活動日誌

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「憲法・民主主義・政治とカネ」の記事

 午前中は衆院安保特の中央公聴会を院内でテレビで視聴。午後からは論戦準備など。15時から参院幹事長会談。参院選挙改革について、自民党と四会派の「6増6減+2合区」案に対し、公明党からはいっそうの一票の格差是正のためにさらに合区を増やせないのかとの提起がありましたが、自民からはこれ以上の合区はできない旨発言がありました。

 事実上、自民・四会派案と公明・民主案が確定した元で、今後の取り扱いについて協議。一部には委員会質疑を省略しようとの意見がありましたが、私からは、有権者の選ぶ権利にかかわる問題であり、委員会での必要な質疑をするべきだと求めました。

 夜は議員団会議。

DSC02124.JPG午前中の参院本会議で、2013年決算に対する反対討論に立ちました。アベノミクス、大型開発推進、原発再稼働、軍拡路線を批判するとともに、自民党の勉強会での沖縄侮辱、言論弾圧発言を取り上げ、総理に謝罪を求めました。

  午後には衆院安保特での本村伸子議員の戦争法案での質問を応援傍聴。本村さんは空中給油について、「給油なしに戦闘機は飛べない。爆撃もできない。なぜ、武力行使と一体でないといえるのか」と切り出して追及。大臣はまともな答弁ができず何度もストップしました。

 「共産党は多士済々だね」――本村伸子議員の質問の後に自民党のベテラン議員が、わが党にこう声をかけてきました。いいぞ!
 
 午前中の本会議討論を紹介します。

●日本共産党を代表して、二〇一三年度決算の是認に反対の討論を行います。 

DSC02122.JPG 一三年度決算は、政権復帰後に安倍内閣が編成した初めての当初予算と消費税増税実施のための経済対策とされた五兆五千億円規模の補正予算についてのものです。

 安部内閣はデフレ不況を抜け出すとしてアベノミクスを始め、さらに施政方針演説で「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指すと表明し、労働などの規制緩和や食の安全と農業をつぶし、経済主権を脅かすTPP交渉など大企業中心の成長戦略を推進してきました。 

 それに加え、補正予算では、大企業が負担する復興特別法人税を一年前倒しで廃止し、三大都市圏・環状道路や、国際コンテナ戦略港湾、空港整備などに三千億円以上の税金を注ぎ込む大型開発優先路線が復活しました。そのもとで、公共事業関係費は二〇一三年度決算ベースで前年度比プラス三八%、二・一兆円もの増額となったのです。

 このような大企業支援策とアベノミクスによる円安誘導、官製相場とも呼ばれる株価対策により、一部の大企業や大株主は巨額の利益を上げました。大企業の内部留保は一二年末から一年間で一三兆円も増え、一三年末には過去最高の二八五兆円に達しました。 

 一方、国民生活と中小企業の営業はどうなったでしょうか。原材料高騰で円安倒産が広がりました。労働者の実質賃金は一三年度予算が成立した五月からマイナスに落ち込み、以来、二五ヶ月連続でマイナスになりました。

さらに税と社会保障の一体改革が実行に移され、生活保護費六七〇億円減、年金給付費千五百億円減、児童扶養手当七億円減など、とりわけ低所得者の生活を直撃しました。 

そのうえ、一四年四月から実施された消費税の増税は経済の六割を占める個人消費の大幅な落ち込みとなり、国民生活と日本経済に深刻な事態を作り出しました。国民に消費税増税を押しつけたうえ、社会保障の根幹部分を軒並み削減し、憲法が保障する生存権を脅かすことなど断じて容認できません。 

 このように本決算から明らかなのは、アベノミクスがもたらしたのは、富める者はより富み、貧しきものはより貧しくなる格差の拡大であり、景気悪化だということです。この道に未来はありません。 

 今、必要なのは大企業の内部留保を活用した国民所得の拡大、働くルールの確立による安定した雇用の実現など内需主導の経済政策への転換です。それに逆行する、労働者派遣法改悪法案は廃案にするべきです。消費税の十%増税は中止するべきです。強く求めます。 

 大型開発推進予算を大幅に増やした口実は、東日本大震災の教訓から「国土強靭化」が必要だというものでした。しかし、この間の御嶽山等の噴火をうけた決算審議で、世界有数の火山大国でありながら、専門家が圧倒的に不足し、監視観測体制がきわめて不備であることが浮き彫りになりました。

