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2006年3月23日(木)

予算委員会
「文部科学省の談合疑惑」について

  • 官製談合が防衛施設庁だけでなく、文部科学省でもOBでつくる組織が存在し、文科省発注の管工事を9割の落札率で受注している問題を追及。

※ページの最後に参考資料を掲載しています。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今、防衛施設庁の官製談合が大問題になっております。この談合事件は、重電メーカー各社による受変電設備工事の入札談合事件が端緒になったと言われております。この談合は、既に起訴をされた新東京国際空港公団それから防衛施設庁、これに加えて国立大学等の工事でも行われており、東京地検特捜部は国立大学の工事の談合関係者からも事情を聞いたと報道をされました。

 文科大臣にお聞きしますけれども、この報道を受けて文部科学省としてはどういう調査と対応をされたんでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 井上委員にお答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、新聞等で報道されております国立大学の発注工事における談合の事実や内容については承知をいたしておりません。

 しかしながら、この新聞報道を受けまして、平成十二年度から平成十六年度の間に国立大学等が発注をした受電設備工事に係る入札契約の状況、すなわち受注者、入札参加者、入札経過、契約金額等について確認を行いました。この結果、いずれの工事においても入札手続は適切に行われており、関係の国立大学等からも特に問題があったとの報告は受けていないという状況でございます。

 文部科学省としては、従前から透明性、客観性、競争性のある入札契約が行われるよう、毎年開催される入札契約の説明会等において各国立大学等を指導してきたところでございまして、また昨今の談合問題を受けまして、政府全体として公共工事の入札制度の改善等に取り組むこととしておりまして、その一環として文部科学省としても新たな対策を講じたところでございます。

 すなわち、一般競争入札方式の拡大、総合評価方式の拡大、そして指名停止期間の延長及び違約金割合の加算、そして文部科学省発注者綱紀保持委員会の設置等でございます。

 また、これらの対策について国立大学法人等への説明会において周知するとともに、文書で通知したところでございまして、文部科学省としては、これらの取組状況についてフォローアップを行うとともに、今後とも各法人に対し適切な入札契約が行われるよう指導してまいりたいと存じます。

井上哲士君

 本当に問題がないのかどうか。

 この新東京国際空港公団の元幹部職員二人の被告への、三月八日、東京地裁で有罪判決下りました。これ、天下りと受注企業との関係についてどう述べているか。最高裁、いかがでしょうか。

最高裁判所長官代理者(大谷直人君)

 あらかじめ議員から御指摘いただいた箇所を朗読いたします。

 被告人らは、過去の受注実績、既設物件の施工状況、施工後のメンテナンスの便宜などのほか、第一の犯行では公団幹部職員の天下り予定先企業への配慮、第三の犯行では天下りした公団OBへの配慮から各工事の受注予定業者を選定し、入札が不調になることに伴う工期の遅れや予定価格決定についての公団内部からの批判を回避するため、当該受注予定業者に確実に落札させ、その業者に相応の利益を上げさせようとして入札予定価格に近似した金額を教示していた。このような行為は、入札実施者にとって最も有利な条件で契約するために入札者を自由競争させるという入札制度の本来の趣旨に背き、入札制度を形骸化させてその公正を大きく損なうものである。

 以上でございます。

井上哲士君

 現職職員と天下り職員が結託して談合が行われたという事件であります。

 そこで聞きますけれども、文部科学省の場合はこの発注する文教施設工事はどの部署が担当しているんでしょうか。

政府参考人(大島寛君)

 お答え申し上げます。

 文部科学省本省で発注する場合におきますと、文部科学省文教施設、現在ですと企画部においてやっております。なお、平成十六年四月以前、機構改革以前でございますが、その際は旧文教施設部ということに相なります。

