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本会議で総理の訪米報告に質問/内田聖子さん

17.2.15.jpg 参院本会議で総理の訪米報告に対して質問。トランプ大統領の入国禁止令を「国際的人道・人権問題だとの認識はないのか」とただしても、「内政問題」と繰り返すだけ。米タイム誌が「へつらい」と指摘した、世界でも異様なトランプ追随が改めて浮き彫りに。

 昨年11月の本会議質問の時とまったく同じように、総理は目をつぶって腕をくんで聞き、答弁では、「ご指摘は当たりません」を繰り返しました。異論に対してもきちんと向き合うことが民主主義のはず。残念です。

 驚いたのは自民党と総理との質疑。「日本の防衛力の増強は、米国の軍事産業の輸出増、対日貿易赤字の解消にもなる」との質問に、総理は安全保障と経済は分けて考えるべきとしつつ、武器輸入は「結果として米国の経済や雇用に貢献する」と答弁。国民の税金で米軍事産業に貢献とは。怒、怒、怒です。

 午後には、アジア太平洋資料センター事務局長の内田聖子さんを参院議員団でお招きし、今後の日米の二国間協定や、EU、アジアでの経済協定の動きと問題についてお話しを聞き、意見交換しました。

【本会議質問は以下の通りです】

日本共産党の井上哲士です。会派を代表して、訪米報告について安倍総理に質問します。

質問に先立ち、北朝鮮が十二日に、日本海に向けて弾道ミサイルを発射したことを厳しく非難し、抗議します。これは、核兵器の開発と不可分に結びついた軍事行動であり、国際の平和と安全に深刻な脅威を及ぼし、国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙であります。 

安倍総理とトランプ米大統領との初めての日米首脳会談は、「米国第一」を掲げるトランプ政権に対して、どう対応するのかが問われました。

トランプ大統領の七か国市民などに対する入国禁止令に米国内と全世界から厳しい批判が集中しています。ところが総理は、会談後の記者会見では、「内政問題でありコメントを控える」とのべるだけでした。

17.2.15①.jpgしかし特定の宗教や市民を排除することは、内政問題に矮小化されるものではありません。、国際的な人道・人権問題であり、テロ対策にも逆行します。だからこそヨーロッパ各国の首脳も批判的立場を明らかにしています。黙認の態度をとり続け、ひたすら蜜月ぶりをアピールする総理の姿は国際社会の中でも異様なものです。米国タイム誌は「安倍首相はトランプ大統領の心をつかむ方法を示した。へつらいである」と書きました。

総理には、今回の入国禁止令は、国際的な人権・人道問題だとの認識はないのですか。これまでの米政権と比べても異常なトランプ政権の排外主義へ追随する態度を続けるのですか。

日米共同声明の冒頭、「核及び通常戦力の双方による、あらゆる種類の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るがない」とし、核兵器使用も辞さない姿勢を明記しました。日米の首脳間の共同宣言で、米国の核による日本の防衛を明示的に書き込んだことは米ソ対立終焉後初めてではありませんか。これは日本が求めたのですか。

トランプ大統領は就任前の十二月、ツイッターで「核兵器に関して世界が分別を取り戻すまでは、米国は核戦略を強化、拡大しなければならない」と述べています。このトランプ政権の核戦略をどう評価していますか。核強化を掲げる政権との核兵器の使用も辞さないという内容の共同声明は、核兵器禁止条約を求める世界の流れにも、被爆者の声にも逆行するではありませんか。

アメリカの圧力の下、日本は、核兵器禁止条約の交渉開始決議に反対するという被爆国政府として恥ずべき態度をとりました。三月には同条約の締結交渉が行われます。北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫る上でも、この交渉を成功させることが重要です。

日本はこの交渉に参加するのですか。参加するならば、被爆国政府にふさわしく、核兵器の禁止と全面廃絶に至る法的拘束力のある条約を締結する立場で臨むべきです。答弁を求めます。

共同声明で、「日米同盟の強化」が強調され、「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」、ガイドラインに基づき「引き続き防衛協力を実施し、拡大する」としたことも重大です。