 災害に強い安心・安全の国作りというなら、災害に対して脆弱な体制を抜本的に強化し、老朽化したインフラの補修・安全対策にこそ力を注ぐべきです。 

 東日本大震災の被災者の支援は、予算措置が不十分な上、大型開発推進による人手と資材の不足、それに伴う費用の高騰による入札不調と相まって二〇一三年復興特別会計の予算執行が六三・五%にとどまったことは重大です。災害公営住宅の建設促進や住宅再建支援金の五〇〇万円への引上げ、入札不調対策など、住宅と生業の再建への支援をいっそう強めることこそが必要です。 

 福島第一原発の汚染水問題は東京電力のずさん極まりない対応が続いており、依然深刻な事態です。一三年度予備費で汚染水対策経費二〇五億円が支出されましたが、本来、東京電力を支えてきた大株主や原子力産業が負担するべきものです。

 一方、一定地域の避難指示の解除による一律の賠償打ち切りや営業損害賠償の打ち切り行うことなど許されません。加害者である国と東電が、賠償と除染の責任を果たしきることは、「福島の復興」への大前提ではありませんか。 

 福島原発事故で避難生活を余儀なくされている県民は未だに一〇万人を越えています。にもかかわらず、一三年七月の「新規制基準」に基づく原発再稼働が推進されてきました。しかし、この基準は過酷事故の際の住民の安全確保もされていないものであり、原発事故などなかったように再稼働するなど許されません。原発ゼロへの政治決断を行い、再生可能エネルギーへの転換こそ進めるべきです。 

 軍事費は、当初予算で一一年ぶりに増額に転じ、補正予算で、経済対策と称して一二〇〇億円が積み増しされました。F三五戦闘機の導入やミサイル防衛、オスプレイ導入の調査費等が盛り込まるなど、周辺諸国との軍事的緊張を高め、東アジアの平和的環境づくりに逆行するものです。

 さらに秘密保護法と一体で、集団的自衛権行使の戦争司令塔である国家安全保障局設置が強行され、その設置費用は一三年度予備費から支出されました。

 今、衆議院で審議中の安保法制は、こうした戦争する国づくりをさらに進め、アメリカの戦争にいつでも、どこでも、どんな戦争にもでも支援、参加する戦争法案に他ならないことが明らかになっています。憲法学者からも、歴代内閣法制局長官からも、主権者国民からも憲法違反だと反対の声が大きく広がっている戦争法案は廃案にする以外にありません。 

 一三年度予算には沖縄辺野古への新基地建設の予算が盛り込まれましたが、その後、名護市長選、沖縄県知事選、総選挙で沖縄県民は繰り返し新基地建設反対の明確な審判を下しました。にもかかわらず、政府が県民の審判を無視し、抗議の住民を力づくで押さえつけて工事を強行していることは、民主主義そのものを否定するものです。 

 そのことは、先週、自民党本部で開かれた学習会で、沖縄県民を侮辱し、普天間基地の歴史を捻じ曲げ、言論弾圧をあおる発言が相次いだことで浮き彫りになりました。昨日、参院議員会館で行われた緊急抗議集会には、多くの市民、マスコミ関係者、超党派の国会議員が参加しました。沖縄の二つの地元紙から報告があり、琉球新報の東京支社報道部長は、こう発言されました。

 「沖縄の新聞はゆがんでいるというが、ゆがんでいるのは沖縄の現実です。わずかな面積に米軍基地が集中したもとで起きているその現実を、私たちは県民の立場から報道しているのです」。 

 沖縄にゆがんだ現実を押し付けながら、その現実を報道する新聞を敵視することなど絶対に許されません。安倍総理。自民党総裁として国民と沖縄県民に謝罪をすることを求めます。辺野古新基地建設は直ちに中止し、強権的に米軍が土地を奪って作った普天間基地は無条件撤去するよう対米交渉を行うことを強く求めます。 

 以上、国民にとって重大な問題のある予算を執行した二〇一三年度決算を到底是認することはできません。そのことをのべて反対討論とします。

 

 

