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井上哲士ONLINE
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2005年4月28日(木)

法務委員会
「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案」(第2回目の質疑)

  • 代用監獄(警察の留置場への長期勾留)の問題について質問。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 一昨日、府中刑務所に視察に行ってまいりました。当委員会ではもう三年以上にわたってこの刑務所問題というのは議論をしてきたわけですけれども、私自身は府中刑務所を二年ぶりに訪問をいたしまして、この間の国会審議であるとか行刑改革会議の議論などが確実に反映をした変化をしているなというのは大変実感をいたしました。

 まず一つの印象は、これまでは刑務所を視察しますと必ず、新しいところに入るたびに、現員何人、異常ありませんという大声と敬礼があったんですが、今回これがありませんでした。お聞きしますと、矯正局が号令を掛けて全部の施設でやめたんではなくて、それぞれの施設でこういうことを検討した、で、府中ではやめておるということでありました。

 それから、保護房ですね、これも三年前初めて名古屋刑務所に行ったときに中に入りましたけれども、そのときの印象は、壁の色や圧迫感などから、正常な者がここに入っても精神に異常を来すんじゃないかというようなものでありましたけれども、窓が大きくなったり、また大声を発する者用の単独室も整備をされているとか、これもいろんな議論の反映があるなと思いました。

 それからもう一つ、大変印象的だったのは、その刑務官がいろんな暴行を受けたり、場合によっては尿を掛けられたものを写真も含めて出されました。こういうのも、私、刑務所に訪問して初めてのことでありましたし、受刑者同士のけんかで大けがを負った写真までありました。

 これまでは、とにかくもう刑務所の中というのは十分に規律が取れていて、問題ないんだ、問題ないんだと、もううまくいっているんだということをとにかく説明をされることが多かったわけですけれども、こういうトラブルも実際はあるんだということを率直に言われたというのは、やはりこの間の行刑改革会議などで市民の目を中に入れていくというようなことが新しい流れとしてあるのかなという印象を持ちました。

 もちろん、まだまだいろんな問題は山積みなわけでありますけれども、こういう、行刑改革にとって、オープンにし、そして市民の目を入れていくということが大きな役割を果たしてきたと私は改めて思っているんですが、その辺の感想をまず矯正局長、いかがお考えでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 先日御視察をいただきました。井上先生には平成十五年の春にもごらんいただきまして、そのときも私、現地に一緒に参りましたけれども、その後、状況が変わったというふうにおっしゃっていただきまして、私どもとしても、精一杯今進めているところの一端が御認識いただけたことにつきましては、そういう機会をつくっていただいたことに対しましてむしろ有り難く思っています。

 私どもは、行刑改革会議の提言を一〇〇%、一二〇%尊重するという前の野沢法務大臣がおっしゃっておりましたけれども、そのような気持ちで、今後とも、今回の法案の成立はもとより、それを踏まえた新たな行刑改革の推進に事務側としてもできる限りのことをしてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

井上哲士君

 やはり外部の目を入れる、外部の声を入れるという点でいいますと、この刑事施設視察委員会というものが大変大きな役割を果たすと思います。

 この提言の内容に沿った構成や中身になるのかが非常に大事だと思っているんですが、今朝の午前中の質疑にもありました、委員会は十人以内で組織をされるということでありますけれども、小さいところは三人とか四人というようなところもあるのかと思うんです。規模が小さくなった場合でも、少なくとも刑務所の人権問題に取り組んできたやはり弁護士会推薦の弁護士さん、それからやはり医療の問題ありますから医師、これはやっぱり必須として、どんな規模であっても必ずメンバーに入っていただくということが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 行刑改革会議の提言におきましては、刑事施設視察委員会の委員に地域の市民、弁護士等の法律関係者や医師を含めることが望ましいとされているところでございまして、弁護士及び医師につきましては可能な限り委員に含めてまいりたいと考えております。

 また、弁護士を含め、委員の選任方法につきましても、健全な国民常識を反映した意見をお述べいただく仕組みであるという委員会の趣旨に照らせば、恣意的なものとならないようにすることが必要であると考えておりまして、例えば弁護士会の推薦を得て弁護士の委員を選任するという方法、そういったこともこの選任が恣意的なものにならないようにするための方法の一つであろうというふうに考えているところでございます。

