2011年9月9日(金)
災害対策特別委員会
- 台風12号災害の現地調査に基づき、急がれるライフラインの普及や護岸が損壊した河川の修復などに国の支援を強く求めた
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
台風十二号による犠牲者の方々に心からのお悔やみを申し上げ、また、被災者の方に心からのお見舞いを申し上げるものでございます。
私も七日の日に三重県の熊野市や紀宝町に行ってまいりました。熊野川の支流の相野谷川がはんらんをしたわけでありますけれども、行ったときはもう水が引いておりました。ふだんは本当に穏やかな小さな川でありますけれども、はるかに離れたところも池のようにつかって、二階の屋根の上に流木などが引っかかっているという事態を見ますと、何でこんなところまで来たんだろうかと本当に思わず絶句するような想像をはるかに超える被害でありました。
大臣も現地の調査に入られて、三重県では紀宝町に行かれ、この相野谷川のはんらんの状況も見てこられたと思います。その際、県知事や町長さんからは、国としての財政的な、技術的な支援、それから、やはり瓦れき処理などに、これは国主導でやってほしいと、こういう要望も寄せられたというふうに聞いております。
今日、繰り返し各委員からもあるわけでありますが、これ、今後台風シーズンに入っていくことを考えますと、二次災害をやっぱり起こさないということを考えますと、非常にやっぱりスピード感が求められるわけですね。地方自治体は、そうはいってもちゃんと財政的支援があるのかと、どこまであるのかということでちゅうちょするということがあるわけでありまして、やはり激甚災害の指定や瓦れき処理の問題などで、国がここまできちっとやるから安心して地方自治体思い切ってやりなさいという、こういう姿勢を、メッセージをもっと強く発していただく必要があると思うんですが、そこの基本的姿勢、まず大臣にお聞きしたいと思います。
- 防災担当大臣(平野達男君)
激甚指定につきましては、繰り返し申し述べているとおりでございまして、まず被害額の確定、これが基本だというふうに思っています。
一方で、県あるいは自治体、特に県にはお願いしたいと思うのは、査定前着工制度というのがございます。新潟県の、新潟、福島の豪雨が発生したときに、泉田知事が冒頭私に一番言われたのは、査定前着工をやりたいと、それは結構でございますということで、ついては激甚災害もよろしくという、そういうお話でした。つまり、工事ありきで後で激甚、そういうことを想定しているんですが、そういういわゆる急ぐということについてはもう国も自治体も同じ考えでいると思います。
激甚災害についてはやっぱり一定のルールがございますから、それはやっぱりそれで従っていただかなくちゃならない。しかし一方で、先ほど言ったように、工事を急ぐというものについてはどんどん査定前着工をやっていただいて、応急復旧から始まってやっていただきたいと。このことについては、関係する知事にも私からきちっとお願いをしたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
国がきちっと後追いをするので、後追いといいますか、後ろから支えるので、ちゅうちょなくやりなさいと、こういうメッセージだったと思います。是非、本当に今地方自治体も大変厳しいわけですから、一方で、この災害で必要なことがちゅうちょあってできないということになりますと、命にかかわる問題ですから、これは是非きちっと支援をお願いをしたいと思います。
幾つか避難所も回ってきました。食料とか飲料水などは回り始めておりました。夜は避難所で泊まって、昼間は家に行って泥かきなどをされているという状況でありました。
これは東日本大震災でもそうだったんですが、避難所に行かれていない、自宅にいらっしゃる方のところになかなか救援物資が行かないということがあります。特に、お年寄りの方など取りに行くこともできない、電気も水も通っていないという状況があるわけですから、私はこれはやっぱり本当にきめ細かくそういうところまで物が届くという対応を求めたいと思います。
それから、先ほどもありました。紀宝町の場合に、町の水道の取水口が壊れたり、それからポンプの電気系統が水につかるなどで町内全域が断水をしておりまして、家を、泥を洗うにも水がない。それから、何とか清水を確保してやっても、その後お風呂にも入れない。もちろん洗濯もできないということになっています。車で一時間ぐらい掛けて那智勝浦までお風呂に行くという方もいらっしゃるようでありますが、そこも芋の子を洗うような状況だということもお伺いをいたしました。
