2011年5月27日
東京国公革新懇総会での講演
「安全神話」を崩壊させた福島原発事故
原発依存から自然エネルギーへ転換を
日本共産党参議院議員
参議院国対委員長 井上 哲士
目次
一、2か月半を経ていっそう浮き彫りになる深刻な事態
二、重大な事故を招いた「二重の人災」
三、「原発利権共同体」にメスを
四、原発からの期限を切った撤退と安全優先の原子力管理体制を
質疑応答
皆さんこんばんは。御紹介いただきました日本共産党の参議院の国会対策委員長を務めております井上哲士です。今日は「ステンチュラ」を使った速記もしていただくということで、さすが国公だなと思っております。
私も連休中に東日本大震災の被災地であるいわき市に行ってまいりましたが、現場に行くと事態の大変さに声を失いました。被災した各地で、国家公務員、地方公務員の皆さんが、自ら被災をしながら、救援・復旧活動に献身をされている姿にも頭がさがります。先日の総務委員会で我が党の山下よしき議員の質問に、片山総務大臣は、「とかく公務員全体が批判の対象にようになってきたが、それは事実として間違いだった。今回のこういう事態を契機にして、公務員に対するものの見方も変わってくるのではないか」と答弁しました。今、国民の命と健康を守る公務労働の在り方が見直されていると思います。
そういう情勢の下で、これまで国民のために頑張ってこられてきたOBや現役の皆さん方の前でお話しさせていただくことを、大変嬉しく思っております。
(一) 2か月半を経ていっそう浮き彫りになる深刻な事態
まず、東京電力福島第一原発の事故がどういう事故なのかという問題です。まだ事態が進行していることに加え、これまでの事実隠しもあり、次から次へと新たな事実が明らかになっております。2か月半を経て、その深刻さというものが日々いっそう浮き彫りになってきているというのが実態です。
@ レベル7の重大事故―大量の放射性物質の拡散
第一原発から大気中に放出された放射性物質の量について、原子力安全・保安院は37万テラベクレル、原子力安全委員会は63万テラベクレルという試算を4月12日に発表しました。テラというのは一兆でありますから、大変な量の放射性物質が空気中に出されたということであります。これは、原発などの事故についての国際原子力事故評価尺度ではレベル7ということになり、チェルノブイリ以来2度目の大変な事故となったわけです。(保安院は6月6日に倍以上の77万テラベクレルに上方修正した)
今も放射性物質は、排出され続けているわけですが、この大量の放射性物質の大半は、事故の直後に排出されているわけですね。今日の夕刊に、米原子力規制委員会のビル・ボーチャード事務局長が、福島第一原発事故の数日後に炉心溶融(メルトダウン)を確信していたと明らかにした、という記事が出ています。ヨーロッパの各国も、事故の直後から、これはレベル7にあたるということを言っていたわけです。しかし、日本の保安院は、3月18日の時点ではレベル5と言っておりました。実際には、こういう大量の放射性物質が出たとことは大体のデータとして分かっていたのに、これを隠していたという疑いがあります。
○全電源喪失で冷却不能に―核燃料の大半がメルトダウン
このような重大事態になった原因は、核燃料の冷却ができなくなったことにあります。よく、「原発は大丈夫、事故が起きたらすぐ停止します」といわれてきたわけですね。確かに今回の地震と津波で、原発の運転は停止しました。しかし、それでは収まらないのですね。停止をしても燃料棒は崩壊熱を出し続けます。これを冷却しなくちゃいけない。ところが、今回は、核燃料を水で冷却するシステムを動かすための電源が、地震と津波で全部失われました。外部電源が駄目になって、そして、そういう際の自家発電用のディーゼルエンジンも駄目になり、残っていたバッテリーも時間が尽き、冷却水を送って燃料棒を冷やすことができなくなりました。その結果、燃料棒が高熱になり、原子炉内の水を蒸発させ、燃料棒が露出し、燃料棒の被覆管に使われているジルコニウム合金と水蒸気が反応して水素が発生して水素爆発を起こしました。その際に、大量の放射性物質が放出されたというのは、皆さん御案内のとおりであります。
この間、次々事態が明らかになっておりますが、5月15日の東京電力の発表によりますと、津波の翌日の3月12日の朝6時50分ごろには、第1号機については、ほぼすべての燃料が溶融して落下をしていた。さらに東電は24日、2号機については101時間後、3号機については約60時間後に、大部分の核燃料が溶融し、原子力圧力容器の底に落下していたということを明らかにしました。
燃料が溶融しているのではないか、ということをかなり早い段階で指摘する専門家も多かったわけですけれども、このことを認めずに、2カ月半たって、1号機から3号機まですべて核燃料の大部分がメルトダウンしていたという大変深刻な事態だということをやっと明らかにしたわけです。
○配管の破損―地震が原因の可能性
さらに、地震の発生直後に、1号機の圧力容器ないしは容器に付随する配管の一部が破損してそこから蒸気が漏れ出た可能性を示すデータが東電の公表資料に含まれていることも大きく報道されています。「あの事故は、津波によって全電源が失われたから起きた」と言っていますが、津波の前の地震で配管の一部が破損していた。ですから、安全設計により地震では大丈夫だったというのは破たんしています。この点でも、最初の地震でプラントがどのような損傷をうけたのか情報の公開が求められています。
