2007年6月14日(木)
文教科学委員会
教育3法案について
- 教育3法案に盛り込まれている教員免許更新制導入の現実性について追及する。
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
今日は、いわゆる指導が不適切な教員への人事管理の問題と、教員免許更新制について質問します。
先日も取り上げたんですが、ILO、ユネスコの教員の地位に関する勧告は、教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとって不可欠であるということは言うまでもなく、教育の利益のためにも不可欠だと、こういうふうに述べております。先日、私取り上げて以降、現行の指導が不適切な教員の人事管理がこの勧告に照らして問題があるという全教の訴えに対して、ILO、ユネスコの合同専門家委員会が日本に調査団を派遣するということを決めております。これは世界的に見ても初めてのことのわけですね。
まず、大臣にお聞きしたいのは、文部科学省としてこういう調査団が日本に派遣されるということをどのように受け止めていらっしゃるか、そしてこの調査団に対して積極的に協力する用意があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
- 国務大臣(伊吹文明君)
まず、ILOとユネスコの合同専門家の委員会が日本に来られるということは存じております。
そして、教員の地位に関する勧告、これは各先生も御承知だと思いますが、第二次世界大戦後の、今から六十年前ですが、後の社会経済の進展に対応した教育の普及、改善を図るに当たり、それに主要な役割を果たすべき教員の量的不足、質的低下が世界各国の共通の課題となっているため、優秀な人材を多数教員として確保することを目的として、教員の経済的、社会的地位を高めるために作成されたというのがそもそもの出だしであります。この教員の地位に関する勧告に反するとして、全教というんですか、が申し立てられた事項の調査が目的で来られるということはよく承知をいたしております。
調査団が公平公正な観点から、指導が不適切な教員に対する人事管理システム等に対する事実関係をしっかりと学んでいただく、調査をしていただくということであれば、文部科学省としてそれを受け入れて、丁重に応対するというのはごく当たり前のことですし、また、我々も、これまで我が国の国内の実情を考慮して国内法の中でどういうことをしてきたか、そして、教員の地位に関する勧告というその六十年前の勧告そのものは別に強制力があるものではありませんけれども、その精神を大切にしながら対応しているということは十分御説明申し上げたいと思っております。
- 井上哲士君
優秀な人材を教員に確保するということは正に今我が国で求められていることでありまして、だからこそ私はこの勧告というものの現代的意味は非常に大きいと思うんですね。
今回の調査の目的は、指導力不足教員の認定に当たって本人からの意見聴取手続が確保されていないということが大きな争点となっております。私も先日、様々な現行の運用などの問題も指摘をしたわけでありますが、今回この人事管理を強化をするということが盛り込まれておりますけれども、こういう一番基本的な点で国際的に問題になっている以上、この結果を待って再検討すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
今御審議をいただいております教育公務員特例法の改正、この中でも、指導が不適切な教員の定義の問題、指導が不適切な教員の認定基準の問題、それから認定時において教員に弁明の機会を与えるなどの手続の明確化の問題、認定時において公正な第三者からの意見を聴取をして適正な認定が行われるよう手続を整備する、こういった観点を踏まえまして、法律そのもの、あるいは施行通知、ガイドライン、こういったものの作成、周知を通じまして制度の改善を行うこととしているところでございまして、私どもといたしましては、こういった制度の改善等を通じてこの指導が不適切な教員の認定ということは的確に行われるものだと考えているところでございます。
- 井上哲士君
先日も申し上げましたけれども、やはり現行の在り方、運用自身が様々な問題があることをまず正すことが必要だと思うんですね。
その中で、今回強化されるわけですが、これまで地教行法では、いわゆる指導が不適切な教員に対して、免職し、引き続いて当該都道府県の常時勤務を要する職に採用することができると、こうしておりました。それを今回のこの改正で、指導を適切に行うことができないと認める教諭等に対して、免職その他の必要な措置を講ずるものとすると、こうなりまして、免職というものが前面に出てきたわけですね。
こういう規定に今回変える理由、そして、その他必要な措置という中には何が含まれるのか。いかがでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
今回の教育公務員特例法の改正案の二十五条の三に規定されております免職とは、地方公務員法の二十八条第一項に規定をされている分限免職のことでございます。
