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2012年8月27日(月)

予算委員会

  • 米軍機オスプレイの配備・低空訓練について野田総理をただした

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 我が党は、尖閣諸島の日本の領有について、歴史的にも国際的にも正当であり、竹島の領有を日本が主張することには歴史的な根拠があるという見解を明らかにしてまいりました。

 この問題は、日中、日韓、いずれの政府も、緊張を激化させたり、そして関係を悪化させるような行動や言動を慎まないと解決には結び付かないと、歴史的な事実と国際的な道理に基づいた冷静な外交的努力で解決することが必要だ、このことを申し上げた上で、沖縄へのオスプレイの配備についてお聞きをいたします。

 世界一危険な普天間基地に、事故を繰り返してきた欠陥機オスプレイを配置をすることは許されないと、オール沖縄の怒りと反対の声が広がっております。全ての地方自治体が反対の決議を上げ、この九日には十万人規模の県民大集会が予定をされております。

 ところが、沖縄の米海兵隊のグラック司令官は、二十二日、NHKのインタビューに答えて、十月からの沖縄での本格的な運用に向け、日本政府の了解が得られれば、来月中旬ごろ配備されることになると述べました。

 総理、九月中旬の配備について了解を与えるおつもりですか。総理、総理、総理答えてください、総理。

委員長(柳田稔君)

 まず、森本防衛大臣。

国務大臣(森本敏君=防衛大臣)

 グラック司令官のNHKのインタビューは内容を承知していますが、この配備という言葉について必ずしも、我が方とアメリカ側の考え方が少し温度差があると思います。

 つまり、配備というのは、実際にオスプレイを部隊に、部隊に……(発言する者あり)ちょっと聞いてください、部隊に配備をして新しい任務を与えて、そのときに部隊としてフル活動ができる時期を配備と言っているわけで、来月中旬というグラック司令官の言葉は正確でないと思います。我が方は、事故の調査の分析、飛行の安全その他全部、全ての手続を踏みながら配備の時期が決まっていくというふうに思います。したがって、グラック司令官の発言は正しい発言、正しい内容ではないというふうに理解しております。

井上哲士君

 日本政府の対応を聞いているんです。

 総理、来月半ばといいますと、沖縄の県民集会直後ですよ。日本政府はアメリカ政府の言い分をうのみにして、あれは人為的ミスだと認めるのかもしれませんが、沖縄県民は誰もそんなことは認めておりません。沖縄県民の合意なしに配備は了解しないと明言してください。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 先ほど防衛大臣が答弁したとおりであります。四月、六月のこの事故の調査結果を踏まえて分析をし、安全性を我が国として確認をしない限り飛行運用はさせないということ、これはもう基本的な大方針です。その先の配備の問題を含めて、まずはこの安全性の確認が何よりであって、そのことをしっかり沖縄の皆様に御理解いただくような説明をしなければいけないと思います。説明しなければなりませんけれども、今申し上げた手順を踏んだ段階をしっかりやっていくということを確認させていただきたいと思います。

井上哲士君

 一方で政府は、沖縄の東村の高江で住民を威圧しながらオスプレイ用の着陸帯の工事進めているんですよ。結局、どんなに県民が反対の声を上げようが、これを無視して十月の運用開始というスケジュールに向かって進んでいるじゃないですか。結局、沖縄県民の安全よりもアメリカ優先という姿勢がそこにある。

 しかも、沖縄とともに今全国に不安を広げているのは、日本全土をオスプレイの訓練場にする傍若無人な計画であります。キャンプ富士や岩国基地を拠点にして、これまで日本上空に設定されてきた七つの低空飛行訓練を使って、自衛隊の訓練空域等を使った訓練が行われることになります。

 低空飛行訓練というのは、敵のレーダーをかいくぐって、そして目標を爆撃する、これを目的としたまさに軍事目的の訓練であります。これまでも、米軍戦闘機が山合いを縫うように飛行して、ダムとか建物を標的に見立てて急接近をする極めて危険な訓練が行われてまいりました。墜落や騒音、衝撃波の被害が続いてきたわけであります。

 政府は、九九年の日米合同委員会の合意で、アメリカは日本の航空法の最低安全高度を尊重するとか安全面に最大限の配慮を行うということを言ってきました。しかし、現実にはそれ以降も様々な被害が続いてきた。このことについてどのように認識をされていますか。

国務大臣(森本敏君)

 確かに在日米軍はいろいろな作戦の任務に応じられるよう各種の訓練をやっておると、それは先生の御指摘のとおりであります。低空飛行訓練もその一つであり、航空部隊あるいは海兵隊部隊の練度を維持したり、あるいは安保条約の目的に達成するための必要な訓練を各種行っている、これも先生の御指摘のとおりであります。

 この低空訓練に関しては、平成十一年の一月の日米合同委員会において、安全性を最大限に確保して住民への影響を最小限にするというための具体的な措置が合意されていることも先生御承知だと思います。

