代替要員の対処の外国の事例なんですが、これは私、かなり十五年前ぐらいからいろいろ調べています。自分でそういう調査があるか、あるいは向こうのケーススタディーがあるかとか、外国の研究者にも尋ねておりますが、ほとんどちゃんとした研究は実を言うとありません。
多分、問題の関心がないのかなという、ただ外国といいましても、先進国の中でもアメリカ、イギリスは、アメリカなんかはまだ十二週間の産休、育休しか取れないわけですね。会社によってはもうちょっと取れるところもありますけれども、非常に短いわけです。イギリスは最近非常に長くなったわけです。
それと、大陸ヨーロッパの国は元々長いわけで、非常に長い国、まあ二年とか三年、かなり意味合いが違うんですけれども。むしろ、研究が少しあるのはアメリカでして、それでも日本のような一年とか一年半のような企業はほとんどないんですけれども、その一つの研究によると、代替要員、どうやっているかというのは、それをやったのも向こうの研究者じゃなくて、日本人の研究者が向こうに調べに行って分かったんですが、先ほど僕が言った順送り方式でやっていました。それはドミノ方式と向こうで呼んでいるんですが、課長がもし育児休業取ったら、課長の下の人が順番に上がっていくと。ですから、何か案外国際的に共通性があるのかなというふうに思っております。
イギリスも最近急に長くなったものですから、イギリスの研究者も非常に関心持っておるんですが、それを、何といいますか、ケーススタディーでもそんな一杯調べたわけでもないですし、それを大量に調べたアンケート調査というのもほとんどありません。
それから、大陸ヨーロッパの方も全く同じなんですが、どうもとにかく分かんないです。本当に聞いても、それは当たり前じゃないかと、職務が決まっているんだから、この人が休業取ればだれかが入るんだと。じゃ、それをどうするんですかと聞いても皆知らないんですね。研究者、企業の人よりもやっぱり現場を調べない限りは非常に難しくて、僕、英語しかできないものですから、ドイツ語とかフランス語ができる人であれば、その現場の人に、何といいますか、その人が休んだらどうするんですかというふうに聞けるんですが、上の方の人は知らないです、基本的には。だから、なかなか実態がまだ分かんないということがあります。一年、二年はそうなんですが、短い三か月とか四か月ですと、私の感触ですけれども、大陸ヨーロッパは代替要員は置かないというような感じですね。つまり、担当者がいませんからというのがよくあるんですね、大陸ヨーロッパ。また何か月後に来てくださいとか、こんなのは全然僕はだから参考にならないというふうに考えています。
それと、組合の効果なんですが、こういうことです。これまでも、このデータもそうだったんですが、労働組合があるかないかでいいますと、組合がある企業の方がファミリーフレンドリー度、いろんな制度とかは非常に上がるんですが、均等度、男女の比率であるとか管理職比率であるとかはむしろ低めるということ、組合がある方が低めるということが分かっています。
二つの解釈がありまして、労働組合のリーダーというのが依然、どこの労働組合も圧倒的に男性がリーダーです。どうしても男性の有利な施策をやるという、こういう話を組合の幹部の前でも何回も話しているんですが、そのとおりだという説と、いや全然違うというふうにも言われたりするんですが。そういう仮説と、もう一つは別の研究で、組合のあるところが男女の賃金格差を縮めるということが分かっています、組合がない企業よりも組合がある企業の方が男女の賃金格差が。そうすると、相対的に女性の賃金が高いですから、どうしても女性を採用する率を減らして、結局全体としての均等度が低まっていくと、こういうシナリオがありまして、ただよく分かっていないところです、これも。
でも、これで三つぐらいのデータソースで組合効果を僕やってみたんですけれども、全部同じような結果に出るので、何か理由。もう一つだけ言っておきますと、組合でも女性の専従、女性の執行役員がいる組合とそうでない組合、同じ組合ありでも、そうすると圧倒的にやっぱり女性執行役員のいる組合の方が均等もファミフレもいいです。それは当然かもしれません。そういう結果が出ています。