2007年3月23日(金)
政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
「松岡農水大臣の光熱水費問題」について
- 松岡農水大臣など、議員会館に事務所を置く資金管理団体で本来ゼロのはずの光熱水費を支出している団体が2005年分で46団体にのぼることを明らかにし、政治資金規正法の責任者である菅総務大臣の政治姿勢をただす。
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
今回の本改正は、公務員給与改定や選挙執行状況を踏まえて大幅な経費の削減になっております。しかし、地方自治体に超過負担が生じた場合の調整制度もありますので、あえて反対せず賛成の態度表明をいたします。
その上で、限られた時間の中でありますが、今も話題になりました光熱水費の問題についてお伺いをいたします。
私は、衆議院及び参議院の議員会館に主たる事務所を置いている現職国会議員の資金管理団体を調べてみましたが、二〇〇五年当時、議員会館に事務所を置いている衆参国会議員は百六十八人、二〇〇五年当時ですね。その中の一人に菅大臣の資金管理団体である横浜政経懇話会も含まれておりますけれども、この横浜政経懇話会の二〇〇三年から二〇〇五年の各年、光熱水費がどうなっているのか。あるかどうか、なければその理由もお聞きをしたいと思います。
- 国務大臣(菅義偉君)
私の資金管理団体であります横浜政経懇話会の二〇〇三年から二〇〇五年の収支報告書を確認しましたところ、光熱水費の支出の記載はありません。
- 井上哲士君
大臣の資金管理団体が光熱水費支出なしというのは、国民から見ても常識的なことなんだと思います。議員会館のみに事務所を置いている資金管理団体は、電気、ガス、水道料金の光熱水費の支出がゼロというのは当然のことだと思うんですね。
二〇〇五年当時のこの百六十八人の国会議員、議員会館に主たる事務所を置いている人、そのうち収支報告書が未提出の五人を除く百六十三人について調べますと、百十七人の資金管理団体は光熱水費の支出はゼロになっております。
支出している団体は、未報告を除く百六十三団体中四十六団体ということになっておりますが、この四十六団体の光熱水費の支出を見ますと、最低で五百円、最高額が五百七万六千三百三十一円、これが松岡農水大臣の松岡利勝新世紀政経懇話会ということになっております。この団体は議員会館以外には事務所を置いていないということは既に知られていることでありまして、二番目に支出額が多いのが洽和会の二百八十六万円と。松岡大臣の支出額はこのダブルに近い金額なわけですね。
そこで、大臣に感想、見解をお伺いしたいんですが、この主たる事務所を議員会館に置いている議員のうち三分の二が光熱水費の支出がゼロになっているということ、その中で松岡大臣の支出が断トツに多いと、このことについての御感想、見解をお聞きしたいと思います。
- 国務大臣(菅義偉君)
私ども総務省としましては、具体的事実関係を承知をする立場にないわけであります。それは、御承知のとおり実質審査権というのを私持っておりませんので。そういう中で、支出項目の記載に当たっては、やはり会計責任者が正に事実に即して適切に報告をしているという、このように思っておるところでありますし、私から、そういう実質調査権はないという中で感想というのは控えさせていただきたいと思います。
- 井上哲士君
私は、この法律の責任者は菅大臣だということは先ほど来あったわけでありますから、その立場からの感想は是非国民の前に明らかにしていただきたいと思うんですね。
総務省当局にお聞きしますけれども、この報告書の提出に当たりまして、政治団体の代表者が会計責任者に対してどういう責任を負っているのか、法文上どうなっているか、お願いをします。
- 政府参考人(久元喜造君)
収支報告書の提出義務は政治団体の会計責任者に課せられておりますけれども、同時にこの政治団体の代表者には会計責任者を適切に選任し監督する責務があると考えられるところであります。
故意又は重大な過失によりまして収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者又は虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する旨の定めがあるところでありまして、会計責任者が不記載あるいは虚偽記入によって処罰された場合に、政治団体の代表者がその選任及び監督について相当の注意を怠ったときは五十万円以下の罰金に処すると、こういう規定が定められているところでございます。
- 井上哲士君
政治団体の代表者に監督の責任があるということなわけですね。
松岡大臣はこの間、光熱水費は適切に報告しているという答弁に終始をしているわけでありますが、二十日の日に記者会見をされておる中で、この問題について記者に問われてこう答えておられます。会計責任者がその整理をし報告をし、それをしっかり報告を受けていると、こう述べられました。
要するに、今問題になっている多額の光熱水費について適切かどうかということは、この資金管理団体の会計責任者からの報告のみであり、自らが、問題が指摘されて以降も、その中身については確認をしていないということを明らかにされたわけですね。
会計責任者の報告をうのみにし、これだけ大問題になっても自ら中身について確認をしないということになりますと、私は今読み上げられたこの監督責任ということが厳しく問われると思うんですが、こういう今の大臣の態度は、規正法以前の政治姿勢の問題にもかかわってくるわけでありますが。
正に、会計責任者からの報告だけではなくて、自らその中身を確認をし、そして国民の前にも明らかにして説明を尽くすべきだと思いますが、菅大臣、この法律の責任者として、そして安倍内閣を構成する大臣の一人として、今のこういう松岡大臣が監督責任、説明責任を果たしているとお考えか、いかがでしょうか。
- 国務大臣(菅義偉君)
先ほども申し上げましたけれども、総務省は収支報告書について、形式上の不備だとか記載すべき事項の記載が不十分なものについての形式的審査を行うこととさせていただいていまして、立入検査や帳簿を調べる実質的調査、審査権というものを私どもは有しておりません。
政治資金の収支というのは、それぞれ政治団体の収支報告書、ここを公開をすることによって国民の批判と監視の下に置かれており、その是非等については、報告書の内容に対する判断は国民にゆだねる、そういうこれは仕組みになっているところであります。
- 井上哲士君
そして、ゆだねられた国民がその中身を見て、これは明らかに問題があるじゃないかという声を今上げているわけですね。そうであれば、私は、これに対しての説明責任というものが当然これは政治家の側に発していると思います。
総理は、報告の求めるところに従って農水相は報告していると答弁を繰り返すだけでありますし、松岡大臣も、政治資金収支報告書の原簿や添付資料を自ら確認をしようとしていないということは先ほどの記者会見の発言でも明らかなわけですね。私は、こういうことが今、国民の政治不信というものをやっぱり増幅をさせていると思います。
資金規正法の前提は、政治資金の流れを透明化することによって国民の監視にゆだねるということであります。そして、監視をした国民が、これはやっぱりおかしいと、明らかにこういう声を上げているときにやはり自ら説明をするべきなのに、逆に法律を盾に説明を拒むというのは、私はこの法律の本来の趣旨からやっぱり反していると思います。
大臣、いかがでしょうか。
- 国務大臣(菅義偉君)
同じような答弁になるわけですけれども、私どもはその実質調査権というのが有していないわけでありまして、この政治資金規正法の中では収支報告を通じて国民の批判と監視の下に公開されて、あとは国民にゆだねられるということになっておりますので、私からこのことについての答弁というのは、これは差し控えさせていただきたいと思います。
- 井上哲士君
政治資金規正法というものは、政治資金を出すということは国民の政治参加への形態として、そのためにも信頼をつくらなくちゃいけないことを言っているわけですから、私はやはり、今の松岡大臣の姿勢というものはこの法律の精神に大きく反しているということを思いますし、これを正すために大臣としての姿勢を示していただきたいということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
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