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ナラ枯れを調査する井上参院議員(右から3人目)
林野庁事務所を梅木府議、樋口英明京都市議らとともに訪ね、抜本対策を申し入れる井上参院議員

市民の力でナラ枯れ対策前進

 京都市内の鴨川から東山を見上げると、清水寺や高台寺の背後の山に赤茶けた木が見えるのに気づきます。「早めの紅葉か」と思ったら間違い。実は、カシノナガキクイムシが持ち込む「ナラ菌」を原因とするナラ類の被害木なのです。

 昨年の秋、美山町にある芦生の京大演習林でも被害が広がっていることを聞き、「北山の自然と文化を守る会」の皆さんと一緒に現地調査をしました。西日本最大級のミズナラの巨木が枯れていることに驚き、すぐに政府に抜本対策を求める質問趣意書を提出。これを受けて林野庁は、来年度概算要求に被害木の駆除の徹底実施などの対策強化を盛り込みました。

 ところが、これまでの被害地域を超えて突然、京都市内に被害木が発見されました。早速、今月初めに梅木紀秀 府議や宮田えりこ京都市議とともに現地を視察。なるほど、たくさんの穴があき、白い木くずが出ている被害木が何本もありました。虫は穴のなかで繁殖し、放置すれば翌年には十倍を超えて増加。被害が広がれば、治山、治水はもちろん、景観上も取り返しがつかないことになり、来春までの抜本対策が決定的です。

 そこで十七日、林野庁の京都大阪森林管理事務所を梅木府議、樋口英明京都市議らとともに訪ね、抜本対策を申し入れ。村上所長さんからは、「来年待ちにせず、来月から徹底駆除を始めたい」との回答がありました

 政府を動かす上で大きな力になったのは市民団体の皆さんが調べた被害状況などの詳細なデータ。今後の対策でも市民の声と力を生かしてほしい、と強く求めました。

(しんぶん赤旗 関西版 2005 年 10 月 19 日付け)


議員会館前で座りこみを続ける人たちを激励する井上議員

服装クール、論戦ホット

 延長された国会も残りは二十日余り。解散・総選挙の可能性をはらみつつ、郵政民営化法案、障害者「自立支援」法案、共謀罪新設法案など悪法のごり押しを狙 う自民・公明与党との激しいせめぎあいが続いています。

 郵政民営化法案が採決された衆院本会議の前日、参院与野党国対委員長会談が開かれ、参院での同法案の審議に ついて協議しました。その時は、与党側は相当の余裕と自信をもっているように見えましたが、翌日、国会に激震が走りました。

 衆院本会議では自民党内から続々と造反が出て僅 か五票差の可決となりました。そして、同時刻に日比谷公園で開かれていた「このままの 『障害者自立支援法』では自立できません!7.5緊急大行動」は、七千人の参加の予定が一万一千人に膨れ上がりました。

 本会議採決を見届けてすぐに議面で障害者の皆さ んのデモを激励しましたが、炎天下、車椅子でのデモ行進は延々二時間以上続き、一緒に唱和したシュプレヒコールはまさに命をかけた叫びというもの。私はこ の時、郵政法案の五票差採決は、単に郵政法案だけの問題ではなく、小泉政権のあらゆる分野での破たんが噴き出たものだと確信しました。

 この日を境にして、参議院の雰囲気も一変しました。自民党の議員は、野党議員のいる前でも公然と郵政民営化 への疑問を唱え、小泉総理を厳しく批判します。「政権末期」を感じさせます。

 梅雨もあけ、「熱い国会」になりましたが、郵政民営化をはじめとした悪法を廃案に追い込み、日本共産党の躍 進で新しい政治を切り拓くため、服装はクールビズ、論戦はホットでがんばりぬきます。

(しんぶん赤旗 関西版 2005 年 7 月 20 日付け)