A 工程表を改定―甘い想定。裏付けとなるすべての情報の速やかな公表を
このように深刻さを示す事実が、事故から2か月以上たってから、次々と明らかにされてきています。私たちは裏付けとなるすべての情報を速やかに公表しろということを、保安院にも東電にも迫っているわけでありますけれども、いまだに、すべてのデータは公表されておりません。そういうもとで、政府が東電に丸投げをする形で東電が出した「工程表」はそもそも裏付けがはっきりいたしません。
しかも、その工程表を5月17日に改定しました。これの一番大きかったのは、冷却方法を変えたことです。最初の工程表では水をどんどん入れて水浸けにしてしまうことを第一段階としてやるということだったんです。しかし、燃料棒が溶融したことがわかり、いろんな損傷もあるために水浸けができないということで、循環方式で冷やすことに変えたわけです。かなり根本的なところが変わったにもかかわらず、収束の日程については変えないということになっています。
私たちは、この事故のあらゆるデータ、重大な事態を生み出した政府や東電の初動の対応の具体的内容など、様々な問題点について明らかにさせる必要があります。内閣の下に調査委員会が設置をされましたけれども、もっと権限のある第三者的なものを作って、徹底して事実と原因を究明することが必要だと思っております。それでこそ、すべての英知を結集して、事故の収拾もできるし今後の対策もできるということだと思うんです。
(二) 重大な事故を招いた「二重の人災」
この重大事故について、「これは神の仕業だ」「想定外だ」「1000年に一回の地震でどうしようもなかった」などの言い訳がされています。しかし、私たちは、これは明らかに人災――二重の意味で人災だということを、この間、国会で追及してきました。
@ 原子力発電は「未完成」で危険な技術―アメリカの原子力戦略と利益第一主義
前提として、原子力発電というのは、非常に未完成で危険な技術だということです。お手元にある、不破さんの講演でふれていますが、原子炉の構造そのものが不安定なわけですね。核燃料というものは、コントロールができなくなってしまったときに大変な事態が起きるということ、技術的に完成されたものじゃないということを今回、私たちは嫌というほど体験しました。
さらに、使った核燃料の後始末ができないということです。今回、福島第一原発4号機の冷却用プールに使用済み核燃料があり、冷却できなくなって高温になってしまったというのを見て、私も認識を新たにしたんです。使用済み核燃料といっても置いてあるだけではなく、長期間熱を出し続けるという、非常にやっかいなものなわけですね。しかも強い放射線を出している。「死の灰」とも言われます。これを最終的に後始末をする技術が確立していないままになっていますから、それぞれの原発のところにああやってまだ置いてあるわけですね。100万キロワットの原発が一年間動いたら、広島型原発の1000個分の「死の灰」がたまります。
やがて後始末の技術はできるようになるだろうということで、とにかく原発を作ったけれども、いまだに確立できていない――不破さんは講演のなかで「トイレなきマンション」と言っております。このように構造的にも、使った核燃料の後始末ができないという点でも、未完成な技術なわけです。
しかも、核エネルギーの実用化の出発点が核兵器でありました。これを動力に利用するのも、アメリカ海軍が潜水艦の動力に使うことで始まった。そして、この潜水艦の動力炉を民間に転用して、軽水炉として発電に使うということになってきたわけですね。ですから、安全性を十分に考えないままに始まったというのが今の原発なのです。
さらに、アメリカの原子力政策の言うがままに導入したという、日本の原発の問題点があります。1953年に、アイゼンハワーが「平和のための原子力」という呼び掛けをするんですが、それ以来、アメリカ政府は、核兵器開発の独占という戦略のもとで、日本の原子力エネルギーを支配して、アメリカに従属させる関係を強めてきたわけですね。そして、アメリカが自分で開発した軽水炉を売り込むために、燃料の濃縮ウランを日本に提供しようということを申入れました。当時日本の学術会議は、これを受け入れると、日本の原発の使用方向がアメリカの技術の枠に閉じ込められてしまうということで反対したんですけれども、日本政府はアメリカからの濃縮ウランの受入れを決定します。その後、それを燃やすための原子炉をアメリカから買うわけですね。福島第一原発の1号機、2号機はGE設計の原子炉であります。このように出発点からアメリカ従属型である一方、アメリカでやられている安全対策のほうは輸入せずに、とにかく儲け本位で始まりました。このように日本の原発行政は、アメリカと大企業奉仕の政治そのものという特徴をもって始まったわけです。
A 第一の人災―安全神話を振りまき、自ら取りつかれた