 院内で開かれたアムネスティ議連の人権セミナーに参加。私は議連の副会長を務めています。国連難民高等弁務官事務所・駐日代表のマイケル・リンデンバウアー氏、元パレスチナ副代表の高橋宗瑠氏の「難民保護から考える中東の人権――求められる国際社会の対応」というスピーチを受けて質疑応答。世界規模の難民危機といわれる状況の下で日本の対応がきわめて遅れています。

 沖縄二紙.jpg夜は自民党議員の暴言に対し、院内で開催された「言論の弾圧を許すな!怒りの緊急集会」に参加。共産、民主、維新、元気、社民、沖縄大衆党の34人の国会議員と市民、マスコミ関係者で会場は一杯。沖縄タイムス、琉球新報のそれぞれの東京支社報道部長からの報告もありました。

 琉球新報からは「沖縄の新聞はゆがんでいるというが、ゆがんでいるのは沖縄の現実です。わずかな面積に米軍基地が集中したもとで起きているその現実を、私たちは県民の立場から報道しているのです」と述べられました。思わず「そうだ!」と声をあげました。

 明日の本会議での決算の反対討論にこの言葉を盛り込もうと、原稿を直しているところです。がんばります!

 七月五日に予定されている国会での「テロ対策合同訓練」の中止を求める申し入れを衆参議長に行いました。参院では私と仁比議運理事が山崎議長に申しいました。以下、申し入れ文を紹介します。

参議院議長 山崎正昭 殿 

「衆・参警務部及び警視庁のテロ対策合同訓練」の中止を求める申し入れ 

日本共産党国会議員団 

衆参両院の議院運営委員会理事会は、過日、「衆・参警務部及び警視庁のテロ対策合同訓練」を75日に実施することを決めました。わが党は、以下の理由から、今回の訓練に反対しましたが、今国会の会期が大幅に延長されたもとで、あらためて「合同訓練」の中止を求めるものです。 

1、今回の「合同訓練」は、銃器及び爆発物を所持するテロリスト3名が、衆議院本館に侵入して銃を発砲のうえ立てこもる事態を想定し、衆・参警務部と警察が連携して警察部隊がテロリストを銃器で制圧するというもので、衆院警務部220名、参院警務部50名、警視庁140名など400名以上が参加する大規模なものです。

その訓練内容は、①警察官の部隊が警察車両10数台を伴って外周を包囲し、出入り口を封鎖し、ヘリによる上空からの監視を行う、②銃器部隊30名程度が、空砲とはいえガス銃などを発砲し、被疑者を制圧し、爆発物処理班が爆発物を処理する、③その間、侵入した被疑者は警察部隊に銃を発砲する、④その下で警務部は、緊急通報、警察部隊との連携、在館者の避難誘導などを行う――などと説明されています。 

2、今回の「合同訓練」には、きわめて重大な問題があります。

 そもそも、たとえ訓練であっても、想定にあるような一般警察権の行使を前提として警察部隊が国会構内に立ち入ったことは、過去一度もありません。国会内の「秩序維持」は議院の自律権にかかわる問題であり、一般警察権との関係は慎重に検討すべきものです。

ところが、今回、想定されている大規模な訓練を必要とする蓋然性はまったく示されていません。また、両院の事務局が「計画は警視庁につくってもらったもの」と認めているように、事件の想定や訓練規模、事件対処の方策など、警察主導の訓練計画というのが実態です。

国民から見れば、国会外周を警察官が包囲することになり、国会が国民の要請・抗議活動を拒否しているようにしかみえず、国民の請願権を事実上制約することとなります。

訓練実施日は、「戦争法案」の成立を図るために会期の大幅延長が強行された直後であり、国会会期中です。この間、「戦争法案」に対して国民多数が反対し、抗議の声を上げ、毎週末、「戦争法案反対」の集会、行動が国会周辺で行われてきました。このような時期に、警察官が国会包囲するような大規模訓練を行うことは、かつて60年安保改定の際に、議長警察権の名のもとに警官部隊が国会に導入され、議会制民主主義が踏みにじられた歴史を想起させるものです。断じて容認できません。 

以上の理由により、日本共産党国会議員団は、この前代未聞の「合同訓練」の中止を申し入れるものです。

 山崎参院議長に、大規模な「テロ対策合同訓練」の中止の申し入れを仁比議員とともに行った後、京都へ。16時から立命館宇治高校で高校生の皆さんに「国会議員の仕事、18歳選挙権で高校生徒に期待すること」と題してお話し、質疑応答をしました。

