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2008年2月28日(木)

外交防衛委員会

  • イージス艦衝突事件について質問。防衛省の説明が二転三転した根底にある情報隠蔽体質をただしました。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 まず、いまだ行方が分かりません清徳丸乗組員と御家族に心からお見舞いを申し上げます。

 昨日、「あたご」の艦長が初めて謝罪を公の場でいたしました。そして記者会見もされているわけですが、その場で、あの海域で漁船が多いと理解していなかったのは問題だったと、こういうふうに言われました。私は大変この発言自身を驚いたわけでありますが。

 例えば、今手元に横浜地方海難審判所が出している「東京湾及び房総半島沿岸における漁船衝突海難」という冊子を持っております。この中でも、あの地域、房総半島沿岸は、東京湾を出入航する貨物船と漁船との衝突海難が後を絶たないと、こういうふうに指摘をして、その大きな要因が見張りの不十分だということも言っているわけですね。つまり、漁船が多いだけでなくて、現に事故が多い海域だということも指摘しているわけです。

 こういう点は省としてはどう認識して徹底を図ってこられたんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 私ども、船を運航いたします場合に、その海域がどういう海域であるかということの認識はきちんと持った上で運航いたしております。

 委員が御指摘のそこの冊子というものをこの艦の乗員のどれだけの者が読んでおったか、共有しておったかということにつきましては、私、正確な知識は今ございませんが、この海域がどういう海域なのかということについての認識は持っておったというふうに思っております。

 ただ、昨日、艦長が御家族におわびに伺った際での記者会見で、相手が漁船だからよけてくれるかと思ったかという質問に対して、そのような認識はないというふうに答えたわけでございますが、この海域がどういう海域であるかということについての認識について、そういう認識がなかったというふうにお答えをしたとは必ずしも私は今承知をいたしておりません。

井上哲士君

 あのテレビでも発言が流れておりましたけれども、漁船が多いとは理解していなかったのは問題だとはっきり言われているんですね。ですから、もしそういう海域だという認識をすれば、そのためのいろんな回避義務なりを負うという責任が出てくるわけです。それを認識がなかったと言われることは、自らの責任問題にかかわってくるわけですね。

 昨日のあの会見は、これも海保に事前の了解がなかったとお聞きをしているんですが、私はそういう発言をこういう形でされたこと自身が適切だったのかという疑問を持つんですが、大臣、いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これ、何をもってふくそう海域というか、どれぐらいの密度をもって漁船が航行しているかということで、いろんなランキングがあるんだろうと思います。

 いずれにしても、艦長が言った言葉、前後全部精査をしませんと、私がここでそれを十分精査しないまま不正確な答弁をしてはいけませんので、その部分、後ほど艦長のやり取りを見ましてきちんとしたお答えをいたしたいと存じます。

 その会見をしたこと自体不適切ではなかったかというお話でございますが、私はそうは思いません。やはり、現地において非常につらい思いでおられる方、疲労の極にあられる方々、そしてずっとお立ちの方々の前で、ある意味立ったままの、いわゆる私どもの言葉でぶら下がり記者会見と申しますが、そういう形よりは、きちんとした場での記者会見でおわびの気持ちというものを、家族の皆様方に対してのみならず、国民の皆様方に対して艦長の誠意を示すためには私は会見は必要であったというふうに判断をしておりますし、今もそれは変わりはございません。

井上哲士君

 私が申し上げたのは、まさに責任にかかわる問題でこういう発言がされたのはいかがかということを申し上げました。

 それで、先ほど来問題になっております当日の航海長の事情聴取にかかわってお聞きをいたします。

 昨日の増田事務次官の会見を見ておりますと、なぜこの聴取が大臣室で行われたのか、今となってはよく分かりませんと次官が言われております。そして、どういう流れでその場ができたかということも記憶にないと言った方がいいだろうと、こういうふうに言われております。