それから、その他の必要な措置とは、一つは地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十七条の二第一項によります県費負担教職員の免職及び都道府県の教員以外の職への採用、それから二つには、地方公務員法第十七条第一項によります教員以外の職への転任、それから、指導改善研修の再受講などが考えられるところでございます。
- 井上哲士君
先日も定義のあいまいさとか認定基準、それから研修の中身なども指摘をしたわけでありますが、そういう問題がある下で、この免職が殊更この法律の中で強調されているというのは私大変重大な改定になると思うんですね。
それで、指導が不適切な教員と、それから分限免職の処分というのは、六年前の地教行法のときも随分議論になっていますが、明確に答弁では区別をされております。当時、遠山大臣は、分限処分に該当するかどうかというのは、それぞれの個人にとりまして身分上の変化にかかわる大事なことでありますので、児童生徒に対する指導の不適切さだけではなく、公務員一般に当てはまる勤務状況全般について判断されると、こう述べております。また、別の答弁では、分限免職となる場合というのは、指導の不適切という範疇ではなくて、既に授業などの指導が放棄されていたり、あるいは児童生徒が授業中に騒いでも全く指導を行わない、そういう場合と考えられておりまして、指導が不適切ということと分限免職の対象となるケースというのは別のものであると、こういう答弁もされているわけですね。
このように、別の範疇、そして対象となるケースは別と明確に言われていたわけでありますが、いつからこの指導が不適切ということと公務員法上の分限処分に該当する適格性欠如というのが同一のものになったんでしょうか。これ、大臣の答弁ですから、大臣、いかがでしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君)
いつから別のものになったという御質問ですが……
- 井上哲士君
同じものです。
- 国務大臣(伊吹文明君)
同じものにはなっておりませんですよ。我々は、再三申し上げているように、指導が不適切な教員と分限処分の対象となる教員についての考え方は、今回の提出しております法律においても何ら私は変わっていないと思います。
特例法の二十五条の二の指導が不適切な教員の認定は、児童生徒に対する指導が適切か否かという観点からこれは判断されるものですね。そして、指導改善研修を実施してもなお指導を適切に行うことができない場合は、これは任命権者がその権限と責任において当該教職員の状況に応じて分限処分、教職以外への転任研修など必要な措置を講ずるわけですから、そこは判然と分けているわけで、従来からの考え方と何ら変わってないと思いますけれども。
- 井上哲士君
しかし、法律の書きぶりが免職その他の措置と、こうなっておりまして、非常に免職というものが前面に出ていると。ここにはやはり明らかにこの違いがあると思うんですね。そこはどうでしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君)
それは立法政策上というか、法文の書きぶりのことであって、従来から分限処分の中にはいろいろなものが含まれているということはこれはもう先生だって当然お分かりのことですから、特に私は内容が変わったとは思っておりません。
- 井上哲士君
遠山大臣が当時言われていたように、指導が不適切だということと公務員の適格性の欠如というのは別の範疇だということが維持されているということは、それじゃ確認をしておきます。
その上で、免許更新制度についてお聞きをいたします。
子供たちと向き合う教員の役割というのは非常に重要でありますし、社会や子供たちの変化に対応しながら、その力を教員の皆さんが高めていくということは本当に大事だと思います。しかし、そのためにこの免許更新制度というのが果たしてふさわしいのかどうかと思うんですね。
この間、参考人質疑や地方公聴会でも、教職員の身分を不安定にするという点でも、それから現場から切り離して研修をするという点でも、むしろ子供たちと向き合う力を付けるということに逆行するんではないかという御意見も出されました。むしろ自主的研修の保障こそが必要だということは、これは法案の賛否を超えて様々な御意見がありましたし、更新制度賛成だという方からも、制度の公正性、研修の中身、これが決め手なんだと、こういうことも共通して指摘をされました。
そこで、この教員免許更新制度の現実性や具体性について今日はお聞きしたいんですが、先ほど、これができますと現職教員が毎年約十万人講習を受けるという答弁でありましたけれども、そのうち小学校の教員、中学校の教員は何人ということになるでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
現在、小学校の先生は約四十二万人、中学校の先生は約二十五万人でございます。したがって、十年ですべての現職教員の方が均等に受講するとした場合、毎年最大で小学校の先生が約四万人程度、中学校の先生が二万人強というふうに想定をされているところでございます。
- 井上哲士君
