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井上哲士ONLINE
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2006年4月19日(水)

経済・産業・雇用に関する調査会
「女性雇用をめぐる課題」について

  • 男女雇用機会均等法改正案に日本共産党が、条件をつけずに「間接差別」の禁止を明記するなどの修正提案を発表し、野党共同でよりよい改正案にするために努力していることを紹介。一定規模以上の企業に積極鄭格差是正措置を義務付けることの必要性について質問。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。

 最初に、佐々木参考人にお聞きをいたします。

 男性にも優しい企業でなくてはいけない、男性のやっぱり働き方を変えないと駄目だということは大変共感を持って聞きましたし、先ほどありましたように、本当に今の男性のいろんな法律案も含めた働き方に女性を合わせるということは駄目なんだろうということを思います。

 そこでお聞きするんですが、先ほど育児休暇を取りやすくする上で代替要員の問題が出ておりまして、イー・ウーマンにおける在り方というようなお話がありました。外国の例なども随分知られているようですし、事前にいただいた資料ではアメリカの女性経営者法という法律のことも紹介をされているんですが、そういう実際に育児休業制度などを活用していく上で、男性も含めた働き方も含めて、制度、働き方でどういう差があり、何が改善が必要とお考えか、それをお聞きしたいと思います。

 それから、坂東参考人にお聞きをいたします。

 先ほどの最初の説明の中で、資料二で末子の年齢と妻の就業状況の表がありまして、これ見ますと、末子が十五歳から十七歳ぐらいのときが一番妻の無業者が多いという結果になっております。これも先ほどから佐々木参考人が何度も言われておるんですけれども、保育の充実などが重要だけれども、それだけじゃなくて、中学校なんかに子供が上がっているときも大変大事なんだというお話がありまして、これに符合するのかなという気もするんですが、このやはり九歳から十七歳ぐらいのところに相当落ち込んでいる状況と、ここに対する施策としてはどういうことが必要とお考えかというのが一点です。

 それからもう一点は、これも先ほどありましたけれども、今日はちょうどやはり雇用機会均等法の改正案の質疑が始まりましたので、これについてお聞きしたいんですが、私たちも、先ほどありました間接差別の、条件を付けない間接差別の禁止の問題なども修正提案もしましたし、野党としてもいいものにしようということで今取り組んでいるところですが、レジュメにもありましたポジティブアクションについてお聞きをしたいと思います。

 で、今度の改正案では、企業が取組を開示するときに国がホームページに掲載するという程度の支援にとどまっているわけですが、私たちは、まあ一定以上の企業に対しては目標や計画の作成及びその実施と報告の義務付けぐらいまで踏み込むことが必要ではないかと考えているんですけども、この点いかがお考えか。かつての政府のお立場から離れて、研究者としてお聞きをしたいと思います。

 それから最後に、脇坂参考人にお聞きをいたしますけども、先ほどの代替要員の問題で、佐々木参考人と同じ質問になるんですけれども、外国などと比較した場合に、同じ問題が起きるとは思うんですけども、どういう制度的な違いがあるのか、その辺で優れた例などがあれば御紹介もいただきたいというのが一点です。

 それからもう一つ、これちょっと先ほどの報告で少し理解できなかったんですが、労働組合の効果の話で、場合によっては、かえって労働組合の効果がマイナスになるというお話があったんですが……

参考人(脇坂明君)

 均等度、均等度。

井上哲士君

 均等度ですね。

参考人(脇坂明君)

 均等度を低める。

井上哲士君

 ええ、そこがちょっと理解できなかったんで、もう少し詳しく、どういうことなのかお話しいただきたいと思います。

 以上です。

理事(和田ひろ子君)

 それでは、佐々木参考人の方からお答え、お願いします。

参考人(佐々木かをり君)

 男性にも優しい企業であるためのその、つまりは休みを取りやすくしたり、様々な制度を活用したりするための代替要員というお話なんですけれども、基本的に、ちょっと私データを何か持っているわけではないですが、様々な寄せられてくるメッセージや事例に触れる中では、やはりチーム内でサポートをし合っているという事例が一番多く、またうまくいっているように思います。

 つまり、事務的に、大変長い休みの場合は別ですが、短く、例えば今日は運動会だから休むとか、あるいは子供が風邪を引いているので一週間休むとか、あるいは何か、まあ入院したとか、そういう様々な、子供がいることによっての、に対応するというのは、突発的なことも多いということが原因ではありますが、やはりチームの中で、その部署内だったりチームの中で上手にサポートをし合っている例というのがつまりはうまくいっている例というふうにどうしてもなっているかと思います。

