激動の一日でした。政府・自民党は検察庁法改悪は今国会成立を断念しました。「勝つ方法。それはあきらめないこと」辺野古の海岸にあるこのスローガンが頭に浮かびました。与党が検察庁法の委員会審議入りを強行した8日に、ここまでの事態を誰が予想したでしょうか。
「コロナ禍の中、国民の関心は高まらない、野党も抵抗できない。数で押し切ればいい」。与党はそう考えたのでしょう。私たちの頭にもよぎりました。だからといって民主主義の根幹を崩すような法案の審議に唯々諾々と応じるわけにはいかない。野党が結束して対応しました。
与党の思惑は全く裏目にでました。安保法制の時のように「とにかく声をぶつけたい」と国会に駆けつけることはできない人々も、その分、ネットで回りに広げる努力をしました。
「自分たちに自粛を押し付けておいて、与党は勝手なことをしている」と、文化・芸能関係者を含めかつてないツイッターが広がりました。
この声に応え、緊急に野党党首によるオンラインでの抗議の訴えも行われ、いっそう結束を強めました。局面は一気に変りました。
思わぬ「コロナ効果」もありました。官邸前の行動は十分に距離をとって少人数で行われました。ところが委員会審議が行われた衆院別館は官邸とは交差点を挟んだ斜め向かい。コロナ対策のために窓をあけていたために、抗議の声は審議中の委員会室に響き渡ったのです。
そして、コロナで在宅している人たちがこの質疑をネットで視聴され、院のネット中継がパンクする事態になりました。初めて国会中継を見たという人が、答弁のひどさに怒りのツイッターを広げました。
国民の声に一番危機感をもったのは検察官の皆さんだったかもしれません。このままでは検察への信頼が失われると、体制維持・保守派と言われてきた検察元幹部の皆さんらが「正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない」と異例の声を上げたことは、衝撃を与えました。
それでも、国会周辺は静か。これまでのたたかいのような騒然として雰囲気はありません。そんな中、日曜の夜に内閣支持率が急落し、検察庁法反対が大多数という速報を見て、「これで動くかもしれない」という思いと、「それでも与党は数を頼んで強行するのでは」という思いが共存していました。
しかし、翌朝から激動の日となりました。「今国会断念を検討」という報道から始まり、夕方には与党国対委員長から今国会での採決を行わない旨が野党に伝えられました。「あきらめない」国民の声が政治を動かした瞬間でした。
継続にとどめるわけにはいきません。与党はコロナ禍が収まることをみこして臨時国会でそのまま成立させることを狙っています。
「あきらめずに声を上げれば政治は変えられる」。継続ではなく、幹部検察官の定年延長の「特例」の撤回、黒川氏の定年延長の閣議決定の撤回まで、声をひろげましょう。