私は、日本共産党を代表して、新テロ特措法延長法案に反対の討論を行います。
そもそも、アメリカの報復戦争を支援するため自衛隊をインド洋に派遣し、アフガニスタンへの空爆を行う米軍艦船などに給油支援を行うことが憲法九条に真っ向から反することは明白です。自衛隊は直ちに撤退すべきであり、法律の延長は断じて認められません。
本委員会での審議を通じ、アフガン情勢への打開のためには軍事から政治への切替え以外にないことがはっきりしました。アメリカによる報復戦争開始から七年、アフガニスタンは今最悪の事態に陥っています。米軍の空爆と掃討作戦で多くの罪のない人々が犠牲となり、それがアフガン国民の反発を招き、更なる情勢悪化を招いてきたのであります。
参考人質疑で、ペシャワール会の中村哲現地代表は、テロは軍事力では絶対になくならない、ますます拡大する、外国軍の空爆が治安悪化に拍車を掛けていると厳しく指摘しました。戦争でテロはなくせない、政府はこの事実を認めるべきであります。
今、アフガン国内外で和平と対話の動きが日々広がっています。アフガニスタンのカルザイ大統領はタリバンとの政治的和解を呼びかけ、交渉が始まっています。アメリカ政府自身が報復戦争の行き詰まりの中でタリバンとの対話を検討するという大幅な戦略の見直しを迫られているのです。
ところが日本政府は、治安・テロ対策と人道復興支援は車の両輪などと一年前と全く変わらない答弁を繰り返し、あくまで派兵を継続するというのであります。国際社会の変化を全く見ないものと言わざるを得ません。
来日したアフガンNGO調整事務所の代表代行は、軍事で平和は生まれないとして、日本政府に対し和解交渉や人道支援の促進で指導性を発揮することを求めています。報復戦争支援をやめ、本法案は廃案にすべきであります。
重大なことは、現職の航空幕僚長が日本の過去の侵略戦争を美化し、集団的自衛権も行使できないなどと現憲法を公然と批判、非難する論文を執筆し、民間企業主催の懸賞論文に応募していたことです。私たちの追及で、田母神前空幕長は、空幕長在任時代に職務として全国の基地で同様の主張の講話、訓話を繰り返し、統合幕僚学校長時代には同様の主張に基づく講義、歴史観・国家観を新設していたことが明らかになりました。
侵略戦争美化、憲法破壊の主張を繰り返してきた田母神氏がなぜ空幕長に任命されたのか、自衛隊内の教育がどうなっているのか、全容の解明が引き続き必要であります。
同時に強調しなければならないことは、田母神氏の主張が、九〇年代以降政府が進めてきた自衛隊の海外派兵と密接な関係にあることです。田母神氏は、東西冷戦構造が壊れ、自衛隊の海外派遣が頻繁に行われる、自衛隊が働く時代に入ったとして、それに対応した精強な部隊をつくるために自衛官に対し我が国の歴史と伝統に揺るぎない自信を持つよう求めているのです。自衛隊が海外派遣を本格的に実行していくための精神的支柱として侵略戦争を肯定する歴史観、国家観が必要だというのが田母神氏の主張であり、それが現に隊内教育として進行したのであります。この点からいっても、自衛隊の海外派遣を継続することは危険極まりないものとして厳しく指摘しなければなりません。
以上、自衛隊はインド洋から直ちに撤退させるよう強く求め、法案への反対の討論を終わります。