私は、ただいま可決されました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 刑事施設における過剰収容状況を早期に解消し、単独室原則を考慮した居室環境や一日一時間を目標とした運動環境の検討を含め、被収容者の生活環境の一層の改善を図るとともに、刑事施設職員の過酷な執務環境を改善するため、必要かつ十分な予算を確保し、刑事施設の人的・物的整備に努めること。
二 刑事施設における医療充実のため、関係省庁とも連携し、十分な医師等を確保するとともに、地域医療との連携の更なる強化に努めること。また、医療上の措置を必要とする受刑者に対しては、できるだけ受刑者本人の診療希望に配慮すること。併せて、精神医療については、出所後も引き続き必要な医療が確保されるよう、体制の整備を検討すること。
三 受刑者が社会と良好な関係を維持することが、その改善更生及び社会復帰に不可欠であることにかんがみ、親族との面会については、土曜・休日及び夜間の面会を可能にするための体制整備に努めるとともに、弁護士との面会については、受刑者の権利行使を阻害することのないよう配慮すること。また、外部通勤及び外出・外泊制度等については、本制度が導入された趣旨を踏まえ、対象者の選定などにおいて、適切な運用に努めること。
四 刑事施設視察委員会は、弁護士等の法律実務家を始め、幅広く各界各層から委員を選任することとし、委員会が刑事施設の長に述べた意見は、本制度が導入された趣旨にかんがみ、行刑に十分反映させるよう努めるとともに、刑事施設への国民の理解を深めるため、国民にも適切に公表すること。
五 薬物犯罪者や性犯罪者を含む受刑者が改善更生し社会復帰することが、再犯の防止につながり、ひいては国民全体の不安解消・利益となることにかんがみ、適切な処遇プログラムの策定、専門的知識・技能を有する職員及び民間人の積極的活用、社会の支援体制の強化など、矯正処遇及び社会内処遇を強化する施策を講じること。特に、処遇プログラムの策定に当たっては、受刑者に責任を自覚させた上での真の改善更生を図るため、被害者等による講演など被害者の視点を取り入れた教育の充実・強化に努めること。また、受刑者の再犯防止には就労の安定も効果的であることにかんがみ、協力雇用主の拡大等を図ること。
六 受刑者の生活及び行動に対する制限については、人権尊重の観点から、隔離、保護室への収容、懲罰の執行中の行動制限などが合理的な限度を超えることがないよう、適切な運用に努めること。
七 不服審査、事実の申告制度に関して設置される予定の刑事施設不服審査会の委員には、刑事拘禁施設における人権保障や医療の在り方について法務省から独立し優れた識見を有する者を選任すること。また、自ら不服申立てを行う能力のない者についても不服審査書を作成することのできるよう特段の配慮をすること。
八 外国人受刑者については、本国における処遇が、その改善更生及び円滑な社会復帰の促進にとってより重要であることにかんがみ、関係国との受刑者移送条約の早期締結に努めること。
九 代用監獄制度の在り方を含め、未決拘禁者等の処遇等については、日本弁護士連合会との協議を迅速に進め、早期の法整備の実現に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。