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2009年3月24日(火)

外交防衛委員会

  • 米原子力空母ジョージワシントンのメンテナンスに米本土から550人の労働者が派遣されているという米紙報道を示し、米側に原子炉に関するメンテナンスの情報提供を求めた。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 横須賀を母港とするアメリカ海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンに関連してお聞きいたします。

 アメリカ・ワシントン州の地方紙、キットサップ・サンの一月十六日付けは、横須賀基地でこの空母ワシントンのメンテナンス作業が行われているということを報じております。五百五十名のピュージェットサウンド海軍造船所の労働者が外国での原子力空母の初めてのメンテナンス作業のため日本にいる、作業は一月五日に開始され、五月に終了するというものであります。さらに、こう報道しておりまして、今後多くの集団が毎年四か月間横須賀に派遣されることになる、同造船所は横須賀に既にその分遣隊を設置したと、こうしております。

 まずお聞きしますけれども、ピュージェットサウンド造船所の労働者は軍属として来ていると思いますが、一体何人入国をしているのか。それから、ここで言われている分遣隊の設置という事実は外務省として確認をされているのでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 御指摘のような報道があることは私も承知をいたしておりますけれども、外務省といたしまして、この空母のジョージ・ワシントンの横須賀寄港との関係で、井上議員が御指摘のピュージェットサウンド海軍造船所から来日をしている労働者の数とか分遣隊の結成などの、そういうことについての詳細については承知をしておりません。

井上哲士君

 元々、横須賀基地には艦船修理廠があります。SRFと呼ばれていますが、住友重機工業が通常メンテナンスを行ってきているわけですね。このSRFについては、米軍の高官も海外では最も高い能力を有する艦船修理廠であるということを繰り返し述べております。ですから、通常のメンテナンスであればこのSRFで十分できるはずなのに、なぜわざわざアメリカ本土から五百五十人もの労働者が来ているのかということで、当然疑問がわいてくるわけですね。

 現在、横須賀基地に来ているピュージェットサウンド海軍造船所の労働者の、一体どういう作業をしているのか。このことは、それでは把握をされているのでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 御指摘の労働者、技師が行う具体的な作業の内容については政府として承知をしておりませんけれども、いずれにせよ、米政府からは累次にわたり、日本においては原子炉修理や燃料交換は一切行わない方針であるという説明を得ているところでございます。

井上哲士君

 今答弁がありましたけど、しかし、九八年のアメリカの会計検査院の報告では、原子力空母は二年に一度数か月を掛けて埠頭に停泊した状態で原子炉のメンテナンス作業を行うというふうにしております。そして、今回のこの地元紙の報道でも、キティーホークの推進機関をメンテナンスしてきた労働者はジョージ・ワシントンの原子炉をメンテナンスすることができないので、このピュージェットサウンド海軍造船所の労働者が派遣されることになったと、こういうふうに言っているわけですね。

 ですから、こういうことを見ますと、ジョージ・ワシントンの原子炉のメンテナンスをしているのではないかということが当然思われるわけでありますけれども、日本政府としてはアメリカに対して作業内容について照会をしたのかと先日事前にレクで聞きますと、していないということでありましたけれども、現時点においてもこういう中身についてはアメリカに照会をしていないということでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 お答え申し上げます。

 もちろんこの原子力空母ジョージ・ワシントンのメンテナンスということにつきましては、専門的知見を要するというようなこともあろうかと思います。そういうことで、アメリカから専門家がやってくるということも当然あるだろうというふうに私ども考えているわけでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、私ども累次アメリカから説明を得ておりますのは、日本においては原子炉の修理や燃料交換という作業は行わない方針だということでございます。したがって、アメリカの原子力艦が日本において行うのは、いわゆる放射能の管理を必要としないような通常のメンテナンスであるというふうに私ども承知をしておりまして、したがいまして、従来からも行われてきたものの延長線上にあるメンテナンスということだろうというふうに考えております。

 したがいまして、私ども、一々アメリカ側にどういうことをやっているのかというようなことを照会するということはしておりません。

井上哲士君

 照会をしていないと、しかし合意には反してないんだと言われるわけですね。なぜそれが言えるのかと、極めて疑問なんですね。今申し上げましたように、いろんな報道でも、従来のことではできないのでこのピュージェットサウンドから五百五十名が来ていると、こういうふうに言っているわけですね。