 先日、18歳選挙権実現の法案を審議した時に、参考人で来てくださった同行の杉浦真理教諭から声をかけていただきました。同高ではシチズンシップ教育の一環として三年に一度、参院選挙の際に模擬投票を実施しています。その際にも政党代表から直接、政策を聞く会も持ってこられました。

 今回は18歳選挙権が実現をしたことを受けての企画。自民党の国会議員も来られる予定でしたが、急遽キャンセルになり、私だけになりました。法改正直後の取り組みと会って、マスコミも注目し、テレビや新聞の取材もありました。

 主な参加者は高校二年生で政経を選択している生徒たち。来年の参院選選挙権を持つ生徒も一定数いて、も熱心に話を聞いてくれました。国会議員の歳費、戦争法案、外交努力、私学助成のことなど質問も次々とでました。最後に、歴史的な選挙権を是非とも行使してほしい!と呼びかけました。

 高校生の皆さんにまとまってお話するのは初めてのこと。できるだけわかりやすく話をするよう努力したつもりですが......。来年の参院選挙に向け、こういう機会を積み重ねていきたいですね。

 DSC02084.JPGその後、京都市内に戻り、憲法共同センターの地域・団体代表者会議で戦争法案をめぐる国会情勢の報告を行いました。

 18歳選挙権を実現する改正法案が今日の倫理選挙特別委員会で可決しました。水曜日の本会議で成立し、来年の参院選挙で施行される予定。女性参政権実現以来、70年ぶりの大きな選挙権の拡大です。

 参院の特別委員会では私と吉良よし子議員が質疑に立ちました。全参院議員の中で一番若い吉良さんは、14日の若者憲法集会とデモを紹介し、若者が行動を通じて政治への関心を高めていると強調。「声を上げることしかできなかった若者が選挙権を持てることはさらに若者の政治参加を広げる力になります」と述べ、高校生の政治活動を規制した文科省通達の撤回や被選挙権年齢の引き下げなどを求めました。

 私は先週水曜日に参考人質疑に立ち、「新たに18歳以上の若者を主権者として、パートナーとして迎える上で、政党に求められる役割はなにか」と質問。高校の授業で国政選挙での模擬投票を実施されている私学の高校教諭の参考人は「スマホなどでの情報発信も大事。その点、共産党さんのカクサン部はがんばっている。うちの生徒がマニフェストへの質問をホームページですることがあるが、共産党さんは丁寧に答えてくれる」と嬉しい評価をいただきました。

 18歳選挙をいっかんして求めてきた党として法案には賛成しましたが、一方、改憲のための国民投票を実施するための条件整備という側面もあります。「若者に選挙権を与えたために改憲の目論見が崩れた」と嘆かせるような結果を参院選で示したいものです。

 午後からの特別委終了後、明日の質問通告。夜は議員団会議。

 DSC01992.JPG午前中の本会議で防衛省設置法改正案に対する反対討論を行いました。大要は以下の通りです。

 昼休みに開かれた日弁連主催の戦争法案反対の院内集会に参加。共産、民主、社民などとともに自民党の村上議員も参加して挨拶されました。

 午後は、18歳選挙権実現の公選法改正案についての参考人質疑。神奈川県教育委員会教育長・桐谷次郎、立命館宇治中学校・高等学校教諭・杉浦真理、松山市選挙管理委員会事務局長・竹村奉文、YouthCreate代表理事・原田謙介の各氏から意見をお聞きして質疑しました。

 その後、衆院の安保特別委の審議を院内テレビでみながら明日の質問準備。夜にしつこくを終えました。

●防衛省設置法改正案反対討論

日本共産党の井上哲士です。私は会派を代表して、防衛省設置法等の一部を改正する法律案に、反対の立場から討論を行います。
 本法案は防衛省・自衛隊の装備取得関連部門を集約、統合し、防衛省の外局として「防衛装備庁」を新設するものです。
 安倍政権もとで今年度の防衛予算は、過去最高の額となりました。さらに歴代の内閣が維持するとしてきた「武器輸出三原則等」を撤廃して武器輸出を原則禁止から推進へと一八〇度転換する「防衛装備移転三原則」を決定し、武器の輸出を推進する道に公然と踏み出しました。 