そういうもとで、私たちは、今度の事故は二重の人災だと指摘してきました。一つ目は、日本の原子力発電所では絶対に重大な事故は起きないという安全神話を振りまき、それを振りまいているうちに、自分自身が取りつかれてしまったということです。
○まともな安全審査体制なしの原発増設
不破さんの講演で、1976年の国会質問が紹介されています。「原発の増設計画を進めているけれども、安全審査はちゃんとやっているのか」と質問をすると「十分やっている」という答弁だった。当時、アメリカで原発の審査や管理にあたっている機関には、1900人の技術スタッフがいたわけですね。ところが、日本はどうか。「専門の審査委員はいるか」と聞くと「いる」と答えたけれども、実態は全員が非常勤だった。ふだんは大学にいるような先生方に、設計図を見るだけのような仕事、アルバイト仕事でやらせていた。こういうような非常にずさんな審査体制で、日本の原発の増設が始まったことがこの質問でわかります。
○スリーマイル事故の教訓も生かさず―安全設計審査基準/アクシデントマネージメント
さらにスリーマイル事故後の対応です。スリーマイル島の原発事故は1979年でした。その後、1986年には旧ソ連のチェルノブイリの原発事故も起きました。いずれも非常に深刻な事故で、燃料棒の溶融―メルトダウンが起きました。これを受けて、国際原子力機関は、こういう重大事故、「シビアアクシデント(過酷事故)」を想定した安全対策を世界に求めました。その中には、今回起きたような、冷却用のすべての電源を失った場合にどうするかということも含んでいました。ところが、日本の電力会社と政府は一体となって、日本の原発は安全なのだからといって、そういう世界の求めに対してまともに対応しませんでした。
この問題を先日、決算委員会で取り上げました。ここに1990年に作られた、原子力安全委員会の原子炉に関する「安全設計審査指針」があります。この中に、わざわざ「長期間にわたる、全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない」と書いているんです。これでは電力会社が全電源喪失を考慮した対策をとるわけがありません。
一方、先ほどのべたように、スリーマイル島の事故をうけ、重大事故を想定した対策が国際的に求められましたから、日本も、やらないわけにいかない。ということで、1992年に、やはり原子力安全委員会が「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネジメントについて」という文書を決定しているんです。それを見ますと「原子炉設置者において効果的なアクシデントマネジメントを自主的に整備することを奨励する」となっているんです。国際的には、重大事故を受けて、様々な規制的な措置を執っているんですね。ところが、日本は、規制ではなく、「電力会社が自主的に整備することを推奨する」という基準でしかなかったんです。しかも、この文書の中でどう書いているか。「我が国の原子炉の安全性は、いわゆる多重防護の思想に基づき厳格な安全確保対策を行うことによって充分確保されている。これらの対策によってシビアアクシデントは工学的には現実的に起きることは考えられないほど、発生の可能性は充分に小さい」と、わざわざ書いているんです。
そんな事故は起こることは考えられないけれども、対策を自主的に整備することが望ましいというのですから、電力会社がやるはずがないですね。ですから、この指針を受けて、各社が保安院にシビアアクシデント対策を報告をしておりますけれども、今回起きたような、全電源の長時間の喪失についての対応を盛り込んだものは一社もありません。それでも政府はオーケーしてきたんですね。
もともと安全神話で始まった日本の原発行政ですが、世界は、チェルノブイリやスリーマイルアイランドの事故を受けて、規制強化の方向に進んだのに、日本では逆に、重大事故は起こりませんという「安全神話」を安全委員会が文書で改めて宣言した。世界からまったく逆行しています。
○震源域、活断層上に原発建設の異常さ
しかも、日本の原発は、大地震の震源域や、活断層の上に作っているという点でも非常に異常なわけですね。
アメリカは世界一の原発保有国でありますけれども地震のない中東部に集中しておりまして、西部の地震地帯にはほとんど設置しておりません。そもそも活断層法という法律があって、活断層地帯には原発を作らせないということにしております。フランスも原発大国ですけれども、地震のない国です。それでも、高速増殖炉は危険だということでやめたわけですね。日本は、これだけの地震大国でありながらたくさんの原発を設置し、しかも、浜岡原発をはじめとして、活断層や震源域の上に作っています。こんな国は他にありません。
○条約違反を承知で「推進機関」に規制を任せる
これも不破さんの講演にありますが、国際的な基準としては、原子力を推進する機関と、安全に責任を負う規制機関は、完全に独立した機関にして、そこに権限を集中しなければいけないということが、はっきり条約化されております。ところが、安全神話のもとでは、「安全なんだからまともに規制する必要はない」ということになりますから、国際的な基準にあるような規制機関を日本で作ってきませんでした。今回の事件を見て明らかなように、原子力安全・保安院というのが記者会見をするわけですれども、まあ、いわば東電の発表の垂れ流しのような話です。保安院自身が経済産業省の外局なわけですから、正に、原発を推進する経産省という役所の中に、規制をする機関がくっついているという、世界から見ても全く異常なやり方がずっと残されてきました。
