今回の判決は、自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差止めを求める訴えは不適法なものであるとして却下され、また損害賠償請求は法的根拠がないとして棄却された国側勝訴の判決、国側全面勝訴の判決でございます。航空自衛隊の空輸活動が違憲であると判示した部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論であると、傍らの論であると承知をしております。このように本件裁判の控訴人の請求は、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかを判断するまでもなく却下あるいは棄却されるべきものでありました。現に、違憲だと言いながら却下あるいは棄却しているわけであります、この判決は。
政府はこの裁判において、自衛隊のイラク派遣が憲法に反するかどうかについて、何ら主張もしていないし立証もしていない、それはそういう必要がないと思ったから。争っていないんですよ、そういうことについては。そして政府としては、こうした中で判決の結論を導く必要がないにもかかわらず、こういうことが示された見解であると、こういうことでございます。
私が読みもしないで判決を批判したと言いましたが、何にも判決自体について批判していません。読んでいませんから、判決については批判していません。これは傍論であると。国が全面的に勝訴した判決ですから、私は高く評価をしております。これは傍論であるということだけ言っているわけです。それは多くの、私自身読んでいませんが、多くの論者がみんな傍論としてこういうふうに言ったという判断を受けていますから、もしこれは傍論でないという方がいたら、そういうふうに指摘していただきたいと思うんですが、私は衆議院の委員会でも傍論だということを何度も言いましたが、だれも、いや、傍論じゃないよと言った人はいなかったと思います。これは判決の主文を導き出すために必要のない傍論を述べたということについて争っている人はいないだろうと、こういうふうに思っています。
私は、その傍論を各判決に書くことについて、いいか悪いか、私自身の頭の中では判断していますが、私はそれを批判したことはありません。傍論書いたからけしからぬと、そういうことを言っていないんです。私は記者会見でもそういうことを言っていません。
そして、ただ、私が言ったのは、その傍論が、あたかも判決の傍論部分が行政の判断に優越する司法判断であるというようなことはそれは違いますねと。いわゆる司法の優越というのは、その主文について、あるいは主文を導き出すその理由の部分について司法の優越というのは確かにありますが、主文を導き出すに必要のない傍論部分については司法の優越ということはそれはない、ないんです。そうであるにもかかわらず、裁判所の判断であるから行政の判断よりも傍論であっても優越するかのごとく言って政治利用をする人については批判をいたしました。
この判決そのものについては、それは私はぐっとこらえて批判をしておりません。