 私は、ですから、法的に言えば、先ほども申し上げたそのやっぱり労働基準法の見直しの中で、雇用契約が本当ならもう少しきちっとできるようになるということがやはり重要ではないかなと思うんです。働く人によってニーズが違うので、会社が対応していけるような雇用契約が結べればよいのですが、どんなに今、雇用契約を、仮にリクエストがあって、こたえてあげたくても、労働基準法の方が優位に立つわけなので、経営者として考えると、例えばいろいろな人事関係のケーススタディーなどや弁護士などにもお話を聞くと、過去十年間さかのぼれるんですよと言われると、例えば非常にハッピーに働き、ハッピーに退職していったはずの人が、十年後に、まあ九年後に、いきなり労働基準法を盾に取って、あなたと私の契約したのでは合っていたけど、労働基準法的に言うとこれが請求できるので幾ら払えとか、これが不当だったということを裁判を起こすことができ、その人たちの方が勝つ可能性が高く、今企業側は大変それで困っているわけです。

 ですから、雇用契約というのと労働基準法の見直しというのがしっかりできてくることにより、多様な働き方、自由に、これはもう当然労働者と雇用者がきちっと話合いができる立場であるというような力関係が当然必要なんですけれども、その中で、そういういい企業がやっぱり多いわけですからその中で自由にできるようになってくると、代替要員のことも、あるいは休みたい人の権利も随分守られてくると思っております。

 それから、どうしてもやはりデータが出てくるものが、先ほどの脇坂先生のお話にもありましたように、大きな企業や公開企業の場合が多くなってくるんですが、実際には中小企業も多く、その中には優良な働きやすい会社も多いわけですが、こういった情報がどうしても出にくいということがありますので、例えば、企業は小さかろうが大きかろうが規模に関係なく、労働者の数だとか男女の割合だとか役職がどういうふうに分布になっているかはホームページに、業績とは別に人数に関しては発表しなければならないということを例えば義務付けるとか、そういうことをすると、小さな会社で無名な会社で良い企業は、本当は、そういう環境を求めている有能な女性が集まってくることで急成長ができるかもしれないというチャンスがあるのにもかかわらず、欲しい情報が伝えたい相手に伝わらないということになりますので、こういった義務付けというのはあるのではないかと思います。

 あとは、よくヨーロッパの事例などやアメリカの事例が出るわけですが、やはり全体的な背景が違った中でデータだけ引っ張ってくると、ちょっとそこのところが不都合がある場合もあるのではないかなと個人的には思いながら勉強をしているという状況でございます。

理事(和田ひろ子君)

 ありがとうございます。

 次、坂東参考人、お願いします。

参考人(坂東眞理子君)

 お尋ねの末の子供の年齢別の就業状態ですが、この資料二のところでごらんいただきますと、実は末の子供の年齢が上がるごとに大体就業率は上がっていくんですが、十八歳以上で再び無業者が増えるのは、これはちょっと統計の限界でして、十八歳以上二十四歳、二十五歳ともっと細かく取ればいいんですが、十八歳以上でまとめておりますので、例えば六十歳以上、母親がもう既に働く勤労年齢を過ぎてしまっている人までカウントしてしまって無業者の割合が高くなるという統計の限界がございます。そのため、特にこのデータで見る限りにおいては、子供が小学校あるいは中学校で母親の就業が減るということは少ないですが、一番大きな課題は、女性たちが、子供の手が離れたときに再就職というのは非常に重要だと思うんですけれども、その再就職をする場合に、年齢が四十歳等々になりますともうパートしかない、非正社員しかほとんどないというのが一番大きなネックになっているかなと思います。

  〔理事和田ひろ子君退席、会長着席〕

 もし、例えば、今均等法で女性だけの募集あるいは男女別の募集が禁止されたことによって大変大きなインパクトがあったわけですが、例えば、女性事務員三十五歳以下だとか三十歳未満とかというふうに再就職に対して年齢制限がいまだに広く行われておりますので、そういった分野について御配慮いただければと思っております。

 それから、ポジティブアクションですが、おっしゃいますとおり、ポジティブアクションについては十分企業の側の理解が進んでおりませんで、クオータと混同されているところがあります。クオータというのは、三〇%なり一〇%なり女性を登用しなければならないという数値目標を上げるということをポジティブアクションと誤解して、そういうことを強制されては困るというふうに考えていらっしゃる企業が多いんですけれども、そうではなしに、例えば今、佐々木さんがおっしゃったような、情報を開示する、うちの会社には女性が何割いて管理職にこういう人がいますというふうな情報を開示するとか、あるいはいろいろな制度を持っているということを示す、あるいは自分たちは女性たちの能力アップのために研修を行うといったような行動をすべてポジティブアクションというふうに名付けておりますので、何らかの形でポジティブアクションを行うということを企業への努力義務としてもそれほど大きな企業の活動に対する負担にはならないのではないかなというふうに私は考えております。