○具体的な国会での警告や申し入れも無視―「想定外」は通用しない
さらに政府や東電は、具体的な国会の追及も、市民団体等の警告も全く無視をしてきました。
我が党の吉井英勝議員が、原発の地震・津波対策について何度も質問しています。その中では、正に今回起きているような、津波ですべての電源を失って、冷却ができなくなった場合はどうするんだという質問をしておりますけれども、当時の保安院長は、理論的にはあり得るけれども、現実は起こり得ないことだと言って、この指摘について無視いたしました。そして、党の福島県委員会やいろんな市民団体が、東電に対して、地震や津波で電源を失って冷却ができなかった場合の対策ということを繰り返し申し入れたわけですけれども、これも無視してきた。ですから、「想定外」と言いますけれども、想定ができなかったんじゃなく、想定しなかったというのが実態です。
先日、衆議院の経済産業委員会で、参考人質疑がありまして、作家の柳田邦男さんが参考人で来られました。柳田さんはこう言いました。「想定外というのは、それ以上のことは考えないことにしようという思考様式に免罪符を与えるキーワードだ」。想定外だから考えないでおこうとして、そして事件が起きれば、想定外だったということで責任を回避する――こういうことがずっと積み重なってきたというのが、あの重大事故の土台にあったということであります。
B 第二の人災―初動の決定的遅れ
○過酷事故への構えも備えもなし
もう一つの人災は、初動に決定的な遅れがあったということです。安全神話にとりつかれて、重大事故に対する構えや備えがなかった。例えば、一応は原発事故に備えた災害訓練というのは政府もやっているんですね。しかし、避難するといってもせいぜい、半日だけで家に帰るとか、そういう訓練しかしておりません。今回のように、長期間にわたって避難をしなくちゃいけないときに、どう対応するかという対応策も訓練も一切してなかったわけです。
○一番重要な時期に本部を空けヘリ視察した総理
非常に重大な初動の対応はどうだったのか。3月11日14時46分に地震が発生し、その後、原子炉格納容器内の圧力が異常に上昇し、ベント――蒸気の排出が必要だということになりました。専門家は、22時ごろには、それをやらなければ危険だということを言っていたのに、枝野官房長官がベントを指示をしたのはその日の深夜1時半ごろでした。しかも実際にベントが行われたのは、指示をしてから9時間後の翌朝の10時17分です。この一番大切な時間帯に、菅総理は、「原発を勉強したい」ということで、斑目安全委員会委員長と一緒に現地にヘリで視察に行って、4時間半も対策本部を空けていたんですね。その後、15時36分に一号機で水素爆発が起きました。
なぜ事故直後が重大かというのは、研究がちゃんとあるんです。経済産業省の独立行政法人の「原子力安全基盤機構」が、すべての電源を喪失して冷却ができなくなったら、どういうことが予想されるかという研究を2010年10月に出してます。この研究によりますと、全電源を喪失をしたら、0.6時間後に核燃料は落下して、1.8時間後には格納容器が破損して、16.5時間後には、格納容器も破損されるとしているんです。ですから、事故直後の10時間というのは、正に、そのメルトダウンが起きるかどうかという非常に重要な時だったんですね。ところが、こういう報告書が出ていることを、安全委員会の委員長も、総理も知らなかったんです。せっかく研究をさせていても、それを知らずに、一番肝心なときに本部を離れてしまい、官房長官が指示をしても9時間もベントがされませんでした。
○廃炉恐れ海水注入を躊躇―迷走する説明
それから、東電のほうは、冷却が必要だと分かりながら、海水を注入したら廃炉にしなくちゃならないということで躊躇した。結局、海水が注入されたのは、12日の20時20分でした。この遅れが、重大な事故につながっていったということなんですね。そういう躊躇している東電をしかって、総理のイニシャティブで海水を注入したというのが、ついこの間までのシナリオだったのですが、ここ数日は、実は、むしろ総理が中断をさせたという話になり、昨日には、実は中断していなかったというようなことで、事実関係が錯綜しています。少なくとも、躊躇する東電の尻を叩いて総理がやらせたという話は、全く違っていたということなんですね。
このように、政府が本来やるべきことをやってこなかったということが、今回の大きな事故につながっているということです。想定外とか、天災でできなかったということじゃなくて、二重の人災だということでこれからも厳しく追及しなくてはならないと考えております。
(三) 「原発利権共同体」にメスを
@ 1基で100年間―原子力産業は巨大なシステム
こうした日本の原子力行政を大きく転換させていくためには、巨大で強固な原発利権共同体というべきものに、メスを入れるという大仕事があります。