井上哲士君

 この委員会は、委員による刑事施設の視察をすることができる、そして、必要があると認めるときは、刑事施設の長に対して、委員による被収容者との面接の実施について協力を求めることができると、こういう書きぶりなわけですけれども、これは委員会の持つ権限としてこういうことが行えると、こういうふうに確認をしてよいんでしょうか。

 例えば、夜間がどうなっているかということを見るというのは非常に大事だと思うんですけれども、そういう夜間なども委員会が求めればいつでも視察をできると、こういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 刑事施設視察委員会は、施設運営の実情を把握した上で、国民の常識を反映した意見を述べていただくという仕組みでございます。

 法案では、委員会は委員による視察をすることができる旨を規定しておりますとともに、刑事施設の長は必要な協力をしなければならない旨規定しております。こうした規定から明らかなとおり、刑事施設の視察につきましては、これは委員会の権限であり、委員会が視察すると決定した場合には、夜間であっても刑事施設の長はこれに応じることになります。

井上哲士君

 法案の中では面会という言葉もありますが、この場合は、視察委員会による面接というふうになっています、この違い。そして、この面接については立会いなしに行われるべきだと思いますけれども、その点はどうでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 法案では、外部交通としての面会は、受刑者がその希望でその用務の処理等のためにその親族等の関係者と面談するものであるのに対しまして、刑事施設視察委員会の委員が行う被収容者との面接は、委員会の職務を遂行するために委員の求めにより行われるものでございまして、性質が異なるというものでございます。

 また、面会につきましては、これが受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資することに留意しつつも、刑事施設の規律及び秩序の維持等に支障が生じることのないよう一定の要件の下で制約したり、それから職員を立ち会わせたりすることができる旨規定しているのに対しまして、この視察委員会委員による面接につきましては、職員の立会いの権限を認める規定は設けておりません。

 したがって、刑事施設視察委員会の委員と被収容者との面接につきましては、委員等から職員の立会いを求められた場合は別として、刑事施設の職員はこれに立ち会う権限がございません。

井上哲士君

 この視察委員会は刑事施設の長に対して意見を述べ、法務大臣がそれを取りまとめて公表するとしております。

 委員会として、刑事施設の長に対してこういう意見を述べたと、その中身を独自に公表することが可能なのか、それからまた、委員会が独自に意見を公表するということは可能なのか、いかがでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 お答えいたします。

 法案では、刑事施設視察委員会が刑事施設の長に対して述べた意見につきましては、法務大臣は毎年これを取りまとめ、その概要を公表するものとしております、十条でございますが。

 委員会自らがこれを公表することについては特に定めておりません。しかしながら、これは、委員会が自ら意見を公表することを否定するものではなく、委員会は必要と判断すれば、例えばその公表の内容に被収容者の個人情報が含まれており、その情報を公開することにより守秘義務に違反することとなるような場合でない限り、刑事施設の長に対して述べた意見を自ら公表することもできます。

井上哲士君

 この視察委員会と同時に、不服申立ての制度というのも非常に大事だと思っておりますが、これまでの情願制度について、朝の審議でも問題点の指摘もありましたけれども、これまでの情願制度と今度の不服申立て制度についてはどう違うのか、お答えいただきたいと思います。

政府参考人(横田尤孝君)

 お答えいたします。

 現行監獄法の情願制度は請願の一種にとどまり、申し出た者に裁決を求める権利はなく、裁決にも直接的に権利利益を救済する効力がないなど、権利利益の救済制度としては不十分なものであります。

 これに対し、法案におきましては、まず第一点として、刑事施設の長による違法又は不当な措置について直接的にその取消し等を求める審査の申請の制度、それから二つ目に、職員による受刑者への違法な身体に対する有形力の行使などについて申告をすることができる事実の申告の制度、それから三つ目に、受刑者が受けた処遇全般を対象とする苦情の申出の制度を設けておりまして、このうち審査の申請及び事実の申告につきましては、申請等を受けた矯正管区の長又は法務大臣に、職権で調査し、判断した結果を回答する義務を課しております。そして、苦情の申出につきましては、これを受けた刑事施設の長、監査官又は法務大臣に、誠実に処理し、その結果を回答する義務を課しております。

 また、受刑者が萎縮せずに不服申立てができるようにするため、申立ての内容を刑事施設の職員に秘密にすることができるように必要な措置を講じなければならないこと、不服申立てをしたことを理由に受刑者に対し不利益な取扱いをしてはならないことを規定するなどいたしまして、受刑者の権利利益の救済のための制度の充実を図っているところでございます。