 先ほど大臣は、自分の判断で自ら聴取すると決めたとおっしゃいましたが、大臣室でそれを行うということ、それから、事務次官を始めとして統幕長、海幕長、海幕副長、海幕防衛部長、運用企画局長等、幹部十名以上が参加をしたと報告受けていますが、こういうメンバーを招集したということは、これは大臣の指示だったんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 大臣室という指示をしたわけではありませんが、私が防衛省に帰りまして、当初はその時間、私、議員会館の、その前衆議院予算委員会に出ておりましたので、その後会館に帰りまして政務を幾つかやる予定にいたしておりましたが、急遽変更して防衛省で聴くということを申しました。であれば、通常大臣室ということになるのでありまして、大臣室という明確な指示をしたわけではございません。ただ、これを私自身、密室でやるとか限られた人間だけでやるとか、そんなことは断じて駄目だというふうに思っておりました。

 したがいまして、私は、結果論かもしれませんが、大臣室という、ある意味で白昼、白昼堂々と言ったら変な言い方かもしれませんが、そういう場所で行ったということは私自身誤った判断とは思っておりませんし、そしてまた、これこれこれのような者を呼びなさいということを私から申し上げたわけではありませんが、そこに集まった人間の選び方というのは、ほかにあの方も呼ぶべきであった、この方も呼ぶべきであったということはありますが、事故当日の大変混乱した状況の中においては、私はある意味適切が保たれたものではなかったかと思っております。

井上哲士君

 この聴取の際、航海長は何らかの航行に関する資料などは持参をされているんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 航海長は、手書きのメモ、メモのようなものでございますが、これは持参をいたしておりました。

井上哲士君

 航海長が漁船を確認したのが衝突の二分前だったと、こういう話があります。先ほど大臣は、事前に海幕で聴取されたことを聞いたと言われましたけれども、この聴取の場で大臣も、直接航海長の発言として二分前に漁船を発見をしたと、こういうことを聞かれたんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 本当はテープレコーダーを取っておきゃよかったなと思うのですが、これは航海長もそういう、本当に事故当日の非常に極限の状況でございましたので、彼から逐一、二分前とかそういうような発言があったかどうかということについて、本当に正確な記憶があるわけではありません。

 ただ、その前に海上幕僚監部でそのような内容を聴き取り、報告は海上幕僚監部の者からあったようにも思います。しかし、そこに彼がいて、この報告に間違いないですねというようなやり取り、そして彼の口からも発言はあって、そういうような、発表しておるような内容になっておるものでございます。

井上哲士君

 その際に、例えば十二分前とか、その後の九分前という話もあったわけですが、そういう前にも情報が、漁船に対する情報があったと、こういうことは一切航海長からは出てこなかったんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 出てまいりませんでした。

井上哲士君

 その航海長は四時前の段階でまさに責任を負っていたわけで、そうすると、自分が替わった後のことは出てきたけれども、自分が航行に責任を負っていた時間については、そういう発見をしたとか、そういうことは問いただされたんでしょうか。そういうことはなかったかということを大臣なりからは問いただされたんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これも正確な言葉ではないかもしれませんが、これだけですかということは聴いたような記憶があります。つまり、もっとほかにないかというふうに思うのはそれは普通のことであって、しかしながら、そこの内容は二分前という内容が出てくるわけで、このほかにもありませんかというようなことは、そのとおり言葉は正確であったかどうかは記憶がありませんが、私の方から申したように覚えております。

 ただ、私自身、先ほど佐藤委員とのやり取りの中にもございましたが、海上自衛隊として事故の原因というのを究明する権能は持っておりますが、じゃ、ここはどうなんだ、あそこはどうなんだというふうにぎりぎり聴きますということは、それこそ予断を与えたりそういうことになるということがございましたので、ここはどうなのだ、あそこはどうなのだということを詳細ぎりぎりと聴かなかったという覚えも併せてございます。