グリコのコマーシャルで、「一粒300メートル」というのがありますが、『週刊ダイヤモンド』で原子力発電所は「1基で100年の儲け」という、なかなか面白い特集をしています。原発の建設費は1基3000億〜5000億円かかりますが、これだけでない様々な費用が長期的に発生します。まず、どこに作るかという地点の設定をしますね。地元住民の説得をしたり、環境影響評価書を作ったりで大体10年掛かります。場所が決まりました。そこから、設計準備、建設までに大体10年。運転期間は、当初は30年としていましたけれども、今はそれを60年間使おうと言っていますね。そして廃炉するにも大体20年掛かると言われています。ですから、10年、10年、60年、20年で、100年間ずっと仕事があるんですね。
○電力会社、原発メーカー、ゼネコンはじめ関連産業の広い裾野
そして、この100年間の儲けに非常に裾野の広い産業がぶら下がっているわけですね。原発メーカーは限られております。関電など西日本中心に作られている加圧水型は三菱重工、それから、東電など東日本の沸騰水型は東芝と日立、この三社です。そして、その土木の建設部分は、それぞれ大成とか、大林とか、鹿島とか、大手のゼネコンが請け負う。そして、鉄工、セメントなどの巨大な資材産業に儲けがあって、そこに銀行が資金を提供する。このように電力会社、原発メーカー、ゼネコン、資材メーカー、そして銀行という、大きな利益共同体が形成されまして、スーパー談合といわれる癒着構造がまずあります。
○政・財・官・学の鉄の結束
さらにこの儲けに群がる政、財、官、学の鉄の結束があるんですね。『ダイヤモンド』に出ていたコピーをお渡ししています。経済産業省から電力会社への歴代の天下りがのっています。一方、国は、原発立地の許可や振興策で便宜を図るという図式になっております。そして、東大工学部原子力工学科というのが牙城になっているんですけれども、ここと電力会社や国との人材のやり取りがあります。そして、注目していただきたいのは政界と電力会社との人的つながりです。実は、むしろ自民党のときよりも民主党のほうがあるという状況なんですね。自民党には、元東電の副社長で参院議員になった加納時男氏がいましたが昨年引退され、今は東電の顧問です。民主党の中には、東電や関電の労働組合の委員長や書記長など役員をした人が何人もいるわけですね。民主党内で原発政策で見直しの議論があると、こういう原発電力会社出身の労働組合やその関係者が、揺さぶりを掛けるということが言われています。
○財界に君臨する電力会社
さらに財界を見ていただきますと、日本には、八つの地域の経済連合会と、そして日本経団連があるんですけれども、実は、北海道から、東北、北陸、中部、関西、中国、四国、九州の8地域の経済連合会の会長は全部電力会社からなんです。配った資料では、関電については次期関経連会長になっていますけれども、今は会長になつています。日本経団連は、副会長だった東電の清水社長が辞任をしましたけれども、過去には、東電の平岩外四氏が日経連の会長をしていました。先ほどいったような、スーパー談合といわれる利益共同体の頂点に電力会社が君臨し、地域経済、財界に君臨しています。
このように100年の儲けに群がる、巨大な利益システム、鉄の結束というものがある。これを突き崩すという戦いなわけですね。
A 原発利権を支える仕組み
○総括原価方式―電力料金収入=原価(総事業コスト)+適正利潤
こういう原発の儲けを作り出すための巧妙な仕組みがいろいろと仕掛けられております。まずは、総括原価方式といわれるものですね。今、日本の電力会社は、9地域に分かれて独占をしているわけですけれども、その安定的な経営をさせる必要があるということでやられている方式です。電力料金を「事業コストに適正な利潤をプラスして決める」という仕組みです。原発を作ったりするのは全部事業コストですよね。それに、適正な利潤を載せて、そして電力料金にして、皆さんから徴収するわけですから、どんなに設備投資をしても絶対に儲かるんです。絶対に損をしないという仕組みなんですね。
○電源三法交付―地方自治体を蝕む麻薬
それに加えて、電源三法交付金というものを田中角栄が作りました。皆さんの電力料金に、若干お金を上乗せして、それを特別会計にして、このお金を、原発を誘致した地方自治体に交付金として配るという仕組みです。
これにより原発のある地方自治体への交付金は、年間約1200億円あります。例えば、調査を受け入れた時点から交付金が付きますし、運転したら運転したで交付金が付くようになっているわけですね。これが、地方自治体の財政に何をもたらすか。
交付金は、最初の段階でどんと来るんですよ。十億単位できますから、どうしても箱物を作っちゃうんですね。いったん作ると運営資金が増えます。交付金がへってくると運営経費がにっちもさっちもいかなくなり、自治体財政が困難になる。じゃあ、交付金目当てにもう1個原発を作るかということらになる。あの福島原発のそばの双葉町なども、財政難から新しい原発建設を決議しているんですよね。ですから、いったん交付金をもらいますと、確かに、立派な箱物がいっぱいできたりしますけれども、その運営のために、自治体財政が逆に圧迫をされ常に、原発に頼らざるを得ないという仕組みになります。麻薬という言い方をする人もいます。逆に電力会社側もそういうところに追い込んだ自治体に、依存するということになりますから、いったん受け入れた自治体にはどんどん原発を作っていくということになる。福井や福島などに集中し、そうなるほど自治体も原発に依存をするということで、悪循環になります。