全体で十万人、小中学校でいいますと六万人ということですから、大変な規模になるわけですね。そのかなりの部分の更新の講習を教員養成系大学が担うことになると思うんですが、この実施について講習の受入れが可能なのかどうかということは、そういう可能性が高い大学と状況について聞き取りをしたり、シミュレーションなどは文部科学省としてされているんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
極めて大ざっぱにちょっとまず申し上げますと、毎年約十万人の更新講習の受講者が想定をされるわけでございます。現在、教職課程の認定を受けている大学が八百五十校ほどございます。そこで、この十万人の方が八百五十校の課程認定大学で仮に受講すると、こう考えますと、一校当たり約百二十人ぐらいの受講者を受け入れるということになります。ですから、課程認定大学すべてが認定講習を行うとすれば、一校当たり百二十人の方に対して三十時間、一日六時間としますと五日間の認定講習を実施をしていただくということになるわけでございます。
ですから、もちろん大学によりまして準備が整うところ整わないところあるかと思いますけれども、私どもとしては決して無理な規模ではないというふうに考えております。
- 井上哲士君
八百五十校というのは本当に小さい規模も含めてあると思うんですね。ですから、大体、地方の教員養成課程を持つ中規模なスタンダードな規模の大学でいいますと、私はやはり数百名規模の受入れをするということも出てくると思うんですね。果たして制度をつくってもそういう受皿が大学にあるのかどうなのか、そのことが十分に検証されていると思わないんですが。
今、数の問題を言われましたけど、その上で、個々の大学、主な大学などに実際どうですかという聞き取りなどはされているんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
もちろん免許更新制について検討をいたしました中央教育審議会などでそれぞれの教員養成大学の先生方からもいろいろお話を伺っているわけでございますが、具体的には、法案をお認めをいただきましたら、二十一年四月の開設までの間に、各教員養成課程を有する大学あるいは通信教育とか様々なメディアを持っている大学もございますので、いろいろな各大学の方に免許更新講習の内容等につきまして十分御説明をして、開設に向けて遺漏のない準備をしていきたいと、こう思っているところでございます。
- 井上哲士君
今の答弁を聞いておりましても、実際つくっても本当に受皿がしっかり整うんだろうか、それで期待されるような講習が行えるんだろうか、大変心配になってくるんですね。
私、教員養成課程を持つ地方大学の関係者の方からこの間お話を伺いました。ある県の比較的大きな大学で小学校と中学校の課程認定を受けております。これ聞きますと、この間の答弁がどうも机上の空論のような気がしてならないんですね。第一に、平日の夜にやってもらうという答弁もありましたが、この大学では教室は夜まで詰まっていてとっても無理だと。それから二つ目に、土日に行ってもらうという答弁もありました。しかし、それは休日出勤になるわけですから、休日出勤命令を出して、その下で割増し賃金も出さなくちゃならないし、平日にこの振替休日を取らなければならなくなって、これは平日の授業に影響を及ぼすと。当然、事務方も出勤しなくちゃならないということで、土日受入れというのはなかなか困難だというお話なんですね。
こういう土日の大学の状況などは十分につかんだ上でのこの間の答弁なんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
先ほど申し上げましたように、八百五十の課程認定大学を平均して百二十人の更新講習を実施をしていただくということでございますので、長期休業期間中の開設あるいは大学によりまして週末の開設あるいはメディアを活用した通信教育とか放送による開設等いろいろなやり方があるわけでございまして、私ども、今後法案を国会でお認めいただきました後は、こういう無理な規模ではないと認識をしておりますので、十分な講習を開設できるように努めてまいります。
- 井上哲士君
机上の計算では無理な規模でないと思われるかもしれませんが、受け入れる側が様々な問題点指摘されているんですね。この間の参考人のときにも、教員養成大学は大変な労働強化になるというお話がございました。
今休暇中の開設ということもあったんですが、先ほど紹介しました大学の関係者は、土日は無理だけれども八月の四週間あったら何とかなるかもしれないと、こういうお話だったんですね。一日六時間で五日間やる、三十時間と。これを四回やると、延べ八十こま、これがぎりぎりだと言われておりましたけれども。同時に、この大学は夏休み中に、学校図書館司書教諭研修講習四十二こま、社会主事講習八十三こま、免許法認定公開講座百二十こま、十二年経験者研修四百こまなどを持っているんですね。既に教員養成課程の大学というのはいろんなことを今やっておられるんです。ですから、これにさらに栄養教諭の講習なども見込まれておって、たまたま教室の条件が恵まれているからできるかもしれませんが、そういうところを持たない大学は本当に実施可能なのか、相当な精査が必要だという声も言われておりますし、スタッフの体制があるのかという問題もあるわけですね。
