2006年6月9日(金)
災害対策特別委員会
「災害対策樹立」について
- 中越大震災被災者の復興策に対し、集落を基礎にした配慮や制度の柔軟な運用を求める。また、山古志の養鯉養殖施設災害復旧事業の継続・適用拡大を求める。
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
私も五月二十九日、中越大震災の復興状況の視察に参加をさせていただきました。非常に関係者の皆さんの努力の中で復興が前進しているのを見たわけですが、同時に山古志の再建は、復興は始まったばっかりだという声もお聞きをいたしました。区長の皆さんとの懇談の中では、やはり住宅本体への支援がないことが支障になっている、ここを何とかしてほしいという声もお聞きをいたしました。
調査室の作っていただいた資料に、地元の新潟日報に内閣府の防災担当の参事官のインタビューが出ておりますが、この住宅本来への支援の必要性についてそういう考え方があることは百も承知どころか二百も三百も承知していると、課題を踏まえて検討すると、こう言われておるわけで、是非、ここはこれまでずっと議論してきたわけですけれども、やはり踏み込んでいただきたいということをまず申し上げておきます。
私、京都ですので、阪神大震災のときにも随分救援活動、ボランティアにも行きました。中越の震災にも何度か行きまして、やはり決定的な違いとしてあったのは、その集落とかコミュニティーが非常に大きな役割を中越の場合は果たしたということだと思うんですね。阪神大震災のときには、例えば仮設住宅でもお年寄りなど優先的に入ってもらった。これは良かったんですが、結果としてはコミュニティーが壊れまして、孤独死ということが随分起きたりいたしました。それを、教訓生かすべきだということを何度もこの間も申し上げまして、様々な、例えば仮設住宅の在り方など運用の配慮ということも申し上げてきたわけですが、それについて様々な配慮も行われてまいりました。全体として、この中越大震災のこの復興という中で、こういう集落とかコミュニティーというものをどういうふうに位置付け、配慮をしてきたのか、まずそのことについてお願いをします。
- 政府参考人(榊正剛君)
委員御指摘のように、被災地の復旧・復興に際しまして、地域のコミュニティーを維持しながら各種事業を進めていくということは非常に重要なことかと思っております。
具体的に新潟県中越地震におけるコミュニティー維持の観点という点で申し上げれば、応急対策の場合、避難所を可能な限り集落に近い場所に設置をすると、それと集落ごとに避難をしていただくと。仮設住宅につきましても、集落ごとに設置して集会所を設ける。従前の地域コミュニティーが有効に機能できるようにというような配慮をいたしました。それから、住居の集団的移転を促進する防災集団移転促進事業ですとか小規模住宅地区改良事業ということでございますが、これも基本的には従前の集落機能の再生を図っていくという観点の事業でございますので、そういう観点かと思っております。
さらに、山古志村におきましては、集落再生計画を住民参加で策定をいたしまして、住民の合意形成をできた集落から事業に実施に着手をすると、こういう形で地域コミュニティーがきちっと維持できるように、地域のまとまりが配慮できるような支援をしていくと。こういったことでございまして、例えば、こういったような仮設住宅、避難所をそういう対応をした結果、高齢の単身世帯の孤独死というのは今まで中越の場合はたった一名という形だったということでございます。
- 井上哲士君
その中で、長岡市は山古志の集落の復興には、今二つの制度を挙げられましたけれども、防災集団移転の方ではなくて小規模住宅地区改良事業を活用するということになっております。朝からも議論ありましたが。
この事業が集落の維持、再生という面で、これ、どういう使い勝手の良さがあるのか、少し御説明いただけますか。
- 政府参考人(和泉洋人君)
両事業の少し特色を御説明申し上げます。
防災集団移転事業は、災害が発生した地域において、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を促進するために、移転先となる住宅団地の用地の取得と造成でございますとか、公共施設の整備を行うとともに、移転者が自ら行う住宅建設に対して支援する事業でございます。