 なお、大学等については国立大学等においてそれぞれ発注がなされているところでございます。

井上哲士君

 文教施設企画部という、まあ文部省における防衛施設庁的な部署が工事を行っております。

 私がこの文教施設企画部のOB会名簿というのを入手をいたしました。百二十以上の工事関連企業の広告が載っている奇妙な名簿でありますけれども。

 そこで、この会員が天下りしている企業と文部科学省発注の工事の受注関係を調査をしてまいりました。お手元の資料の一でありますけれども、政府調達基準額七億五千万円以上でいいますと、四年間で三十件のうち天下り企業が受注したものが二十五件、金額は八二・三%、一億円から七億五千万円未満では、四十一件のうち二十三件、金額では八〇・二%を受注をしております。

 大臣にお聞きしますけれども、この資料を見ましても、二つの事件での判決が下したように、天下りOBと受注企業との関係というのが文部科学省でもあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

政府参考人(大島寛君)

 契約関係のちょっと事務的なことでございますので私の方から説明させていただきますが、いずれの工事におきましても、一般競争入札あるいは公募型指名競争入札ということで、それぞれだれでも入札できるというような透明性の高い入札制度を行っているところから、必ずしも御指摘のような点には当たらないのではないかというふうに考えております。

井上哲士君

 天下り企業のシェアが非常に高いんです。

 じゃ、更に聞きますけれども、大臣にお聞きしますけども、櫟の会というのを御存じでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 ただいま配付のありました委員の資料にその名がありますが、私としては承知いたしておりません。

井上哲士君

 事務方は御存じだったでしょうか。

政府参考人(大島寛君)

 お答え申し上げます。

 櫟の会でございますが、文部省、それから文部科学省及びその所轄機関に在籍した者で、現に管工事関係の業務に在籍する者で構成されるもので、会員相互の親睦会であると聞いております。

井上哲士君

 お手元に資料二があります。今言われたように、この櫟の会の会則であります。平成十七年度の名簿に掲載されたもので、私、それを今手に持っております。今ありましたように、文部省、文部科学省に在職した者で、現に管工事関係の業務に在職している人たちでつくっている。

 この管工事というのは一体何でしょうか。

政府参考人(大島寛君)

 いわゆる機械設備工事あるいは給排水工事といったようなものを指すものでございます。

井上哲士君

 つまり、文部省にいて同じ種類の工事を行う会社に天下りした人のOBの会なんですね。

 大臣、なぜこんな会をつくる必要があるんでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 これは文部科学省の組織でもございませんし、委員が御指摘になった会則を見ましてもこれは民間の団体で、文部科学省あるいは文部省に関係した者の組織であることは読み取れますが、その理由について私では申し上げられません。

井上哲士君

 まあ、大臣も理由が申し上げられないような会であります。こういう会が存在すること自体、私は国民の疑惑を招くと思いますよ。

 で、会則によりますと、この会は必要に応じて文部科学省関係者を招じて話を聞くことができるとなっておりますけども、一体だれがいつ話をしに行っているんでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 私、先ほど申し上げられないというのは、知らないので申し上げる言葉がないという意味でございまして、知らないという趣旨でございます。

政府参考人(大島寛君)

 御指摘の文部科学省あるいは旧文部省を含む関係者がこの会で話をしたことがあるということについては、聞いておりません。

井上哲士君

 明確にこの会則の中にそういうことをやるということが書いてあるんですね。要するに、工事関係企業への天下りOBと現役を結び付ける会になっていると。まあ、道路公団や成田の談合と同じような図式になっているわけですね。

 更に問題は、会の趣旨であります。

 お配りした資料の中に会則がありますが、「この会は会員相互の親睦および、技術、資質の向上を図ることを目的とする。」と、こうなっております。ところが、これはシールを張って書いてあるんです。で、私、その下、透かしてみました。何が書いてあるかといいますと、「この会は会員相互の親睦および、文教施設の管工事が円滑に完成され且つ技術、資質の向上を図ることを目的とする。」になっていると。この「文教施設の管工事が円滑に完成され」、こういう部分消してあるんですね。