その上で防衛省は軍需産業の育成・強化を図る「防衛生産・技術基盤戦略」を策定し、日米新ガイドラインには、日米間の防衛装備・技術協力が盛り込まれ、安全保障及び防衛協力の基盤として」発展、強化させると強調されました。 

この間、米国へのPAC2ミサイル部品の輸出、F三五戦闘機の製造への参画、英国との新たな空対空ミサイルの実現可能性に係る共同研究の開始、オーストラリアの次期潜水艦共同開発・生産国選定手続きへの参加など、武器の輸出、国際共同開発への参画が加速しています。

 本法案で新設される「防衛装備庁」は、軍需産業の要求に応えて、官民がまさに一体となって、これらをいっそう推進するものです。 

防衛装備庁は今年度から防衛省が発足させた競争的資金「安全保障技術研究推進制度」を進めることになります。今後、広く大学や研究機関から技術提案を募り、防衛装備に適用可能な基礎研究に資金を提供するとしています。

憲法九条の精神は戦後の学問研究の分野にも生かされてきました。一九四九年に創設された日本学術会議は第一回総会で、軍事研究に積極的に協力したことへの反省を込めた決議をあげて出発し、一九五〇年、六七年の総会でも「戦争目的のための科学研究を行わない声明」を出しています。 

今、国立大学では一般運営費交付金が削減され経常研究費不足に悩む状況です。そのもとで、防衛省の資金であっても背に腹は代えられないと応募してくれば、それを突破口に、徐々に軍事研究に大学を取り込むことを狙ったものであり、認められません。 

衆参での参考人質疑を通じて、このような組織づくりが、急速な軍事化を招き、軍産複合体を生み、軍需産業による国の政策への介入をもたらすことの危険性について、日本や米国の歴史に照らして「杞憂」ではないとする、厳しい警告がありました。大変重い指摘であります。

このような組織改編をおこなうことが、憲法九条の平和主義を真っ向から踏みにじるものであることは明白です。強く中止を求めます。 

さらに本法案による、官房長、局長と幕僚長との関係規定の見直しは、防衛省内で文官を自衛官よりも上位に置いてきた、いわゆる文官統制を廃止して、両者を同等に位置づけることにより、自衛官による大臣補佐をより迅速におこなうことを可能とするものです。 

 政府は一九九〇年代以降、自衛隊を海外に派遣し、米軍に対する支援活動を積み重ねてきました。本法案の自衛官による大臣への補佐の迅速化は、内局の運用企画局を廃止し自衛隊の運用を統合幕僚監部に一元化することとあいまって、米軍との共同軍事作戦を直接担う自衛隊の意向をより迅速かつ直接的に反映させる仕組みをつくることで、アメリカの戦争に直ちに協力できる機構をつくるものです。

 世界のどこでも、いつでも、アメリカが起こす戦争に自衛隊が支援、参加するための日米新ガイドラインや安保関連法制と一体の体制づくりであり、断じて容認できません。 

審議の中で、二〇〇六年に航空自衛隊が作成した「航空自衛隊のドクトリン等に関する調査研究」が問題になりました。この文書は、「これまでは政治が決定する任務や役割を受けて対応するといった受動的姿勢であったが、今後は、場合によっては、現在の任務、役割、法的な枠組みを超えて空自が主体的に議論」し、「将来の憲法改正、集団的自衛権の解釈変更に対応する上で航空防衛力の運用に関わる基本的な考え方を開発し、明確にすることが必要である」としています。 

さらにこの文書は「これからは国家意思決定者に対して統合幕僚長を通じての軍事的専門家としての助言を積極的に行う」と述べています。本法案の自衛官による補佐の迅速化は、このような検討すら行っている自衛官の発言力をより強化するものであり、シビリアンコントロールをも危うくするものです

憲法も現行法の枠組みも無視した検討が、組織的かつ周到に行われている恐るべき実態を示すものであり、断じて容認できません。徹底解明を求めます。 

また、本法案は航空自衛隊那覇基地のF15戦闘機部隊を二個飛行隊化し、第九航空団を新設するとしていますが、こうした軍事対応の強化は、日中関係の緊張を高めるものであり、容認できません。日中双方がこうした軍事対応の強化を厳に戒め、冷静な話し合いによる問題解決の立場に徹するべきです。 

