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本会議でTPP11の質問/改革協で自民案

18.6.1 本会議.jpg 10:00から14:45まで参院本会議。TPP11の質疑があり、日本共産党から国内法は紙議員、条約は私が質問に立ちました。政府は、より有な二国間協議を迫る米国の「防波堤」になるとしていますが、逆に、TPP11の水準が、米国がより大幅な譲歩を求める出発点にされると指摘しました。質問全文をアップしました。

 ちなみに、このネクタイは先日の誕生日に、娘が初月給でプレゼントしてくれたものです。

 昼休みには外交防衛委員会の理事懇が開かれ、来週の審議日程を確認。本会議後は、参院改革協議会が開かれ、行政監視機能の強化の報告について座長まとめと申し合わせを確認しました。

 続いて自民党から参院選挙制度の改定についての提案がありましたが、選挙制度専門委員会では全く議論されてこなかったものであり、一つの柱が比例選挙で一部拘束名簿を導入し、合区の県で比例に回った候補者を救済するという、自民党の都合に合わせた案。各野党からも厳しい意見が述べられました。

【環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定への本会議質問 】

 日本共産党の井上哲士です。会派を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定について質問します。TPPは多国籍企業の国境を越えた利益拡大のために、国の経済主権をないがしろにして関税・非関税障壁を撤廃する協定であり、国内の産業への打撃と、広範な国民の暮らしへの計り知れない影響が懸念されるものです。 

まず、外務大臣にお聞きします。一昨年秋の臨時国会での審議でも、多くの国民からも、重要項目を「除外」するとした国会決議に違反し農業とその関連産業に及ぼす壊滅的な影響、ISDS条項による主権侵害、「食の安全」をはじめとする国民の命とくらし、健康を脅かすこと、国内産業の空洞化など深刻な問題点を危惧する声が上がりました。ところが、安倍内閣は、この懸念にどれ一つとしてまともに答えることはなく、アメリカの離脱方針表明により発効の見込みもないもとで、協定の国会承認の議決を強行する暴挙をおこないました。

政府は、今回のTPP11はTPPの一部の条項が「凍結された」といいます。しかし、条文と譲許表などをそのまま組み込むものであり、国会審議で指摘されたTPP協定の抱える本質的問題はまったく変わっていないのではありませんか。 

 私は、一昨年秋の本会議で安倍総理に対し、「いったん離脱を決めた後、アメリカはどう対応するか。二国間のFTAを日本に求めてくるか、アメリカにさらに有利になるように再交渉求めてくることになる」と質しました。この危惧が、いよいよ現実になろうとしています。

トランプ政権のロス商務長官は5月1日、米CNBCテレビとのインタビューで、TPPを「欠陥協定」だと述べ「トランプ大統領はTPP離脱によりアジアから離れたのではなく、欠陥のある協定から離脱した」とのべました。政府は「米国の復帰を待つ」とし、TPP11の締結がそのために役立つかのようにいいます。しかし、トランプ大統領がTPP離脱を撤回してそのまま復帰する可能性がどこにあると考えているのですか。具体的な論拠を示していただきたい。

米商務長官の発言を見れば、より米国の利益になる再交渉や新協定を求めるのは明らかではありませんか。TPP11は、日本が国際的に約束した市場開放や規制緩和の到達点であり、米国からは、より大幅な譲歩を求める出発点となるのではないですか。 

 ライトハイザー米通商代表は三月二一日、米下院歳入委員会公聴会で証言に立ち、日本に対して「適切な時期に二国間FTAを結びたいとの要望を伝えた」とし、日本はTPP11を締結させる過程にあるが、「米国が日本とより緊密な経済関係を持つことが米国の利益であり日本の利益であると考えていることについて、日本は非常によくわかっている」と発言しました。そして、TPP参加国への輸出拡大についてトランプ政権の方策を問われたのに対し、米国と二国間FTAを締結していない五カ国に関して、「群を抜いて最も重要なのが日本だ・・・日本と協定を結べば、本質的に問題は解決する」と述べました。 

