いただいた御質問、かなり多岐にわたっていたと思うんですけれども、一つ目の、裁量を採用している中で、社員によっては働き過ぎてしまったり、もしかしたら職場によっては裁量と言いつつ裁量を許されなかったりというケースの部分はないでしょうかという御質問だったかと思いますが、確かに私どもももちろんパーフェクトではなくてまだまだ改善の余地はあると思っています。ただ、この裁量権を持たせる社員は社内である一定レベル以上の社員に限っておりまして、もちろん、例えば新卒であるとしたらそういった裁量は許していませんし、ある程度本人の自己管理ができる、それから仕事そのものがいつもいつも上司が監督しなくてもその人ができる、裁量権を持っている仕事であるかどうかというところを見て渡していくようにしております。
それから、二つ目の年休の、いわゆる有給の部分と実際に働いているところでどういうふうにやりくりをしているのかという御質問だったと思いますが、実際に現実問題としては、ある社員を見たときにいつも土日以外は働いている状況にあるということを前提には実際には仕事は動いていないと思います。
つまり、どういうことかと申しますと、もちろん有休を取る、夏休みを取るという部分もそうなんですが、それ以外にも、やはりITのテクノロジーの業界ですので、次々といろんな新しい技術なり製品が出てきますので、そのためにその社員がトレーニングに行って一日通常の業務をしないというケースもございます。そういったときも、お客様とか、社内のお客様も含めてですけれども、そういう場合は、やはりその人が不在であるという状況はトレーニングであっても休暇であっても同じだと思います。
それから、これはちょっとマイクロソフトの特徴かもしれないんですが、社内のオフサイトのミーティングというのも結構しょっちゅうあるんですね。これはトレーニングと違って、ある部署そのもの全部が東京を離れて、一泊二日でいろんなコミュニケーションとか情報シェアとかチームビルディングのためにいなくなるんですけれども、そういう部分も含めると、実際にお客様から見ると本日はおりませんという部分が出てまいります。
ただ、そういったときには、じゃその人の仕事が派遣社員を代わりに来てもらうことでできるかというと、やはり現実的には、そういう仕事の、事務処理のようなたぐいではないので無理なのが現実です。ですから、その人はいませんということで、翌日まで待ってもらう、若しくは緊急であればどうすればいいのかということを連絡しておくことで、その人が休暇であれトレーニングであれ、社内の何か外部のミーティングなり海外出張であり、いなくても動けるような体制にしておくという、つまり年の何日かはいないということを前提にしているのが現実的にはあるかなと思います。
ただ、そうはいっても、カスタマーサービスのような二十四時間掛ける七日間で稼働しているところもございますので、こういったところはシフトを組むことでお客様に対してお約束しているサービスを落とさないようにするというところは仕組みとしては心掛けているところです。
在宅のところは、在宅は、これは家で働くということですので、勤務中ですから何時から何時までという部分は必ず勤務しなければいけないんですね。ですから、電話であれメールであれ、どんなことでも、あたかもオフィスにいるように答えなければいけないという義務とセットになっておりますので、そういう形でのきちんと連絡をやることでやりくりしております。
ちなみに、私の上司、直属上司はドイツ人で、ヨーロッパの人間ですので、夏休みは本当に一か月、四週間いないんですね。丸々いないです。彼に連絡も付きません。メールは持っていきませんと言っている、PC持って歩いていませんので。ですから、ただそういうときに、じゃそのレベルに何か私が緊急で承認が必要であるとか、何かの相談が必要であるときはどうするんだということがあらかじめ決まっているというところです。日本はまだそこまで行っていないですけれども、それがもう少し短い時間の、一日ですとか三日ですという中でどうやりくりしていくかというところが、もちろんまだ改善の余地はあるかなというふうに思っております。
ただ、こういう働き方をもっともっと日本でも促進していかないと、それは社員の健康のためとかというのももちろんあるんですが、会社にとっても、やっぱりある仕事をマスターしていただいた方が何かの理由で仕事を続けられないということは、会社にとって物すごく高く付くコストなんですね。それは、採用に払うコストもそうですし、その間を埋めるコストもそうですし、新しい方が来てもフルレベルになるまでには時間が掛かりますので、そこの教育コストも考えると、経済的に見ても全く損失が大きいということですので、会社にとっても、こういう方たちが例えば子供を持つとか、介護が必要であるとか、ある程度学校に行きたいんですとかという部分を社員が満足してもらうために、何というんでしょうね、社員の御機嫌を取るために上げているというものではなくて、経済的に見ても、会社にとってやっぱりそれをこたえるシステムにしないと会社もいい人材をつなぎ止めることができないというふうに考えていますので、実際の現実問題、企業にとっての死活問題として進めていかなければいけない問題かなというふうに思っています。