○マスコミと教育を通じた「安全神話」のばらまき
それからマスコミと教育を通じた、安全神話のばらまきというのもあるんですね。今、学校教育の中でも、原子力は安全で必要だということをいろんな副読本で教えるということもやっていますし、マスコミがちょっと原発に批判的な報道をすれば、すぐ東電から抗議書が来たりする。夕べネットを見ていたら、山本太郎という男性の俳優のことが話題になっていました。福島の皆さんが、学校の校庭の20ミリシーベルトは高過ぎるということで文科省前に500人ぐらい集まった抗議行動をしましたが、彼はそれに参加していたんですよ。それが報道されましたら、8月に予定していたドラマの出演が取りやめになったということを山本さんがブログで書いていたということが話題になっていました。
それから安斎育郎さんという学者を皆さんご存じですか。立命館大学の教授をされて、今、平和ミュージアムの館長で、原子力問題で有名な人ですが、手品をしながら「超能力」のカラクリを暴露したことでも話題になりました。彼は、さきほど原発推進の牙城だと紹介した東大の原子力工学科の第1期生なんです。ところが、彼は、原子力防護学をやって、原発に批判的な発言をしてきましたから、常に差別され、マークされてきた。東大にいる間は13年間ずっと助手ですよね。講演に行っても必ず、大学関係者が横にいて監視しているという状況だったということを言われておりました。電力会社を相手に、株主代表訴訟にかかわった弁護士さんのお話を聞きましたけれども、随分事務所に嫌がらせがあったということを言われておりました。
このように、盾突くものには、さまざまいやがらせをし、物言えぬマスコミを作り、逆にマスコミを「安全神話」に動員していく。そして教育でもやる。これも原発利権共同体を支える仕組みでもあります。
○「原子力発電は安全で安い」というまやかし
国民レベルで原発容認の土台を作ってきたのが、安全神話とともに原子力発電は安いというまやかしの宣伝です。安全神話は崩れたんですけれども、そうは言っても、原子力は安いという認識が大半です。世論調査しましても、原発は減らすべきだという声は随分増えてきましたけれども、やっぱり現状維持というのが意外と多い。「安いから、しゃあないんじゃあないの」という声もまだまだあるんです。
本当に原発は安いのか。これは、立命館大学の大島堅一教授がいろいろ研究をされています。よく言われる原子力発電の発電コストが安いというのは、いろんな仮想モデルで計算をしているんですね。実際にはウランの値上がりもありますし、原子力発電所というのは100パーセント稼働しておりません。点検中は停止しますし、事故もあり、今は、半分も動いていません。発電には、直接要する燃料費とか減価償却費、保守費用、それからバックエンド費用というのがあるんですね。原発の場合、バックエンドというのは、使用済み核燃料の再処理の費用とか、廃炉にする費用です。それからさっき言ったように、原発立地のために、地方自治体に交付金をばらまいたりするという、国からの資金の投入があるわけですね。こういうものも全部含めたコストを見ますと、1キロワット/時で、原子力は10.68円、火力は9.90円、風力は7.26円です。水力には、昼間に発電するために、夜の間に、原発で作った電力で水を高いところに揚げて昼間に水力発電するという、揚水発電も入っていますから、それなしの純粋な水力だけで言いますと、3.98円ということであり、実は、原子力は決して安くないのです。しかも、これには今回のような事故を起こしたときの、事故対策のお金は入っておりません。一度事故を起こしますと、いかに原子力というのはコストが高いかということも明らかになりました。こういうことは含めないまま、原子力発電は安いという偽りの宣伝が国民に広げられてきたのです。
(四) 原発からの期限を切った撤退と安全優先の原子力管理体制を
@ 自民党以上に原発推進に踏み出した民主党政権
この間、あるネットの投書を見たら、菅総理が原発推進のエネルギー基本計画の見直しを言ったのはやっぱり政権交代の成果だ、と言っているんですよ。これはとんでもない誤解でありまして、政権交代後に民主党が作ったのが、あのエネルギー基本計画なんですね。先ほど、電力会社との人的つながりもお示ししましたけれども、民主党政権というのは、むしろ自民党以上に原発推進に踏み出したんです。その矛盾が一気に吹き出て、国民世論の前に慌てて見直しというのが経過ですね。
○14基の新増設計画
この民主党政権のもとで作られたエネルギー基本計画は、2030年時点で総電力に占める割合を原子力50%まで引き上げるをことを掲げ、新たに14機原発を新増設するということを打ち出しました。しかし、福島の事故をうけ、新増設などとんでもないという声が広がり、わが党の志位委員長との会談で「白紙を含めて見直す」と言わざるを得なくなりました。
○老朽原発の延長―福島第一の延長は事故直前