会長(広中和歌子君)

 どうもありがとうございました。

 では、脇坂参考人、お願いいたします。

参考人(脇坂明君)

 代替要員の対処の外国の事例なんですが、これは私、かなり十五年前ぐらいからいろいろ調べています。自分でそういう調査があるか、あるいは向こうのケーススタディーがあるかとか、外国の研究者にも尋ねておりますが、ほとんどちゃんとした研究は実を言うとありません。

 多分、問題の関心がないのかなという、ただ外国といいましても、先進国の中でもアメリカ、イギリスは、アメリカなんかはまだ十二週間の産休、育休しか取れないわけですね。会社によってはもうちょっと取れるところもありますけれども、非常に短いわけです。イギリスは最近非常に長くなったわけです。

 それと、大陸ヨーロッパの国は元々長いわけで、非常に長い国、まあ二年とか三年、かなり意味合いが違うんですけれども。むしろ、研究が少しあるのはアメリカでして、それでも日本のような一年とか一年半のような企業はほとんどないんですけれども、その一つの研究によると、代替要員、どうやっているかというのは、それをやったのも向こうの研究者じゃなくて、日本人の研究者が向こうに調べに行って分かったんですが、先ほど僕が言った順送り方式でやっていました。それはドミノ方式と向こうで呼んでいるんですが、課長がもし育児休業取ったら、課長の下の人が順番に上がっていくと。ですから、何か案外国際的に共通性があるのかなというふうに思っております。

 イギリスも最近急に長くなったものですから、イギリスの研究者も非常に関心持っておるんですが、それを、何といいますか、ケーススタディーでもそんな一杯調べたわけでもないですし、それを大量に調べたアンケート調査というのもほとんどありません。

 それから、大陸ヨーロッパの方も全く同じなんですが、どうもとにかく分かんないです。本当に聞いても、それは当たり前じゃないかと、職務が決まっているんだから、この人が休業取ればだれかが入るんだと。じゃ、それをどうするんですかと聞いても皆知らないんですね。研究者、企業の人よりもやっぱり現場を調べない限りは非常に難しくて、僕、英語しかできないものですから、ドイツ語とかフランス語ができる人であれば、その現場の人に、何といいますか、その人が休んだらどうするんですかというふうに聞けるんですが、上の方の人は知らないです、基本的には。だから、なかなか実態がまだ分かんないということがあります。一年、二年はそうなんですが、短い三か月とか四か月ですと、私の感触ですけれども、大陸ヨーロッパは代替要員は置かないというような感じですね。つまり、担当者がいませんからというのがよくあるんですね、大陸ヨーロッパ。また何か月後に来てくださいとか、こんなのは全然僕はだから参考にならないというふうに考えています。

 それと、組合の効果なんですが、こういうことです。これまでも、このデータもそうだったんですが、労働組合があるかないかでいいますと、組合がある企業の方がファミリーフレンドリー度、いろんな制度とかは非常に上がるんですが、均等度、男女の比率であるとか管理職比率であるとかはむしろ低めるということ、組合がある方が低めるということが分かっています。

 二つの解釈がありまして、労働組合のリーダーというのが依然、どこの労働組合も圧倒的に男性がリーダーです。どうしても男性の有利な施策をやるという、こういう話を組合の幹部の前でも何回も話しているんですが、そのとおりだという説と、いや全然違うというふうにも言われたりするんですが。そういう仮説と、もう一つは別の研究で、組合のあるところが男女の賃金格差を縮めるということが分かっています、組合がない企業よりも組合がある企業の方が男女の賃金格差が。そうすると、相対的に女性の賃金が高いですから、どうしても女性を採用する率を減らして、結局全体としての均等度が低まっていくと、こういうシナリオがありまして、ただよく分かっていないところです、これも。

 でも、これで三つぐらいのデータソースで組合効果を僕やってみたんですけれども、全部同じような結果に出るので、何か理由。もう一つだけ言っておきますと、組合でも女性の専従、女性の執行役員がいる組合とそうでない組合、同じ組合ありでも、そうすると圧倒的にやっぱり女性執行役員のいる組合の方が均等もファミフレもいいです。それは当然かもしれません。そういう結果が出ています。


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