 この名簿は昨年の八月現在でありますから、シールは昨年の八月以降に張られたものであります。正に、国立大学関係の談合疑惑が報道されて慌てて隠したと言われても仕方がないと思います。

 大臣、お聞きしますけども、このシールで隠してある文教施設の管工事の円滑な完成を目的にする、これ慌てて隠したのは、談合という意味がこの言葉に込められているということじゃないでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 まあ委員はそういうふうにおっしゃいますが、私にはその辺は全く分かりません。この会がどのような会則であり、また、何が理由でそのような会則の変更を行ったか、全く私の知らないところでございまして、申し上げる、また知らないというか、申し上げる言葉がございません。

井上哲士君

 それでは国民は納得しないですよ。今これだけ官製談合ということが問題になっているんです。そして、こういうことが現に行われているんです。

 否定されますけれども、実績が物語っておりまして、お手元の資料の三を見ていただきます。二〇〇一年から二〇〇四年の文部科学省の本省発注工事のうち、管工事は十九件、そのうち十六件を櫟の会の企業が受注しております。これを調べてみますと、入札参加企業がすべて櫟の会の会員企業、三件でありまして、平均落札率は九五・八%、不落随契七件のうち三件は櫟の会の受注で、しかもそのうち三件は入札参加企業がすべて櫟の会と、そして随意契約五件すべてが櫟の会の会員企業と、こういうものもあるわけですね。

 これを見ますと、先ほど談合などはないというふうなことも言われましたけれども、実にこの櫟の会の会員企業が非常にこういう独占的な入札してるんじゃないですか。いかがですか。

政府参考人(大島寛君)

 いずれの工事につきましても、先ほども申し上げたとおりでございますが、お手元の資料にもございますように、お配りいただいた資料にもございますように、一般競争入札あるいは詳細条件審査型一般競争と、こういった形でございまして、基本的にいわゆる公募の形で入札が行われておりますので、そのような御指摘は当たらないのではないかと、かように存じます。

井上哲士君

 防衛施設庁でも道路公団でも全部一般公募でやられていて、しかしその中でOBと現役が結託しての談合が行われてきたということが今問題になっているんです。それを全くまともに調査もしようとしないというのは本当に問われると思います。

 私が今日出しましたのは本庁発注の工事だけでありますけれども、過去五年間、地方が出したものを含めますと管工事は千八百十件ありますから、これも含めてしっかり調査をするべきだ、このことを求めたいと思いますけども、いかがでしょうか。

政府参考人(大島寛君)

 いずれの工事においても、それぞれ適切に施工がなされているものと考えております。

井上哲士君

 それでは国民の納得はいかないと思います。今後も引き続き追及をしてまいります。

 終わります。


参考資料

2001年度〜2004年度における文部科学省本省発注工事の受注企業と天下り状況

(1)政府調達基準額(6億6000万円以上)
年度 工事総件数 うち天下り企業受注件数 契約金額総額(税込 単位:千円) うち天下り企業の契約金額(税込 単位:千円) 天下り企業のシェア(契約金額ベース)
01年度 8 6 27,268,500 17,818,500 65.3%
02年度 8 7 13,899,900 12,650,400 91.0%
03年度 10 8 9,858,450 8,359,050 84.8%
04年度 4 4 17,897,250 17,897,250 100.0%
小計 30 25 68,924,100 56,725,200 82.3%
(2)1億円以上〜政府調達未満額
年度 工事総件数 うち天下り企業受注件数 契約金額総額(税込 単位:千円) うち天下り企業の契約金額(税込 単位:千円) 天下り企業のシェア(契約金額ベース)
01年度 8 3 1,627,290 643,650 39.6%
02年度 11 6 3,325,350 2,122,050 63.8%
03年度 16 10 4,267,935 3,159,975 74.0%
04年度 6 4 2,228,100 1,829,100 82.1%
小計 41 23 11,448,675 7,754,775 67.7%
総計
年度   工事総件数 うち天下り企業受注件数 契約金額総額(税込 単位:千円) うち天下り企業の契約金額(税込 単位:千円) 天下り企業のシェア(契約金額ベース)
総計 71 48 80,372,775 64,479,975 80.2%

