御質問ありがとうございました。
アメリカとイギリスの職業指導ということだと思うんですけれども、アメリカとイギリスとは、同じ英語をしゃべるんですけれども、ちょっと違っていまして、アメリカの方は、アメリカンドリームを追うというのがもう国是というか、大変これが重要なことだと言われているんですね。
一番驚いたといいますか、それは、企業がファミリーデーというのをこしらえていまして、働いている人の子供とか、配偶者でもいいんですけれども、会社に連れてきて、お父さんが何をしているか、どういうところに座って何をしているか、あるいは、もちろんお母さんでもいいわけですね。お母さんがどこで、どういう会社で何をしているかというのを見せるというのがもう当然のように行われていまして、子供に、それで自分の同僚やら上司と会わせて、一体職業とは何かというものを、ごくごくもう小学生、幼稚園ぐらいからもう連れていって自分の会社を見せる、働くということは何かを見せると。
あるいはアルバイトですね。ニューヨーク、とても雪がよく降りまして、よく雪が積もるんですけれども、すぐ男の子がシャベルを持ってきて、雪かきさせてくださいと言って来るんですよね。五ドル取られるものですから、もうちょちょちょっとやったぐらいで、すぐ、はい五ドルとか言われるもので、またすぐ積もると、また次の男の子が来てすぐ五ドルとか言われるもので、もう何とかして稼いでやろうというか、それをまた親が、小学生から金に汚いとか、何か妙に金にうるさい子だとかということを全然言わないで、何とおまえはアイデアがいいんだろうね、こうやって稼いできたのかということを非常に褒めるんですよね。
あるいはカーターさん、大統領なんですけれども、一番下に女の子がいて、カーター大統領が大統領になったとき、南部から出たというので記者がわっと来たときに、そこにジュースを並べまして、やってきた全国の記者に一杯これで二ドルで売ったというので、大統領の娘が商売やっているという、驚いたんですけれども、いやいや、なかなかアイデアが良く、若いときから起業家精神がもうあふれているとかといって褒められて、さすがはカーターさんのお嬢さんだなんて、ファーストドーターだなんて言われていましたから。
子供のときからアイデアで稼ぐというのがとても大事なことだというように言っていて、そういうことから、もう遠くからだんだん職業指導をしているといったような感じですね。稼ぐことに何のちゅうちょも恥ずかしさもないということが、起業家精神が豊富、ビル・ゲイツとかすぐ思い浮かぶんですけれども、ああいったことで、アイデアで勝負して、それでお金をもうけようというのが子供のときからどんどん進められているというような感じで、親も会社に連れていくし、学校にもコミュニティーの方が次々に、パン屋さんでも銀行の方でも呼ばれて、自分がどんな仕事をしているかお話しするといったようなことがありまして、それが職業訓練にだんだんつながっていくんじゃないかと思うんですね。
イギリスの方はちょっとまた違っていまして、やっぱり階級がまだあるんですね。クラスレスの社会になったとかとブレアは言っているんですけれども、やっぱり新聞も違うし食べるものも違うし、もう英語の発音も違うというぐらいまだ階級がありまして、ここでどういうふうに職業訓練をするかというと、非常にあめとむちといいますか、非常にはっきりしているんですけれども、職業訓練学校、今とても力入れているんですけれども、その学校を退学したりサボらないで学校に行くとお小遣いくれるんですね。よく学校を休まなかったといってお小遣いくれるんです。それでみんなとても喜んで学校に行くといったよううなことが、ちょっと日本人から考えると、学校に行ってお金くれるなんて何か余りにもって感じがするんですが、学校を休まないと、よくやったと褒められるぐらいじゃなくてお金をくれる、お小遣いをくれるんですね。
あるいは子どもに非常にボランティアをさせるんですね。それで職業訓練をさせるというか、ボランティアだとお金は入らないんですけれども、インターンシップといいますか、それぞれのいろんな会社がインターンシップを受け入れるように制度ができていますので、そこのインターンシップで夏休みに一か月とか何かを教育を受けるというか職場の体験をするというようなことが非常に重要視されていまして、今そのインターンシップをやったことが就職の重要な良い会社に合格する必須条件とまで言われていまして、働いた経験を全然持っていないで新しく自分の会社に働くというのは余り良くない、どこかで働いてもらったらコミュニケーションの能力はできるし、いろんな苦労もあるだろうし、忍耐力も養われるだろうし、いろんな人と付き合うすべも学ぶだろうということでインターンシップ、大学時代のインターンシップがもう良い就職のための必須のようなことになっていまして、イギリスは、階級を超えていかに労働者階級のお子さんも職業の自由を与えるかといったような感じで、お小遣いを上げてでも学校は真っ当に行くようにとか、あるいはあめとむちでして、悪いことをすると割と早めに刑務所に入れちゃうということをやるんですよね。あるいは足にタグを付けて夜間外出禁止令というのをやるとか、割と厳罰主義なんですね、イギリスは。その代わり、ちゃんと勉強したり頑張ったりしたりする子にはお小遣いをくれるといったような、割と実践的な実務的なところがイギリスでは非常によく見られました。
以上です。