2007年10月25日(木)
外交防衛委員会
- 大臣所信に対する質疑で、守屋前防衛事務次官の軍需産業との接待や癒着の問題について追及。
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- 委員長(北澤俊美君)
外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。
- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
インド洋での給油量に関する誤った当委員会での答弁について朝から議論があります。配付されておりました当時の議事録見まして分かりますように、これは当時の我が党の小泉親司議員への答弁だったわけでありまして、この誤った答弁には厳しく抗議をするとともに、しかも事実の隠ぺいが行われていたと、このことの徹底した事実解明を求めておきたいと思います。
その上で、時間も限られておりますので、守屋前事務次官をめぐる問題について防衛大臣にお聞きをいたします。
守屋氏に対する接待問題について事実関係の調査が大臣の下で行われております。相手は大物事務次官と言われた人でありますから、一体だれが直接話を聞いているのか、そして、どこまで事実が明らかになったとお考えなのか、さらに、今後更に何を明らかにしようとお考えなのか、まずお願いしたいと思います。
- 防衛大臣(石破茂君)
前事務次官が在任中、山田洋行の元専務とゴルフなどを行っていたと、今御指摘の件の調査につきまして、私が指示をいたしまして、担当でございます官房秘書課、この担当者が守屋氏と接触をいたしております。
電話でありますが、事実関係につきまして聞き取りを行い、その結果につきまして大臣官房長から守屋氏に確認を取った上で、私が報告を受けるということでございます。これは数度にわたって行っておりまして、この点はどうなのか、この点については更に確認せよというようなことを私の方から指示を出しまして、その都度行っております。現在のところ、官房長が確認を取っているという状況でございます。
事実につきましては、これはもう既に記者会見で申し上げたことでございますが、ゴルフは、山田洋行の元専務と、事務次官に就任した平成十五年八月以降も含めて行っていたということでございます。具体的には、昨年の秋までプレーをしていた記憶がある、回数については確認する材料がなくコメントができない、プレー料金についてはプレーの都度一万円を元専務に渡すことになっておったということであります。
二十年以上前この元専務と知り合いになり、それ以来家族ぐるみの付き合いをしておったと。同時に守屋氏は、平成十二年四月にこの自衛隊倫理規程が施行されたものでありますが、この下では仮に割り勘であったとしても利害関係者とゴルフをしてはならないということは承知をしていたと。しかし、長年にわたる個人的な付き合いがあったことから、この倫理規程の施行後もこのような付き合いをやめることができなかったということまで確認をいたしておるところでございます。
- 井上哲士君
本人は当初マスコミに、次官になってからゴルフは行っていないと言っていたようでありますが、この間の調査では認めておられます。倫理規程違反自身は極めて重大でありますけれども、果たしてそれにとどまるんだろうかということが問題でありまして、CXエンジンの問題で会社側に便宜を図っていたんではないかという疑いがあります。
大臣も記者会見で、組織に迷惑を掛けたというような問題以上に重大な事案だと、こういうふうに述べられておるわけですね。そうであるならば、これはやはり国民の前に徹底した事実解明が必要であります。
今、回数を明らかにする材料がないという本人のこともあったわけですが、どうも、手帳などないとは私には信じられないわけでありまして、しっかり資料の提示を求めることが必要だと思いますし、さらに、接待をした側である山田洋行側にも問い合わせをして資料の提供の協力を求める、こういうことも必要かと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
- 防衛大臣(石破茂君)