 ただし、この訓練に伴っていろいろな具体的な被害が起きておる。この被害については、必要な手続を踏んで我が方として損害賠償等をやっているということも今までやってまいりました。

 したがって、今後とも、この種の飛行訓練については、安全性に配慮しながら事故ができるだけないように、日米合同委員会を通じてアメリカ側に地元住民に対する影響を最小限にするように申し入れている、あるいは申し入れてきたところでございます。

井上哲士君

 つまり、補償しなくちゃいけないような被害が続いてきたということをお認めになりました。これにオスプレイの低空訓練が加われば、被害も危険も一層広がることになります。

 今回、アメリカ軍は、オスプレイの配備に当たって環境レビューを発表して、この低空飛行訓練ルートの地図を公表しました。日本政府もこれに基づいてルートを初めて認めて、関係する都府県などに説明をしておりますが、市町村には何の連絡もないんですね。大変住民や地方自治体は不安を感じておられます。

 上空にルートが設定されている市町村の名前を明らかにして、政府が出向いて説明するべきじゃないですか。

国務大臣(森本敏君)

 確かに環境レビューの中に六つの航法ルートが明示されていることは、今先生の御指摘のとおりです。

 これにかかわる各県については、担当局の担当者を使って累次いろいろな説明をしてきました。ただし、全ての市町村に及んでいるということではないので、今リストを作って具体的な米軍の訓練の内容とルートについて、相当たくさんの市町村に及んでいるわけですが、今説明をしているところです。まだ全部終わっておりません。必要に応じて、知事がお集まりになる場も使って、知事のレベルでも私が出ていって説明をしようと思っていますが、いずれにせよ、実際に具体的な航空ルートに係る市町村、全ての市町村にまだ全部の説明が終わっていないということは、先生御指摘のとおりでございます。

井上哲士君

 きちっと説明をするということだと私は受け止めました。

 これが低空飛行訓練ルートの一つのブルールートであります。(資料提示)先日、このルートの真下にある長野県の市町村を訪問して調査をいたしました。左から四つ目のこの青い丸、これが飛行ポイントでありますが、この真下には飯山市の中心部がありまして、飯山駅や市役所が目印だと推測をされます。副市長さんは、上空に飛行ポイントがあって非常に不安だ、住民の命を守る立場から安全性が実証されない限り低空訓練は反対だと言われました。同じくルートの真下にある信濃町の町長さんは、観光地で何かがあれば取り返しが付かないことになると反対を表明をされました。いずれも訓練ルートが我が町の上を通るこういう地図の報道を見て驚かれて、政府から何の説明もないと言われているんですね。

 総理、これ地方自治体にも住民にも連絡も相談もなく、米軍が日本の地図の上に勝手に線引いているんですよ、そして自由に訓練やるというんですよ。こんなことが主権国家として認められるんですか。総理、お答えください。総理、お答えください。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 低空飛行訓練を含む運用につきましては、地域住民の皆様が安心できるような内容にすべく日米合同委員会で協議をしていると承知をしておりますし、先ほど防衛大臣も答弁されたとは思いますが、きちっと我が国としても説明をしていかなければいけないというふうに思っております。

井上哲士君

 米軍は、アメリカの本土では住宅密集地の上空での低空訓練は禁止をされております。それ以外の場所でも住民に事前にルートや計画を示されて、野生生物の生理的影響や、そして自然公園における環境破壊などの環境影響調査を行うんですね。それに基づいて、例えばニューメキシコ州では住民の安全に対する不安、反対の声が広がって訓練中止になりました。ハワイのカラウパパ空港、ウポル空港、これは周辺の遺跡へのオスプレイによる吹き下ろしの影響や、観光、農業への悪影響の懸念から、これも訓練が中止になりました。

 主権国家であるならば、最低限アメリカの国内と同様に具体的なルート、訓練計画を公開をさせて、そして自治体や住民の声を聞いて合意が得られないものは中止をする、これは当然そうじゃないですか。総理、いかがですか。総理、総理です。

国務大臣(森本敏君)

 先生御指摘のように、アメリカの中でアメリカの国家環境政策法に基づいて環境影響評価が行われ、一部の州や市で、先生まさに今おっしゃったように、ある特定の空域のある特定の訓練が住民の反対、あるいは文化遺産に対する損害を与える可能性があるので飛行を停止するという措置をとっていることは事実であります。

 先ほどから飛行ルートのお話がありましたが、これはあくまでこのルートを使って訓練をした場合どのような環境影響があるかというレビューを環境レビューという形で日本側に公開したものであり、このとおり毎日というか所要の訓練をやるという運用計画は、まだオスプレイの部隊が配備されていませんので我が方には通知されていませんし、そのような具体的な運用計画は非常に軍事的な意味もありますので、個々の運用計画をアメリカは明らかにしないと思いますし、また、軍事的な目的に沿って行われる訓練でもありますので、その訓練の性格に鑑み、その必要はないというふうに私は考えております。

