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国家安全保障会議(NSC)設置の法案で本会議質問

 IMG_0966.JPG参院本会議で、秘密保護法と一体の国家安全保障会議(NSC)設置の法案の質問に立ちました。一桁の参院議員団の時には本会議質問は大きく制限され、法案へ質問は基本的にできませんでした。11人になった議員団の最初の法案への質問。私にとっては裁判員制度の法案の時以来、10年ぶりの法案への本会議質問です。要旨を掲載しますので、ご覧下さい。参院のHPで、動画も見られます。http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/ 

 本会議前の議員団会議で、昨日初めてのお子さんが生まれた辰巳孝太郎議員にみんなでお祝いの言葉。本会議終了後、秘密保護法反対の緊急声明を出された歴史学関係者の皆さの院内集会に民主党議員とともに参加。歴史学の研究と教育に携わるものとして重大な危惧の念を表明されています。次々と反対の声が広がっています。

 午後は参院選挙制度協議会で参考人からの意見聴取と質疑。16時発の新幹線で京都へ。

 ◎国家安全保障会議設置の法案に対する質問要旨

 日本共産党の井上哲士です。私は、会派を代表して、安全保障会議等設置法改正案について総理に質問します。

 本法案は、現行の安全保障会議に代えて日本版の国家安全保障会議、NSCを設置するものであります。重大なことは、安倍総理が、本法案と一体で、特定秘密保護法案を提出し、集団的自衛権の行使への憲法解釈の変更を強引に進めていることです。これらは歴代の内閣が企てても国民の強い反対にあい断念するか、踏み切ることができなかったものです。その根底には憲法の平和主義とそれを支持する主権者国民の世論がありました。戦後の憲法下の日本の歩みを覆すことになりかねないことをなぜ次々と行おうとするのですか。改憲のために憲法と相いれない実績を積み上げることで外堀を埋めようということですか。答弁を求めます。 

 NSCは「司令塔」として、国家安全保障戦略を策定することになります。その検討をしている「安全保障と防衛力に関する懇談会」の議論では、「日米同盟の強化」が強調されています。これまでも、日米安保体制のもとで、米国が描く戦略に沿う形で日本での政策決定が行われてきました。テロ対策やイラク戦争への対応でもそうです。米国の文書に「脅威」と出れば、防衛白書はじめ政府の文書でも「脅威」となり、米軍が対処のために軍事作戦を行うこととなれば、特別の法律をつくって自衛隊が海外へ出て軍事協力をおこなってきました。現在も日米で「共通の戦略目標」を決めているが、政策決定過程において米国と同じ機構を設ければ、政策決定における対米追従が一層強化されることとなるのではありませんか。 

米国の軍事戦略にあわせた自衛隊の活動の拡大はこの間大きく進み、現実に海外に基地を持つことに踏み込んでいます。海賊対処を理由として活動拠点を置いたはずのジプチについては、邦人輸送に目的を拡大して拠点の拡充を図るためにジプチ政府との交渉に入ると報じられました。米軍のグアム基地増強計画に関連して、米国領のテニアン島に自衛隊が使用する訓練場をつくることで米国と検討に入っています。ジブチ政府との交渉、米国との検討はどのように進んでいるのですか。さらに「防衛力の在り方検討に関する中間報告」では、「海外における拠点の中長期的なあり方について検討をおこなう」ことを明記しています。日本の防衛という目的を大きくこえて、自衛隊を海外に基地をもつ軍隊に作りかえるつもりですか。 

総理は、十月の自衛隊観閲式で、「平素は訓練さえしていればよいとか、防衛力はその存在だけで抑止力になるという従来の発想は、この際、完全に捨て去ってもらわねばならない」「力による現状変更は許さないとの確固たる国家意思を示す」と述べました。自衛隊員に何を求めたのですか。専守防衛はもう捨て去るということですか。お答えください。 

