先生御指摘されるように、JRの尼崎の事故は本当に新しい情報を提供されるたびに大変だなというふうに思っておりますし、お亡くなりになった百七名、またその御家族に対してはいまだにまだ心がいえていないだろうと、本当に御冥福を祈るだけであると。さらにまた、この前も申し上げましたけれども、PTSDの問題点もこれから発生してくるというふうに思っております。そこら辺もしっかり他省庁とも関連しながらしっかりしていかなきゃならないということを思っておりますが、議員御指摘のように、会社には従業員ばかりでなく、取引先、顧客など、様々な外部の方々がステークホルダーとして考えられます。これらの方々の存在を大切にしていくことが会社にとって忘れてはならない経営上の要素であると思います。
そのことが会社を経営していく上で自覚されるようにするためには、会社が、規模の大小などによる差はあれ、社会に開かれた存在でなければならない。公告、定款などの閲覧、それから会計帳簿の閲覧命令などを通じて会社の経営に関する情報が明らかにされるという仕組みは、その意味で非常に重要であると思います。
また、議員御指摘のとおり、会社がその利益の追求を優先する余り、法令遵守をないがしろにしてステークホルダーに損害を与えることもあってはならないことであろうかと思っております。
会社法案では、このような企業のコンプライアンス確保を目的として、すべての大会社に取締役の職務の執行が法令や定款に適合することなど、会社の業務の適正を確保するための体制の構築を新たに義務付けるなどの措置を講じております。
さらに、会社の取締役などが第三者に損害を与えたときは損害賠償の責任を負うこととしておりますなど、会社経営における不正が外部からただされる仕組みも経営に緊張感を与えるものとして重要であるとも思われます。
このように、会社法は、会社経営において会社の内部関係者の利害を考えるだけでは十分でないとする仕組みを多数用意しておりますけれども、今後とも様々な立場のステークホルダーの存在を考慮し、適切な法制度の在り方につき検討を怠らないようにしてまいりたいと考えております。