2007年 5 月 14 日
質問第三四号
舞台芸術鑑賞教室の充実に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十九年五月十四日
井上 哲士
参議院議長 扇 千景 殿
小学校、中学校、高校の学校現場で行われている舞台芸術鑑賞教室は、演劇団体、音楽団体の努力によって進められ、すべての子どもに舞台芸術を鑑賞する機会を保障する重要な役割を果たしてきた。しかし、舞台芸術鑑賞教室は減少しており、その活動は困難に陥っている。子どもたちの豊かな成長を図っていく上で、情操教育の一環として鑑賞教室の一層の充実が必要であるとの観点から、以下質問する。
一 子どもの豊かな心や感性をはぐくむ上で、舞台芸術に触れる機会を充実させることが必要であり、学校での鑑賞教室は、すべての子どもたちに舞台芸術の鑑賞機会を保障するものとして重要な位置を占めている。政府の「文化芸術の振興に関する基本的な方針」では、「学校や地域において、子どもたちが身近に伝統文化や現代の文化芸術に触れる機会の充実が必要」、「優れた文化芸術の鑑賞機会の充実を図る」と示されている。そのためにも、学校教育の上で芸術鑑賞教室の位置付けを高め、少なくとも年一回、すべての子どもたちに舞台芸術鑑賞の機会を保障すべきだと考えるが政府の見解を示されたい。
二 鑑賞教室が減少していることは、日本劇団協議会、日本児童・青少年演劇劇団協同組合の調査からも明らかとなっている。
- 鑑賞教室が減少していることについて、政府の認識を示されたい。
- 平成十六年六月二日の衆議院文部科学委員会において、我が党の石井郁子議員が鑑賞教室の減少を指摘したことに対して、政府は、「実際のそういう公演が、かつてあったものがどんどん下がっておるとかいうような実態があれば、これはやはり心配なことでありますから、十分調査の上、対応を図ってまいりたい」旨の答弁を行った。その後、調査は進めているのか。進めている場合は、その概要を示されたい。また、進めていない場合は、全国的な調査を行って対応すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
三 日本劇団協議会の調査によれば、鑑賞教室を開催する上で最大の障害になっているのは、「費用負担が大きい」ことである。児童負担の軽減から考えると、鑑賞教室への公的助成の充実が必要となっている。文化庁は、「本物の舞台芸術体験事業」を行っているが、その実施率は、全国の小学校の二・二パーセント、中学校の一・六二パーセント、高校の〇・八九パーセントにすぎず、全国で芸術団体が行っている大半の活動は、「本物の舞台芸術体験事業」の対象とならない。また、平成十九年度予算では、高校が「本物の舞台芸術体験事業」の対象から外れているほか、芸術文化振興基金の学校巡回などへの助成は減少している状況である。
こうした中、芸術文化振興基金を始め、芸術団体への公的助成を強めるべきだと考えるが政府の見解を示されたい。また、地方自治体が鑑賞教室への助成を削減しないよう指導すべきだとも考えるが政府の見解を示されたい。
右質問する。
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