「安全保障と防衛力に関する懇談会」の北岡座長は、総理の言う積極的平和主義について、マスコミのインタビューで、「平和を守るためには社会の安定に警察官が必要なのと同じで、一定の防衛力が必要。『積極的』というのはそういう意味です」と述べている。つまり、積極的平和主義とは、世界の警察官ともよばれるアメリカに追随しながら、力によって他国を押さえつけるということではありませんか。

 さらに総理は三月の予算委員会で、軍事力に関して、「彼我の差が大きくすることによって抑止力がぐんとききますから、結果としてその地域の平和と安定はしっかりと守られ」ると答弁しています。軍事力の差が大きくなればそれだけ平和が守られるというのは、際限なき軍拡をもたらす論理ではありませんか。 

 「防衛力の在り方検討に関する中間報告」には武器輸出三原則の見直しが明記されました。三原則にはこれまで様々な例外措置で抜け穴が作られてきましたが、どこをどう見直すというのですか。全面的に形骸化するものではありませんか。武器輸出三原則は単なる政府方針ではありません。この参院本会議場で1981年、憲法の平和主義にのっとり、国際紛争を助長しないために一切の武器や武器技術の輸出をしないということを全会一致で決議し、衆院の決議とともに内外に宣言をしたものであり、自民党政府も繰りかえし国是だと答弁してきたもの。それをなぜ、一内閣の判断で覆すことが許されるのですか。

しかも、防衛産業について、防衛省は初めて「国際競争力の強化」を掲げました。今年一月の防衛産業の会合で、当時の経産副大臣は「防衛産業が成長戦略の一丁目一番地になるくらいの思いで取り組む」とまでのべています。防衛産業の要求にこたえ、武器輸出で成長する国になるというものではありませんか。憲法の平和の理念とは全く相いれないではありませんか。 

NSCで米国との情報の共有を緊密にするとしています。しかし、やるべきことはイラク戦争への対応の検証です。米国は03年の開戦前、国連において武力行使への支持を思うように得られず、イラクの大量破壊兵器保有の証拠だとして、ねつ造した情報を安保理に持ち出しました。当時の日本の国連大使は安保理で、イラクに説明責任を迫る論拠の一つにこの情報を挙げ演説を行いました。衆院予算委員会では当時の外務大臣が「具体性があり十分信頼に足る」「同盟国のアメリカの情報で、同盟国と信頼関係にあることは我が国の考え方の一番の基本」だと米国の情報をうのみにする姿勢を示し、翌月の国連憲章違反のイラク戦争の開戦にあたってはいち早くこれを支持しました。日本の国際的立場は大きく損なわれました。「同盟国との信頼関係」として米国の一方的情報をうのみにして間違いを犯したことをどう検証しているのですか。 

日本が信頼関係にあるとするアメリカが何を行っているのか。アメリカの国家安全保障局がメルケル・ドイツ首相の携帯電話を傍受するなど、世界各国で違法なスパイ活動を行っていたことが大問題になっています。ワシントンの日本大使館なども通信傍受の対象になっていたことも明らかになりました。政府は、こうした日本への違法な盗聴スパイ活動に抗議したのですか。アメリカに徹底した事実解明を求めるべきではありませんか。明確にお答えください。 

 民主主義の国の根幹は、国民に情報が公開されていることであり、知る権利の保障です。安全保障を含む国の政策の決定過程は、主権者である国民に公開されなければなりません。新たにつくられるNSCにはこれが及ぶのでしょうか。本法案と一体となって成立が狙われている特定秘密保護法との組み合わせで、安全保障上秘匿すべき情報が含まれると理由をつけられ、重要な政策決定過程の情報が隠されることとなるのではありませんか。 

 本法案は秘密保護法の制定、解釈変更による集団的自衛権の行使容認へのねらいと一体となり、日本を海外で戦争する国へ重大な一歩を踏み出そうとするものにほかなりません。憲法の基本理念を根底から踏みにじる法案は廃案にすべきです。そのことを申し上げ、私の質問を終わります。

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