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2012年8月22日(水)

決算委員会

  • 米軍機オスプレイの低空飛行訓練計画について質問

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 オスプレイの配備と低空飛行訓練の問題について質問をいたします。

 オスプレイが沖縄に配備をされますと、アメリカが日本上空にこれまで設置をしてきた七本の低空飛行訓練ルートを使って訓練が行われることになります。米軍は、日本の航空法、居住地では三百メーター、それ以外は百五十メーターという最低安全高度というのを定めておりますが、この適用除外になっております。実際にこれまでもこれ以下の訓練が行われてきました。そして様々な騒音や衝撃、そして墜落事故が起きてきたわけであります。

 今回、オスプレイの配備に当たって、日本政府はこの日本上空の低空飛行訓練ルートについて具体的に初めて認めました。

 そこで、まず外務大臣にお聞きしますが、アメリカが自由に日本の上空に訓練ルートを決めるという権利は日米地位協定の一体どこに定められているんでしょうか。

国務大臣(玄葉光一郎君=外務大臣)

 これはもう井上委員は御存じのとおり、何条に規定されている、そういう趣旨、そういうものではございません。日米安保条約そのもの、つまり、その趣旨、目的に鑑みて言わば駐留することを認められているがゆえに、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことが言わば前提になっているということで、施設・区域でない場所の上空も含めて認められると。

 ただ、一方、これも以前申し上げておりますけれども、じゃ、全く自由に飛行訓練を行ってよいのかということを問われれば、それはそうではなくて、我が国において公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということ、例えば、米軍の飛行訓練に際しては、安全面に最大限の考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるように、引き続き最大限の配慮を米側に求めていきたいというふうに考えております。

井上哲士君

 つまりどこにも明文の規定はないわけですが、こういう重大な訓練がこの間も行われてまいりました。

 私、この間、広島県内のブラウンルートであるとか長野県内のブルールートの直下にある地方自治体も訪問をして調査をしてまいりました。地方自治体の幹部や住民からは、報道で自分の町の上にこのオスプレイの航空ルートがある、そういう地図を見て驚いたと、政府からも何の説明もないと、こういう憤りの声が上がっておりました。自治体にも住民にも何の相談もなくて、アメリカが勝手に日本の地図の上にこの訓練のルートの線を引くと、こんなことを認めて、果たして私は主権国家と言えるのか。

 この低空訓練というのは、ヨーロッパでもドイツやイタリアでアメリカは行っておりますが、その際は、アメリカの一存ではなくて、駐留国がこれを決めていくと、こういうふうになっております。なぜ日本は全く自由にこういうことが定められるのですか。これで主権国家と言えるのですか、外務大臣。

国務大臣(玄葉光一郎君)

 これ、まず一つは、井上委員御承知のとおり、環境レビューに記されたあのルートが、本当にそこを飛ぶかというのはまだ私は分からないというふうに思います。

 その上で、主権国家と言えるのかと、こういうことでありますけれども、米軍は、低空飛行訓練を行うに際しては、最低の安全高度に関する法令を含めて、我が国の法令を尊重し、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めている旨、累次の機会に表明をしているところであります。

井上哲士君

 私は高度の問題を言っているんじゃないんですね。ルートを、何の住民にも地方自治体にも相談なしに勝手に決めていると。自由勝手に決めているんですよ。現にそうなっているわけです、これまでも。そして、最低高度についても実際は守られておりません。こんなことを許していていいのかということを言っているわけであります。

 そして、米軍機は、このルート以外も、群馬や広島、島根、山口など、各県の上空に設定されている自衛隊の訓練空域を使用して訓練をしております。で、自衛隊と米軍との、この訓練空域の使用の米軍との調整は、それぞれの空域の使用統制機関である自衛隊の基地が行っております。