片や、小規模住宅地区改良事業は、地震により被害を受けた住宅など安全性等に問題がある住宅が集合している地区において、住環境の整備改善又は災害の防止のために、原則として被災した集落において公共施設の整備を行うとともに、従前居住者用住宅の整備を行う事業でございます。したがいまして、小規模住宅地区改良事業は、元の集落の場所で継続して生活を再建しようとする場合や、自力で住宅を再建できない被災者向けに従前居住者用住宅を整備する場合により適した事業となっていると考えております。
- 井上哲士君
そういう特徴があって今回使われるわけですが、しかし、元々災害復興ではなくて住環境改善に使っていた制度だと思うんですね。ですから、朝からもありましたように、戸建て住宅もやはり特別な事由として是非これは認めていただきたいと私も要望しておきたいんですが、同時に、自治体の負担率が非常に高いのでもっと補助率をかさ上げしてほしいと、こういう要求もあります。
それで、やはり生活再建支援法にしましても、基本的にはやはり個人単位への運用が基本的だったと思うんですね。今回の中越の再建に至るいろんな教訓からいいますと、こういう集団とか、それから集落をとらえて支援をする仕組みということをもっとこの災害復興の制度の中に私は取り入れていく必要があるんではないかと思うんですが、そういう点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
- 国務大臣(沓掛哲男君)
集団をとらえて、それ、どういうふうにしていくかということは非常に重要なことだというふうに思っています。
私、実は昭和四十年に山村振興課というところへ行ってその集団的ないろいろなことを考えたんですけれども、なかなかその実行のときは、うまくいくところといかないところがやっぱりいろいろございました。そういうことですから、この集団移転というのは、コミュニティーを形成してそうしていくことに対して非常に賛同する人には私は非常にうまくいくけれども、必ずしもそうでない、やはりいろいろ、子供がどこそこにいるから、おれ、別れて行きたいというところもあるんで、やはりその地元の人たちの意向もよく踏まえつつ、この新しい集団移転という、そういういわゆる一つのツールも持ちつつこの対応をしていくということが大切ではないか。そしてまた、集団移転のときにはまた新しいそういういろいろな仕組みをまたみんなでつくり、やっていくという、そういうことが大切ではないかなというふうに思っています。
- 井上哲士君
是非、今後の災害復興策にいろんなやはり教訓を生かしていただきたいと思います。
中越震災の現場でお聞きした要望で、災害で負傷した被災者の医療費の問題があります。国民健康保険の自己負担分は免除をされたわけですが、社会保険の場合は免除をされなかったと。特に重傷な方から何とかしてほしいという声をお聞きをするわけですが、この点、厚生労働省はどういう対応を取られているんでしょうか。
- 政府参考人(宮島俊彦君)
国民健康保険では、給与所得者じゃないんで、自営業者も所得、人が多いんで、被災前後で事業収入が著しく異なるということで一部負担の免除の制度が設けられていました。
これに対してサラリーマンの保険の方は、一定の所得がありますから、今までは一部負担の免除を制度化されていなかったんですけれども、今回の医療保険制度の改革の法案においては、大規模な災害が起こった場合には必ずしもその一定水準の報酬が支払われるとは限らないというような御指摘も踏まえて、この一部負担の免除の制度を創設することといたしました。
- 井上哲士君
医療法案全体は、私ども負担が大きいということで反対でありますが、一部こういうプラス面もあるようであります。
法案見ますと、要件として、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合と、こういうふうになっているわけですが、社会保険の場合、働いている場所とそれから被災を受けた自宅が必ずしも近くにあるとは限らない、むしろ違う自治体にある場合もあるわけですから、被災した方が活用しやすいものにする工夫が必要だと思います。災害の範囲をどの程度にするかであるとか手続の問題とかあると思うんですが、その辺はどういうふうな運用をお考えでしょうか。
- 政府参考人(宮島俊彦君)
今回の法律では、災害その他の厚生労働省令で定める特別な事情がある被保険者であって、一部負担金を支払うことが困難であると保険者が認めるものについて減免できるという規定になっております。
具体的に省令でどう書くかということになるわけですが、例えば介護保険では「世帯の生計を主として維持する者が、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けたこと。」と、そんなような規定になっておりますので、こういう例を参考にして検討していきたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
