2008年10月28日(火)
- 井上哲士君
おはようございます。日本共産党の井上哲士です。
昨日の東京新聞の一面で報道されました、米国からの要求で日本政府が検討したアフガンへの自衛隊派遣の全容という問題についてお聞きいたします。
この報道の中で、米軍から日本に対して輸送機又は大型ヘリの派遣が求められたとされておりますけれども、これは事実でしょうか。
- 外務大臣(中曽根弘文君)
日米間におきましては常日ごろから緊密に意見交換を行っているわけでございますけれども、御指摘の要請を含めまして、個別具体的な要請が米側からあるということではございません。
米国を含む国際社会の国々から、日本に対しまして、アフガニスタンへの支援を強化してほしいと、そういう期待は存在をいたしております。同時に、米国は、我が国がどのように支援を行うかということにつきましては、それは我が国自身が決定する問題であると、そういう立場でございます。
我が国といたしましては、治安・テロ対策それから人道復興支援を、いつも申し上げておりますけれども、車の両輪として引き続いてテロとの戦いに取り組んでいく方針でありまして、そのためにも補給支援活動は必要であると、そういうふうに考えています。
また、その上でアフガニスタンの平和と復興のためにいかなる協力を行うことができるかということにつきましては、引き続いて主体的に検討してまいりたいと思います。
- 井上哲士君
共同通信もワシントン発で、複数の日米関係者が明らかにしたとして同趣旨の報道をしております。今も、外務大臣から期待は存在しているという答弁がございました。さらに、十月十三日にカブールにおきまして、このISAFと連合軍の双方を率いているマキャナン米中央軍司令官が記者会見をしていますが、この中で、各同盟国に対し、必要とされる部隊及び機材の提供を求めたと、こう具体的に述べているわけで、一連の報道とも一致をするわけですね。日本が主体的に判断するということが言われましたが、こういうメニューなども含めて提示があったと、公式、非公式の何らかのやはり要請があったんではないでしょうか。いかがでしょうか。
- 外務大臣(中曽根弘文君)
先ほども申し上げましたけれども、個別具体的な要請がアメリカ側からあるということはございませんです。
- 井上哲士君
この報道の中で、六月に内閣府、外務省、防衛省から成る調査団がアフガン入りし、米軍やISAFの司令部と調整したとも書かれておりますが、この調査団は何のためにアフガン入りし、どういう調査をされたんでしょうか。
- 内閣官房長官(河村建夫君)
ただいま御指摘の調査団でございます。本年六月八日から六月十八日までの間にやりました。内閣官房、外務省、防衛省の職員が出てまいりまして、ISAFの活動状況、PRTの活動状況、現地の治安状況の広範な事項について調査を行ったものでございます。
政府としては、新たな国際協力として我が国が行い得る活動や、そのための枠組みとしてどのようなことがあるかについては幅広く検討しているところでございます。その一環として、国際社会の関心が高く、四十か国以上の国が部隊を派遣して様々な活動が行われておりますアフガニスタンについて調査をやったということでありまして、政府としては、アフガニスタンを含めての幅広く我が国が行い得る活動について一般的な調査を行ったものでありまして、我が国の本件調査に各種の便宜や協力を提供した相手方との信頼関係、現地の情勢、事情等々も含む調査でありますから、具体的な内容についてはお答えを差し控えたいと、このように思いますが、一般的な調査ということで行ったことは事実でございます。
- 井上哲士君
陸上での自衛隊の何らかの可能性を探るような調査はされたんでしょうか。
- 内閣官房長官(河村建夫君)
政府としては、どのような支援ができるかということを一般的にやったものでありまして、自衛隊を派遣するための方針を決めたと、こういうことではございません。
- 井上哲士君
この報道では、負傷兵を前線から救出する際に応戦をすれば、武力行使とみなされる駆け付け警護に該当することが問題になって、報告を受けた官邸は、アフガン派遣には新たな法律が必要な上、違憲のおそれがある法案提出は無理と判断したと、こう書かれました。
この背景にありますのが政府の憲法解釈なわけですが、二〇〇三年の五月十五日の当委員会で内閣法制局は、このいわゆる駆け付け警護につきまして、自己保存のための自然権的権利とは言えず、攻撃している相手が国又は国に準ずる組織だった場合に、憲法九条で禁じた武力行使に当たるおそれがあるとの見解を明らかにしておりますが、政府のこの見解は変わっていないということでよろしいでしょうか。
- 内閣官房長官(河村建夫君)
ただいま御指摘の、いわゆる駆け付け警護に対する点でございます。この答弁の趣旨といたしましては、政府としては現在でもその考え方に変更はございません。
- 井上哲士君
衆議院でのこの法案の質疑の中で、憲法解釈の問題が議論になっております。
中谷元防衛庁長官が質問にも立たれておりましたが、憲法解釈というのは、政府がその政策のため従来の憲法解釈をころころ変更することは、言わば憲法の権威を失墜させ、ひいては内閣全体、政治や安全保障に対する国民の信頼を損なうことになると、こう述べられました。これまでの政府の対応がどうだったかという評価は別といたしまして、このこと自体は私は当然のことだと思うんですね。
憲法は本来、国民が政府に対してこれはやってはいけないということを縛るものでありますから、政府のその時々の政策で変わってはいけないというのは私もそう思います。
この点、外務大臣、私はこの指摘は当然だと思いますけれども、御見解はいかがでしょうか。
- 外務大臣(中曽根弘文君)
仮に、政府におきまして憲法解釈を便宜的に、また意図的に変更するようなことをするとすれば、今委員からお話ありましたけれども、政府の憲法解釈、ひいてはこの憲法規範そのものに対する国民の信頼を損なわれかねないと、そういうふうに考えております。
- 井上哲士君
この報道の中では、この要請は福田内閣のときにあって、七月に当時の福田康夫首相がブッシュ米大統領に断念を伝えたと。しかし、その後アメリカは再考を迫っていると、こういうふうに言われております。
福田内閣のときに断ったけれども、麻生内閣に替わったからといって憲法解釈を変えて応じると、こんなことはあってはならないと思いますが、その点いかがでしょうか。
- 内閣官房長官(河村建夫君)
御指摘のとおり、麻生内閣においても福田内閣の考え方、これはきちっと踏襲されておると、このように思います。
- 井上哲士君
それでは確認をいたしますが、先ほどの駆け付け警護に関する政府の憲法解釈は変わらないと、こう言われました。その下でいいますと、こうした要請をされているような内容の輸送機又は大型ヘリでこの負傷兵を輸送すると、こういうことに応じるのはできないと、こういうことでよろしいんでしょうか。
- 内閣官房長官(河村建夫君)
今御指摘の点については、具体的にそういう検討に今段階に入っていないと、こういうことであります。
- 井上哲士君
アフガン本土への自衛隊派遣は、まさに憲法で禁止をされたこれは武力行使そのものにつながっていきます。そして、現地で活動されている日本のNGOがこぞって言われておりますように、日本の軍が本土に来るということは、日本のNGOがこの武力行使やっている部隊と同じものとみなされて様々な人道支援の活動が極めて困難になると、こういうことも言われておりまして、これは絶対にやるべきではありません。そして、こうしたこと、全体の支援につながるような給油活動の延長も中止をすべきだと、このことを申し上げまして、終わります。
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