井上哲士君

 この申立ては書面によるものとされているわけですが、受刑者にとってはまとまって書くのが大変苦手な方もいらっしゃるでしょうから、口頭により申立て、少なくとも例えばもうごく簡単なものにして、あとは代筆とかも含めてそういう方々の対応もするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 お答えします。

 この法案では、法務大臣及び矯正管区の長に対する不服申立てにつきまして、口頭による申立ては認めず、自ら書面を作成して行うこととしておりますが、これは書面によることによって不服申立ての内容が明確になり、後の手続の遅延を避けることができることなどから書面主義を採用したものでございます。

 書面を作成することができない受刑者もあり得ないではありません。そこで、そのような受刑者につきましても不服申立ての機会を保障すべきであるのは当然でありまして、職員が代書するなどの措置を講ずることを予定しております。

井上哲士君

 その場合のいわゆる秘密の保持とか、いわゆる嫌がらせをやめさせるとかという点はどういう配慮がされるんでしょうか。

政府参考人(横田尤孝君)

 当然これは、職員は守秘義務ございますので、そういった点については御懸念ないと思います。

井上哲士君

 処遇には直接かかわらない職員が当たると、明確に分離をされるという理解してよろしいですか。

政府参考人(横田尤孝君)

 おっしゃるような運用を検討してまいるつもりでございます。

井上哲士君

 じゃ、次に、いわゆる代用監獄等の問題についてお聞きをいたします。

 代用監獄の問題は、国際的にも様々な批判の声が、国連規約、人権規約委員会等々などからこれまで寄せられてまいりまして、これを廃止すべきだという声がずっとありますが、今回の法案ではこの問題については先送りということになっております。先ほどもあったわけですが、まず大臣からこの点についてお伺いをいたします。

国務大臣(南野知惠子君)

 お尋ねの監獄法でございますが、これは受刑者のみならず未決拘禁者等の処遇についても定める法律でございます。それらに関する部分についての法改正も当然に必要であろうというふうに思っております。しかしながら、代用監獄制度を含む未決拘禁者等の処遇の在り方については様々な意見がいまだにございます。そういう一方で、受刑者の人権を尊重しながらその真の改善更生を図るための処遇を充実させることがこれまた喫緊の課題であるということは自覚しております。

 今回の改正に当たりましては、まず受刑者の処遇を中心とした法改正を行うことにしたものでありまして、法務省といたしましては、代用監獄制度を含む未決拘禁者等の処遇についても、なお意見の隔たりがあるものの、関係機関との間で法改正に向けた現実的な協議を行い得る環境が整いつつあるのではないかと考えておりまして、できる限り早急に法改正を実現したいと考えております。

井上哲士君

 今後、この問題は言わば一から議論をしていくということでありますが、そうしますと、今回の新しい法律の中にこの警察留置場問題で非常に細かい規定が入っておりまして、これは結局代用監獄の恒久化につながる流れになるんじゃないかと、こういう様々な声があるわけですが、この点、警察庁はいかがでしょうか。

政府参考人(安藤隆春君)

 お答えいたします。

 先ほど大臣から御答弁ありましたように、この新法は受刑者の処遇を中心とする内容でございまして、いわゆる代用監獄制度を含めまして、未決拘禁者等の処遇に関する事項は関係機関において引き続き協議、検討を行い、早急に法整備するとしたところであります。

 そのため、今回の新法制定に当たりましては、代用監獄制度に関する規定は現行監獄法の規定をそのまま残すこととしておりまして、新法の制定は今後行われる代用監獄制度に関する議論に対して影響を及ぼすものではないと私どもは考えておるわけであります。

 なぜ詳細な規定といいますかが設けられたかといいますと、一つは、新法におきまして受刑者を収容する施設、すなわち刑務所と、未決拘禁者を収容する施設、拘置所を通じまして適用されます施設横断的規定が設けられておりまして、これらの規定は、改正監獄法の規定により刑事施設に代用されます警察留置場に関しても適用されるということから、それに沿いまして必要な適用除外や読替えなどの措置を講じているわけであります。