国連本部の会議場に立つ井上哲士参院議員

NPT再検討会議に参加して

被爆者の訴えに説得力
町村演説は危ぐした通り

 国連本部で開かれている核不拡散条約(NPT)2005年再検討核兵器廃絶の声を届けるため、私も日本共産党国会議員団を代表してニューヨーク入りし、一日は市内パレードと大集会、二日は再検討会議の傍聴、三日は平和市長会議および世界の反核運動との連帯交流集会に参加、四日は核軍縮議員ネットワークの国際会議に参加しました。

 同会議への要請のために、日本から、被爆者や日本原水協代表団の八百三十人をはじめ、千人もの空前の参加があり、原水協は五百万を超える核廃絶署名を届けました。一方、同会議で国連に行った国会議員は町村外相以外は私一人。被爆国日本の願いを伝える党の誇りと責任を感じながらの日々でした。

「約束」実行迫る

 再検討会議では、前回会議で確認された「核兵器廃絶の明確な約束」をどう前進させるかが問われています。
 二日の一般討論の冒頭に新アジェンダ連合を代表して演説したニュージーランドの代表は、「一部の核兵器国が新型核兵器の開発や現存核兵器の強化を研究どころか計画している」とし、核廃絶の「明確な約束」の実行を求めました。
 ところが続いて演説にたった日本の町村外相は、核軍縮は口にしたものの、前回会議での「核廃絶の明確な約束」には触れず、アメリカの進める地中貫通核兵器の研究・開発の中止も求めませんでした。

米国追従の外相

 私は三月の予算委員会で町村外相に対し、再検討会議への姿勢をただし、この地中貫通核兵器の開発中止を求めるよう迫りましたが、外相は、「今後勉強したい」「いろいろな国がいろいろな研究をすることにものを言う立場にない」というものでした。私は「それで被爆国の外相といえるのか。どうやってNPTで交渉するのか」と批判しましたが、国連での外相の演説は、危惧したとおり、核兵器問題でもアメリカいいなりの姿をさらすものとなりました。

広島育ちとして

 議題する決まらない困難な状況で始まった再検討会議でしたが十一日には議題が決まり、実質討議に入ることになりました。会議の今後は予断を許さないものがありますが、核廃絶へ重要なのは世論と運動です三日に参加した世界の反核運動との交流集会でもキーワードは「国際連帯」でした。その中でも、NPT行動で日本から参加した市民の行動、とりわけ被爆者の「核兵器と人類は共存できない。命ある間に廃絶を」という訴えは大きな役割を果たしています。国連ロビーでの初の原爆展には私も毎日通いましたが、いつも多くの人が展示に見入っていました。
 帰国の日に世界三十ヶ国の議員が参加する核軍縮議員ネットワークの国際会議に出席。私は、広島に育ち、高校の先輩が原爆で全滅したことも紹介し、「核兵器は人類と決して共存できない」と発言。決意新たに空路十三時間半の帰路につきました。


「草の乱」起こすとき

 今年は被爆60周年。この1ヶ月は、核廃絶と被爆者援護の拡大を求めて駆け回りました。

「120年前にすごいやつらがいた」――憲政記念会で開かれた映画議員連盟主催の「草の乱」上映会に先日、参加しました。明治時代の秩父郡で、困民党を名乗る人々約3千人が武装して蜂起した秩父事件を描いた映画。昨年から京都でも上映運動が行われましたが、日程が合わず、ぜひ見たいと思っていた作品です。

 米相場は暴落する一方、高利貸しは大もうけをし、農民は借金のかたに田畑を奪われる。にもかかわらず政府は庶民に増税。命をかけて人々が立ち上がる。6千人もの無償のエキストラで描かれたシーンの迫力にぐいぐい引き込まれました。

 上映前に神山征二郎監督の挨拶があり、終了後は監督を囲んでの懇親会。監督から、時代背景やキャスティングの裏話など聞かせていただき楽しいひと時でしたが、一番盛り上がったのは、映画で描かれた状況がなんと現代とそっくりなのだろうということ。家計収入が減っているときに庶民増税が強行される一方、大もうけの企業のランク上位にサラ金業者が並ぶ。そのうえ高額所得者減税などで、京都に本社があるアイフルの社長は、自社株の売買で大きな収入を得ても、なんと1年で7億円もの減税を受けているのです。