そういう点で、この水道の再建は本当に急がれるわけでありますけれども、先ほどの答弁では、なかなかこれは、紀宝町の場合、大きな規模で、まだいつとめどを申し上げる状況じゃないというようなことがあったわけですが、今朝の地元紙などを見ておりますと、昨日の午後に熊野川に仮設の取水ポンプを設置をして、数日掛けて水質検査を行って、水道管に破損がなければ給水を始めると、こういう報道もありますし、知事は、これを踏まえてだと思いますが、二、三日後には復旧できるんじゃないかということも言われております。
本格的な全面的復旧というのは一定のめどが掛かるかと思いますが、こういう応急的な復旧で取りあえずやっぱり水を供給するということについては、どれぐらいのめどを持っておられるのか。そして、こういうことに対しての国としての支援はどのように取り組まれているんでしょうか。
- 厚生労働審議官(篠田幸昌君)
お答えを申し上げます。
今お触れになりました紀宝町の件、確かにおっしゃるとおり、取水施設が破損をしているということで、従前の水道全体が今使えないという状況でございます。その取水施設、言ってみれば一番最初のところでございますので、そういう状況にあるわけでございますけれども、もちろん、最終的にはと申しますか、できるだけ早くということだと思いますけれども、従前の機能を取り戻すということはこれは非常に大事でございます。
ただ、同時に、少しでも早く水を供給するということも一方で必要でございますので、恐らく、今御紹介になりましたように、県庁なりあるいは地元の町なりで一生懸命これ対応されているということだと思います。
当面、あるいは応急の措置といたしまして、取水施設が傷んでおるわけでございますから、仮設の施設を造るとか、工夫するとか、あるいはポンプもそういった設置をするとか、そういったことは対応はしていただくのは全く結構でございまして、むしろ一日も早く水の供給が欲しいという被災者の方々のお声にこたえることになろうかと思います。
ただ、取水の機能が一部元に戻りましても、全体の水道管の破損があるかないか、さらには、さっきおっしゃっておられましたように水質はどうかといった点もございますので、物理的な、施設的なところはできたとしても、そういったところでやっぱり一定の時間はいただかなきゃいけないんだろうというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、なるべく早く、一〇〇%ではないにしても、少しでも機能を元に戻すということが必要かと思っております。
- 井上哲士君
そういうことに対してなかなか、地方自治体自身も被災をしているわけですから、大変な手間も要るわけですね。国としてのこういう対応に対する支援、当面の水の確保も含めてどのように対処されているんでしょうか。
- 厚生労働審議官(篠田幸昌君)
お答えを申し上げます。
当面の水、もちろん本当に必要な最小限のことになりますけれども、給水車による必要な水ということの提供ということはさせていただいておりますし、これもまた必要があれば更に拡充することは必要だろうと思います。
それからまた、施設の方につきましても、一定の技術的な裏付けというものがありませんとやはりいけないんだろうと思いますが、そういったものにつきましては、御要請があれば、これまた技術的な支援ということをできる体制が水道事業者間でできておりますので、そういったことを御利用いただけるかと思います。国としても、そういった体制のバックアップということは十分心掛けてまいりたいと思っております。
- 井上哲士君
御要請があればではなくて、積極的にこういうこともあるよということで、地方自治体と一体となって一刻も早い復旧に全力を挙げていただきたいと思います。
それから、先ほどもありましたけれども、この相野谷川ではこれまで度々水害が発生してきて、輪中というものが造られておりました。一定の集落を囲んで、川がはんらんしてもそこは守るというやり方だったと思うんですが、今回これを乗り越えて水が入ってきたと。私も現場見てまいりましたけれども、集落の側から川の側に向かって堤が崩壊をしているという状況もありました。国の事業で行われてきたもので、これがあるから安全だということでかなり安心しておられて、気が付いたらもう屋根まで水が来て、窓から逃げたとかボートで逃げたとか、こういうお話も伺ってまいりました。
