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中南米訪問記
2009年10月12日

ベレン市内/80年記念誌

 現在、現地時間で6時15分。日本との時差はちょうど12時間。文字通りの真裏です。体内時計がまだうまく調整できず、5時前に目が覚めてしまいました。夜も明け、ホテルの窓からベレン市内が見渡せます。

 ホテルの部屋ではNHKの衛星放送を見ることができ、今、ニュースをみながら、昨日いただいた視察資料アマゾン移住80周年記念誌を読んでいるところです。掲載されている日本語学校の生徒たちが「移住」について語った作文コンクール入賞作品がすばらしい。

 この記念誌にも写真と記事が掲載されているのが、格闘技のメジャーリングといわれている09年開催のUFCでチャンピオンになった町田龍太(リングネーム Lyoto)さん。ベレン在住の日系2世で空手道場の館長さんの三男。ブラジル格闘界の星です。日系人は政治、経済、スポーツさまざまな分野で活躍してい ます。

 入植者のなかでマラリアで亡くなった方も少なくありません。日本でA型肝炎と黄熱病、破傷風の予防注射をしてきましたが、こちらにきてからは毎日、マラリア予防のための錠剤を呑んでいます。今日の農業地域の視察のためには事務局が携帯用の蚊取りを用意してくれました。

 医薬品もあまりなかったときはどんなに大変だったことでしょう。今日は、そんなご苦労も聞かせてもらえることと思います。


ヘリでトメアスへ/文化農業振興協会/ニッケイ学校・日本語学校

 ホテルを9:00に出発。ベレン空港からヘリに乗り込み熱帯雨林の上を約45分。80年前にアマゾン地域で最初に日本人が移住したトメアスに入りました。

 空から見ると、熱帯雨林を焼いてつくられた焼畑や伐採され牧草になっている相当広い場所がたくさん見えます。ちょうど、焼いていて煙が上がっているところもありました。ヘリを降りた後に車で走ると道にそって延々と製材所が並んでいるところもありました。

 アマゾンの違法伐採は地球全体の環境保全からも問題になっており、日本もそのための援助を行っていますが、なんせ広く、道もつながっていないような場所での取り締まりですから、なかなか大変なことだなと実感しました。

 まずはトメアス文化農業振興協会を訪問。事務所の2階にある移民資料館を海谷英雄会長らに案内していただき80年間の苦難と発展の歴史を見せていただきました。

 続いて隣接する土地で同協会が運営する日本語学校と小中高一貫校(トメアス・ニッケイ学校)を視察しました。ニッケイ学校は日系人子弟への質の高い教育を 目的に設立(2002年)されたもので、現在は7割以上が非日系。日本から「草の根・人間の安全保障無償資金協力」がされています。日本語学校の生徒もも 2割以上が非日系とのこと。

 今日はあいにくの休日で子どもたちの姿を見れなかったのは残念でした。日本語学校では今年7月からJICAの青年ボランティアとして教えておられる南順子さんのお話も聞けました。

 その後、アマゾン開拓先没者慰霊之碑に献花。昼食は「加藤旅館」で和食をいただきながら、トメアス日系社会の幹部の皆さんと懇談しました。

 

ジュース工場/アグロフォレストリー/ベレン日系諸団体代表と懇談

 午後からは、トメアス総合農業組合(CAMTA)のジュース工場を視察しました。JICAの助成により作られた施設です。作物の収穫と森林の再生を両立させるために同農協がすすめているアグロフォレストリーも見ることができました。

 工場では、アサイー、アセロラ、クプアス、グラビノーラ、グァバ、パイナップルなどのジュースを生産し、国内はもちろんドイツや米国、日本にも冷凍ジュースとして出荷されています。

 同組合の坂口渡理事長の案内で工場や冷凍倉庫を視察した後、アグロフォレストリーをすすめている坂口さんの「農地」を見せてもらいました。

 1950年代に胡椒価格が高騰し、トメアスは「胡椒御殿」が立つほどの黄金時代を迎えました。ところがその後、胡椒の木の病害で大きな被害を受けました。 単一栽培では環境や景気の変動に対応できないという教訓から、果実などと樹木を混植し、作物の収穫と森林の再生を両立させる「アグロフォレストリー」が始 まりました。

 坂口さんの「農地」は、深い森そのもので、カカオやアセロラなどが植えてありますが、教えてもらわないとどこにあるか気づきません。「森をつくる農業」として今後が注目されます。

 さて、工場や坂口さんの農地で、いろいろな種類の生ジュースを飲ませてもらいました。絞りたてのジュースのおいしいこと! クプアスやグラビノーラなど初めて飲みました。アセロラも日本で飲む缶入りのものとは全然違います。一番の人気はアサイーで、日本でも輸入量が増えていま す。ポリフェノールや鉄分も豊富に含み、健康面でも注目されています。

 ヘリでベレンに戻り、夜はベレン日系諸団体の代表の皆さんと夕食懇談会。生田勇治汎アマゾニア日伯協会会長や小山拓男ベレン日系協会会長をはじめ老人クラブや婦人会の会長さんなどと、和やかに懇談しました。

 今日の2回の懇談会での乾杯の音頭は私の役。ポルトガル語の「乾杯」を教えてもらいました。「Saude!(サウジ)」

 上の写真はジュース工場で、下の写真は坂口さんの「農地」で。


 

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