与党が過半数割れし、予算案も法案も与党だけでは成立させることができない国会。その下で、与党の壁に阻まれてきた願いを実現しようと多くの声が寄せられています。私学助成拡充を求める院内集会は例年を上回る参加者で熱気にあふれ、司会者は「こんな多くの参加者は初めて。総選挙では与野党ともに教育費負担の軽減を公約した。このチャンスを生かそう」と挨拶されました。この期待に応え、願い実現のためにあらゆる可能性を追求します。
予算審議で大問題となっているのが高額療養費の負担限度額の引き上げです。現役世代の社会保険料軽減のためといいますが、軽減額はわずか。一方、高齢者はもちろん、現役世代の患者に深刻な影響があります。先日懇談した、全国がん患者団体連合会には多くの患者さんから声が寄せられ、20代の胃がん患者の女性は「小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません...毎月さらに多くの医療費を払うことはできません。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています」と書かれています。胸が詰まります。厚労省はこうした患者の声を聞くことなく、引上げを予算に盛り込んだのです。
今年度予算でも訪問介護の基本報酬引き下げが盛り込まれ、中止を求める大きな声が上がりましたが強行されました。引き下げ後、半年間で579も訪問介護事業所が減り、事業所が一つもない自治体は全国で107町村になりました。長野でも深刻な事態を生んでいます。
一方、今回は国民の声を無視してそのままの強行はできなくなっています。我が党は中止を、立憲は凍結を求めています。石破首相はあり方を「検討する」と答弁し、厚労省は患者団体のヒアリングを実施しました。しかし、出されてきたのはごく部分的な修正。まさにせめぎあいです。
根っこには財界の要求があります。社会保険料負担の軽減は法人税減税と共に経団連が求め続けてきたこと。経団連は自民党がそれを着実に実行したと評価して献金を会員企業に呼びかけてきました。金でゆがめられた政治そのものです。
引上げ撤回を求め、さらに政治のゆがみを正して社会保障の充実を進める日本共産党。わずかな修正で、社会保障削減路線にしがみつく自民党。そして、維新は現役世代の社会保険料軽減のためとして五兆円の医療費削減を自民党に迫っています。
どの問題でも、国民の願いにこたえるのはどの党かが問われる新しい国会。党の真価を発揮して全力を挙げます。(民主長野3月号)