 私は、二〇一一年以降、この自衛隊の訓練空域の全空域で、米軍との調整実績について資料要求をいたしました。群馬上空のエリアHについては二〇一一年一月から今年五月までの月別の資料が提出をされまして、計九十三日間、百九十時間ということでありました。ところが、これ以外の空域の調整実績については、要求して一か月半たちますのに、いまだに提出をされておりません。一体どうなっているんでしょうか、防衛大臣。

国務大臣(森本敏君=防衛大臣)

 先生御指摘のように、確かにエリアHの使用調整の実績等については資料要求をいただいておりまして、これについて資料を既に提出をしているわけでありますけれども、それ以外の問題については現在アメリカ側と資料の中身について調整中でありまして、もう少し時間をいただきたいというふうに思います。

井上哲士君

 それじゃまるで米軍による検閲なんですよ。

 自衛隊の訓練空域というのは、これは国土交通省が公示によって制定をされております。そして、自衛隊以外の者が使用する際は、国土交通省が発行するAIPと言われる航空路誌、これに基づいて、その都度自衛隊の各基地と調整するということになっているんですね。

 つまり、これは、この調整実績というのは航空行政にかかわる情報なんですよ。その行政情報を国会に提出をするという場合に、なぜアメリカが、いかなる権限で、それを止める、こういうことができるんですか。

国務大臣(森本敏君)

 いや、権限といいますか、アメリカが実際にどのような空域を調整しているのか、我が方とどういう事前の調整をしてきたのかということを、過去に遡っていろいろな調整の中身をきっちりとチェックする必要があると思いまして、我が方は現在アメリカ側と提出すべき資料の中身について調整をしているもので、ルートについて調整しているとかということではありません。資料の中身そのものの、使用実績、あるいはいつごろどういう調整をやったのかということを過去の経緯に遡って調整を行っていると、こういうことでございます。

井上哲士君

 先ほど言いましたように、ヨーロッパでもアメリカでも、これはもう事前にルートも訓練日時も明らかにされているんですね。終わったものについてまで一々、言わば米国の、アメリカ側の検閲を受ける、私はこれは本当におかしいと思うんですね。アメリカはこのように日本の上空どこでも訓練が可能で、そしてその情報も明らかにしないということが起きております。

 一方、アメリカの本土で米軍が低空飛行訓練をする場合には、住宅密集地の上空は禁止をされております。それから、それ以外の場所でも、住民に事前に訓練計画やルートを公開をして、野生生物の生理的影響や自然公園における環境破壊などの環境影響調査を行うことになっているんですね。これに基づいて、例えばニューメキシコ州で安全に不安を持つ住民の反対で訓練が中止になりました。最近は、ハワイのカラウパパ空港、ウポル空港、周辺の遺跡へのオスプレイによる吹き下ろしの影響、それから環境とか農業への影響と、こういう懸念から中止になったわけですね。

 アメリカ国内で中止された問題について、衆議院では、これはアメリカ国内のことと、こういう答弁もあったようでありますが、私は、最低限、最低限アメリカの国内と同様に、ルートとか訓練の日時、計画、これを公開をして住民の声を聞く、これは当然だと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(森本敏君)

 先生の御指摘のように、アメリカの中で例えばキャノンだとかハワイで一部の訓練を停止をしているというのは事実のようでございます。報道にも接しています。実際にそういう措置が行われていると承知しています。

 これはアメリカの国家環境政策法に基づいて、そのようなフライトを行ったときにどのような環境影響があるかということを調査をし、その調査の過程の中で、住民の方々に反対がある場合、あるいはさっきハワイの話が出ましたが、ハワイは住民の反対というのではなくて、オスプレイのダウンストリームといいますか、によって歴史的な文化遺産そのものが損傷を受ける可能性があって、自主的にある一定の空域についてある一定の訓練を差し止めているというか、サスペンドしているというか、停止しているという事実はあると思います。