 もう一つは、代用監獄制度をそのまま残すということにしたことに伴いまして、いわゆる被勾留受刑者を含めます受刑者が警察留置場に収容されることとなるわけでありますので、刑事施設に収容される受刑者の処遇等に関する規定がその代用されますその警察留置場に収容される受刑者等に関しても適用されるということになりますので、それに関しまして、必要なこれまた適用除外や読替え等の措置を講じているということの結果でございまして、それ以上のものではございません。

井上哲士君

 いずれからも、これからの議論だということでありましたけれども、司法制度改革でいいますと、審議会の議論というのは大変大きな意味を持ちましたし、行刑改革については行刑改革会議による有識者の議論が大変大きな土台になったと。幅広い国民の声を基に議論したからこそ前進があると思うんですね。

 そうしますと、今後のこの代用監獄の在り方についても、例えば行刑改革会議については、推進本部でしたっけ、の顧問会議という形で残っているわけですから、こういう方々の御意見を聞くなど有識者による御意見を反映をさしていくという枠が必要だと思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(南野知惠子君)

 今回の法改正に当たりましては、関係機関の理解を得るために、昨年七月から警察庁及び日弁連との三者による協議会を開催してきたところでありますが、代用監獄制度を含めた未決拘禁者等の処遇に関しましても、これを検討する別機関の設置の是非も含めて引き続き三者による協議を行い、できる限り早期に監獄法の全面改正を実施したいと、実現したいと思っております。

井上哲士君

 警察庁にもお聞きをいたしますけれども、有識者などによる意見をしっかり聞くという場も持ちながらの協議が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(安藤隆春君)

 お答えします。

 これは、昨年七月以来、警察庁も法務省と日弁連の三者で監獄法改正について協議を行ってきました。そして、その結果、先ほど大臣から御答弁ありましたように、今回の法整備、受刑者の処遇を中心とした法整備を行い、代用監獄制度を含めました未決拘禁者の処遇につきましては更に検討を続けるとしたところでございます。

 警察庁といたしましても、今後の三者協議におきましては、委員御指摘の点も含めまして検討してまいる所存でございます。

井上哲士君

 これは是非、幅広い有識者、第三者の声を聞くという枠を実際つくって協議をしていただきたいと思うんです。

 それで、先ほど、今回の新法の様々な規定は今後の法制には影響を及ぼさないという警察庁から答弁がございました。この未決勾留問題については今後の議論にしていくというのであれば、新たな規定は付け加えるべきではなかったと思うんですね。ところが、法案の中には警視庁長官による巡察という規定が新たに入りました。これは入れるべきではないと思いますけれども、いかがですか。

政府参考人(安藤隆春君)

 お答えいたします。

 いわゆる警察庁長官の主宰する巡察に関する規定のことだと思いますが、これは、警察留置場に関しまして、刑事施設に対しまして法務大臣主宰の実地監査というのが今回盛り込まれておりますが、この法務大臣主宰の実地監査との均衡を図るために設けたものでございます。すなわち、刑事施設につきましては、本法案に規定される法務大臣の主宰する実地監査等により全国的な斉一性を確保することとしているところでございますが、警察留置場に関しても、これとの均衡を図るためにも、全国的な見地から調整をするための仕組みを規定することが必要であると考えております。

 そこで、警察庁は、都道府県警察が実施している留置業務が全国的に均衡の取れたものとなるように調整する責任を警察法上有しておるわけでありますから、そのために必要な巡察を定期的に行うことを制度として設けることとしたところでございます。

 いずれにしましても、これは現状を何ら変更するものではなく、また、今後行われます代用監獄制度に関する議論に対して影響を及ぼすものではないというふうに考えております。

井上哲士君

 先ほど警視庁と言ったみたいですが、警察庁の間違いでありました。

 今、留置場に対する法務大臣などによるものとの均衡を取るためと、こういう答弁があったんですが、どうも都合のいいところだけ均衡を取るんだなという感じがするんですね。例えば、新法では刑事施設視察委員会というのがつくられるわけですけれども、均衡ということでいいますと、留置施設にもこういうものが必要になってくると思うんですけれども、どうでしょうか。

政府参考人(安藤隆春君)

 お答えいたします。

 警察留置場におきましては、これは警察の組織で、御案内だと思いますが、都道府県警察を管理する機関としてそれぞれ各県に公安委員会が設置されておるということから、我々としては、刑事施設視察委員会に関する規定は警察留置場に適用する必要はないと、特段必要ないというふうに考えております。