 ジョージ・ワシントンの原子炉というのは、美浜原発一号機の出力にほぼ匹敵するわけです。それが三千万人が住む首都圏に、言わば原発が設置されたに等しい状況があるわけですね。しかも、空母の原子炉というのは、狭い艦内に設置をするために設計に余裕がないとか、それから常に波や離発着の振動にさらされるということから、やっぱり危険性が高いということも指摘をされているわけですね。

 だからこそ私は、今この問題でいろんな市民からも不安の声や情報開示を求める声が上がっているのは当然だと思うわけですから、当然、市民のこういうことにこたえるためにもきちっと今回の問題をアメリカに照会をすべきだと思いますけれども、これ外務大臣、いかがでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 米国政府は、この米国の原子力艦の安全性に係る日本側は非常に高い関心を持っておるわけで、それに配慮いたしまして、地元を始めとする日本の国民の理解を得られるようにということで、ファクトシート、そういうものによりまして原子力艦の構造とか運用、また安全措置などについて非常に詳細な、また広範な情報を提供しているところでございます。

 政府といたしましては、これらの米国の政府によりまして表明されました累次にわたる安全性の保障、それから安全運航の実績などを踏まえまして、原子力空母を含む原子力艦の我が国寄港時の安全性を確信をしているところでございます。

 また、政府といたしましては、この原子力空母のジョージ・ワシントンの横須賀寄港に際しましても、原子力艦の安全性を一層確実なものとすることが重要であると、そういう観点から、万が一の場合を想定しまして、主体的また厳格に放射能に係るモニタリングを実施しているところでございます。

 具体的には、委員も御承知と思いますけれども、文部科学省が原子力艦の放射能調査指針大綱に基づいて、原子力艦が寄港するたびごとに二十四時間体制で放射能の監視を実施をしておりまして、その結果は必ず公表をしているところでございます。その結果、これまで千三百回を超えるアメリカの原子力艦の寄港を通じて、人体とか環境に影響を及ぼすような放射能の放出は一件も発生していないところです。

 こういう形で、日米の双方が米国の原子力艦の安全性の確保には万全を期していると、そういうところでございますので、米側に対して安全性に関しての更なる情報提供を求めると、そういう考えはございません。

井上哲士君

 いや、それで本当に国民の安全が守れるのかと私は極めて疑問なんです。日本の原子炉もそうですし、世界中の原発でもいわゆる安全神話ということが言われ、そのことが様々な事故に対する備えの問題がおろそかになるということで指摘をされているわけですね。

 しかも、このジョージ・ワシントンは昨年の五月に、あり得ないはずの火災が艦内で発生をしました。当初はぼやだと言っておりまして、日本政府もほぼそれをオウム返しに言っておりましたけれども、その後、調査、発表されました報告書では、第六甲板から第二甲板まで燃え広がった大火災だったと。そういう本来あり得ないような火災が現に起きているわけですから、私はやっぱり、今回の問題でこれだけの労働者が来ている中で、きちっとその中身を問い合わせることぐらいなぜできないのかと、こう思うわけですね。

 今、ファクトシートのことも言われていますけれども、それじゃ、燃料の交換及び原子炉の修理はやらないと言っていますが、それは具体的にどういう作業を指しているのか。例えば、冷却水の廃棄、燃料棒の交換、放射能で傷んだ部品交換等、これなどは行われるんでしょうか、行われないんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 私ども、その作業の内容の詳細につきましては必ずしも承知をしておりませんけれども、アメリカ側から累次説明を得ておりますのは、放射能管理を必要とする作業というものはやらないんだということであります。これは、放射能が漏れるおそれのあるような作業については一切行わないということでございまして、これは、ファクトシート等の中で外国では行われないとされている原子炉修理あるいは燃料の交換というものはこういう作業に当たるんだろうというふうに考えております。

 いずれにしても、私ども、今回のメンテナンス作業というのも、これまで米軍が民間業者との間でいろいろ結んでいるメンテナンスというようなものの延長線上にあって、通常のメンテナンスだというふうに認識をしているところでございます。