 法体系と実際のやり方が日本とアメリカとは違うわけで、必ずしも同様には論じられないのですが、我が国に我が国の環境影響評価法というのがあってそのような措置がとられるというのであればいいんですが、今アメリカの例を先生はお引きになりましたけれども、それは、アメリカの国内法に基づく措置というものが限定された空域について限定された訓練内容について行われていると、このように理解しております。

井上哲士君

 日本のそういう環境影響調査とか、そして航空法による最低安全高度すら適用除外にしているからそうなっているんですよ。そして、アメリカでは事前にルートも計画も示しているのに、一切明らかにしていないわけですから、その環境影響なんかもできないということになっているんです。それがおかしいじゃないかということを私は言っているんですね。

 先ほど言いましたように、アメリカの場合は、野生生物に対する影響も含めて事前の環境影響調査をしております。日本では、ルートが決まっても報道で知るだけと、こういう事態になっているわけですね。日本の国民はアメリカの野生生物以下の扱いでもいいと、こういうふうにお思いなんですか。

国務大臣(森本敏君)

 いや、そういうことを申し上げているのではなくて、アメリカのいわゆる環境政策法に基づいて一定の基準があって環境影響評価を行い、その限りにおいて、住民の反対、あるいは自主的に飛行を制限する必要があると考えているときには、アメリカがその飛行を停止したり訓練の中身を止めたりしているということであります。

 我が方にとって、アメリカの環境政策法というそのものを日本に当てはめてどうということを私は申し上げているのではありませんで、あくまでこれはアメリカの法律に基づく措置だというふうに理解をしております。

井上哲士君

 じゃ、日本政府としてアメリカに対して、事前にルートそして訓練計画について明らかにし住民の前に示す、このことを求めてくださいよ。いかがですか。

国務大臣(森本敏君)

 これは、日本の国内に当然のことながらアメリカのいわゆる環境政策法というものが適用されるということにはなりませんので、したがって、外務大臣お答えになりましたように、日本の国内でアメリカが各種の飛行訓練を行うとき、この環境レビューで決めているのは、あくまでこのとおり飛ぶという飛行計画を示しているのではなくて、このとおりの訓練を行った場合どのような環境の影響を与えるかということを客観的に出したデータでありまして、それは、できるだけ飛行の安全を維持しながら住民の方々に迷惑を掛けないような飛行をするようにいろいろなルートでアメリカ側に申し入れる、こういうルートは確保されていると思います。

井上哲士君

 全く住民の安全を守るという立場からの答弁がありません。

 オスプレイの事故について、これは人為的ミスだというようなことをアメリカが言っておりますけれども、開発に関与した米軍関係者からもこれは欠陥機だと、こういう指摘があります。さらに問題は、僅かな操縦ミスでも事故につながるような危険な訓練が行われるということです。

 お手元に環境レビューの防衛省の仮訳を配付をしておりますけれども、そこに訓練活動の概要という表がございます。例えば防御戦闘演習というのがあります。空対空及び地対空脅威に対する航空防御演習、それから、その下に低空戦術というのがあります。低空飛行及び地上五十から五百フィートにおける戦術用訓練と、こういうものがあります。

 アメリカの海兵隊のマニュアルによりますと、この固定翼機を相手として行う防御戦闘演習のオスプレイの最低高度は二百フィート、つまり約六十メートルということになっております。そして、この低空戦術、ここにも五十から五百フィートと書いておりますけれども、五百フィート、つまり百五十メーター、海兵隊のマニュアルでは、この低空戦術は地形回避の技能の向上を目的として、地上五百フィート、つまり約百五十メーターを下回る高度で飛行することを意図するものと明記されているんですよ。ですから、百五十メーターを下回るということになりますと、日本の航空法の最低安全高度を下回る高度で訓練するということを明記されているんですね。

 さっきから日米間で配慮するであるとかいうことが言われていますけれども、こういうことが明記されている。一体この訓練は日本のどこでやるんですか。

国務大臣(森本敏君)

