電話をいただきまして、どうなりますかという話でした。県の関係者あるいは県教組の書記長等々、いろいろとお電話をいただきました。
こういう世の中を騒がせる理不尽な話が横行する時代なのかというのが私の率直なあれです。なぜ理不尽かというのはお分かりいただけますね。科研費というのはごく一部分の、研究の成果を測るごく一部分の話なんです。例えば、GPという形で大学でいろんな研究費を取ります。これは兵庫教育大、随分取っております。あるいは、大体そういうもので本当は研究の成果というのは測るべきではなくて、本とか論文とか学会発表なんです。これは随分我々やっております。よく私ども言っておりますが、教育で科研費で取ったって一件百万、二百万ですよ。工学部で取れば一件五千万、一億ですよ。そういうものを比較されてどうなるかというのがまず理不尽なということです。
成果で私、測っていいと思うんです。じゃ、どういうことを教育系で見ていただきたいか。簡単です。
例えば、兵庫教育大は三十年前、新構想大学ということで特別につくられた大学なんですよ、何にもないところに。もう師範の伝統も何にもないところなんですね。じゃ、何のためにつくられたか。現職の先生を大学院レベルで二年間マスターコースで勉強してもらって、新しい力を付けて現場に帰っていただいて活躍してもらうということ。
じゃ、それやっていないのか。これはミッションですよね、ミッションその一ですよ、やっていないか。今年度も三百人の現職の先生が北海道から沖縄まで来て、そのうちの二百十何人は給料をもらいながら、出張旅費をもらいながらという派遣で来ておられます。三百人なんということはほかにありません。これは今までの成果が積み重なってなきゃ、だれが都道府県こんな財政不如意のときにあの兵庫教育大に、一人出すと二千万掛かると言われているんです、代わりの先生の給料も含めていろいろと考えますと。だれが出しますか。三百人来ているということは、これまでの成果があるからなんでね。ついでに言っておきますと、あと二つの上越と鳴門も百何十人のレベルですね。しかし、その中で一番あれです。もちろんほかの教育系でこんなに来ているところはありません。三大学以外にありません。これが一つですね。
それからもう一つ、その後、学部を付けていただきまして、教員養成もしております、普通の。これは、ずっと兵庫教育大は教員採用率ナンバーワンです。つまり、ちゃんと教育した人が現場に行ってやるというのは兵庫教育大に肩を並べるところはないんです。
すると、その二つの、現職の先生を大学院で勉強してもらって活躍してもらうということ、そして兵庫教育大学で小学校や中学、高校の免許を取った人が現実に採用されてそれが現場で活躍すると、この二つをずっとやってきた。これがなぜ評価されないで、とんでもない、理不尽な、非本質的な、全く違うところでああいう新聞記事が出なきゃいけないのか。普通の人はあれで兵庫教育大は来年からなくなると思っております。こういうことは私は、成果主義という名前の下にこういう議論が横行するのは困りますので、是非皆さんの、先生方のお力で本質的な議論をやるようにお願いしたいというふうに思っています。これが一番目です。
それとのかかわりで、更新制とそのほか今幾つか言われていることについて簡単に申し上げます。
これは、昨年七月に中央教育審議会で答申を出しました。やはり現場の先生方にもっと力を付けてほしいということで、三本柱の答申を出しました。私は教員養成部会の部会長でもありますので、私の責任で審議をしてまとめました。いろんなこれ議論があります。ですから、私が部会長だからこの答申と同じ意見だと、必ずしも、ではない部分あるんですけれども、しかし立場上、どういうふうなことがあったかと申し上げますと、まず三本柱。十年の更新制と、それから教職大学院を発足させるということと、もう一つが学部段階の教員養成のカリキュラムを全面的に見直すということです。これは全部、大体、教職大学院は二十年度から、それから今の更新制と教職課程、これの見直しは二十一年度からいくということで準備をしております。
その中で、更新制、十年一回、これは非常に議論がありました。かいつまんで言いますと、これで、先生方、嫌になるじゃないかというのはこれは当然あります。しかし同時に、専門職というのはそういうものなんだと、十年したら子供も変わる、親も変わる、指導要領も変わる、社会からの学校に対する期待も変わる。じゃ、やはり更新というか、十年に一回リニューアル、もう一度新しい知識やら新しい状況についての認識やらをインプットして、新しい気持ちでやる必要があるんじゃないか。
これは、実は教師だけではなくて医者であろうと何であろうとそういうことであって、これから専門職の免許には全部それを入れていかなきゃいけないんじゃないかと。例えば、お医者さんで七十、八十のお医者さんが子供を診てくださる、うれしい話です、これはいいおじいちゃんが。でも、やはり病気も少しずつ変わっていく部分もあるでしょう。特に治療法も変わっていきます。やはり医者だって本来は十年に一回やってもらわなきゃいけない、そういうことで入れた。最後に、いろいろと議論ありましたけれども、それに落ち着きました。
私は今回、これを本当に今回の教育職員免許法の改正に入れるかどうかということについてまた改めて、御承知のように三月十日までずっと中教審議論いたしましたので、改めて皆さんで議論しましたけれども、やはりリニューアルという意味での更新制はこれから必要だろうと。これはしかし、教師だけではなくてあらゆる専門職にこれから免許を考えなきゃいけないだろうという、そういう結論が出て、なったということを申し上げておきたいと思います。
それからもう一つ、ちょっと違うようですが、先ほど尾木先生もおっしゃいました学校に副校長とか主幹とか指導教員、これも随分、三月十日に答申出すまでに議論がありました。しかし、やはり今度文部科学省が先生方の残業の実態調査をしました。これでごらんいただくと分かるように、今すごく多いんですよ。同時に、教頭さんがぬきんでて多いんです、残業が。だから、校長を支えるというのは大変な話なんです。これを、今までは校長がおって教頭が一人、大きいところで時には二人、あと教諭ということで、なかなかうまくいってない。そこを、教頭を助けるいろんな職が要るだろう。校長を助けるいろんな職が要るだろう。しかし、これは強制じゃない。学校教育法に書いておいて、そして、これが設置者において必要があればそれに応じてつくっていくというそういう枠組みをつくる。
もう一つ大事なのは、それによってやはり給与の、やはり今までは教諭は教頭にならなければ給与は改善されなかった。やはり、中間的にいろいろと上がっていく、給与表は別にしまして、はっきり言うと中だるみといいますか、管理職にならなければ給与は上がらないという、そういう問題をこれを解決しよう、これを突破口にしようと。
もう一つは教員の定数の問題であります。毎年毎年減らされております。もっと言いますと、改革推進法の中に書かれておりますけれども、子供の減少の数を超える程度の教員の数の削減というようなことが言われておる。これ私はもう、これもちょっと私は暴論じゃないかと思っております。だんだん難しくなるんですよ。そうしますと、やはりそういう副校長、主幹ということをつくって、これも別枠にしながら、そして教員の定数の改善にここからもアプローチできるんではないか。
ですから、待遇と給与の問題を副次的に入れながら、しかし一番大事なのは、学校が自主的あるいは自律的にやっていくためには、校長を助けるいろんな職があって、それをやっていかなきゃ結局ごく一部の人にしわ寄せがあって、結局破綻してしまうと。そういうところで踏み切ったということでありまして、その辺も御理解いただきたいと思います。