「櫟の会」会員企業の受注内容

下線は「櫟の会」企業、斜体は文施会OB企業

(1)入札参加企業すべてが「櫟の会」会員企業
工事件名 入札参加企業 落札企業 契約金額(千円) 落札率 入札方式
九州国立博物館(仮称)新営機械設備(空調)工事( I 工区) 三機・東芝・浦安新日空丸紅空研新菱・菱和・太平、大氣大成温菱熱ダイダン精研・清水、高砂一工・協和 大氣大成温菱熱 3,129,000 99.5% 一般競争
大学評価・学位授与機構(小平)本館新営機械設備工事 三建川本朝日・日設、一工菱機大成温・装芸、大成設・ヤマト、ダイダン経塚新日空・三谷、日立プラ暁飯島日比谷菱熱工斎久三辰高砂・東芝空、川崎日管工 三建川本 869,400 93.1% 一般競争
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(衛生)工事( II 工区) 三建設備工業(株)(株)三晃空調(株)テクノ菱和第一工業(株)日管(株)池田煖房工業(株)不二熱学工業(株)(株)泉屋工業所 不二熱学工業(株) 189,000 94.8% 詳細条件審査型
一般競争
      総額 4,187,400 平均 95.8%  
(2)不落随契(入札参加企業すべてが「櫟の会」会員企業)
工事件名 入札参加企業 受注企業 契約金額(千円) 入札方式
九州国立博物館(仮称)新営機械設備(空調)工事( II 工区) 朝日・日設・サンプラ三建富士一設三晃大成設大橋須賀・日本設・昭和鉄日立プラ東熱三冷 三晃大成設大橋 1,449,000 一般競争
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(空調)工事( I 工区) ダイダン東熱経塚、菱和・菱機日管工朝日川本・塩谷、新菱大成温泉屋三建一工五建大氣大成設・協立 ダイダン東熱経塚 756,000 一般競争
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(空調)工事( II 工区) 高砂新日空・日設、三晃富士・協和、須賀・東芝・サンプラ日比谷 ・太平・菱設、日立プラ斎久丸紅三機・西原・三冷 高砂新日空・日設 1,249,500 一般競争
      総額 3,454,500  
(3)随意契約(契約企業が「櫟の会」会員企業)
工事件名 落札企業 契約金額(千円) 入札方式
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(空調)工事( I 工区)(その2) ダイダン東熱経塚 262,500 随意契約
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(空調)工事( II 工区)(その2) 高砂新日空・日設 446,250 随意契約
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(空調)工事( I 工区)(その3) ダイダン東熱経塚 399,000 随意契約
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(空調)工事( II 工区)(その3) 高砂新日空・日設 677,250 随意契約
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(衛生)工事( I 工区)(その2) 川崎設備工業(株) 159,600 随意契約
    総額 1,944,600  
(4)上記以外の用件で「櫟の会」会員企業が受注して工事
工事件名 落札企業 契約金額(千円) 予定価格(千円) 落札率 入札方式 備考
九州国立博物館(仮称)新営機械設備(衛生)工事( I 工区) 空研工業(株) 236,250 278,775 84.7% 公募型指名競争  
沖縄工業高専創造・実践教育系校舎( I 期)新営機械設備工事 (株)朝日工業社 257,250 291,060 88.4% 公募型指名競争  
沖縄工業高専メディア・コミュニケーション系校舎新営機械設備工事 日比谷 総合設備(株) 220,500 225,855 97.6% 公募型指名競争  
新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)(仮称)新営機械設備(衛生)工事( I 工区) 川崎設備工業(株) 325,500 329,490 ―― 詳細条件審査型一般競争 不落
沖縄工業高専創造・実践教育系校舎( II 期)新営機械設備工事 (株)朝日工業社 267,750 278,565 96.1% 公募型指名競争  
    総額 1,307,250        

 


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