昨日は、男女の全国高校駅伝大会が京都で開かれました。被爆者を励ますつどいに参加した後、会場のすぐそばの西院交差点を渡ろうとした時、駅伝の通行規制にかかってしまいました。
まもなく目の前を男子の先頭の愛知・豊川高校の最終走者が通り過ぎていきました。トップクラスのランナーの走りは美しいこと!フォームも、鍛えられた足も。そして力強く、早い! しばらく立ち止まって次々走り抜ける高校生たちを見ていました。
ただ走るだけなのに、人々の目を釘付けにするのは、そこにスポーツの原点ともいえる魅力があるからだと思います。それに加えて、駅伝にはたすきを受け継ぐことによるドラマがあります。一番はなんと言っても正月二日、三日の箱根駅伝でしょう。
この四年間は「山の神」、東洋大の柏原選手の走りが楽しみでした。来年はどんな選手が出てくるのか、ワクワクしている人も多いでしょう。そういう箱根駅伝ファンにお勧めの本が、三浦しをんさんの「風が強く吹いている」。本屋大賞を受賞した、三浦さんの「舟を編む」がとても面白かったので、もう一冊!と思ってこの夏に読んだのがこの本です。
すでに映画やコミックにもなっているので、読んだ方、ご覧になった方も多いと思いますが、まだの方にはぜひ、原作を読んでいただきたい。あまり知らなかった予選会のことも面白い。秀逸なのは箱根駅伝本番の部分。
「走る」とはどういうことか、1人ひとりの選手が、どんな風景を見て、どんな感覚で、何を考えながら走っているのか――「走る」ことをここまで描いた作品はありません。著者が、二つの大学陸上部を取材し、執筆に6年かけたと聞き、なるほどとうならせます。
読んでいただければ、今年の箱根駅伝はもっと深く楽しめますよ。
全国 高校駅伝/『風が強く吹いている』
2012年12月24日(月)