トランプ大統領は一月二十一日、「他国が軍事で勝ることは許さない」との声明を出し、軍事増強の姿勢を明確にしました。この米国と「同盟強化の方策を特定する」ために2+2を開催するとしていますが、安保法制=戦争法のもとで米軍と自衛隊の地球的規模での軍事協力、戦争する国づくりをさらに推進することになるのではありませんか。

共同声明には「防衛イノベーションに関する二国間の技術協力を強化する」と盛り込まれました。具体的に何を対象とし、どのような体制で技術協力を進めようとしているのですか。 
 危険な海外での軍事協力の強化ではなく、憲法違反の安保法制・戦争法の廃止こそ必要です。

首脳会談では、名護市辺野古への米軍新基地建設を「唯一の解決策」として推進すると確認しました。政府が、会談の手土産にするかのように、抗議する県民を力づくで押さえつけ、埋め立てに係る海上工事を再開したことに怒りが広がっています。

「沖縄の基地負担軽減」と言いますが、辺野古新基地は、普天間基地の「移設」などではなく千八百メートルの滑走路二本と強襲揚陸艦も接岸できる軍港をもち、耐用年数二百年の最新鋭の巨大基地を作るものです。

沖縄県民は選挙で「新基地建設反対」の民意を繰り返し示しています。総理はこの民意をトランプ大統領に伝えたのですか。「唯一の解決策」と、民意無視の思考停止に陥るのでなく、普天間基地の無条件返還を求めて米側と正面から交渉すべきです。答弁を求めます。

政府は首脳会談で提案するために、投資を通じて米国中心に七十万人の雇用を創出することなどが主な内容の「日米成長雇用イニシアチブ」をまとめ、その中には世界市場の開拓として、共同での原発の売り込みも挙げられていると報道されました。会談では示されませんでしたが、総理は共同会見で、「日本は、大統領の成長戦略に貢献し、アメリカに新しい雇用を生み出すことができる」と述べました。

米国内の経済政策と雇用に日本が全面的に協力し、貢献することを一方的に表明するというのは、異常な「貢物外交」というほかありません。
「日米成長雇用イニシアチブ」には、何が盛り込まれたのですが。今後、米側に提案するのですか。答弁を求めます。

共同声明は、米国のTPP離脱を踏まえ、「日米間で二国間の枠組みに関して議論を行う」ことを含めて、日米の貿易と投資の「深化」を図るための「最善の方法を探求することを誓約」しました。TPPで日本が譲歩した内容を前提に、二国間の交渉でさらなる譲歩が迫られる危険があります。

すでに全米肉牛生産者・牛肉協会と全米豚肉生産者協議会は七日、トランプ大統領に対し、日本とのFTA交渉の早期着手を要請する書簡を送っています。今後、米、麦、牛肉、豚肉など二国間協議でいっそうの譲歩が求められるのではありませんか。

さらに共同声明は、「経済関係の強化」として「市場障壁の削減」を強調しています。この間、米国が求めてきた食品添加物の規制緩和や、国民皆保険制度の見直し、雇用の規制緩和などがその対象にならないと断言できますか。

首脳会談では、今後の日米経済関係の新たな協力の枠組みとして、「経済対話」の立ち上げを決めました。かつての日米構造協議は、大規模小売店法改悪による地域経済の衰退や内需拡大の名による大型公共工事で乱開発と財政破たんを生みました。その後の米国からの「年次改革要望書」は貿易、金融、保険、雇用などあらゆる分野で日本に干渉する仕組みとなりました。日米の二国間協議は日本が譲歩を重ねてきた歴史ではありませんか。

今回の経済対話は、「米国第一」の立場での日本への経済干渉の新たな枠組みになるのではありませんか。過去の構造協議とどこが違うのですか。
 
「米国第一」を掲げるトランプ政権に対し、安倍政権が「日米同盟第一」の立場で追従したことが際立つ日米首脳会談となりました。この道を突き進むならば、あらゆる分野で矛盾が深刻になることは明らかです。「日米同盟」最優先という硬直した思考を抜本的に切り替え、対等・平等・友好の日米関係に転換すべきだと強調し、質問を終わります。

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