井上哲士君

 その必要はないと。私は驚きました。アメリカ国内でやられていることがなぜやられないんですか。これまでもずっと戦闘機による低空飛行訓練は行われてきたんです。ルートも明らかじゃなかった。今回初めて地図が出たんですよ。いつやるかという計画も分からなかったんです。住民は、突然轟音が起きて、雷が三つも四つも落ちてきたんじゃないかと、こういう驚きがあった、小学校の上空に突然戦闘機が現れて子供たちが泣き叫んだ、いろんな話聞いてきましたよ。少なくとも、そういう計画やルートを事前に明らかにする、そうしなければ、幾らアメリカが配慮をしているとかいったって確認もできないじゃないですか。現に、そしてアメリカ国内では事前に明らかにして、住民の声で安全やいろんな問題があることなら中止になっているんですよ。

 アメリカ国内でできてなぜ日本でできないのか、なぜ日本が求めないのか。総理、これはきちっとアメリカ側に訓練の計画やルートを明らかにさせて、住民の声を聞くべきじゃないですか。はっきり答えてください。総理、総理、答えてください、総理。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 安全面に最大の配慮を払い、そして地元住民に対する影響を最小限にとどめるようにということは、これまで米側に再三申し入れてまいりました。今回のオスプレイに関しましても、日米合同委員会を通じましてそうした主張をしっかり行っていきたいというふうに思います。

井上哲士君

 幾ら申入れをしても、向こうは妥当な考慮を払うと言うだけなんですね。具体的なものが示されなければ、果たしてそれをやっているかという検証ができないんです。

 しかも、このルートを使用してどんな訓練が行われるか。オスプレイの事故を人為ミスとごまかすことは許されませんが、僅かな操縦ミスでも事故につながるような危険な訓練が予定されていることが重大です。

 環境レビューには低高度で行われるオスプレイの訓練活動の例が示されておりますが、例えば防御戦闘演習、これは上空や地上からの脅威に対して防御をしたり対抗措置をとる、まさに軍事演習そのものであります。海兵隊の訓練マニュアルによりますと、この演習でのオスプレイの最低高度は二百フィート、約六十メートルです。それから、低空戦術、低空飛行及び地上五十から五百フィートにおける戦術用訓練としてあります。五百フィートといいますと約百五十メーターですよ。つまり、日本の航空法の最低高度を使って訓練をすると、そういうことが環境レビューに明記されているんですよ。こういう訓練がこの低空飛行訓練のルートであるとか自衛隊の訓練空域内では行われないと、こういうことは明言できるんですか、防衛大臣。

国務大臣(森本敏君)

 先ほど申し上げたように、この環境レビューにある飛行訓練ルートというのは、あくまで米軍がやろうとしている航法訓練のルートをあらかじめ示して、いかにして環境影響を少なくするかということを事前に我が方に示したものであって、繰り返し申し上げますけれども、このとおりに個々の訓練が行われるということをまだアメリカは我が方には示しておりませんし、具体的には、先生先ほどの御指摘にありますけれども、オスプレイというのは地上五百フィート以上の高度で、飛行高度に基づくけれども、速度が決まっているということなんです。

 したがって、できるだけ飛行の安全に留意するよう日米合同委員会で今までも申し入れてきましたが、今後もオスプレイの運用が始まる際、日本側からきちっとこの点は申し入れようと考えております。

井上哲士君

 あなた方は五百フィート以上と言っていましたけれども、環境レビューには五百フィート以下における低空訓練やるって書いてあるんですよ。だから問題にしているんですね。

 アメリカでは、野生生物にさえ考慮して訓練計画が中止されるのに、日本では、ルートや計画も事前に明らかにされないだけでなくて、日本の航空法の最低高度も公然と無視をする、そういう訓練をやるということを環境レビューに書いているんですよ。

 私は、こういう危うい、危ない訓練を日本の上空でやって国民の命と安全を危険にさらすことは絶対許されないと思いますが、総理、こういう訓練の中止はアメリカに求めてください。いかがですか。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 再三申し上げておりますけれども、地域住民への安全への配慮等々、しっかりこれは日米合同委員会で申し述べさせていただきたいというふうに思います。

井上哲士君

 全く国民の安全に心を寄せる答弁ではありませんでした。これまでもそう言っていながら被害がずっと続いてきたんです。

 なぜオスプレイを沖縄に配備するのか。環境レビューでは、沖縄の海兵隊の航空部隊は、考え得る最も過酷状況下でも交戦能力を有し、迅速で決定的な遠征部隊になるためだと、こうしているんですね。そして、米軍は南米でもオスプレイの低空飛行訓練しておりますけれども、その目的、こう言っていますよ。国外での展開訓練はアメリカ本土では遭遇することのないチャレンジがある、我々の快適なゾーンを飛び出して、なじみの薄い場所で過酷な訓練を行う良い機会ですと。

 アメリカ国内でできないような過酷な訓練を日本の上空、他国の上空でやる、そして侵略力を高める、こんなことは絶対許せません。これにつながるオスプレイの配備は許されない、中止すべきだ、そのことを申し上げまして、質問を終わります。


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