かなりの費用も掛けてやってきたものがこういうことになっているわけで、そもそもこういう輪中堤という対応をしてきたことの経緯や、今回のこういう結果に至った原因などをまずどのようにお考えでしょうか。
- 国土交通副大臣(奥田建君)
井上議員にお答えさせていただきます。
井上議員御指摘のように、もう度々といいますか、四年から五年に一度のペースでこの地区というのは浸水被害というのが発生しておりまして、輪中堤につきましては、平成十三年度より二十年度までの時間をかけて、宅地のかさ上げ、そして排水機場の対策、もちろん輪中堤を構築していくという事業を完了しておるわけであります。
このたびの水量というのは、この熊野川に関しましては、平野大臣からも御指摘のありましたように、御回答のありましたように、計画洪水量、この一万九千立米、一秒間に一万九千立米という計画水量を大きく超えた二万二千立米という出水があっての決壊ということになります。決壊が四十メーター、そして傾斜が六十メーターと。この百メーターについては仮締めという形で矢板を打って、矢板を二重に打って、その間に大型のトン単位の土のうを積んでいくという作業は今応急処置として完了させていただいたという報告を受けております。
原因としては、河川の、推測で物を言ってはいけないかもしれませんけれども、この輪中の底をえぐっていくような、そういった流れによって輪中堤全体が倒壊してしまったということが考えられるところであります。
- 井上哲士君
土のうは終わったけれども矢板はまだ作業中だという認識なんですが、そういうことですね。うなずいていらっしゃるから、そういうことだと思います。
これからも台風シーズンになりますから、もうそういう応急的な対応をまず必要なわけでありますが、この地域を、そういう四、五年ごとに水害があるというところで、どうやってこの防災をしていくかというのはかなり議会、県議会等でも議論があった末にこういうことがやられたわけですね。
ですから、今後どうしていくのかというのは、住んでいらっしゃる住民の皆さんの意向もしっかり聞くことが必要だと思うんですけれども、そういう議論の場とか今後の方向ということはどのようにお考えでしょうか。
- 国土交通副大臣(奥田建君)
間違いの御指摘もいただきまして、ありがとうございます。矢板の方は九月中にやるということで鋭意取組と、そしてまた本格復旧の検討を進めているというところで訂正をさせていただきたいというふうに思います。
これからの対策をではどうするのかということですけれども、ちょっと今の時点ではっきりとこうだということはなかなか申し上げることはできません。
ただ、今の雨量というものをしっかりとこれからの計画の中に取り込んでいくということ、そして今先生も御指摘のように、この決壊や傾いた原因調査というものもしっかりと対応した上でこの相野谷川の治水の安全確保ということに取り組んでまいりたいと思っております。
- 井上哲士君
住民の意向もしっかり踏まえながら取組をお願いしたいと思います。
もう一点、熊野市の井戸川の状況も見てまいりました。幾つか橋が流れて堤防も相当損傷しておりますし、川に沿った道路も寸断されております。そして、上流から流れてきた岩やそして流木が川底にたまっておりまして、場所によっては相当、川底が高くなっていました。住宅がある土地と川の水面の高さがもう一、二メートルぐらいしかないんじゃないかと思われるような場所もありました。
台風シーズンを控えますと、再び大雨が来ますと相当な被害が出るんじゃないかということで住民の皆さんも不安に感じていらっしゃるわけで、ここの被害状況をどう把握されて、この復旧についてどういう国としても支援をして取り組むのか、いかがでしょうか。
- 国土交通副大臣(奥田建君)
今御指摘の井戸川の方には、河川からの溢水により三重県の熊野庁舎前においても約六十センチの冠水と、そしてまた熊野市内全体に広い範囲で冠水したという報告を受けております。
そして、御指摘のように上流からの土砂流出、そして流木といったものが川をふさいでしまったという状況になっておりまして、もうこの流木というものをまず緊急に撤去して流れを確保するんだということを指示したというふうに聞いております。
そして、緊急でやることというのは、やっぱり河川の、河道といいますけれども、断面をしっかりと確保することということが一番次の災害に対する、あるいは次の降雨に対する対応ということになりますけれども、上流からずっと川底が、やっぱり大量の土砂が流れて上がってきているということですので、それもやはり時間との闘いが必要となるかというふうに思っております。