こういう例えば夏休みの大学の状況というのもつかんでいらっしゃるんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
私ども、国立の教員養成大学で夏期に様々な講習があるというのは、それはもちろん承知をいたしております。それに加えて免許更新講習を夏にまたやっていただくわけでございますので、講習の開設主体となる大学に対しまして、この免許更新制の趣旨について十分周知をしたり、更新講習の講習予定者への説明等をしっかりと行っていって、大学の受入れ体制の整備を図っていくということは大事なことだと思っております。
国会で法律をお認めをいただいた後は、受講が必要なすべての教員が十分な受講機会が得られるように努めてまいります。
- 井上哲士君
努めてもらうのは当然といえば当然なので、本当にできるんだろうかということを申し上げているんですね。
夏休みというのは、大学の教官にとっては自分の研究を進める非常に重要な時期なわけですね。そこにこういうものがどんどん入ってくると、もう研究ができなくなるという声も聞こえてくるわけですね。ですから、本来、学校の教員のリフレッシュだとかいうことを言いますけれども、肝心の研究者のそういう機能の低下、質の低下を招いていいのかどうかということも問われると思うんですね。
特に今、教員養成系大学いろんな点で厳しい状況にあるわけでありまして、土日とか夏休みの実施を言うんであれば、必要な教職員の増をも含めて具体的な支援策を教員養成系大学に取らなければできないと思うんですが、そういう予算措置も含めて、どうお考えなんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
免許更新講習の開設主体となります大学側の体制整備ということは私ども必要なことだと思っておりまして、今後十分に各大学側に免許更新講習の説明をするとともに、国として、こういう講習の開催につきましてどのような支援ができるのか、これはまたよく検討をしてまいりたいと思っております。
- 井上哲士君
今からの検討では本当に心配になってくるんですよ。本当にこういう制度を提案されてもちゃんと水準を持った講習ができるんだろうかと。
これから説明し、予算もということなんですけれどもね、しかし今一体どうなっているのかと。先日、中教審の梶田さんがお見えになったときに私お聞きしたんですが、財務省が大学の運営費交付金の競争を入れるということで、軒並み教員養成大学は八割、九割のカットになるという、こういう試算が示されているわけですね。
一方で、そういう教員養成大学に対して予算的にこういう厳しいものが試算として出されている中で、法案が通ったら何とかなるでしょうというんでは、これはおよそ無責任な話だと思うんですね。結局、説明をして無理やり押し付けることになれば、本来期待されるような講習もできないでしょうし、大学にとっては教育研究機能の低下になると、私はこう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか、大丈夫ですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)
こういう法律を出しているときに、通った後のことはどうなるんだという御質問に、すべて準備が整っておりますという答えをすると、国会を軽視しているとおっしゃるし、国会を軽視していないようにやっていると、準備が不足だとおっしゃるし、財務省はいろんな試算を出しておりますが、それは予算を削りたいところはいろいろなことをやりますよ。こちらはこちらでいろいろ準備しておりますから、そう御心配掛けないようにやりますよ。
- 井上哲士君
幾らそう言われても心配なんですね。
例えばロースクールの議論を我々はしましたけれども、あの法案が、議論をしているときに一体どれぐらいの大学院が手を挙げるかということは大体情報として来ました。ですから、期待される枠はできるだろうという話ありましたけれども、今のお話聞いておりましても、とにかく説明して何とかしてもらうという以上のことは私には聞こえてこなかったんです。
さらに、じゃ仕組みそのものについてお聞きしますけれども、この間の答弁によりますと、更新講習では幾つかの講座が設けられて、そしてそれぞれ修了認定を受けるということが必要だということのようですが、どの大学で講習を受けるか、これは教育委員会が指定するんではなくて本人の自由であるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
お話のように、各受講者がそれぞれの状況に応じまして必要な講習を受講していただくわけでございますので、受講先は各受講者が選択をするということになります。
- 井上哲士君
五日間集中して受ける場合もあれば、二年間掛けて何回かに分散をして受ける場合も本人の都合であると思うんですね。その際に、講座ごとに違う大学で受けたり、それから全部同じところで受けるとか、こういうことも含めてできるようにすべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
