先週木曜日に続いて、安保特別委での戦争法案の2回目の質問。今日は、戦争中の他国軍への後方支援として新たに可能になる武器・弾薬の輸送の問題を取り上げました。
先日の小池議員の質問で、輸送する武器・弾薬に制限がないとの答弁がありました。そうなると、非人道的兵器として禁止が求められてきた劣化ウラン弾とクラスター爆弾も輸送が可能になるのです。
劣化ウラン弾は、内部被ばくや化学的毒性による健康被害が訴えられており、不発弾による一般市民の犠牲を生むクラスター爆弾については2010年に日本も批准して禁止条約が発効しています。
アメリカはクラスター爆弾禁止条約に加盟せず、いずれの爆弾も在日米軍基地に保存されています。「こんな非人道的武器も要請されれば輸送するのか」とただしましたが、防衛相は「慎重に判断」などとするだけで否定しません。
私は、クラスター爆弾禁止条約の署名式での当時の中曽根外相のスピーチを紹介しました。中曽根氏は、カンボジアやタイでの地雷除去のために活躍する日本のNGOへの支援を行い、現場にも行った実感として「紛争終結後も人々の憎しみをよみがえらせるような兵器の使用を許してはならないと痛切に感じました」とのべられたのです。
当時、自民党の中にある良識だと共感したことを覚えています。
ところが、「紛争終結後も人々の憎しみをよみがえらせるような兵器」の輸送をアメリカから求められたら、それを拒否するとともに、「そんな非人道的兵器の使用はやめよ」というべきではないか。それもできないのが日米同盟ですか、非人道的兵器使用の片棒をかつぐことが国際平和貢献ですか――とただしましたが、「慎重に判断」と繰り返すのみ。
わずかにあった良識よりも米国の軍事的要請が優先――やはり、この法案廃案しかありません。
今日の質問は、毎日、朝日、時事などでネットで報道されています。毎日の記事を紹介します。
●安保法案:中谷防衛相、手りゅう弾「他国軍に提供可能」
毎日新聞 2015年08月03日 19時38分
中谷元(げん)防衛相は3日の参院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案で他国軍に提供が可能となる弾薬に、手りゅう弾が含まれるかについて「火薬類を使用した消耗品で、提供は可能」と述べた。共産党の井上哲士氏への答弁。
関連法案に含まれる重要影響事態法案と国際平和支援法案では、他国軍への後方支援の内容を拡大し、「現に戦闘行為が行われている現場」以外であれば、弾薬の提供も他国軍の武力行使と一体化せず、提供可能としている。
中谷氏は、弾薬の定義について「一般的に武器とともに用いられる火薬類を使用した消耗品」とし、拳銃などの弾薬が含まれると説明。井上氏が「武器とともに使わない手りゅう弾はどうか」とただすと、「直接、人を殺傷することなどを目的としているが、火薬類を使用した消耗品で、提供は可能」と述べた。
関連法案でも提供が認められない武器の提供については、中谷氏は「直接人を殺傷するなどを目的とする機械で消耗品でないもの」としている。提供が認められていない武器には、手りゅう弾は含まれないとの認識を示したが、武器と弾薬の線引きのあいまいさが浮かんだ形だ。
日本が禁止条約を批准しているクラスター爆弾については、米国から要請があれば輸送が可能かについて「慎重に判断する」と述べるにとどめた。井上氏は「非人道的な兵器を使う片棒を担ぐのか」と批判した。【飼手勇介】