それから、老朽原発の延長も盛り込んでいます。原発は、30年から40年ぐらいが寿命ということで出発しているわけです。ところがこれを、もっと延ばしたいということを自民党時代からやっておりました。そして、40年を超えて運転する場合には、電力会社は国に、運転継続認可を求めるという仕組みです。実は、今回事故を起こした福島第一原発の1号機は、今年の3月末でちょうど運転開始から40年だった。その前の2月に、民主党政権が、更に10年間運転してもいいよという認可を下ろしたんですね。その直後にあの事故は起きているんですよ。福島第一原発1号機は、アメリカのGEから輸入しており、津波についてはそもそも設計の考えに入っていなかったものだということが、この間、明らかになっております。しかも老朽原発というのは、振動による金属疲労がありますし、冷却水による腐食等が発生します。このように安全性に問題があるのに、運転を延長することに踏み込んだのです。
○もんじゅの再開―安全性でも、経済性でも欧米は撤退。停止中も1日5500万円
さらに自民党ができなかったことで踏み込んだのが、もんじゅの運転再開ですね。これは私、ついこの間の決算委員会で質問しました。高速増殖炉もんじゅは、1995年の運転開始直後にナトリウム漏れの事故が起きまして、14年5か月間も運転を停止したんです。この運転を再開したのが去年の5月ですけれども、これを許可したのも民主党政権でありました。
高速増殖炉というのは、冷却剤に水を使う普通の軽水炉とは違い、液体ナトリウムを冷却材に使うんですね。ナトリウムというのは、水や空気に触れますと、爆発的な反応を起こします、ですから非常に扱いが厄介であります。さらに燃料のプルトニウムの放射線も非常に毒性も高い。ですから欧米各国は、この高速増殖炉は、技術的にも安全性にも困難だし、よって非常に設備や維持費も高くつき採算も取れないということで撤退しました。にもかかわらず日本は、ずっとこれを続けてきました。
ナトリウムというのは、98度が融点なんですよ。そこから下がると、固まっちゃいますから、停止中もずっと高温にしておかなくちゃいけません。それを含めて非常に維持費が掛かりますから、この14年5か月間、維持するだけで毎日5500万円も掛かったんです。大変な無駄使いなんですね。これを去年5月に再開をしたんですけれども、再開した直後にまた様々なトラブルが起きました。さらに8月には、燃料棒交換のための炉内中継装置というのがあるんですが、それをクレーンで釣り上げているときに、炉内に落としてしまうという事故が起きました。炉内に落ちた棒を、最初は引っ張り上げようとするんですけれども上がらなかったんですね。24回やって失敗した。落ちたときに、装置が曲がって抜けなくなっていたんですね。ところがナトリウムというのは不透明で、そういう状態が見えない。だから何遍も失敗した。特殊な鏡を使って曲がっているのがやっと分かって、これを取る大工事をするわけでありますけれども、その設備だけで17億5000万円の費用が掛かるんです。
私は、炉内にも何らかの損傷がある可能性があるから、不透明なナトリウムを抜いて目視をするべきだと言ったんです。けれども、ナトリウムを抜くとなりますと大変なお金が掛かりますし、水や空気に触れると、爆発的反応を起こしますからやっかいな作業になるので、やろうとしない。結局、冷却材にナトリウムを使うという、もんじゅ自体の困難さがやはり浮き彫りになっています。これを進めてきた自民党、いまだにしがみつく民主党の責任は大きい。
○交付金の「アメとムチ」を拡大
もう一つは、原発立地の交付金にアメとムチの仕組みを入れたことです。40年たった原発を更に10年運転することに同意したら地方自治体の交付金も増やします。それから、今、原発は13か月運転して、3か月間停止して点検をしますが、稼働率を上げたいものですから、この運転期間を17か月とか18か月に延ばすということをやるんですけれども、それを受け入れた自治体にも交付金を増やすことにしました。逆に、定期点検中で停止中に他で大きな事故が起きて、住民から不安の声が上がって、再稼働はちょっと待ってくれということを言いますと、この交付金が削られてしまう。地方自治体を金で脅すようなやり方です。
A 国民の世論と運動が揺るがしつつある
この間、国民の大きな世論の中で、このエネルギー基本計画をも白紙から見直すということを総理に表明させたというのは大きな成果でありますけれども、しかし、総理は、サミットに行ったら、自然エネルギーを新たに柱に立てるといいつつ、原発もあくまでも柱だと演説しました。もともと党として原発依存であり、見直しには民主党内の電力業界との深いかかわりのある部分などからの反発もあり、財界筋からの圧力もある。国民世論とのはざまで揺れ動いているということもあります。そういう点では、さらに原発からの計画的撤退を求める世論を強くすることが必要だと思っております。
○原発から計画的に徹底し、自然エネルギーへの転換を――ドイツ、スイスは撤退へ