これはどういう形で聞き取りを行うことができるか、いわゆる捜査という形を行うという段階ではございません。もちろん、いろいろな、今委員御指摘のようないろいろなことが報道で指摘をされております。しかし、事件として捜査をする、そのために手帳を、押収という言葉が正しいかどうか知りませんが、私どもの方からそれを見せてくださいというふうにお願いをして、そういうのはどういうような方法が最も適切なのか、私どもとしてのできる範囲はどこまでなのかということもよく注意をしながら今日まで行っているところでございます。
委員から言っていただきましたように、これは組織に迷惑掛けたなんというような話じゃございませんので、私どもの立場でできる限り正確な調査をし、御報告ができるように今後とも努めてまいります。
- 井上哲士君
やはり、接待をした側からも含めて、しっかり事実を解明をするという点では、今、限界もあるようなお話もございました。もっとやっていただきたいと思いますが、その点でも国会に課せられた任務は大きいわけでありまして、私からも、守屋武昌前事務次官、そして山田洋行の元専務の宮崎元伸氏、そして山田グループオーナーの山田正志氏の証人喚問を当委員会で求めたいと思いますので、委員長、よろしくお願いをいたします。
- 委員長(北澤俊美君)
この件につきましては、複数の御要請がありますので、後日理事会で検討をさせていただきます。
- 井上哲士君
さらに、この守屋氏個人にとどまるのかという問題があります。
この山田洋行が防衛省への接待攻勢を掛けていたという報道がございます。高級牛肉やカニなどを防衛庁の多数の職員に一斉に送り付けていたと、これも一回だけではなくて盆暮れに送っていたという報道もあるわけですね。
民間の調査機関によりますと、同社の年間交際接待費というのは九千二百十五万円、それから海外交際費は千三百十四万円と、さらにこの元専務が役員報酬の名目で捻出をした資金を裏金としてプールをしていたという報道もありまして、一億円ぐらいの接待費をこの元専務が使っていたという報道もあるわけですね。そうしますと、これは守屋氏以外にも同社から接待を受けていた者がいるんではないか、様々な物品をもらっていた者がいるんじゃないかと考えるのが国民的には自然でありまして、先ほど、他の人も含めて調査をすることは検討するという答弁が朝ありましたけれども、これは是非、検討したけどやらなかったとかいうことじゃなくて、必ずやるということについて是非お約束をいただきたいと思います。
- 防衛大臣(石破茂君)
防衛省・自衛隊あるいは防衛行政の信頼にかかわることでございますので、可能な限り実施をする方向で、ただ、その手法、範囲等々につきまして検討さしていただきたいと思います。
これは信用にかかわる問題でございますので、きちんとした調査を行いたいと思います。
- 井上哲士君
是非、きちんとした調査を強く求めます。
同時に、同社と防衛庁、防衛省との関係は、この接待とともに天下りという問題があります。
現在、同社に在籍をする防衛省のOBは何人で、それぞれ最終役職はどうなっているのか、いかがでしょうか。
- 防衛副大臣(江渡聡徳君)
現在、防衛省を離職した隊員が現時点で山田洋行に何名在籍しているかということは、これ詳しくは把握しておりませんけれども、自衛隊法の第六十二条に基づく防衛大臣等の承認を得て同社に再就職した方は四名でございます。
- 井上哲士君
現在在職している人がよく分からないという答弁だったんですが、私はおかしいと思うんですね。
去年の十一月に、衆議院の決算行政監視委員会が衆議院の調査局に予備調査を命じております。その結果が今年の三月に出ているんですね。これは調査局が防衛庁にも問い合わせをしてその調査票に基づいた集計でありますが、二百七社について出ております。この中に山田洋行もあるんです。
そして、この中では、二〇〇六年四月一日現在で十三人が在職をし、そのうち八人が常勤だということがちゃんと出ているんですね。これ、事実ですか。
- 防衛大臣官房長(中江公人君)
申し訳ございません、今委員御指摘の数字についてはちょっとよく調べてみたいと思います、今ちょっと手元に資料がございませんので。
- 井上哲士君
これは先ほど言いましたように、衆議院の調査局が各省庁に調査票を送って、それに基づく回答で作られているんです。そこでちゃんと、当時十三人在職、こういうふうに言っているわけですね。それが今こういう問題になっているときに、既に明らかにしたものも出さないというのは、私はここにも物事を隠す体質があるんではないかということを指摘せざるを得ないと思うんです。