井上哲士君

 原子炉の修理はしないけれども、原子炉そのもののメンテナンスはやるということなんでしょうか。

 外務省は、これは地元に配られたんだと思いますが、アメリカ海軍の原子力艦の安全性というパンフレットを配られておりますが、この中で、固定廃棄物も適切に密封された上で米国内で処理されますということを外務省自身が書いているわけですね。つまり、こういう固定、失礼、固形廃棄物が出るというわけですね。これなどはやはり原子炉のメンテナンスから出てくることだと思うんです。

 つまり、いわゆる大規模修理をしなくても、原子炉に関する作業を一切しないということではないんじゃないかということだと思うんですが、そういうことでよろしいんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 繰り返しで恐縮でございますけれども、私どもは、原子炉の修理、燃料の交換というような作業は一切行わない方針であるというふうに聞いておるところでございます。

 ただ、もちろんこういう非常に高度のシステムでございますから、いろいろなメンテナンスというのは当然必要になるだろうというふうに考えておりまして、今回もそのような活動だというふうに私ども認識をしているわけでございます。

井上哲士君

 そうしますと、このパンフに書いてある、固形廃棄物も適切に密封された上で米国内で処理されますとありますが、放射性物質を含むということだと思いますが、固形廃棄物というのはどういう作業で出てくるというふうに想定をされているんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 繰り返しで恐縮でございますが、私ども、米側がそのメンテナンス、あるいはそれ以外にどのような具体的な作業を行うのかということについて一々詳細を承知しているわけではございません。

 ただ、いずれにしても、まさに今委員が御指摘になりましたように、固形廃棄物につきましては、適切に密封され米国内で処理するということになっているわけでございますので、私は、もしそういうものが出てくれば、そういうふうに適切に処理されるんだというふうに考えております。

井上哲士君

 ということは、原子炉にかかわる一定の作業は行うということなわけですね。

外務省北米局長(梅本和義君)

 私ども、アメリカの作業の一々が、どれが原子炉にかかわるかあるいは原子炉にかかわらないのかということの詳細まではなかなか承知をするわけにいきませんけれども、いずれにいたしましても、このシステムが安全に正常に働くようにということで一定のメンテナンスというのはあるんだろうというふうに考えておりますが、先ほど来御説明をしておりますように、原子炉の修理あるいは燃料交換というように放射能管理を必要とするような作業は行われないというふうに理解をしております。

井上哲士君

 幾ら聞いても、なぜこの固形廃棄物が出てくるのかとか、市民の今不安には全くこたえたものではないと思うんですね。これはやっぱりきちっと問い合わせをしてもらうべきだと思うんです。

 このピュージェットサウンド海軍造船所は、ニミッツ級の原子力空母の大規模メンテナンスを実施してきた、そういう実績のある造船所でありますが、この造船所から今回労働者の受入れを現地でしておりますのがノースロップ・グラマン社、ニューポート・ニューズという会社でありますが、このグラマン社のジョージ・ワシントンに関するメンテナンスで百八十万ドルの契約を受注しております。それを発表しているニュースリリースを見ますと、米国で唯一原子力推進型空母の設計、建造、燃料交換を行う会社なんだと、我が社はと、こういうことを書いているわけですね。つまり、アメリカでも原子力空母のこの核燃料交換を含む大規模メンテナンスの能力を持つ二つの施設がかかわって今回の横須賀で行われているわけですね。

 これはやはり原子力に関する作業をしていないのか、国民の安全にかかわる問題ですから、是非このノースロップ・グラマン社とアメリカとの間で原子炉のメンテナンスについてどういうような契約になっているのか照会をして、国民の前に明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

外交防衛委員会委員長(榛葉賀津也君)

 梅本北米局長、時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁願います。

外務省北米局長(梅本和義君)

 繰り返しになりますけれども、今回のメンテナンス作業も放射能の管理を必要としない通常のメンテナンス作業であるというふうに承知をしております。米軍が民間業者との間で結んでおりますその作業の一々について政府として米側に情報提供を求めたこともございませんし、また今回の契約についても、そのような詳細について米側に情報提供を求めるという考えはございません。

井上哲士君

 納得できません。終わります。


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