そういう方向で今検討しております。
- 井上哲士君
この更新の目的は、最新の知識、技能を身に付けるということと言われております。
そして、中身については基準は国が定めるということなわけですが、その水準というのは、要するに今年新たに免許を取得する人と同程度の新しい知識、技能を身に付けるということであって、現職教職員にそれ以上の高いハードルを求めるものではないんだと、こういうことで確認してよろしいでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
なかなか難しい御質問だと思うんですけれども、要は、更新制はその時々で必要とされる共通の最新の知識、技能を刷新をするということを目的としておりますので、およそ教員として共通に求められる内容を中心にすべきだというふうに考えております。
ですから、それはある意味では、免許でございますので、同時期に免許状が授与される方に求められる水準と理論的には同じレベルになるのかなというふうに考えております。
- 井上哲士君
最新の知識、技能となりますと、そうしますと、この更新講習の科目や講座、中身などは毎年変わるということになるんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
更新講習の内容については、その時々、教員に必要な知識、技能を刷新するためのものでありますから、やはり常に見直しを図るべきものだと考えております。ですから、文部科学省の責任で見直した内容を通知等の方法によりまして、場合によっては毎年何らかの形でお示しをしていくと、こういう内容について講習をやっていただければということをお示しすることにはなろうかと思います。
ただ、内容の見直しに当たりましては、中教審等に御意見を伺うなどの対応も考えてみたいと思っております。
- 井上哲士君
修了の認定について聞きますが、筆記試験あるいは実技試験等の試験を行って修了を認定するという制度を考えていますという答弁がありました。
ただ、教員免許を新たに取得する人については、医師とか弁護士のように特に国家試験は課せられていないわけですね。ところが、現職の方がこの十年講習を受けるときには試験をするというのは、先ほど聞きました免許取得時以上の高いハードルを課すということになってしまうんじゃないですか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
各大学でもちろん教員養成の課程の段階では単位の認定ということは行って、それが累積をされて所要の単位となれば免許状の授与ということになるわけでございます。
ですから、それと同じでございまして、免許更新講習につきましても、講習の修了認定ということを行うわけでございますが、これは各講習の開設者が行うということでございます。
- 井上哲士君
そうすると、免許を取るときの単位認定というのは大学ごとに様々なやり方で認定をするわけですね。
そうすると、今回のこの更新講習の認定についても、開設者ごとにその講座について筆記試験を課したり、ないしはレポートというやり方を取ったり、そういう認定の方法についても一定の大学開設者の裁量になると、こういうことでよろしいんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
具体的には、国が修了認定基準というものを策定をいたしまして、それに基づいて各開設者が修了認定を行うことを考えております。ただ、例えば全国統一試験とか、そういうような形態は考えていないということでございます。
- 井上哲士君
全国統一でないのは過去にも答弁ありましたけれども、例えば一定の実技的な話でも、かなり小さい規模でマンツーマン的にやっているところもあれば、かなり大規模の更新講習をやるところもあるわけですね。ですから、実際の基準に達しているかどうかという認定のやり方については、いわゆる試験というやり方とか、それから結果として教授なりがこれで大丈夫と認定をするとか、いろんなやり方があると思うんです。それは、現在の免許取得時の単位認定と同じように一定のそれぞれの大学で任されることになるのかと、私はそうすべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
これから国が修了認定基準を策定をしていくわけでございますけれども、やはり私ども今考えておりますのは、修了認定に当たりましては、筆記試験など客観的かつ公平な考査というものが必要ではないかというふうに思っております。
- 井上哲士君
そうしますと、やっぱりそれぞれに非常に高いハードルということになってきて、本来の趣旨と変わってくるんじゃないかと私は思うんですね。
それから、例えば実技試験に模擬授業というのもありますけれども、相当規模の更新講習をやるところでいきますと、何百人という人たちに模擬授業をやらすというのはこれはもう大変な作業だと思うんですね。そんなことも一律にやらせるということになりますと、正に制度として機能しないものじゃないかということを思います。これは是非やはり柔軟なやり方をやらせるべきだと思います。