ドイツは、日本の原発事故を受け、原子力政策を大きく踏み出しております。今17基原発がありますけれども、2020年度をめどに完全撤退するということで、原発のある各州とは既に合意をして、法律も国会に出そうという流れになっております。つい数日前にはスイスが、今5機ある原発を、2034年までに、すべて廃止をしていくということを打ち出しました。これも、6月には立法化をするということです。5機というのは少ないようですけれども、スイスの場合は、4割を原発に依存しておりますから、これからの転換という大きな変化が起きているわけです。
私たちは、こういうこともしっかり見ながら、期限を決めて原子力発電から撤退し、自然エネルギーへ転換することが必要です。同時にそれが可能だという声を広げることも大事です。現在、電力供給に占める再生可能エネルギーはわずかですが、資源エネルギー庁の資料をもとにしても、太陽光とか、風力、バイオマスエネルギーの物理的限界潜在量は12兆キロワット時で、現在の日本の総電力供給量9000億キロワット時の10倍以上であり、豊かな可能性をもっています。
○安全優先の原子力管理体制の確立をーあらゆる知恵と技術を結集する
安全神話から決別し、原発事故の危険を最小限のものとするために、考える限り、可能な限りのあらゆる措置を速やかにとることが必要です。それをすすめるためにも、原発から順次撤退に踏み出し、20年かかる廃炉の間の安全対策という点でも、原子力管理体制の確立ということが必要です。アメリカと比べますと、推進機関と規制機関が離れておりません。保安院とダブルチェック体制といって、内閣府に原子力安全委員会がありますが、体制も権限もありません。本当の意味で、チェックができる体制を作りながら、計画的な原発の撤退と、自然エネルギーへの転換ということを進めていくことが必要です。そのためには、先ほど紹介しましたような、原発利権共同体にメスを入れるという大きな仕事があります。そして、さんざんまき散らされた安全神話というものを国民の中から一つ一つ克服することも必要です。
本当に、安心できる日本にしていくために、全力を挙げていきたいと思いますし、東京国公革新懇の皆さんとも力を合わせていきたいと思っております。以上を申し上げましてお話を終わらせていただきます。
質問1 今起きている福島の原発は今後何とか収まるものなんでしょうか。もし収まらないんでしたら、どんな最悪の場合が予想されるんですか。
井上 さきほど言いましたように、すべてのデータがきちんと公開をされていないんですね。ですから、今の福島原発について安全になりましたといえる事態にはないわけですが、しかし、まあ、いつ爆発が起きるか分からないような事故直後と比べれば、今は一定の安定を保ってきていることは今出されたものでは言えると思います。しかし、予断は許されません。いずれにしても、東電の工程表のように、9か月で収束ということにはいかないんじゃないかなとは思っております。また、どんどん注入していっている水が、どこに漏れていっているか分からないとか、それにより放射性物質がどれだけ海水の中に入っていっているか分からないとか、いろんなことがありますので、引き続き重大な事態にあります。本当に、すべてのデータをしっかり国民の前に公表して、あらゆる知見を生かしてできるような形にするということが必要なんじゃないかと思っております。
質問2 原子力発電所を持っている地方自治体で働いている人であるとか、実際そういうところの経済を、原発がなくても生活できる方策はあるのか。
井上 地方自治体の話は、本当にそうなんですね。例えば、原発が止まって廃炉が終わるのには、10年とか20年かかると言われるわけですね。この間にも、使用済み核燃料があるわけですから、いろんな危険な状態があるわけですけれども、もう発電をしていないから交付金はゼロになっちゃうわけですよ。そうすると、それまでの行政が財政的に維持できなくなる。ですから例えば、廃炉していく段階で、いろんな自然エネルギーへ転換をしていくような事業を地方自治体が進めた場合に、いろんな補助金を出すとかいう形で支援をしていくということも、ひとつあるのではないかと思います。これまで原子力発電の推進に偏重してきた交付金や研究予算をそういう方面に転換することで、新たな産業や雇用を生み出すことは可能です。我々としても、もっともっと研究をしなくてはいけないなとは思っています。
質問3 今、井上さんの話を聞きましたが、私たちは、井上さんの話を聞き放しじゃなくて、井上さんと同じように職場とか地域で話ができるようになればいいというふうに思っているのですが、そのためには、今日出された、この資料をよく読むということと、ステンチュラで作られた講演録が送られてくるのをよく読むのと、後は何を読めばいいんでしょうか。
井上 吉井衆院議員が、この事件が起きる前の今年の春に「原発抜き・地域再生の温暖化対策へ」という本を出されています。これは、そもそもの原発の危険性や、自然エネルギーへの転換について、さらに自然エネルギーへの転換が、いかに地域経済の発展に資しているかという具体的な例を紹介されております。今出された質問の回答が、全部この中に入っておりますので、吉井さんの回し者ではありませんが、新日本出版、1600円でございます。短いもので言えば、『経済』の6月号にも吉井さんが書いております。先ほど「週刊ダイヤモンド」を紹介しましたけれども、こういう雑誌も、これはこれで面白い記事が出ております。