被災をしたときというのはいろいろ手続なども困難が多いわけですので、是非使い勝手のいい方向等を考えていただきたいと思います。
中越大震災などのような大きな災害の場合に、国保での被災者の一部負担金を減免をした自治体に特別調整交付金の手当てがなされました。社会保険の場合も、大規模災害の場合には、非常に健保組合なども困難が生じることもあり得ると思うんですが、この点の支援はどのようにお考えでしょうか。
- 政府参考人(宮島俊彦君)
国民健康保険の場合は、市町村間の財政力の格差がある場合に、調整交付金という仕組みがありまして、ここで減免を行った市町村に対して補てんがされるということになっていますが、健康保険の方は、そもそもちょっと、企業単位というようなことが多くて、そういう財政調整的な仕組みが設けられていないということで、減免によって減収が生じたのを制度的に補てんする対応が取られていないということです。ですから、各保険者が財政運営に与える影響を考慮して減免を行うかということを、否かを判断するというのが基本だと考えています。
ただ、実際に大規模な災害が発生して、企業がもう成り立っていかないような、そういう大きな話になってきた場合には、災害による被害状況を見極めて、政府全体の方針に従って特別な予算措置等必要な検討をすることになるんではないかというふうに考えております。
- 井上哲士君
阪神大震災のときなどはそういう手当てもされたかと思います。是非的確な対応をお願いをしたいと思います。
最後に、養鯉業のことについて私からもお聞きをいたします。
視察に行きまして、最後に養鯉業者の方から様々な御苦労なお話をお聞きをいたしました。正に、ニシキゴイの発祥の地であり、世界に発信しているこの山古志の養鯉業を復活をさせるんだという思いをみんな聞きましたので、これはどうしても言っておきたいという思いからそれぞれの質問があったと思うんです。
この間出ていますように、実際には道路等の復旧ができてきたということから、よし、やろうということで思いを強くされている方々にも、きちっとこうした補助が行われるように延長をしていただきたいということを要望したいと思うんです。
政務官からも最大限の努力とかいう答弁もありましたけれども、念には念を入れて、最後、御決意を農水省からお聞きしたいと思います。
- 政府参考人(井貫晴介君)
養鯉養殖施設の災害復旧につきましては、平成十六年度の補正予算で予算措置を講じまして、繰越措置を講じる中で十八年度末までの復旧に対応しているところでございますが、新潟県からは道路復旧の遅延等やむを得ない事情によりまして平成十九年度以降に養鯉養殖施設の災害復旧を持ち越さざるを得ないケースが相当数あるという報告を受けております。
これに対しましては、先ほど小斉平農林水産大臣政務官からも最大限の努力というふうに言われております。我が事務方におきましても、政務官の意向、指示を受けまして努力をしてまいりたいというふうに思っております。
- 井上哲士君
よろしくお願いします。
終わります。
164-参-政治倫理の確立及び選挙…-6号 平成18年06月14日
- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
今回の法案は、先ほど来お話がありますように、イラク派兵された自衛隊員の方の選挙権が保障されないということが直接のきっかけになっております。
私たちは、自衛隊のイラク派兵自体は憲法違反であり、反対をしておりますが、しかし派遣された自衛隊員の個人の選挙権というものはやはり可能な限り保障しなければならないと思います。また、提案理由説明にありますように、選挙権が国民にとって重要な参政権の一つであり、在外邦人も含めて国民すべてが実際に選挙権を行使できるようにするべきだと、こういう点では共通の認識でありまして、そういう、すべての国民に選挙権をしっかり保障していくという大きな流れの一歩なんだろうということで賛成はいたします。
その上でお聞きをするわけですが、この直接のきっかけになったものに、兵庫で知事選挙で投票ができなかったと。その際に、兵庫からは、期日前投票ができないのかという問い合わせが政府にあったかと思います。その際、総務省は、
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