さらにもう一個聞きますが、すべての科目、講座を受け終わった時点で一部の科目、講座だけが修了認定を受けられないという場合も出てくると思うんですね。その際にどうなるのかと。これは、五月七日の大臣の答弁では、必ずしも認定に至らない方は三十時間をもう一度受けていただかなければなりませんから、結果的には六十時間になりますよねという答弁があるんです。
これを聞きますと、一通り全部受けて一個でも駄目だったらもう一回全部受け直さなくちゃいけないかのように聞こえるんですが、これは修了できなかった講座のみをもう一回受け直すと。それも、例えば今まで受けた大学と違う大学でもう一回受け直すとか、そういうことも可能であるべきだと思いますけれども、この点、確認できますでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
結局、講習の開設と受講の関係になると思いますけれども、今後、その辺具体的に詰めたいと思いますけれども。
例えば、二か所のところで分割して受講していたときに全部修了認定至らないときには、その分割していた別のところのものはもう一回受け直していただくとか、そういうことはあると思いますが、具体的な修了認定の定め方につきましては、いろいろな講習の開設の形態等見ながらよく検討していきたいと思っております。
- 井上哲士君
その際に、いったん受けたところと別の大学で受けることが可能なのかどうか。実際上、日にちが迫っていて自分の都合が付くところはそこしかないことも起こり得るわけですから、これは当然可能にすべきだと思うんですけれども、その点もう一回いかがでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
非常に具体的、細目的な内容でございますけれども、これから更新講習の具体的な開設の仕方、課程の修了の認定の在り方、細部は詰めてまいりますけれども、受講者の負担という問題ときちんと講習を受けていただくということのバランスをよく考えて検討してまいりたいと思っております。
- 井上哲士君
さらに、認定をされても現職教員の場合、その確認は必ず都道府県教育委員会が行うと答えておられますが、この確認というのは一体何なんでしょうか。
講習を受講して全部認定をされている人が都道府県委員会に確認を求めたときに、それがされないとかもう一回やれとか、そういうことが起こり得るんでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
今言ったようなことはまずないと思います。
講習修了の確認というのは、三十時間すべての課程の修了が各講習の開設者により認定をされたことを免許の管理者である都道府県教育委員会が確認をするという意味でございます。
- 井上哲士君
要するに、あくまで事務的に確認をするんだと、こういうことでよろしいですか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
結構でございます。
- 井上哲士君
最後、更新の免除者の問題なんですが、この間、例えば優秀教員として表彰を受けた方ということもその対象として挙げられておりますが、その中には、例えば学習指導で優秀な方とともに部活動指導で優秀な方という方もいるわけですね。しかし、もちろん部活動指導はそのものは大切でありますけれども、その時々で必要とされる最新の知識、技能を身に付けているかどうかとはまた別のことだと思うんですね。
ですから、同様に、校長や教頭先生などが果たしてそういう最新の知識、技能を既に身に付けているのかどうかというのも疑問な方もいるわけでありますけれども、こういうことにしますと、結局、言わば上だけを見るというようなことが優先をされるようなことになるんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
既に知識、技能が最新であると認められた者に重ねて免許更新講習を受講させなくても制度の目的が達せられる場合に免除の対象と、こういうことになるわけでございますので、優秀教員として表彰された方や校長、教頭等につきましては、基本的には知識、技能が優れているものと認識をしておって免除の対象になり得ると考えております。
- 井上哲士君
私、部活動指導で優秀だというのがイコールそうなるとはとっても思えません。
今日は、この更新制度、果たして受皿が本当にしっかりできるのか、必要な、教員が誇りを持てるようなそういう水準の講習ができるのかということも大変疑問に思いましたし、一連の手続についても非常に果たして公正さが担保されるのか疑問が解消できません。
教員を不安定な身分にさらして、いわゆる上を向くような教員ばっかりつくって子供たちに向き合えないような状況をつくるということは、国民が望む方向とは反していると思いますし、こういう免許更新制度は導入すべきでないということを申し上げまして、質問を終わります。
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