2011年7月29日(金)
倫理・選挙特別委員会
- 震災避難者への選挙情報提供のため選管ホームページに選挙公報を掲載することを提案。総務大臣は「法的には可能」と答弁した。
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- 井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
選挙は民主主義の根幹であり、住民の総意を集めて被災地の復旧復興を行う上でも、可能な限り早く選挙を行うことが必要だと思います。そういう点で、困難を抱える自治体への一層の国の援助をする必要があるわけですが、特に避難者の滞在先の確保が特にこれから重要になってくるわけですね。
五月十八日の質疑の際に、先ほども出ました総務省の全国避難者情報システムによる避難者の把握と避難元自治体への情報提供についてお聞きしました。当時は三県で二万九千三百人だったわけですが、これ今どこまで進んでいるんでしょうか。
- 総務副大臣(鈴木克昌君)
では、私の方から御答弁をさせていただきます。
まさに避難者の現在の状況を正確に把握するということは最も重要なことだと、このように考えておりまして、今御指摘のありました情報システムを構築をさせていただきまして、現在、被災三県で約九万九千七百件の御連絡をいただいております。内容的には、福島で七万二千件、宮城県で一万七千二百件、岩手県では一万三百件、七月二十七日現在でございますけれども、このような情報が提供されたところでございます。
- 井上哲士君
避難者の滞在先把握については総務省としても相当の努力がされてきていると思いますが、一層お願いをしたいと思いますし、こういう皆さんへの不在者投票の周知やそして郵送手続、投票所や投票の人的体制の確保、それから投票の足の確保など様々な課題があるわけで、国としての人的、財政的な支援を強く求めておきます。
次に、先ほど、一時避難しつつも元の居住地に帰るという意思がある方について選挙権を保障していくと。私も当然だと思います。一方、住民票があるだけではなくて居住の実態が必要だという原則は原則としてあるわけですね。三宅の場合は四年になったわけですが、福島県の一部の自治体の場合に相当長期ということも考えられるときに、この原則との関係をどう整理するのかということがまず一点。
それから、滞在していなくても、居住していなくても選挙権を認めるということを幅広くやりますと、逆に悪用して住民票だけを移すというようなことを排除できなくなる可能性もあると思うんですが、この点はどういう対処をお考えか。二点、いかがでしょうか。
- 総務大臣(片山善博君)
福島県の問題というのは私も非常に深刻に考えております。ただ、現時点ではやはりできるだけ早く全ての皆さんに帰るべきところに帰っていただきたい、そのために政府は全力を挙げるということは、これが基本であります。今後、どういう事態になるかよく推移を見極めたいと思いますけれども、この原則はやはり貫いていきたいと思っております。
それから、おっしゃったのは、例えば今、双葉郡の警戒区域なんかに新たに住所を設定したいという人が出てきた場合にどうするかということになると思いますけれども、これはそこに新たに住所を置くことはできないと思います。なぜならば、そこに新たに居所を置くことはできませんので、そういう方が生じ得るという心配は不要だと思います。
- 井上哲士君
住民票の転入届があっても受け付けないという手続になっているということでよろしいんでしょうか。
- 総務大臣(片山善博君)
それは、避難を今余儀なくされている自治体に転入届が仮に出てきたとしても、それは受け付けられないという処理になると思います。
- 井上哲士君
不在者投票を活用するということを申請した有権者にはいろんな資料も郵送されるわけですが、避難はしているけれども投票は自分で行こうと思っている方は申請しませんので、結果としては情報が余り行かないということになるわけですね。ですから、そういう方々にもどこからでもアクセスできる情報を確保するということは非常に大事だと思いまして、そういう点でも選管のホームページの情報の拡充が必要だと思います。
今見ますと、載っている場合でも、氏名、性別、住所、生年月日、所属党派、現、新、元の別というぐらいの情報なんですが、例えば届出の際に一定字数の所信などを出してもらってそれを掲載するとか、選管のホームページの情報をもう少し拡充ができないのだろうかというのが一点。
それから、ネット選挙の解禁についてはいろいろ各党間でも議論をしておるところですが、大臣も必要だということは衆議院でも言われておりました。政党候補者がやるネットの活動については政党間議論があるんですが、選管のホームページに各候補者が出した公報をそのまま載せるというのは、私は一定の法改正などをすれば、これはむしろ総務省サイドでの提案でもできるんじゃないかと思うんですが、この二点、いかがでしょうか。
- 総務大臣(片山善博君)
選管のネットを通じた、ホームページを通じた情報提供を充実させるべきだというのは私も賛同いたします。現在でも、例えば選挙公報というのを出すことができる、選挙管理委員会が出すことができるわけですけれども、これを紙媒体ではなくてホームページ上に掲載するということは、法的には可能だと思います。ただ、実際にはやられておりません。
それは、いろんな危惧、心配があるようであります。例えば、違法な侵入者が出てきてその情報をかき混ぜたときに選挙の有効性に疑念が生じるんではないかとか、そんなことも含めて、実際は活用されておりませんが、私は今回のような福島県のような事情に鑑みますと、いろんなところに避難されているそういう方々にできるだけ多く早く情報を提供したいということでありますれば、そういうネットを通じて選挙公報に掲載しているような情報を一種の選挙公報として選管のホームページに掲載するというのは非常に有効な手段だろうと思いますので、是非これは該当の選挙管理委員会には、これは選挙管理委員会が決めますので、選挙管理委員会には是非ポジティブに前向きに考えていただきたいということをお伝えをしたいと実は思っているところであります。その上で、今後選管のホームページ利用というもの、情報掲載に現行法が支障になるようなこととか改善すべき点があれば、総務省の方から積極的にこれを法改正が必要ならば提案をしていきたいと思います。
- 井上哲士君
重要な答弁なんですが、これまでは、これ私ども例えば地方議会なんかでも質問しますと、公選法上は、選挙公報については各世帯に配布することが基本だと。それが困難と認められる特別な事情がある場合は、新聞折り込みその他これに準ずる方法による配布で代えることができるという規定になっているので、ホームページに載せるのはできないというのが大体地方の答弁だったし、大体総務省もそういう説明をされてきたんではないかと思うんですが、確認しますけれども、地方の選挙管理委員会が判断をすれば法的には可能であるということでよろしいわけですね。
- 総務大臣(片山善博君)
私はホームページに選挙公報として掲載することは法的には可能だと思います。ただ、先ほど言いましたように、ちょっと一例を申し上げましたけれども、いろいろ懸念事項があります。ですから、そこを乗り越えて選挙管理委員会が割り切ってやられるかどうかということが一つポイントだろうと思います。
今までは、正直言いまして、候補者のサイドのネット利用というものが解禁されていないといいますか、ネガティブな解釈をしておりましたので、言わば共連れのようなことで、選挙管理委員会のネット利用というものに対しても、恐らく総務省自体もネガティブな見解を各選挙管理委員会にお話をしていたと私は思います。ですけれども、法的には可能だと思います。もしいろんな支障があるとすれば、これを機に少し見直してみたいと思います。
- 井上哲士君
終わります。我々も、是非、各地方で求めていきますが、総務省としても積極的に促していただきたいと思います。
終わります。
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