それで、この調査で見ましても、当時の山田洋行の天下りは、社員数百四十六人に対しまして十三人ですから、八・九%と非常に突出しているんですね。同社の元専務自身が防衛省OBであって、OBを継続的に受け入れる、さらには防衛省幹部の家族らの親族の採用も指示をしていたと、こういうふうに言われております。こういうOBが営業活動に同行して顔つなぎをする、OBは元幹部ばかりですので、現役の自衛隊幹部は大先輩が来れば会わないわけにいかないと、こういう証言も報道されているわけで、ここに癒着の構造が見て取れるわけですね。
先ほどの、組織的、構造的な問題まで踏み込んでこのようなことがないように全体を見直したいという大臣の会見からいいますと、こういう天下りを通じた癒着構造にもメスを入れることが必要かと思いますが、いかがでしょうか。
- 防衛大臣(石破茂君)
私が構造的な問題だとこれをとらえておりますのは、何かを調達いたしますときに必ず商社が出てくるわけですね。総合商社というのはなかなか英語になりにくくて、もうそのままソーゴーショーシャと、もう最近はこれが英語化しておるわけでございますが、これ、ある意味日本に特有の存在なわけです。これを介さないと物が買えないのかという、実はそういう本質的な問題まで私はこれ行き当たるものではないかと思います。軽々にこれを論ずることはできないのですが、もちろん、じゃその総合商社の高い能力、それぞれの担当の人たちはそれぞれいろんな見識、知識も持っています。人脈も持っています。じゃ、それを外した形で直接いろんなものを買うとした場合に、だれがそれを補うのか、官で補うのか、今その知識、知見はあるのかといえば、そこはどうなのだろうということもあります。これ、すぐこうしますとかなんとか、そんな簡単な問題だと私は思っていません。
ただ、先般の調達に関する委員会というもの、これ今まで防衛省にありましたが、特別に寺田政務官を長といたしますそういう組織も立ち上げました。調達のそもそも論から議論してみなければいけないのではないか、モラルの問題、倫理の問題ということに帰すということは、私はある意味そこにだけ頼ると同じことが起こってしまうのではないかという感じを持っています。
どうすればいいのかということを、諸外国の例、あるいはそれに掛かるまさしく費用対効果みたいなものも併せて、とにかく癒着とかそういうことが起こらないような、しかし、じゃ自衛官の、若年定年制を取っておりますし、それも含めて、じゃ国のために一生懸命働いた者が第二の人生どうしてやっていくのかということも含めて、私は大きな問題だと思っているのです。是非この委員会におきましてもこうすべきだという御議論を賜れれば、私ども、本当に真摯に聞かせていただきたいと存じます。
- 井上哲士君
間に介在をすることによって一層様々な不透明なことが起きるということもあると思います。その点も含めてやはり構造的にメスを入れていただきたいんですが、こういう結果、山田洋行と防衛省との契約について、この間の金額とそのうちの随意契約の割合がどうなっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
- 防衛副大臣(江渡聡徳君)
お答えいたします。
防衛省と株式会社山田洋行との間で締結いたしました、守屋前防衛事務次官が防衛局長に着任いたしました平成十四年の一月十八日から昨年までの契約は、中央調達におきまして、契約件数百五十一件、契約金額約二百二十九億円でございます。また、そのうち随意契約は百四十六件、約二百十九億円であります。
なお、この随意契約におきまして、入札を行った結果、落札者がなくて随意契約をしたもの、不落随契と言いますけれども、この件が十九件ございまして、約三十四億円が含まれております。
済みません、昨年じゃなくて、昨日までの間です。申し訳ございません。
- 井上哲士君
民間の調査機関によりますと、同社は、航空機器部品及び防衛関連機器業界では国内有力企業の一社であるとしつつ、防衛関連では数十億円となる装備品を扱うこともあって、この受注の有無で業績が大きく変動することがあると、こう指摘をしておるわけですね。正に、防衛庁に依存をして随意契約をどれだけ受注するかに社の命運が懸かっているという中で様々な接待攻勢や天下りの受入れというこの癒着という問題が起きていると思います。
この問題まで踏み込むことが必要だと、そのことも申し上げ、そのためにも証人喚問が必要だと改めて申し上げて、質問を終わります。
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