- 井上哲士君
まさに時間との闘いでありますから、地方自治体も全力を挙げていらっしゃるわけですが、これはやっぱり国の、そしてできる限りの支援をしてやらないと、本当に次の災害が心配なわけですね。
その点ちょっと大臣から、やはり国としてできる限りの支援をしていくという点、いかがでしょうか。
- 防災担当大臣(平野達男君)
いずれ災害が起こった場合には、どんな災害でもそうですけれども、一日も早く地域住民が元どおりの生活に戻るということが、戻すということが基本であります。
例えば、それと併せて那智勝浦、どうしても私はあそこに行って思いが強いものですから再三例示として出させていただいておりますけれども、あそこはやっぱり観光資源でもあります。今のあの状況の中では観光客も来ません。地域の経済に与える影響も非常に大きいと思います。
こういったことも考え、勘案しながら、まずできるだけ早期に復旧をしていくということについて、地元自治体と一体となって国も全面的な支援をしていくと、そういうつもりで取り組んでいきたいと思いますし、各省にもそのことを強く私の立場から訴えていきたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
本当にできるだけの支援をお願いしたいと思います。
紀宝町で行方不明者が出た浅里地区というのは、電話は全部切れていたわけですが、防災無線も不通になったわけですね。町は結局、通じないということで避難指示も勧告も出さなかったということが報道をされております。
ここの防災無線は、実はこの前の台風のときに、今年七月の台風六号で水につかって故障をして、それを直したんだけれども、なかなか東日本大震災なんかの関係で資材がなかったということで、結局また同じ場所に置いてあったということなんですね。
報道によりますと、区長さんは、今回もその基地局に当たる部分が全部水につかっていたので各家に対して受信機も全く使えなかったということを言われておりまして、ですから、七月にも台風でつかったのに同じ状況になっていて、またつかったと。町は連絡が付かないということで指示を出さなかったけれども、町民の皆さんは、地域の皆さんはそんなこと知りませんから、何の指示もないというようなことになっていたのではないかと思われるんですね。
この防災無線が水につかって使えなかったというのは去年の奄美でもあったことでありまして、私は、やっぱりこういう教訓から見れば、やっぱり総点検もして、一番防災のときに必要な防災無線が真っ先に使えなくなっているというのは話にならぬわけでありますから、これはやっぱり是非、総点検なり対応をしていただきたいと思いますけれども、最後にこの点をお聞きしたいと思います。
- 防災担当大臣(平野達男君)
今回の災害で防災行政無線等が被災したことによって避難情報の提供ができなかった地区が、例があるということについては私どもも承知をしております。したがいまして、防災行政無線等が被災しないような措置をこれからも周知、しっかり徹底するということも大事だというふうに思います。
さらに、もし仮に防災行政無線等が被災して使えなくなったとしても、放送や衛星携帯電話などの複数の手段によって住民に情報伝達することが必要じゃないかなというふうに考えております。
今回、でも被災集落には、総務省さんの御努力によりまして、携帯無線、道路等々についていち早くそこの提供をして、現地と対策本部とのやり取りをやっております。
なお、内閣府では、この道路の寸断や通信の途絶による孤立集落が発生した場合に衛星携帯電話が通信手段として大変有効なものとして考えておりまして、二十三年度から地域防災力向上支援事業により支援を実施するということになっています。予算二億、一千個程度の供給ができる体制になっておりますが、私どものPR不足が多分一番の理由だと思いますが、まだ一件も手が挙がってきておりません。あえて申し上げれば自治体の意識も若干薄いのかなということでございまして、今回の被災の例を踏まえまして、この衛星携帯電話の普及に努めていきたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
終わります。
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