この発言は、トランプ政権にとって輸出拡大の最大の狙いが日本市場であることを示しているのではありませんか。認識を伺います。また、この発言のように米国がFTA協議を求めてきた事実はありますか。今後、FTAの協議に応じるのですか。米国のさらなる要求に道をひらく協議は、行うべきではありません。明確な答弁を求めます。 

米通商代表部が二月に提出した年次報告書は、国家安全保障に資する通商政策を五つの柱の冒頭に掲げました。実際トランプ政権は三月、鉄鋼、アルミの輸入が米国の安全保障を切り崩しているとして一方的に関税を課し、さらに五月には、自動車の輸入関税引き上げの検討に入りました。いずれも、その対象には日本も含まれています。安倍総理は大統領の就任以前から訪米するなど、幾度もトランプ氏と会談し、首脳間の「信頼関係」を築いてきたとされていました。その相手から、いきなり制裁を言われる事態に経済界のみならず、国民の多くが驚きました。

こうした事態が生まれる関係を、果たして「信頼」関係と呼ぶのですか。安倍政権は日米同盟の強化を推進してきました。にもかかわらず、米国の安全保障上の一方的な措置の検討対象となっている事実を、どう認識しているのか。日本の立場を説明して米国に理解を得たいとしてきましたが、現時点で制裁対象としないとの確約をえることはできたのですか。 

米通商代表は先述の公聴会において、一方的な制裁の根拠である通商法について「われわれはWTOでの訴訟において、わが国の通商法を積極的に擁護する」と述べて制裁の構えを崩していません。これこそが、米国ファーストの立場そのものではないですか。その認識はありますか。WTOのルールと貿易制裁について日米で見解の違いがあるのか。以上、外務大臣、お答えください。 

 四月に行われた日米首脳会談では、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」を開始することが合意されました。日米間の経済協議の枠組みとして日米経済対話が既に存在するにもかかわらず、なぜ新たな協議を行うこととしたのですか。米通商代表部の年次報告書に挙げられた項目も協議の対象になるのではないですか。協議の目的、対象を具体的に説明されたい。米国からすれば、二国間FTAをもちかけるための協議体になるのではないか。茂木大臣に答弁を求めます。 

 さらに首脳会談では、安倍総理の側から「厳しい安全保障環境に対応するため、今後とも米国装備品を含め、高性能な装備品を導入することが我が国の防衛力強化のために重要である」ことを伝え、トランプ大統領がこれを「歓迎した」とされます。首脳会談で日本側から米国製武器の積極的な購入を表明したのは初めてではないか。

 安倍政権の下で、軍事費は過去最高を更新し続けていますが、中でも米国からの武器購入の調達額はすでに大きく膨れ上がっています。FMS調達額は十年前の約六倍の四一〇二億円に達し、中央調達の額の年度別調達先ランキングでは、二〇一五年度以降連続してトップに立つのは、「三菱重工」でも「川崎重工」でもなく、「米国政府」となっています。トランプ政権は軍需産業支援を推進しています。昨年の本会議で総理は、米国製武器の購入は、「米国の経済や雇用にも貢献する」と述べました。なぜ、米国の軍需産業の利益増大に力を入れるのですか。これらは地域での緊張を高め周辺国との軍拡競争にもつながるものであり、憲法の平和原則に反するものです。米国製武器の巨額の購入と軍事費増大は中止すべきです。防衛大臣の見解を求めます。 

政府は、TPP11は、保護主義を防止し、自由貿易を守る「成長戦略の柱」だといいます。しかし、多国籍企業の国境を越えた利益のためのルールの拡大は、一握りの大企業の儲けの一方で、各国で国民の貧困と格差を拡大するものです。今求められていることは、グローバル化のもとで多国籍企業の利益優先により現に引き起こされている格差や不平等を解消し、各国の食料主権、経済主権を尊重した平等互恵の経済関係を発展する道に進むことではありませんか。外務大臣の見解を求めて質問を終わります。

 

 

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