田母神前航空幕僚長は、今回の民間企業が実施した懸賞論文に対して、さきの大戦をめぐる認識について政府見解と明らかに異なる見解や憲法に関して不適切な部分がある論文を応募いたしました。
さきの大戦をめぐる認識について、田母神前航空幕僚長は、様々な論拠を示しつつ、我が国が侵略国家であったなどというのはまさにぬれぎぬであるなどと述べているが、これは平成七年八月十五日のいわゆる村山談話等に示されているさきの大戦をめぐる政府の認識とは明らかに異なるものであります。
また、田母神前航空幕僚長は、論文の中で、東京裁判によるマインドコントロールの結果として集団的自衛権も行使できないなど、憲法に関する見解を述べております。
防衛省としては、防衛省・自衛隊の幹部職員が憲法に関して自由な考えを有したり、見解を述べることを一概に禁止はしておりません。他方で、特に航空幕僚長ら高官には自らの社会的地位を踏まえた適切な言動を行う責任があることは当然であり、田母神前航空幕僚長の論文は憲法に関連する重要な事項に関する見解の述べ方として不適切であるというふうに考えております。
防衛省としては、航空幕僚長という立場にある者がこのように政府見解と明らかに異なる意見を公にすることや、憲法に関連する重要な事項について不適切な表現で見解を表明することは航空幕僚長としてふさわしくない、不適切なものだったと考え、速やかに航空幕僚長の職を解いて田母神空将を退職させる措置を講じたものであります。
いずれにいたしましても、航空幕僚長という職にあった者がこのように不適切な事案を起こしたことは誠に遺憾でありまして、防衛省として再発防止に向け努力をしていく所存であります。