 その理由でございますが、一つは、都道府県警察を管理します各県の公安委員会は平素から、留置場の運営状況を含めまして、警察業務全般について視察を行っているところでございます。加えまして、留置業務に関していいますと、警察留置場の運営とかあるいは警察本部長の実地監査に関して、この公安委員会、都道府県の公安委員会が管理という権限を持っておりますので、それに基づきまして、そうした業務につきまして大綱方針を示して、その結果について報告を求めて必要な指示を行うと、こういう権限がございますし、また、極端な場合といいますか、例えば著しく不適正な業務があれば、これは警察法四十三条の二に基づく公安委員会の監察の指示をこういう具体的な業務について行うことができるという規定が、これは平成十二年の警察法の改正で行われたわけでありますが、そういう指示を行って、指示内容の履行状況を点検するということも行えるということでございます。

 そういうことで、以上のようなことを通じまして、各都道府県公安委員会は警察の行う留置業務を適切に管理することができると私どもは考えております。

井上哲士君

 私は、この刑事施設視察委員会、市民参加のものと、公安委員会というのは随分中身が違うと思うんですね。これがあるからいいということにならないと思うんです。全般について適切に管理していると言われましたけれども、例えばこの間、全国で様々な警察の裏金づくりとかいろんな不祥事が起こりましたけれども、そのときに本当に公安委員会が正しく処置をしているのかと。私はほとんどそういうのを聞いておらぬですね。

 例えば、これは、北海道で自ら裏金づくりについて内部告発をされた元北海道警察の釧路方面本部長の原田さんが本を出されておりますけれども、彼は、公安委員会には警察のチェック機能はないと断言できると。それは、公安委員の選ばれ方に問題があるからだ。公安委員は、警察の推薦に基づき知事が議会の同意を得て任命する。しかし、警察が行う人選では、当然、警察行政に批判的な人物は対象外になると、こういうふうに言われております。

 実際、例えば北海道のあの裏金問題が明らかになったときに、北海道警自身が二〇〇四年の十二月に内部調査を発表するんですね。これは、すぐ道の公安委員会は追認をいたしましたけれども、その十日後に北海道の監査委員会による監査が発表されましたけれども、警察の調査と一億円も多かったわけですね、裏金の実態が。そういう程度の警察の内部調査でもすぐ追認をしてしまったというこの公安委員会という状況を見ますと、私は、これを刑事施設視察委員会と同等ということはとっても言えないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(安藤隆春君)

 公安委員会につきましての機能というのは、確かに過去、随分昔についてはいろいろな議論があったと思います。しかし、平成十二年の警察改革によって、一つの最大の目玉であったのがこの公安委員会機能の強化ということでございまして、それ以来、やはり委員の方々も、の任命として、新しい人材といいますか、新しい方、いろんな分野の方が入っていただいて、そして活発な今議論が行われている。

 委員今御指摘の北海道公安委員会によるチェック機能ということでありますが、昨年の十二月ですね、北海道警が監査、北海道警の調査結果が出て、それに対してどういう道の公安委員会がチェック機能を果たしたかという御指摘だと思いますが、道の公安委員会の委員の中に、これは昨年だと思いますけれども、公認会計士の方も新たに任命されておりまして、そういう、それと昨年の春だったと思いますが、北海道公安委員会は北海道警察に対して監察の指示というものを出して、全道的に過去五年間の経理について調査というものを指示をして、それに基づきまして昨年末に道警の調査結果が出たわけですが、それに対して北海道公安委員会は、先ほど言いましたような専門家の方も含めまして、特にその公認会計士の方を中心にして今点検を、つまり道警の調査について今点検をしているというように私承知しておりますので、昔はどうかは知りませんけれども、ここ数年は、そういう公安委員会の機能強化ということは現実に実現しているというふうに考えております。

井上哲士君

 平成十二年に改革をされたと言いますが、ここ一、二年のいろんな問題についても、公安委員会が十分に機能しているとはとっても私には思えません。これをやっぱり刑事視察委員会と同じと言われるのはとても言えないわけで、一方で法務大臣の主宰する実地監察との均衡を図るとして巡察を新たに持ち込むというのは、やっぱりこの代用監獄を警察の下に恒久化をする地ならしじゃないかと、こういういろんな懸念の声が出てくることになってくると思うんです。

 この巡察の規定は外して、この問題も含めて、未決処遇のための法整備のときにしっかり検討するべきだと、こういうことを申し上げまして、質問を終わります。


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