麻生太郎副総理兼財務相が21日、集団的自衛権をめぐる例え話の中で「勉強のできない」子のうち、「貧しい家の子」は無視され、「金持ちの子」はいじめの対象になるという趣旨の発言をしたことが問題になっています。
実は麻生氏は、過去にもクラスに例えて外交を語ったことがあります。外務大臣時代の2007年の自著『とてつもない日本』の中に外交のたとえ話として、こう語っています――
「学校のクラスを想像してほしい。一番大きい顔をしているのは誰か、もちろん喧嘩のつよいA君だ。一方、B君は、腕力はそれほどでもないが、カッコよくて頭もいい、一目置かれる存在だ。そして、C君は、腕力もないし、身につけている服や持ち物は個性的で良質なのにカッコよくないけどお金もの子」
そのうえで麻生氏は、A君はアメリカ、B君はフランス、C君は日本だとしたうえでこう述べています。
「身の安全を自力だけで守ることができないのであれば、ケンカの強い者と仲良くするというのは子供でも知っている生活の知恵ではないだろうか。」
クラスの中で一番大きい顔をしているのが喧嘩の強い子で、その子と仲良くするのが生活の知恵だという認識にも驚きますが、これを外交の基本的考え方にしていることにあきれ果てます。
ここには、大国中心の時代は終わり、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序」をめざす流れが発展しつつあるという今日の国際政治の到達点とはまったく正反対の認識しかなく、ましてや九条を持つ日本が果たすべき役割への自覚もありません。
この政治家が当時、外相であり、その後総理をつとめ、今副総理――これが自民党政治です。