ただいま会計参与制度と金融検査との関係について御質問がございましたので、答弁させていただきます。
金融検査におきましては、金融機関の自己査定の正確性を検証するに際しまして、債務者の実態的な財務内容、資金繰り、収益力等によりその返済能力を検討するとともに、債務者に対する貸出し条件及びその履行状況を確認し、業種の特性を踏まえるなど、総合的な判断をさせていただいているところでございます。
特に、先生の方から御質問がございました中小零細企業向けの貸出金等につきましては、当該企業の技術力、経営者の資質や、これを踏まえた成長性など、あらゆる判断材料の把握に努めまして、それらを総合的に勘案して債務者区分の判定を行うこととしております。例えば、金融検査マニュアル別冊、中小企業融資編、これは昨年の二月に改訂さしていただきましたけれども、その中で、経営者の資質や、これを踏まえた成長性を判断するに際しまして、財務諸表など計算書類の質の向上への取組状況を様々な判断要素の一つとして挙げさしていただいております。
したがいまして、会計参与を設置することにより財務諸表など計算書類の質の向上が図られていると認められる場合には、当該債務者の債務者区分の判定に当たって様々な総合勘案する要素の一つとなるというふうには考えられます。
しかしながら、財務諸表等計算書類の質の向上の手段としては、先生おっしゃいますように様々な手段が考えられますので、会計参与の設置の有無だけがその判断要素になるとは考えておりません。また、そういう財務諸表等計算書類の質の向上への取組というのは様々総合勘案する要素の一つでございまして、そのことのみをもって判断するというわけではございません。
いずれにいたしましても、我々金融庁といたしましては、検査におきましては、今後ともこうした金融検査マニュアル及びその別冊、中小企業融資編に即しましてあらゆる判断材料の把握に努めまして、中小零細企業の経営実態の的確な把握に努めたいというふうに考えております。