井上哲士君

 昨日の増田事務次官の記者会見では、記録が残っていないのかと、この聴取の。について、議事録という形で取っている者はおりませんと。メモを取っている方はいますかと、それも分かりませんと、こういう答弁をされているんですね。ところが、先ほどの話でいいますと、当日のうちにその何らかのメモをまとめて海上保安庁に提出をされているということなわけですね。

 そうしますと、昨日の事務次官の発言というのは全くそれと矛盾をすると思うんですけれども、なぜ事実を隠そうとされたんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 このヒアリングにおきまして、私も含めまして出席者は調書あるいはメモというものは作成をしておりません。聴き取った内容を取りまとめたものにつきまして、先ほど来申し上げておりますように、十九日当日十五時五十九分に運用企画局長より海上保安庁警備救難監に対してこれをお送りをいたしておるものでございます。

井上哲士君

 ところが、事務次官は、そういうメモ自身が分からないと、存在を知らないと言っているんですよ、昨日は。

 全くそういう海保に重要なものを送ったものを知らないということがあり得るんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 今申し上げましたのは、失礼、海上保安庁警備救難部管理課長に対して送付しているというものでございます。

 ですから、これは海上保安庁の側にも御確認をいただければ有り難いのですが、十九日の三時五十九分、私どもから海上保安庁の警備救難部管理課長さんに対してお送りをしているというものでございます。私、次官が昨日会見で申しましたこと、議事録といいますか取りあえずの報告でいただいておりますが、事実といたしまして、この十五時五十九分にそれが送付をされているというものでございます。

井上哲士君

 にもかかわらず、事務次官がメモ自身が分からないと言っていることを問題だということを言っているわけです。

 この問題は、事前の了解がなかったということもあるわけでありますが、この事故直前の当直士官というのは一番の衝突直前の責任者でありまして、まさにこの事件におけるもう容疑者となる可能性が一番高い人物なわけですね。その方を捜査の前に現場から連れ出して事情を聴くと。例えば、列車事故が起きて、運転手を警察の捜査の前に会社に連れていって社長以下みんなで聴くようなことなわけですよ。現場に行って聴くということはあるかもしれません。

 私は、こういうやり方で、先ほど密室ではないと言われましたけれども、一番の当事者、容疑者となる可能性が高い人物をそういう形でやったということ自身が問題だと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これは委員と認識が違うのだと私は思います。

 これは、もちろん事故があってはならないことはどの世界も一緒であって、飛行機であろうが列車であろうが私どもの船であろうが一緒でございます。私どもとして、組織の指揮命令系統において、なぜこんなことが起こったかということを調べる権能というものは持っているというのは先ほど海保からも確認があったとおりでございます。

 しかしながら、それを制服であれ内局であれ自衛隊員のみで行うということがあったとすれば、また何か、委員が今おっしゃったように、圧力を加えているのではないか、あるいは隠しているのではないかというような、そういうようなお考えを持たれかねない。これが、私どもの組織がほかの官庁あるいは民間の会社と違いますのは、統制する側、統制される側という意味で、統制する側として国民の代表たる政治家がいるというところが違う点だと私は思っております。

 ですから、航海長が来ていますということの報告を受けたときに私が行くというふうにすぐ申しましたのは、そこに統制する側として私がいなければならない、そして、いることによって、もちろん制服であれ内局であれ、私は今の防衛省において隠ぺいとか圧力とかそんなことがあるとは思っておりませんが、そういうようなお考えを持たれることがないよう私はそこにいる必要があったというふうに思っております。

 したがいまして、聴きましたこと、呼びましたことについて問題があるとは思っておりませんし、そのことが法的に問題があるという御指摘を受けたことは一度もございません。

井上哲士君

 時間ですので終わりますが、まさに国民はそこに疑念を持っているわけでありますから、そういうことのためにも航海長や海幕長など政府参考人としての出席も含めて今後一層議論をし、解明していきたいと思います。

 以上、終わります。


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