 まだ実際に訓練が始まっていないんですが、オスプレイがどこで訓練をするのかというふうに質問されても、なかなか私は地図のどこどこで訓練するということが明記できないですけれども、一般論として言えば、海兵隊の持っている新しいオスプレイという飛行機ですから、例えば海兵隊が今まで行ってきた北部訓練場など、海兵隊が主として行ってきた訓練空域を使って、海兵隊の要員を離陸させたり着陸させたりするために訓練を行うというふうに考えるのが自然であろうと思います。

井上哲士君

 離着陸だけでないんですね。ここにありますように、防御戦闘演習、低空戦術と、こういうものが明確に書かれているんですよ。例えば、これはいわゆる低空飛行訓練ルートでや、そして岩国やキャンプ富士の周辺では行わない、はっきり明言できますか。

国務大臣(森本敏君)

 それは米軍の作戦の要請に基づくもので、我々が、どういう高度で訓練をするかというようなことを私が明言できるような状態にはないと思います。

井上哲士君

 それじゃ、日米合同委員会の合意で、アメリカは日本の最低高度、居住地域では三百メーター、それ以外では百五十メーターをちゃんと守っていくということはもう守らないという前提になっているんですよ、この計画は。そんなこと何で許すんですか。

国務大臣(森本敏君)

 訓練はいろんな高度でいろんな環境で行うと思いますが、飛行の安全を維持するためには、少なくても、例えば普天間の飛行場に入ってくる場合は、場周経路をある一定高度以上で飛び、不測の事態があっても安全に海域の中に出れるというふうな安全高度を維持する。それが日米間で合意ができれば、少なくても事故が発生したことによって起こる被害、障害を最小限に食い止めることができる。そういう合意ができれば飛行の安全に役立つという考え方です。全ての空域に対して低高度を飛ぶということではなくて、例えばそういうことが合意できるかどうか分かりません。今から日米間で協議をしているところですが、少なくても何か起きたら安全なところまで飛行機を引っ張っていけるに十分な高度を維持しながら進入してくる、そういう意味です、先ほど申し上げている高度は。

井上哲士君

 航空法の最低安全高度というのは、まさにそういういろんなトラブルが起きたときに安全に不時着ができるための高度なんですね。それが居住地では三百メーター、それ以外は百五十メーターになっているんです。それよりもはるかに低い高度でこういう訓練をやるということがここに書かれているんですよ。何でそれで安全が確保できるんですか。基地の周辺でやらない、入っていくときには保つ、そういう問題じゃないんですよ。日本国土全体でこれは日米合同委員会合意で守るということを繰り返し言ってきたじゃないですか。全く違う中身になっていますよ。

 私は、こういう訓練は行うべきでないということをちゃんと日米合同委員会等でしっかり言うべきだと思いますけれども、本当に国民の安全を守る立場であれば。防衛大臣、いかがですか。

国務大臣(森本敏君)

 それぞれの訓練の内容にはそれぞれのリクワイアメントがあると思いますが、わざわざ民家の上で低高度の訓練をするという理由は軍事的にいうと余りありませんので、低高度の訓練を行うときには、それなりの空域と安全空域を取って、それなりの訓練空域といいますか、例えば北部訓練場だったら北部訓練場の中で低空の訓練を行うというのが普通の訓練のやり方だと思います。

 したがって、さっきから御説明しているように、そのような安全空域を取っていわゆる軍事上の訓練の内容を安全な空域で行うようにアメリカに求めていく、それは日米間で合同委員会を通じてアメリカ側と協議をして確保していきたい、こういうふうに申し上げているわけです。

委員長(山本順三君)

 井上哲士君、時間が来ておりますのでおまとめください。

井上哲士君

 時間ですので終わりますが、答弁を聞いておりまして、一体どこの国の防衛大臣なんだろうと。アメリカのメッセンジャーではないはずであります。国民の安全を守る立場から、きちっとこういう訓練はやめよと申し上げていただきたい。

 以上申し上げまして、質問を終わります。


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