 映画のパンフには「あまりにも悲惨な敗北にもかかわらず、秩父事件は今も光を放つ。勝ち負けを超えて人は戦わなければならないときがある。家族のために、仲間のために、そして自分たちの未来のために」とありました。

 今、草の根からの乱を起こす時です。家族のために、未来のために。

(しんぶん赤旗 関西版 2005 年 4 月 27 日付け)


ヒロシマの心国会へ

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ビキニデーで誓いの言葉をのべる井上議員=一日、静岡・焼津市

 今年は被爆六十周年。この一ヶ月は、核廃絶と被爆者援護の拡大を求めて駆け回りました。

 五月に核不拡散条約(NPT)の再検討会議が開かれますが、五年前の会議での「核廃絶への明確な約束」がアメリカによって反古にされることへの危惧が広がっています。二月十九日はこの問題の市民集会に参加し、パネリストを務めました。

 三月一日のビキニデーは久保山愛吉さんの墓前際で挨拶し、その日の夕方は韓国やブラジルに住む在外被爆者の方とともに在外被爆者援護の拡大を求めて厚労相に申し入れ。翌二日は「在外被爆者へ援護法適用を実現させる議員懇談会」の総会。そして九日の予算委員会で地中貫通核兵器の問題で質問しました。

 私は広島で育ち、卒業した高校は爆心地のすぐ近く。先輩が原爆でほぼ全滅したことを知り、「二度とこんな理不尽なことを許してはならない」と胸に刻んできました。二月の市民集会でこのことをお話しすると、会場から「私は井上さんの先輩で、被爆のときの一年生の生き残りです」と男性が発言され、びっくり。八月六日は学校を休んでおり、死を免れたとのこと。「がんばってください」と熱い激励をいただきました。

 その思いを予算委員会でぶつけましたが、外相の答弁のひどいこと。「使える核兵器」としてアメリカが開発をすすめている地中貫通核兵器について、開発中止を迫れと求めると「いろいろな国のいろいろな研究にいちいちいう立場にない」と答弁。私は、「被爆国の外相の資格は無い」と厳しく批判しました。
これからもヒロシマの心を国会へ届け続けます。

(しんぶん赤旗 関西版 2005 年 3 月 16 日付け)


「自民とカネ」追及に反響

追求する井上哲士議員=一日、参院予算委

 参院予算委員会で一日、初めてテレビ中継のある質問に立ちました。

 まずは旧橋本派への日歯連の一億円ヤミ献金問題。この資金が参院選挙や派閥の「もち代」に使われたことを示し、旧橋本派所属の閣僚に「受けとった責任をどう感じているか」とただしましたが、「法にのっとり適切に処理」と述べるのみ。

 そこで旧橋本派からの「もち代・氷代」が、棚橋大臣をはじめ三年間で計二十人、三千九百万円分が政治資金収支報告書に記載されていないことを暴露し、「規正法違反だ。これでも自民党の資金が透明といえるのか」と追及。当日夜のニュースや各紙もいっせいに「旧橋本派資金報告未記載」と報道しました。

 この質問までには膨大な独自調査があります。旧橋本派の収支報告書と橋本派の全議員の政治資金管理団体や政党支部の収支報告書を照らしあわせ、未記載があれば、その地元の党組織にお願いして、県の選管への届出の原本を送ってもらい確かめる――この作業を三年分行い、さらに間違いのないように、二重に点検。数週間かけた事務所のスタッフ粘りと全国の党組織の協力でできた質問でした。

 森派のヤミ資金も追及すると、小泉総理が最後に突然、日本共産党の政治資金にも問題があるかのようにまくし立てました。「無関係な答弁だ」と批判し、終了後に改めて「党本部から議員団活動全体のために給付された資金を一議員に給付されたように誤解を与える答弁」と抗議の記者会見をしましたが、翌日の新聞は「首相が逆ギレ答弁」(「東京」)と書き、首相の答弁不能ぶりを報道しました。

 激励の電話やメールもたくさんいただきました。感謝、感謝。

(しんぶん赤旗 関西版 2005 年 2 月 9 日付け)

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