そもそも、防衛省の組織改編は、二〇一三年の「防衛省改革の方向性」にもとづくとされるものであり、その前提には、二〇〇八年の「防衛省改革会議報告書」にもあったように、防衛調達をめぐる事務次官の供応収賄など数々の不祥事が発生し、国民の厳しい批判のなかで、その再発防止が課題とされたことがありました。 

その後も、航空自衛隊による官製談合事件、軍需企業による防衛装備品の水増し請求事件、陸上自衛隊の多用途ヘリコプター開発の企業選定に係る事件が続発しています。なぜ、そうなるのか。審議を通じて明らかになったのは、昨年、防衛調達上位十社に対する防衛省・自衛隊からの天下りは六四人にのぼり、不祥事で天下りを中止した年の翌年は一気に増えるなど、事実上「天下り枠」が固定している実態です。 

 防衛省・自衛隊と軍需産業の天下りを通じた癒着構造が問題の本質であり、ここにこそメスを入れるべきです。にもかかわらず防衛省は、調達をめぐる不祥事の抜本的な改革については「別検討」などと除外して、本法案を提出しました。本来なすべきことは一切骨抜きにしたうえで、ひらすら憲法九条の平和主義を踏みにじる施策のための組織改編に血道を上げることは、国民を欺くものであり、到底認められるものではありません。

 防衛調達上位十社から自民党に対する企業献金は野党時代の二〇一二年の八一一〇万円から、与党復帰後の二〇一三年には一億五〇七〇万円とほぼ倍加していることも明らかになりました。安倍政権は財界の要求に答え、武器輸出推進への転換や防衛予算の増額など次々と進めており、企業献金の倍化は、国民にはその見返りにしか見えないものです。このような体たらくでは、天下り受け入れの見返りに発注する官製談合を行う防衛省・自衛隊の体質をただすことなどできないことを厳しく指摘するものです。 

以上、本法案は、断固廃案にすべきことを主張して、討論を終わります。

DSC01969.JPG  御茶ノ水駅の近くのスタジオで、インターネット生放送「デモクラTV本会議」に出演。「日本共産党の『一点共闘』を聞く」をテーマにトーク。

 司会はジャーナリストの山田厚史さん。コメンテーターには、ノンフィクション作家の山岡淳一郎さん、ジャーナリストの松竹信幸さん、今井一さん、ドイツ文学者の池田香代子さん、文芸評論家の横尾和博さんの五氏。

 原発許すなの無党派市民との官邸前行動から、沖縄、大阪での保守の皆さんとの共同へ広がり、戦争法許さぬ院内外の共同などお話しました。 沖縄では県民の声に押されて衆院小選挙区での「オール沖縄」の共同の候補擁立まで進んだことを紹介。「(選挙目当ての協力だと)『野合』批判がでるが、日常的な運動で支えられた共同は勝利へと発展した」と強調しました。

 コメンテーターからは「ぶれない共産党がいるから、信用できる面」もあるという感想もいただきました。戦争法許さぬ共同についての期待の声もいただきました。

 終了後、京都へ。新幹線車内ではひたすら論戦資料の読み込みです。

DSC01941.JPG明日の外防委員会の質問準備が中心の一日。衆院の安保法制特別委の質疑をNHKで見ながらの作業でした。16時からは穀田議員が質問。集団的自衛権で敵基地攻撃可能になることを指摘し、「新三要件」の無限定差を浮き彫りにしました。

 午後には、レッドパージ反対全国センターの皆さんが、特別法の制定を求める請願書を持って来訪。しばしの懇談をしました。がんばります。

 午前中の本会議は電気事業法改正案の質疑。日本共産党から倉林議員が質問に立ち、福島原発事故被災者への賠償打ち切りや原発再稼働推進を厳しく批判し、完全賠償や原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換を迫りました。

 散会後、参院選挙制度検討会が開かれ、市田団長が出席。各派幹事長クラスによる協議会を含めて30回の議論行いましたが、最後まで最大会派の自民党が格差4.3倍にとどまる6増6減案を中心とする立場に固執、各会派の案に大きな隔たりが埋められないまま、検討会としては成案を得ないまま打ち切りとなりました。

 市田さんは、この間の協議はムダだったのではなく、総定数は削らない、最高裁判決に基づく改正をするという点では各派の一致があった、今後の各党間の協議もこの一致点を踏まえて行うことを提起しました。

 午後は明日の三重での戦争法案学習会の準備と来週の質問準備。夜の新幹線で京都へ。

 

 

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