つまり、シナリオに反する証拠が出てきても供述があれば有罪にできると考えていたとすれば、重大なことですよね。しかし、もうこれは前田元検事だけの問題ではありません。でっち上げのこの逮捕、起訴のために村木さんは一年三か月にわたって自由を奪われたわけですが、このこと自体に対する深刻な反省が検察からは聞こえてきません。
前田元検事の同僚検事は、この改ざんの事実を早い時期から知っておりますけれども、半年間これを放置をしておりました。地検の幹部も、一月末の公判の時点で弁護側からこのフロッピーディスクの日付の矛盾が指摘されて、そしてその直後に、二月初めには改ざんの事実を前田元検事から把握をしているわけですね。
ですから、この時点で検察のシナリオの背骨の部分が崩れているわけですから、村木氏が無実であり、逮捕としたこと自体が間違いだったというふうに私は認識できたと思うんですね。にもかかわらず、このときに公訴の取消しもせずに行ったと。地検幹部のコメントを見ますと、この証拠の改ざんも過失だったから問題ないんだと言わんばかりのコメントなわけですね。故意じゃなかった、過失だったと、だから上にも報告していないと。その結果、この一年三か月も村木さんが自由を奪われていたということに対するまともな反省がないんです。改ざんを告発したと言われる同僚検事も含めて、公判では村木氏を有罪にするための立証活動をずっと続けたんですから。そして、有罪の論告求刑までしたんですから。なぜ改ざんの事実を把握した時点で公訴取りやめをしなかったんですか。
地検ぐるみで私は無実の人を有罪にでっち上げようとしたと、仕立て上げようとしたと、こう言われても仕方がないと思いますけれども、いかがでしょうか。