2010年11月25日(木)
予算委員会
- 北朝鮮砲撃問題の集中審議。軍事挑発を許さない毅然とした態度と政治的・外交的に解決することの重要性を指摘し日本が国際社会にどう働きかけるかを質す。朝鮮学校の無償化問題では、子ども達の教育の権利を外交圧力の道具にするなと迫る。
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
多くの民間人が住む韓国の延坪島に対する北朝鮮による無差別の砲撃は、朝鮮戦争の休戦協定にも国連憲章にも違反する無法な行為であります。また、例えば二〇〇七年に南北首脳会談での、南と北は互いに敵対視せず、軍事的緊張を緩和し、紛争問題を対話と交渉を通じて解決することとしたと、こういう宣言など、南北間の様々な合意にも反する行為であります。我が党は、この北朝鮮による軍事挑発行動を厳しく批判をするものであります。
北朝鮮のこの無法行為に対して韓国の大統領は、これ以上の挑発があれば断固たる措置をとるということを表明をしております。同時に、今回の砲撃について、軍事攻撃などの言葉は使わずに武力挑発という表現をし、事態が拡大しないよう命じるなどの冷静な対応をしております。このことは大変私は重要だと考えますけれども、総理の御認識はまずいかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(菅直人君)
おっしゃるように、韓国大統領府広報首席秘書官は、今回の北朝鮮の砲撃行為について武力挑発であるとの表現を用いて声明を出されております。このように抑制された表現を使用していることは、韓国政府が冷静かつ一方では断固とした対応を取っていることの表れであると、このように評価をいたしております。
- 井上哲士君
この挑発への対応で大事なことは、無法行為は絶対繰り返させないと、こういう毅然たる立場で臨むことであります。同時に、挑発に乗って軍事的な緊張を強めたり事態をエスカレートさせてはならないということであります。
横須賀から米空母ジョージ・ワシントンが出動しているようでありますが、そこは冷静に対応し、国際的な非難でこの北朝鮮の行為を包囲をするということ、事態を絶対に拡大させないということが重要だと考えます。
軍事的な緊張を高めたり、そして軍事紛争につなげるのではなくて、外交的、政治的な努力によって解決をするというこの国際社会の努力が重要だと考えますけれども、この点での総理の御認識はいかがでしょうか。
- 国務大臣(前原誠司君)
今回の北朝鮮によります砲撃は、韓国のみならず我が国を含めたこの地域の平和と安全に対する挑戦でありまして、そういうゆえに我々は強く非難をしているわけでございます。まずは、今の御指摘の前提となるのは、北朝鮮がこのような挑発行為を繰り返さないことをしっかりと我々が連帯してメッセージを出す、働きかけをしていくということが大事だと思います。
その観点から、今委員御指摘のように、平和的、外交的な解決が必要でございますので、今、我々、様々な国との連携を模索をしておりますけれども、そういった各国との連携というものを更に強めながら、北朝鮮の更なる挑発を抑え、平和的な解決に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
- 井上哲士君
北朝鮮がこの攻撃とその被害の責任を取って、挑発的な行為を繰り返さないように厳重に我々も求めるものであります。
そして、それをやめさせて、外交的、政治的な努力で解決をするという上で日本政府の役割は非常に大事だと思うんですね。様々な連携ということがありましたけれども、具体的に関係諸国を始め国際社会に対してどのような働きかけを行っていくのか。例えば、日本として周辺関係諸国による会議などを呼びかけるとか、様々な方法あると思いますけれども、具体的にどういうことをやろうとされているんでしょうか。
- 国務大臣(前原誠司君)
今回は、北朝鮮の砲撃が韓国に対して行われたということで、被害を受けた国は韓国でございますし、韓国がどのような対応をするかということを我々は第一義的に尊重しなくてはいけないと思っております。
その上で、韓国の思いというものをしっかりと、今話合いを進めておりますけれども、その上で韓国の同盟国であるアメリカ、そして日米韓の協力関係をどのように進めていくのかと。今朝はクリントン長官とも話をいたしまして、この日米韓との連携を更に進めていこうということでの合意を得たわけでございますけれども、それと同時に、先ほどから話が出ておりますように、中国あるいはロシア、ロシアについては今回の対応についてはかなり批判をしております。そういったところとの協議もしっかりやっていかなくてはいけないというふうに思っております。
いずれにいたしましても、その会議がどうのというよりも、各国との連携の中でいかに効果的に韓国の思いに立った北朝鮮への働きかけをしていくのか。そして、先ほど委員が御指摘をされた平和的、外交的な解決に向けての取組というものを、必要に応じてはニューヨークのいわゆる国際社会の場でも働きかけをしながら行ってまいりたいと考えております。
- 井上哲士君
私は、やはりこの憲法九条を持つ日本にふさわしい、軍事的な緊張ではなくて外交的な解決をつなげるための努力が必要だと思います。
最後に、この問題に関連して、菅総理から、朝鮮学校から高校無償化制度の申請があっても手続を見合わせるようにという指示があった。先ほども議論になりました。
私は、これは、外交上の問題は考慮しないで教育の観点から制度を適用すると言ってきた政府の方針からも大きく食い違うものだと思います。教育を外交圧力の道具にするということは、私はあってはならないと思います。子供には関係ないのに差別をするような、そういう措置をとるのはおかしいと。やはりこれは、学校教育、子供が教育を受ける権利ということとこの問題は切り離して考えるべきだと、このことを最後に指摘をいたしまして、質問を終わります。
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